シュナイダー 大判レンズ アポジンマー 150mm Schneider APO-SYMMAR 5.6/150

 Schneider製、150mmの大判用レンズです。正式には「Schneider KREUZNACH APO-SYMMAR 5.6/150(シュナイダー クロイツナッハ アポジンマー)」という長い名前がついています。

レンズの主な仕様

 4×5判カメラでこのレンズを使った場合、35mm判カメラに換算すると42mm前後のレンズの画角に相当します。シャッターはCOPALの#0ですので、ポケットに入れられるくらいの小ぶりのレンズです。
 私は150mmという焦点距離は結構好きで、このレンズの使用頻度も高めです。写りに関しても個人的には文句のつけようのない、お気に入りのレンズです。

Schneider KREUZNACH APO-SYMMAR 5.6/150

 レンズの主な仕様は以下の通りです(Schneider KREUZNACHカタログより引用)。
   イメージサークル  : Φ220mm(f22)
   包括角度      : 62度
   レンズ構成枚数   : 4群6枚
   最小絞り      : 64
   シャッター     : No.0
   シャッター速度   : T.B.1~1/500
   フィルターサイズ  : 58mm
   前枠外径寸法    : Φ60mm
   後枠外径寸法    : Φ45mm

 開放絞りが5.6、最小絞りが64です。絞り羽根は7枚で、いっぱいに絞っても型崩れしないきれいな7角形を保っています。絞りレバーは35mm一眼レフのレンズのようなクリックはなく、スーッと動きます。シャッタースピードは最高で1/500秒ですが、いままで、このレンズを使った撮影でそんな速いシャッターを切ったことはないと思います。

Schneider KREUZNACH APO-SYMMAR 5.6/150

 また、イメージサークルが220mm(F22)ありますので、4×5フィルムで風景写真を撮る分にはよほど極端なアオリでもしない限り、ケラレるようなことはありません。もう少し広角寄りの125mmレンズも割と出番があるのですが、イメージサークルが200mmを下回ってしまい、あおる時に気を使います。その点でもこの150mmは安心感があります。

シュナイダーとフジノンの写りの違い

 私の持っている大判レンズはSchneiderと国産の富士フィルム製FUJINONでほとんどが占められていますが、APO-SYMMAR 150mmとほぼ同じ仕様で、FUJINON W150mm 1:5.6というレンズがあります。FUJINONの写りも大好きなのですが、SchneiderとFUJINONの写りを比べた場合、Schneiderの方がわずかに暖色系(アンバー気味)の発色をします。逆の言い方をすると、FUJINONの方がわずかに寒色系(シアン気味)の発色傾向があるということです。例えば新緑を撮ると、Schneiderで撮ったほうが葉っぱの緑が極わずかですが、黄色っぽく写ります。レンズのコーティングの違いではないかと思うのですが、確かにFUJINONのコーティングのほうがグリーンとブルーの色味が強めになっています。

 5~6年前まで35mm一眼レフでCONTAXを愛用していたことがありました。CONTAXのレンズは有名なCarlzeissですが、同じレンズでもドイツ製と日本製があり、やはりドイツ製のレンズのほうが暖色系の傾向がありました。これもコーティングの違いによるものだと思いますが、なぜドイツと日本で違うコーティングをしているのか、その理由はわかりません。ドイツ人と日本人の光に対する感覚の違いかもしれませんね。

「APO」を冠したレンズ

 このAPO-SYMMARを購入する前は「APO」がつかないSYMMARを使っていたのですが、それぞれのレンズで撮影したポジをルーペで見比べてみると、APO-SYMMARでは光の滲みが改善されているのがわかります。色収差が抑えられているからだと思いますが、APO-SYMMARは明暗差の大きい境界部分に出やすい滲みもほとんど感じられません。さすが、だてに「APO」の名称を冠していないという感じです。なお、誤解のないように付け加えますが、決してSYMMARの写りが酷いということではありません。あくまでも比較をすると滲みが起きやすいような箇所でその違いが判るというレベルであり、SYMMARの写りも素晴らしいです。

APO-SYMMAR 150mm の写り

 下の写真はAPO-SYMMAR 150mmで撮影した永代橋の夜景です。画面上ではわからないと思いますが、ポジを見ると解像度とコントラストの素晴らしさがわかります。うまく表現できませんが、コクのある色再現性を持ったレンズといったらいいのでしょうか。

永代橋  Linhof MasterTechnika 2000 APO-SYMMAR 5.6/150 F32 48s Velvia100F

 橋のアーチ中央部分をほぼ等倍に拡大したものです。見事な質感の描写だと思います。

永代橋(拡大)  Linhof MasterTechnika 2000 APO-SYMMAR 5.6/150 F32 48s Velvia100F

 最後にどうでもいいことですが、レンズの鏡胴部分に書かれている「Schneider」のロゴがカッコ良くて好きです。

(2020.8.1)

#シュナイダー #Schneider #レンズ描写 #Symmar

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