フジノン 大判レンズ FUJINON SWD 1:5.6/75

 フジノンの大判用レンズです。SWD(Super Wide Delux)シリーズは65mm、75mm、90mmの3種類が発売されており、これはそのうちの一つです(もちろん、すでに販売終了になっていますが)。

レンズの主な仕様

 4×5判で使用した場合、35mm判に換算すると21mmくらいのレンズの画角になりますので、超広角に分類されるレンズです。最大包括角度は105度、イメージサークルは196mm(f22)あり、キャビネ判まで対応していますが決してゆとりがあるというわけではありません。横位置撮影の際のライズ可能範囲は26mmほどで、大きなアオリを使おうとするとケラれてしまいますので注意が必要です。

FUJINON SWD 1:5.6/75

 レンズの主な仕様は以下の通りです(富士フィルム株式会社 公式HPより引用)。
   イメージサークル  : Φ196mm(f22)
   最大包括角度    : 105度
   最大適用画面寸法  : キャビネ
   レンズ構成枚数   : 6群8枚
   最小絞り      : 45
   シャッター     : No.0
   シャッター速度   : T.B.1~1/500
   フィルター取付ネジ : 67mm
   前枠外径寸法    : Φ70mm
   後枠外径寸法    : Φ70mm
   フランジバック   : 85.1mm
   バックフォーカス  : 53.4mm
   全長        : 76.0mm
   重量        : 400g

ベッドの写り込みを防ぐ

 このレンズをリンホフマスターテヒニカ45で使用する場合は、横位置でも無限遠時はベッドがわずかに写り込んでしまいますので、ベッドダウンかライズが必要になります。しかし、撮影するポジションまでレンズを繰り出すとUアーム(レンズ支柱)がボディトラックと繰出しトラックの両方にかかってしまい、ベッドダウンができません。これを回避するためには凹みレンズボードを使って、Uアームがボディトラックから完全に外れ、繰出しトラック上にある状態にするか、もしくは、逆にUアームをボディトラック上に置いて、カメラのバック部を引っ張り出すかをしなければなりません。ただし、後者の場合はピント合わせに苦しみます。
 私の使っているレンズボードは通常のフラットなタイプですので、少しだけライズをしてお手軽に済ませてしまっています。(ちなみに、マスターテヒニカ2000の場合はボディトラックが移動するような機構が組み込まれており、Uアームをボディトラックだけに乗せて使えるのでずいぶん便利です)

大きな後玉外枠径

 F5.6の大口径ですので明るくて使い易いですが、レンズ単体で400gあり、結構重いです。また、後玉の外枠径が70mm(前玉の外枠径と同じです)もあるため、リンホフマスターテヒニカやウイスタ45では問題ありませんが、ホースマン45FAの場合はレンズ取付け部の穴径が小さくて入りません。どうしても取り付けたい場合はいったん後玉を外し、蛇腹の後方から手を突っ込んで後玉を取り付けるという面倒なことをしなければなりません。
 下の写真はSWD75mm(左)とW210mm(右)を真横から見た状態です。SWD75mmの後玉が大きいのがわかると思います。

FUJINON SWD75mm & FUJINON W210mm

 このレンズは建築やインテリアなどの撮影に使われることが多いのかもしれませんが、私はそういった写真を撮ることはほとんどなく、もっぱら風景撮影に使っています。手前から広がりのある風景をパンフォーカスで撮ることができるので、インパクトのある写真にすることができます。超広角といえども焦点距離は75mmあるわけですから、よほど間近なものでも撮らない限り、パースが強すぎることによる歪みは抑えられていると思います。超広角レンズの特徴であるパースをあえて出したい場合は極端に近寄るか、もしくは、より短焦点のレンズを使う必要があります。

作例 青森県下北半島 仏ケ浦

 同じフジノンの大判レンズの中でもこのSWDシリーズのレンズは、Wシリーズのレンズと比べるとコクのある色乗りと言ったらいいのか、若干こってりとした印象があります。決して嫌みのあるこってり感ではなく、ヌケの良いクリアな色乗りが特徴のレンズではないかと思います。

 下の写真は青森県の仏ケ浦で撮影したものです。

仏ケ浦(青森県)  Linhof MasterTechnika 45 FUJINON SWD75mm 1:5.6  F45 1/8 PROVIA100F

 早朝に撮影したのでまだ太陽の光が若干赤みを帯びていますが、空と雲と岩のコントラストが綺麗に出ていると思います。中央右寄りの「如来の首」という名前がついている岩の高さは15mほどあります。この如来の首ももちろんですが、左端の岩も垂直に立たせたかったので、このレンズのギリギリまでライズしてカメラをできるだけ水平に近く保っていますが、もう少しイメージサークルが欲しいというのが正直なところです。画面ではよくわからないと思いますが、解像度でも色再現性においても、さすがFUJINONといった描写力だと思います。

 大判カメラに67判のフィルムホルダーを着けてこのレンズで撮影する場合は、35mm判換算で35~38mmのレンズに相当する画角になりますので、標準的な広角レンズといったところです。重いレンズではありますが、広い風景を切り取ったりパースペクティブを活かしたり、いろいろなシチュエーションで使えるレンズであり、重宝しています。

(2020.11.8)

#フジノン #FUJINON #レンズ描写

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