中判カメラPENTAX67Ⅱで撮る北秋川渓谷神戸川(東京都檜原村)

 GoToトラベルに東京もやっと仲間入りさせてもらったとはいえ、正直なところ、県境を越えて他県に行くことには気を使います。東京都ならいいというわけではありませんが、なるべく人と接しないようにということで北秋川渓谷の支流の一つである神戸川(かのとがわ)に行ってきました。

神戸岩の滝

 檜原街道から水根本宿線(都道205号)に入り、神大橋の手前を右折します。この先は北秋川に合流する神戸川に沿って進みます。4~5km行くと神戸岩(かのといわ)の駐車場に到着。車をここに停めて神戸岩に向かうと、間もなく神戸岩から流れ落ちる滝が見えてきます。落差はさほどありませんが岩穴から流れ出てくように見え、とても雰囲気のある滝です。

神戸岩の滝  PENTAX67Ⅱ SMC TAKUMAR6×7 75mm 1:4.5 F22 1s PROVIA100F

 この滝の右側に梯子が掛けられており、そこを上っていくと神戸岩の中に入っていくことができます。しかしその先は岩場に幅30cmほどの足場があるくらいで、鎖につかまりながら進むという状態ですのでカメラや三脚などの機材をもっていくのは困難です。何とか持って行ったとしても三脚を立てるようなスペースもなく、残念ながら機材はこの滝の手前に置いていくしかありません。
 神戸岩はこの川の両側に垂直に100mほども切り立っており、ほとんど日差しが入ることもないと思われます。両側の岩に反響するせいか、流れる水の音がひときわ大きく聞こえます。

心霊スポットで有名な神戸対隧道 

 神戸岩を抜けた後、戻りは神戸岩をまいて通っている車道を歩くことになります。ここはトンネルになっているのですが、真っ暗なうえに有名な心霊スポットらしく、ここを一人で歩くのはちょー怖いです。後ろから何かついてきていないかとか、背中に何か張り付いていないかとか、そんなことが気になって振り返りながらつい足早になってしまいます。トンネル出口部分の天井だけコンクリートで固めてありますが、岩から染み出た水がこのコンクリートに女性の姿を描き出すといわれており、怖くて見る気にもなりません。トンネルから出た後に振り返りましたが、トンネルに吸い込まれるようなおどろおどろしい雰囲気があります。

小さな滝が続く神戸川の流れ

 気を取りなおし、神戸川を下流に向かいます。下の写真はいくつもの小さな滝を作りながら流れる神戸川を撮影した一枚です。

神戸川  PENTAX67Ⅱ SMC PENTAX-M 67 300mm 1:4 F32 8s PROVIA100F

 岩の間を流れ落ちる小さな滝と、川底が見える静かな流れとの対比がとても美しいと思います。枝っぷりの良い楓が渓流に張り出しており、まだ青々としていますが、紅葉するとまた違った美しさを見せてくれることでしょう。
 この辺りは山に囲まれており、かなり太陽が高くならないと渓谷まで陽が入り込んできません。陽が差し込んでくるとコントラストが強くなりすぎてしまい、しっとり感がなくなってしまうので、その前にできるだけ撮影しようと気がせいてしまいます。

神戸川 差し込む光に輝く水面

 午前10時半くらいになるとようやく木々の間から光が漏れて、渓谷に差し込んできます。澄んだ流れと光があちこちに美しい景色を作り出しています。そんな中の一枚が下の写真です。

神戸川  PENTAX67Ⅱ SMC PENTAX67 MACRO135mm 1:4 F22 1/4 PROVIA100F

 川面全体に光が差し込み、川底の石が輝いているようです。一方、川から垂直に立ち上がっている対岸の岩に差す光はまばらで、草や岩の上にたまった落ち葉を浮かび上がらせています。明るいところと暗いところの露出差が5EVほどもあるため、陽がさしていない岩のところは黒くつぶれてしまうかと思いましたが、かろうじて写ってくれました。

石垣に根を下ろしたシダ

 陽が高くなってきたので渓谷での撮影を切り上げ、林の中に入り、モノクロフィルムで林の中の小さな景色を切り取ってみました。下の写真は苔むした石垣の隙間に根付いたシダの葉っぱです。

シダ  PENTAX67Ⅱ SMC PENTAX67 MACRO135mm 1:4 F4 1/60 ILFORD Delta 100

 石垣全体に陽が当たってしまうとフラットになってしまうので、木の枝の隙間からスポットライトのようにシダに陽が差し込む瞬間を狙ってみました。光を反射して輝く葉っぱと、周囲の濡れた苔とのコントラストが出るようにとの思いで撮影した一枚ですが、左上の苔に当たる光がちょっと強すぎる感じですね。
 林の中にはとっくに花期を終えたヤマアジサイもたくさんあり、モノクロで撮るには格好の被写体でした。

 今ごろの季節は、夏が終わって秋に向かうちょうど変わり目の時期で、ちょっと中途半端な感じもしますが、季節の移ろいを感じられる時期でもあります。錦秋の季節も間もなくで、気持ちも高ぶってきます。
 この日はすべてPENTAX67Ⅱでの撮影で、使用したレンズは55mm、75mm、105mm、135mm、200mm、300mmの6本でした。

(2020.10.10)

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