隅田川に架かる橋 ライトアップ夜景 -吾妻橋・隅田川橋梁・駒形橋・厩橋・蔵前橋-

 隅田川は岩淵水門で荒川から分岐して東京湾にそそぐ川ですが、たくさんの橋が架かっています。東京オリンピックの開催に向けてライトアップの整備も行われたため、それぞれ、個性的な景観を見ることができます。ライトアップは日没の15分後から夜11時ごろまで行われており、今の時期は午後6時を少し回った頃からライトアップが始まります。長時間ライトアップされているので、ゆっくりと撮影することができます。
 また、川の両岸は整備された広い遊歩道が続いており、フットライトも設置されているので足元も安心です。散歩をする人、ジョギングをする人、撮影をする人等々、多くの人がいらっしゃいますが、私のようにフィルムカメラを持ち込んでも安心して撮影できる場所です。

 今回、特に橋が密集している浅草界隈でライトアップされた橋の撮影をしてきました。
 なお、今回の撮影はISO100のリバーサルフィルムを使用しました。

赤色のライトアップ 吾妻橋

 吾妻橋は、浅草駅の入り口あたりから対岸のアサヒビール本社ビルの手前あたりに架かっている橋で、隅田川に架かる橋の中では最初の鉄橋らしいです。現在の橋は1931年の開通とのことですので、90年以上が経っていることになります。
 3つの径間をもった綺麗なアーチ橋です。橋の上部に構造物がないため、明るいときに見るととてもさっぱりとしたというか、簡素な感じがしますが、品格のある美しさを感じる橋です。

 ライトアップされた吾妻橋を浅草側から撮影したのが下の写真です。

▲吾妻橋:PENTAX67 smc TAKUMAR6x7 75mm 1:4.5 F22 16s PROVIA100F

 アーチ部分の鉄骨も赤色で塗装されていますし、昔は灰色だったらしいのですが、欄干部分も赤系になっていることもあり、ライトアップされると橋全体がとても華やかな印象になります。欄干の部分の照明色は季節によって変わるようで、今は桜色というかピンク色に照明されていました。
 アサヒビール本社ビルの屋上に設置されている金色のオブジェもライトアップされていて、不思議な景観を作り出しています。もう少し引いて撮ると、左の方に東京スカイツリーがあります。

 少し風のある日でしたが水面が大きく波立つほどではなく、長時間露光にもかかわらず水面に映る照明の色合いがしっかりと残ってくれました。
 いちばん手前のアーチの下が暗くなっているのがわかると思いますが、何故かここだけ照明がされていないようでした。ここも赤い鉄骨が浮かび上がると、もっと華やかな感じになったと思うのですが。

白色のライトアップ 隅田川橋梁

 吾妻橋の少し上流側にある東武伊勢崎線の隅田川橋梁と、そこに併設されているすみだリバーウォーク(遊歩道)です。
 すみだリバーウォークは朝7時から夜10時までが通行可能で、浅草の浅草寺と東京スカイツリーの間を行き来するのにとても便利です。遊歩道の床板にはガラスがはめ込まれていて、隅田川を真上から見ることができます。

▲隅田川橋梁:PENTAX67 smc PENTAX67 200mm 1:4 F32 60s PROVIA100F

 隅田川橋梁は電車が通る橋なので重量級の建造物という感じがしますが、架線柱がお洒落なデザインになっていて、隅田川の風景にマッチしているように思います。
 また、この橋を渡るとすぐに浅草駅がある関係で、電車はこの橋を通るときとてもゆっくりとしたスピードになり、時には橋の上でしばらく停車していることもあります。この橋を電車が通過する景色はとても絵になります。

 橋の上部や架線柱は季節によって照明色が変わるようですし、また、イベントがあったりすると特別照明がされるようです。一方、下部の方は白い照明ですが、太い鉄骨を一層無機質な感じに照らし出します。何だか、未来都市の一部を見ているような気になります。
 架線柱の真下に見える薄緑色の光は通過する電車の窓の明かりです。右方向からゆっくりした速度で来て、左の方にある浅草駅に入っていきました。高速で通過してしまうとこんなに明るく写らないのですが、これもこの橋梁ならではの景色かも知れません。

