KOWA SIX MM コーワシックス MM 国産の中判一眼レフ

 キャベジンやコルゲンで有名な興和株式会社が1960~1970年代にかけて製造していた中判(66判)の一眼レフカメラのひとつで、独特なスタイリングが特徴です。今のカメラにはない無骨さのようなものは感じますが、かといって古臭さがあるわけでもなく、まさに写真を撮る機械といった感じです。
 今回はKOWA SIX MMをご紹介します。

二眼レフのような縦長の独特のフォルム

 コーワシックスシリーズは、1968年に初代のコーワシックスⅠが発売され、以降、さらに3つのモデルが発売されて、全4モデルが存在しているようです。
 KOWA SIX MMは1972年に発売された2番目のモデルです。初代KOWA SIXにミラーアップ機能と多重露光機能が追加されたことで、「MM」というネーミングになっているようです。

▲コーワシックス MM KOWA SIX MM

 コーワシックスシリーズに共通している縦長のフォルムは独特で、ローライフレックスの6000シリーズにちょっと似ています。国産のカメラですが設計したのはドイツ人技術者らしく、他のコーワ製カメラとはずいぶんかけ離れたデザインもうなずける感じです。

 標準ではウエストレベルファインダーが装着されており、上から覗き込むスタイルでの撮影なので縦長のボディというのはホールディングがしやすいです。感覚的には二眼レフカメラとよく似ています。
 サイズは116mmx137mmx157mmで、背丈は二眼レフカメラとほぼ同じですが、一回りほどおデブな感じです。ただし、重さは1,750gあり、かなり重いです。これにレンズをつけて長時間首から下げ続けるのは結構きついものがあります。

 このカメラの主な仕様は以下の通りです。

  ・66判レンズシャッター一眼レフ
  ・シャッター:T、1~1/500秒
  ・ファインダー:ウエストレベル(標準)
  ・レンズマウント:スピゴットマウント
  ・使用フィルム:120(12枚撮り)、および220(24枚撮り)
  ・ミラーアップ機能あり
  ・多重露光機能あり
  ・サイズ:116mmx137mmx157mm
  ・重量:1,750g

明るくて見やすいファインダー

 カメラの上部にあるファインダーカバーを持ち上げるとバネの力でフードがカパッと開きます。シャッターを切った後はミラーが跳ね上がったままになっているので、再度巻き上げ操作をして、ミラーを下ろさないとファインダーに光が入ってきません。
 フォーカシングスクリーンはフレネルタイプが採用されており、とても明るくて見易いファインダーです。

▲KOWA SIX MM のファインダー

 ファインダーのフード内にはルーペが装備されており、ピント合わせの際、細部まで確認ができます。また、このルーペは視度調整用に交換が可能です。

あまりお目にかかることができないスピゴットマウント

 スピゴットマウントという規格があるわけではないようです。レンズとカメラを相対的に回転させてはめ込むのではなく、スピゴットと呼ばれる締め付けリングのようなもので固定する方式のことをいうようです。
 コーワシックスシリーズはボディ側にスピゴット(締め付けリング)があり、レンズを差し込んだ後、このリングを回して固定します。レンズの取り外しの際はシャッターをチャージした状態にしておく必要があります。

▲スピゴットマウント

 スピゴットマウントは構造はシンプルですが、レンズの取付けや取り外しの際、ボディとレンズを持ちながらスピゴットを回さなければならず、操作がし易いとは言えません。手は2本しかないので、レンズ取り外しの時はカメラをテーブルの上とか膝の上に仰向けに置いて操作しないと、レンズを落としてしまいそうです。
 上の写真でオレンジ色の矢印のレバーでスピゴットのロックを解除します。

