Mamiya 6 MF マミヤ6 MF ボディー編

 長い歴史を持つ二眼レフカメラのほとんどはスクエアフォーマットですが、比較的近年に製造販売されたカメラで「ましかく写真」が撮れるカメラはそれほど多くはありません。そういった意味でもマミヤ6 MF はレアなカメラであると思います。完成度の高さや携行性の良さなどが話題になるカメラですが、私もましかく写真が撮りたくなると持ち出すカメラの一つです。

このカメラの主な諸元


 ニューマミヤ6シリーズの後期型として、1993年に発売された66判のレンズ交換式レンジファインダーカメラです。主な諸元は以下の通りです(Mamiya 6 MF 取扱説明書より抜粋)。

   型式     : 6×6判レンジファインダー、レンズ交換式、沈胴式カメラ
   使用フィルム : 120フィルム(12枚撮り)、220フィルム(24枚撮り)
   画面サイズ  : 6×6判(実画面サイズ56×56mm)
   フィルム送り : レバー1回巻き上げ185度(予備角30度)
   シャッター速度: B、4秒~1/500秒 電子式レンズシャッター
   露出制御   : 絞り優先AE、受光素子SPD(ファインダー内)、露出補正±2EV(1/3EVステップ)
   距離計    : レンズ偏角方式、実像式二重像合致、基線長60mm(有効基線長34.8mm)
   ファインダー : 距離計連動ファインダー、ブライトフレーム自動切り替え(50、75、150mm)
   電池     : LR44またはSR44を2個
   大きさ    : 155(H)×109(W)×69(D)mm (沈胴時は54(D)mm)
   質量     : 900g

Mamiya 6 MF + G 50mm 1:4

 MFというのは「マルチフォーマット」のことで、フィルム面にアパーチャーマスクを取り付けることによって645判の撮影ができたり、35mmフィルムアダプターを取り付けることでパノラマ撮影ができたりします。ただし、645判での撮影は66判をマスクするだけでフィルム送りが変わるわけではないので、フィルムが非常にもったいない気がします。

いかにもマミヤらしい沈胴機構

 このカメラのいちばんの特徴は何と言っても沈胴式の機構です。外からは見えませんが、内部に蛇腹が組み込まれており(裏ブタをあけると蛇腹が見えます)、収納時はレンズマウント部が15mmほど沈み込みます。さらにレンズ自体も15mmほど沈み込みますので、レンズを装着した場合は30mmほど薄くなることになります。この30mm薄くなることで、バッグに入れるときにはとても助かります。

Mamiya 6 MF + G 50mm 1:4 沈胴時

  

裏蓋を開くと見える蛇腹

 少々気になるのは蛇腹が劣化してきたときのことです。交換するとなると結構面倒で、コストもかかりそうに感じます。大判カメラのように蛇腹に穴が開いたからといって光線漏れが起きることもないようにも見えますが、あえて蛇腹を採用している以上、穴が開けば光線漏れを起こしてしまうのでしょう。しかし、大判カメラほど頻繁に動かすこともないので、劣化についてはそれほど心配しなくても良いのかもしれません。

明るいファインダー

 ファインダーの倍率は0.56倍で、若干低めの感じもしますが、明るくて見やすファインダーです。レンズを交換するとブライトフレームも自動で切り替わりますし、パララックスの自動補正機能も備わっています。
 ピント合わせ用の二重像も見やすいですが、縦のラインがない被写体の場合はピント合わせにちょっと苦労するかもしれません。
 
 ファインダーの視度補正レンズは交換可能で、マミヤ645やマミヤ7と共通のようです。

 ファインダー内の表示はシャッター速度と露出オーバー、およびアンダーのインジケータ、そしてアラーム用のファンクションランプだけという非常にシンプルなものです。シャッターボタンから指を離せば数秒後にはこれらも消灯するので、フレーミング時の邪魔になるようなこともありません。

少々、クセのある内蔵露出計

 このカメラには露出計が内蔵されていますが、使いこなすには慣れが必要です。露出計が内蔵されている場所というのがファインダー内のため、外部の光、特に空からの光に影響を受けやすくなっています。すなわち、ファインダーに強い光が入り込むとそれに反応して、露出がアンダー側に振れてしまう傾向にあります。撮影の条件によっては1EV以上、アンダーの値を示すこともあります。

 また、その構造上、レンズを交換しても測光範囲が変わるわけではないので、短焦点の50mmレンズを装着した場合は中心部をスポット的に測光しますが、長焦点の150mmレンズの場合は全面を平均的に測光することになります。内臓露出計に頼って撮影する場合は、このようなクセを把握しておくことが必要になります。

 ちなみに、私は上空からの光の影響を防ぐため、ファインダーの上に自作のシェードを取り付けています。

アクセサリーシューに取付けたファインダーシェード

しっかりとしたフェイルセーフ機構

 このカメラはレンズシャッターを採用しているため、レンズを外すとフィルムが光にさらされてしまいます。それを防ぐため、レンズ交換時は遮光幕を出す必要があり、遮光幕を出した状態でないとレンズが外れないようになっています。
 そして、レンズ交換後は遮光幕を収納しないとシャッターが切れないようになっています。私も遮光幕の収納を忘れてシャッターが切れず、「あれ?」となったことが何度かあります。

 また、前の方で沈胴機構が組み込まれていると書きましたが、沈胴した状態だとやはりシャッターが切れません。
 こうしたフェイルセーフの仕組みがしっかりと組み込まれている辺りにもマミヤらしさが出ていると思います。

カメラ底面にある遮光幕レバー

 フェイルセーフではありませんが、裏蓋まわりにモルトプレーンを使用していないというのも個人的には気に入っています。加工精度がしっかりと保たれれば、モルトプレーンを使わなくても十分に遮光性が確保できるということなのでしょう。

操作性に優れた使い易いカメラ

 中判カメラですが、75mm(標準)レンズを装着しても重さは1.2kg弱で、それほど重いと感じることはありません。PENTAX67は標準レンズを着けると軽く2kgを越えてしまうので、それと比べるととても軽く感じます。
 カメラを持った時のホールド感も良く、私にように手が小さくても、全く違和感なく手になじむ感じです。フィルム巻き上げレバーもシャッターボタンも、持ち変えることなく親指と人差し指で操作できます。

 ちょっと使いにくいと感じるのが露出補正ダイヤルです。これは、親指でリリースボタンを押しながら人差し指でレバーを動かすのですが、若干操作しにくいのと、補正ダイヤルのクリックが浅いのか、カチッ、カチッと動いてくれません。これはもしかしたらカメラの個体差によるものかもしれません。

 また、レンズシャッターですので切れるときの衝撃は皆無と言っても良く、「チャッ」という小気味良い音がして切れます。
 あまり大きな問題ではありませんが、裏蓋をあけておかないと空シャッターが切れないというのもこのカメラの特徴かもしれません。

 このカメラ用のレンズは50mm、75mm、150mmの3本がラインナップされています。私はスナップ撮影に使用することが多いのですが、風景撮影でも素晴らしい写りをしてくれます。レンズについては次回でご紹介したいと思います。

(2021.5.11)

#マミヤ #Mamiya

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