 白い鉄骨の部分の質感が損なわれないようにするため、露出のかけ過ぎに気をつけたのですが、水面が思ったほど明るくなってくれませんでした。もう半段くらい、露出を多めにしても良かったと思います。

青色のライトアップ 駒形橋

 上野から東に延びている浅草通りに架かっている橋です。浅草側の橋のたもとに「駒形堂」というこじんまりとした観音堂がありますが、これが名前の由来のようです。橋が架かる前は渡し舟で川を渡っていたらしいです。
 橋脚の上にはバルコニーのようなものが設けられていて、中世のお城のようなデザインです。このバルコニーからは東京スカイツリーや隅田川に沿って走る首都高が良く見え、絶好の撮影スポットです。

 ちょっとレトロ感の漂う橋ですが、夜になってライトアップされると雰囲気が一変します。

▲駒形橋:PENTAX67 smc TAKUMAR6x7 105mm 1:2.4 F22 16s PROVIA100F

 橋の両端のアーチは下側にありますが、中央のアーチは橋の上部に設置されていて、三つのアーチがとても綺麗な弧を描いています。橋の下側には照明がありませんが、欄干やアーチを照らす明かりがかなり明るいので、水面への映り込みもとても見事です。青系で統一された色合いはちょっと冷たい感じがするかも知れませんが、暗い背景とのコントラストは抜群に綺麗だと思います。

 隅田川は屋形船や観光船などがたくさん往来しているので、船が来るのを待ってその光跡を入れたものも撮ってみました。右から左にオレンジ色の線がスーッと入って温かみを感じるような画にはなりますが、この橋には余計な光がない方がお似合いだと思います。

薄緑色のライトアップ 厩橋

 厩橋は、駒形橋から少し下流に行ったところにある3連のアーチ橋です。「厩」という名前が示すように、この橋にはいたるところに馬のレリーフやステンドグラスなどが埋め込まれています。
 流れるような優美な曲線で構成されたアーチが特徴的で、太い鉄骨で組み上げられているにもかかわらず、柔らかな感じのする橋です。アーチ部分に大量に打ち込まれているリベットさえも景色になっているように思えます。
 橋の上を車で走ってしまうと、その橋の形などはなかなかわからないものですが、この厩橋は特徴的な3連アーチが車の中からも良くわかります。

 そんな3連アーチ橋ですが、ライトアップで優美さは更に増します。

▲厩橋:PENTAX67 smc PENTAX67 55mm 1:4 F22 12s PROVIA100F

 薄緑を基調に、全体的に淡い色合いの照明がなされています。橋の形が柔らかな感じなので、あまり強い色調の照明よりもこのくらいの方が似合っていると思います。
 この写真を撮ったとき、欄干部分はパステル調の青と紫色で照明されていましたが、季節によって変えているようです。

 橋の上部に大きなアーチが三つあることで、ライトアップされると遠くからでもいちばん目を引く橋です。この写真は橋の北側(上流側)から撮っていますが、橋の下をくぐって反対側に行くと東京スカイツリーとアーチがちょうど重なる位置関係になります。
 駒形橋と同じでこの橋も橋脚部分を除いて、橋の下部の照明はありません。肉眼だともっと明るい感じなので、もう少し露光時間を長くしても良かったかもしれません。

黄色のライトアップ 蔵前橋

 厩橋から数百メートル下流に架かっている橋で、形状は吾妻橋によく似ています。稲のもみ殻をイメージさせるということで、淡黄色というか黄檗色というか、そんな感じの色で塗装されています。
 大相撲の国技館、今は両国にありますが、その前は蔵前にあったことから、橋の高欄には力士のレリーフが施されています。橋の上は障害物もなくとてもすっきりとしていて、高速道路を走っているような錯覚を感じてしまう橋です。

▲蔵前橋:PENTAX67 smc TAKUMAR6x7 75mm 1:4.5 F22 24s PROVIA100F

 黄色系の照明はとても明るく感じるせいか、ライトアップされると圧倒的な存在感があります。
 アーチの下側に整然と並んで組まれている鉄骨が浮かび上がり、とても綺麗です。無機質な鉄骨の建造物でありながら、周囲の景観と見事に調和している感じです。石造りの橋脚も趣があって、控えめな照明が作り出す陰影が美しいです。