フィルムの入れ替えがやりにくい

 このカメラの裏蓋は、自動車のハッチバックドアのように上に跳ね上げる方式です。しかも、ファインダーのフードに当たるため、90度くらいしか開きません。
 また、裏蓋の内側にはフィルム圧板があり、これが結構重いので裏蓋が簡単に落ちてきてしまいます。裏蓋は取り外しができるので外してしまえば操作しやすいですが、外したりはめたりは面倒くさいです。

▲裏蓋を開けた状態

 このため、フィルムの交換の際に裏蓋が邪魔になります。レンズの交換の時とは逆に、テーブルの上などにレンズを下に向けて置いた状態にしておかないと、とてもやりにくいです。
 屋外でテーブルなどがないときは、膝の上にカメラを逆さまに置いてフィルムを入れ替えるということになり、あまりスマートではありません。

大型のフィルム巻き上げノブ

 フィルムの巻き上げノブは大型で使い易いです。クランクが折りたたまれているので、これを持ち上げて巻き上げることもできますが、クランクを使わなくても非常に楽に巻き上げができます。

▲大型のフィルム巻き上げノブ

 巻き上げ角度はおよそ270度くらいだと思います。適度な重さがあり、巻き上げが終わるとノブの回転がストンと軽くなります。
 この状態でミラーが下がるので、ファインダースクリーンに像が映し出されます。

MMから採用されたミラーアップ機構

 どのような機構になっているのかよくわからないのですが、ミラーアップに関しては独特な動きをします。巻き上げを行なった後、ミラーアップノブを回してシャッターボタンを押すと、シャッターは切れずにミラーアップだけが行なわれます。その後、再度、シャッターボタンを押すとシャッターが切れます。
 ただし、1回目のシャッターボタンを押した後はミラーが上がっているので、ファインダーには何も映っていません。2回目のシャッターボタンを押すまでの間、ファインダーでは何も見えない状態になるので、この間にカメラが動いてしまうと構図が変わってしまいます。

▲ミラーアップノブ

 PENTAX67ほどではありませんが、ミラーショックはそこそこある方だと思います。ミラーアップを使うよりもセルフタイマーを使った方がブレ防止には効果があると思うのですが、10秒と長いのであまり現実的ではありません。それこそ、手持ち撮影の場合はその間にカメラが動いてしまいそうです。

カメラグリップの取付けもできますが

 専用のカメラグリップが用意されており、カメラの底にネジで締め付けるようになっています。
 私は純正品は持っていませんが、マミヤCシリーズ用のグリップを若干改造して取り付けるようにしていました。カメラの底部にある2個のピン穴の間隔がほんの少し異なる(マミヤCシリーズの方が狭い)ので、グリップの2本のピンの1本を抜いています。
 カメラにグリップを取り付けるとこんな感じです。

▲カメラグリップ(マミヤCシリーズ用を改造)

 左手だけでカメラを支えられるので安定するようにも思えますが、私は二眼レフカメラのように、カメラの下側を両手で支える方が使い易く、グリップはほとんど使ったことがありません。
 アイレベルファインダーを取り付けた時は便利かも知れません。

撮影はしなくとも、ときどき動かすことも大切

 このカメラに限ったことではありませんが、特に機械式のカメラは時々、撮影と同じように稼動箇所を動かすことが大切です。コーワシックスは長期間使わずにいると、巻き上げ機構が固着してしまうという傾向があるようです。巻き上げができないとレンズの取り外しもできなくなってしまいますから、そうなるとカメラの側板を外して修理するしかなくなってしまいます。

 さすがに発売から50年も経っているので、巻き上げ機構以外でも故障する可能性も十分に起こりえます。人気のあるカメラという話しもよく耳にしますが、中古市場では意外と安い価格で出回っていますので、部品取り用に中古品を1台、買っておこうかなと思っています。
 
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 ディスプレイしておくだけでも様になるカメラだと思いますが、やはり、撮影してこそのカメラだと思います。次回はレンズのご紹介をしたいと思います。

(2021年8月30日)

#KOWA_SIX #コーワSIX

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