 黄色は見た目以上に明るいので、露出計任せにすると暗く写ってしまい、濁った色合いになってしまいます。特にこのような夜景では思い切って多めに露出をかけた方が綺麗に仕上がります。
 上の写真でも、弧を描いているアーチの部分はほとんど白飛びしてしまっています。中央のアーチの上部には橋の名前が書かれているのですが、これが読めるように適正な明るさにすると鉄骨の部分はかなり暗くなってしまい、橋の優美さが損なわれてしまいます。

 今回使用したISO100のフィルムは常用感度(と言っても、リバーサルフィルムで現在手に入るのはISO100とISO50の2種類しかないのですが)といえるフィルムですが、決して感度が高いというわけではありません。夜景のような撮影の際、露光時間を長くしても弱い光をとらえきることは難しく、硬い感じの写真に仕上がってしまいます。
 それはそれで気持ちの良い描写ですが、明るく表現するか、暗く表現するかは撮り手の作画意図や伝えたいものによって異なります。ですが、出来るだけたくさんの光をとらえつつも、過度な露出オーバーにならないように露出を決めたいという思いもあり、そのような写真を撮るには神経を使います。

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 今回撮影した橋のうち、吾妻橋、駒形橋、厩橋、蔵前橋は関東大震災の復興橋梁として架けられた9橋に含まれ、いずれも建設から90年以上が経っていますが、古臭さはまったく感じられません。むしろ、近年の建造物よりもずっとセンスがあると思います。
 さらに下流に行くといくつもの個性的な橋が架かっているので、そちらの撮影にも出かけてみたいと思っています。

 例年だと今の時期は夜になると肌寒いのですが、今年は暖かくなるのが早く、重い機材を担いで川べりを歩いていると汗ばむくらいでした。季節によって違った景観を見せてくれますが、撮影するにはいまがいちばん体への負担が少ない季節です。

(2023.3.31)

#PENTAX67 #吾妻橋 #駒形橋 #厩橋 #蔵前橋 #リバーサルフィルム #ペンタックス67

ローライ Rollei RPX25 超微粒子、高解像度、高コントラストのモノクロフィルム

 私が使っているモノクロフィルムの中でいちばん使用頻度が高いのがイルフォードのDELTA100、次いで富士フィルムのACROSⅡ、そして、ローライのRPX25です。それ以外のフィルムはお試しに使ってみる程度で、常用しているのはこの3種類です。
 RPX25はDELTA100やACROSⅡに比べると使用頻度は低いのですが、カリッと締まった描写が気に入っています。ISO感度が低いので使いにくいところもありますが、他のフィルムとは一線を画したようなところがあるフィルムだと思っています。

低感度のパンクロマチックモノクロフィルム

 ISO25という低感度フィルムです。世の中にはISO6とかISO12とかの超低感度フィルムも存在するようですが、ブローニーサイズの現行品で普通に手に入るフィルムとしては、このRPX25が最も低感度ではないかと思います。かつて、コダックからISO25のコダクロームKMとPKMという低感度リバーサルフィルムが販売されていましたが、RPX25を見ているとそれを思い出します。
 本来が低感度フィルムなのでEI25として使用するのが一般的だと思いますが、現像液によってはEI320にも対応可能なようです。私はEI320どころかEI50としても使ったことがないので、どのような写りになるのか知りませんが、のっぴきならない事情があったり、あるいは特別な表現を求めるとき以外は不必要にEIを高くすることもないと思います。

 このフィルムを使って私が撮影するのはほとんどが風景です。晴天時の日中に絞りを開いての撮影であれば手持ちでもいけますが、少し薄暗いときや絞り込んでの撮影、または夜景の撮影時などは三脚が必須です。シャッター速度はどうしても遅くなりがちなので、被写体ブレを起こしたくないようなときは気を使います。

 ちなみに、RPX25の120サイズのフィルム、ヨドバシカメラでは1本1,900円ですが、通販のかわうそ商店では1本1,090円です。さらに10本セットだと9,900円なので、1本あたり990円となります(いずれも2023年3月24日時点の税込み価格です)。フィルムが高騰している現在、10本セットはいえ、1本あたりが1,000円を切っているというのはお安いのではないかと思います。

コダック Kodak のD-76でネガ現像

 現像液はローライのスーパーグレイン SUPER GRAIN が望ましいのかもしれませんが、普段使っているコダックのD-76を使用しました。EI25の場合、1+1の希釈で20℃、8分となっていますので、それに従っています。このところ、暖かさを通り越して初夏のような陽気になっており、気温も20度近くまで上がっているので、現像液を温めたり冷やしたりという手間が省け、現像するにはありがたい気候です。

 コダックの薬品の国内販売が終了してしまったようですが、アマゾンなどではまだ在庫があるのか、購入ができるようです。私は販売終了のアナウンスがあった際に5袋ほど買い置きしておきましたが、そろそろ底をつきそうです。海外では販売されているようなので個人輸入という手もありますが、私の場合、それほどD-76に拘っているわけではないので、なくなったら別の現像液を使うことになりそうです。

黒が締まった硬調な描写が特徴

 先日、隅田川に架かる橋を撮りに出かけた際、RPX25を2本だけ持って行きました。その時に撮った写真を何枚かご紹介します。
 いずれも大判カメラに67判のロールフィルムホルダーを着けて撮影しています。

 まず1枚目の写真ですが、蔵前橋の下から撮影したものです。

▲Linhof MasterTechnika 45 FUJINON SWD65mm 1:5.6 F22 2s

 この日は良く晴れていて、橋の下から見ると川面に反射した光が橋げたを照らしていて、無機質の鉄骨ならではのコントラストになっていました。日中なので外はかなり明るく、背景はほとんど白飛びしています。
 橋脚からアーチ型に伸びた鉄骨が放射状に広がって見えるように短焦点レンズを使っています。もちろん、実際にはこんな風に放射状になっているわけではなく、同じ間隔を保ちながら平行に並んでいます。もう少し短めのレンズを使って真上まで入れた方が迫力が出たかも知れません。

 橋げたの下の部分は反射した光で明るいのですが奥の方までは光が届いていません。しかし、奥の方が黒くつぶれているかというとそういうわけでもなく、橋げたの構造がわかるような画像が記録されています。黒に対しての許容度が高い感じを受けます。
 また、中間調も綺麗に表現されていて、黒か白かに二分されてしまうのではなく、なだらかなグラデーションになっています。全体としてはカリッとした感じを受ける描写ですが、豊かな階調も損なわれることなく表現されていて、硬調な中にも柔らかさを感じます。

 次は、橋の下から係留されている釣船を撮影した写真です。

▲Linhof MasterTechnika 45 FUJINON W210mm 1:5.6 F8 1/250

 太陽の位置はほぼ正面上方にあり逆光状態ですが、上部に橋げたの一部を入れることで明るい空をカットして、光が直接入るのを防いでいます。また、遠くにある釣船を注視しているような効果を狙ってみました。
 川面は光の反射でとても明るいので、陽があたっていない釣船とのコントラストが高く、長めの焦点距離のレンズで撮っていることもあり、立体感が出ていると思います。釣船の右舷側はかなり暗いのですが、つぶれてしまうことなく描写されています。

 個人的には水面の反射で輝いている左舷の金属の質感が気にいっています。

 3枚目の写真は、橋げたの一部だけを撮影したものです。

▲Linhof MasterTechnika 45 FUJINON W210mm 1:5.6 F16 2s

 水面の反射によって、橋げたの鉄骨の一部だけが明るく照らされている状況です。塗装がされているので、実際にはこんなに輝いては見えないのですが、光が当たっていないところとのコントラストと相まってモノクロならではの描写です。大量に打たれたリベットの頭部がわずかに光っているところなどに構造物の重厚感が感じられます。
 何度も塗料の塗り重ねがされてきたのだと思いますが、白く輝いている中にも表面の凹凸がわかりますし、暗部のディテールも良く出ていて、このフィルムのポテンシャルの高さを感じます。

 この日は隅田川に架かる橋の夜景を撮るのが目的で出かけたので、このフィルムでも数枚、夜景を撮影してみました。
 そのうちの1枚が下の写真です。

 日没して1時間ほど経った午後7時ごろに撮影したものです。いわゆるマジックアワーと呼ばれる時間帯は過ぎて、既に空は真っ暗です。
 このような状況において、低感度のフィルムで撮影しても弱い光はなかなか写り込んでくれません。いくら長時間露光をしても弱い光には反応してれないので、極端な言い方をすると、明るいところと暗いところだけで構成された画になってしまいがちです。
 ライトアップされた橋の欄干やアーチ、および水面への映り込みは明るいのですが、それ以外はほぼ黒といった状態で、まるで二値化された画像のようです。非常に硬い感じの描写になっていますが、これはこれで独特の趣が感じられます。

見事にヌケの良いポジが得られるリバーサル現像

 フィルム2本を撮影してきたので、1本をリバーサル現像してみました。
 RPX25は長年使ってきましたが、これまでこのフィルムでリバーサル現像をしたことは一度もなく、今回、初の試みです。
 RPX25のリバーサル現像に関するデータがないので、通常のネガ現像のデータをもとに現像時間を換算してみました。
 実際の現像時間については以下の通りです。

  第1現像 : 8分45秒
  漂白 : 5分
  洗浄 : 3分
  露光 : 片面1分
  第2現像 : 3分
  定着 : 7分

 現像液はイルフォードのシルバークロームデベロッパーを1:4(水)に希釈して使用しました。

 現像後のポジ原版が下の写真です。

 スリーブに入れたポジをライトボックス上で撮影したものなので画質が良くありませんが、黒の締まり具合、ヌケの良さ、解像度の高さなどは感じていただけるのではないかと思います。

 右上のコマをスキャンしたのが下の写真です。

▲Linhof MasterTechnika 45 FUJINON SWD75mm 1:5.6 F22 1s

 こうしてスキャンして画像にしてしまうとネガ現像したものなのか、リバーサル現像したものなのかは判断がつきません。全体的に硬調な描写やしっかりと締まった黒、右の奥に見えるビルの中間調など、豊かな描写をしていると思います。金属の質感も良く出ていますが、橋脚の石の質感も見事です。

 現像の過程で大きな失敗をしなければ、ネガ現像だろうがリバーサル現像だろうが、解像度やコントラストの出方に違いはないと思われますが、リバーサル現像の方が工程が多い分、わずかな失敗でも積み重なって画質に影響を与える可能性はあります。ですので、あえてリバーサル現像をする理由もないのですが、やはり、現像後のポジをライトボックスで見た時の感動はひとしおです。
 イルフォードのDELTA100もヌケの良いポジを得られますが、もしかしたらRPX25の方が上を行っているかも知れません。

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 低感度フィルムなので多少の制約を受けることもありますが、高い解像度やコントラスト、超微粒子による緻密な描写など、魅力のあるフィルムであることは確かです。硬調な描写は見ていて気持ちの良いものですが、硬いだけではないのがこのフィルムの特性かも知れません。
 もともとコントラストの高いフィルムですが、モノクロ用のフィルター(Y2、YA3など)を装着するとさらに高コントラストになります。被写体によっては不自然になってしまうかも知れませんが、一つの表現手法でもあると思います。

 また、このフィルムは冷蔵庫などに入れておくことで長期保存も可能らしいので、買い置き向きかも知れません。

(2023.3.24)

#Rollei_RPX25 #Linhof_MasterTechnika #FUJINON #リバーサル現像 #蔵前橋

写真関係の団体に会員として加入するということ

 2週間ほど前のことです。友人から、「○○日に撮影会があるんだけど、参加してくれない?」とのお誘いの連絡が来ました。詳しく聞いてみると、東京の御茶ノ水・神田界隈を散策しながら写真撮影をするイベントが開催されるとのことです。どうやら、近年流行っているフォトウォーキングのようです。
 私は昔に比べてスナップを撮ることが少なくなってきたのと、そもそも、私はそのような撮影会に参加すること自体がまったくないのでやんわりと断ったのですが、「ぜひ、参加してくれ!」と、お誘いから懇願に変わってきました。私の友人が懇意にしてもらっている人が企画したイベントらしいですが、参加者が集まらなくて困っているとのこと。2人でも3人でも集まった人だけでやればいいじゃないかと思ったのですが、諸事情でそういうわけにもいかず困っているようです。
 あまり気が進まなかったのですが、撮影に行くこと自体が嫌なわけでもないのでとりあえず了解しておきました。

 それから数日後、指定された場所に出向きました。参加者は私の友人と私を含めて十数名で、若い人ばかりかと思っていましたがそこそこ年配の人も何人かいらっしゃいました。また、数人はリピーターのようでしたが、私のように初参加という人が大半でした。
 主催者の挨拶やら自己紹介やらが終わっていよいよ散策撮影会が始まりました。お互いに初対面の人ばかりなので会話も少なく、静かな感じで始まったのですが、最初の撮影ポイントに着いてから様相が変わってきました。各自、思い々々に撮影しては、その写真をお互いに見せ合っているのです。その光景を見て私は「しまった!」と思いました。

 私が持ってきていたカメラは富士フイルムのGW690Ⅱという骨董品のような中判のフィルムカメラです。当然のことながら、撮ったその場で見ることなど出来ません。私の持っているカメラに気がついた年配の方が、「フィルムカメラですか?渋いですね」と、半分ねぎらいのような、半分哀れみのような言葉をかけてくれました。
 一応、私も一眼レフのデジカメを1台とレンズ1本だけ持っています。が、ほとんど出番はなく、日ごろからフィルムカメラを使っているため、当日も深く考えずに弁当箱のようにでかいGW690Ⅱを持ち出してきてしまったというわけです。
 また、このような撮影会に参加した経験はなく、その場でお互いに撮影した写真を見せ合うという文化には無頓着でした。
 そんなわけで、私が撮った写真をその場でお見せすることはできませんでしたが、フィルムカメラに興味を持っていただいたり、同じ場所で撮影しているということもあり、村八分になることもなく、数時間の撮影会を終えることができました。

 ちなみに、当日、実際に撮影したうちの1枚が下の写真です。

▲FUJI GW690Ⅱ F4 1/30 GP3

 JR神田駅のガード下の光景です。神田は東京と秋葉原に挟まれていて、東京駅周辺も秋葉原駅周辺もどんどん開発が進んでいますが、神田界隈だけは昔の名残をとどめています。何だか取り残されたような感じを受けますが、昭和の臭いが漂っているような景色も好きです。ガード下の支柱もレトロな感じです。
 昨年の暮れに2本だけ購入した中国製のモノクロフィルム、GP3が1本残っていたので使ってみました。

 今回のような撮影会参加は私にとっては初の体験でしたが、撮影しながら参加された方といろいろ話をしてみて感じたのは 、カメラや撮影を通じて人との交流を図りたいとか、カメラを始めたばかりだけどどうやったら上達するのかがわからないので参加してみたという方が多いということです。今回の撮影会には指導してくれる講師のような方はいないのですが、それでも共通の趣味を持った人たちと一緒に撮影を楽しみたいという思いを持っているということです。一人で黙々と撮るよりも大勢で楽しく、ということを求めているということの表れのようにも思います。

 国内にはたくさんの写真に関する団体が存在していて、その趣旨や活動内容は様々ですが、大雑把に4つぐらいに分けられるように思っています。

 まず一つ目は、「○○連盟」とか「○○協会」という名前がついていることが多い団体で、有名どころでは「全日本写真連盟」や「全東京写真連盟」、「日本風景写真協会」などがあります。活動は全国規模で行なわれていて、一般社団法人のような形式で組織運営していたり、名だたる企業が運営母体や協賛、あるいは後援という形で関わっていたりします。
 会員になるためには入会金や年会費などを納めなければならないとか、入会のための審査が必要だったりするところもあります。格式もあるがハードルも高いといった感じもしますが、活動内容も充実しているので、やはり価値は高いと思います。

 二つ目はメーカー系の企業が主催していることが多い団体で、特にカメラメーカーには必ずと言ってよいくらい存在しています。知名度や資金力もあるので、著名な写真家などを招いての講演会や講座なども頻繁に開催されていて、そのほとんどが盛況のようです。
 年会費なども必要なところが多いと思いますが、入会のハードルが高いということはなく、誰でも気軽に入ることができるのもメリットかも知れません。

 三つ目が自治体や地元の有志の方々が運営しているもので、「○○倶楽部」みたいな名前がついていることが多い団体です。全国の市区町村に最低でも一つは存在しているのではないかと思えるくらいたくさんあります。
 団体の規模自体はそれほど大きくありませんが、事務局も設置されていてしっかりと運営されているという印象があります。当然、加入されている方は地元の方に限定というところが多いと思いますが、それだけに会員同士の交流も親密という感じです。定例会や撮影会、展示会なども積極的に行なっているところが多く、まさに地域に根差しているという団体かも知れません。

 そして四つ目が、今回、私が飛び入りで参加させてもらったような同好会とかサークルと呼ばれているものです。SNSなどの発達で、個人が発起人のようになってサークルを立ち上げ、ネット上に発信して加入者や参加者を募るということが容易にできるため、近年、その数は急激に増えているように思います。
 入会金や年会費などは不要、都度実費のみ負担というところが多いので、気軽に参加できるということもありますし、散策をしながら撮影を行なうというイベント開催の形式が最も多いようなので、写真を通じて仲間づくりというのにはもってこいかも知れません。
 一方で、事務局のようなものは存在していなかったり、定例会や展示会のようなものを行なっているのは少数派という感じもします。

 このように写真に関する団体はたくさん存在していて、私も二つの団体の末席に名を連ねさせていただいております。過去にはメーカー系の団体に加入していたこともありましたが、今は退会してしまい、現在会員になっているのは二つだけになりました。
 会員になっているとはいえ、私は決して優良会員ではなく、定例会には参加することが多いですが、撮影会などには行ったことがありません。

 では、なぜ安くはない年会費を払いながら加入し続けているかというと、他の会員の方々からたくさんの刺激をいただくことができるからです。
 ネットが発達・普及したおかげで居ながらにして世界中の人々が撮影した写真を閲覧することはできますが、それはあくまでも写真の画像を見ているのであって、本来の写真としてみるためにはしっかりとプリントされている必要があるというのが私の持論です。高精細の大型モニタに映せば同じじゃないかという意見もあろうかと思いますが、やはり、プリントしたものは別物だと、私は勝手に思い込んでします。
 加入している団体の定例会などに出席すると、会員の方が撮影した写真を四切くらいの大きさにプリントしたものを見せていただきながら、撮影に使った機材はもちろん、撮影時の状況なども直接聞くことができます。そして、私がいちばん刺激を受けるのが、何を表現しようとしたのか、何を伝えようとしたのか、あるいは、なぜこのような構図にしたのかといったようなことです。これらは文章ではなかなか伝わりにくいことで、直接、撮影された方から聞くことで情報量は何倍にも何十倍にもなります。
 写真だけを見て撮影者の意図を想像することはできますが、それが真実かどうかはわかりません。直接お聞きすることで様々な気づきがあったりします。

 また、他の方の写真を見るだけでなく、自分が撮影した写真を見ていただき、それに対してフィードバックをもらうことも大きな刺激になります。私も心が狭いのですべてのフィードバックに納得できるわけではありませんが、そういう見方や考え方もあるんだということを知るのは大切なことで、それを何年後かに納得できたということがこれまでに何度もありました。

 写真の楽しみ方、あるいは目標や目的は人それぞれで、仲間と楽しく撮影したいという人もいれば、写真の腕を上げたいという人もいたり、納得のいく作品作りをしたいなど千差万別です。一人でコツコツと勉強したり経験を積んだりもできますが、他の人と交流をするということは楽しみを拡大したり目的を達成するためにとても重要なことだと思います。そもそも人間というのは、自分の撮った写真を人に見せたい、人に見てもらいたいという思いが根底にあるようですから。

 前の方で書いた団体の中には財政的に運営が厳しいところも少なくないようですし、会員の高齢化が進んで限界集落のようになっているところもあるという話しも聞きます。また、スマホで撮る人が増えたことでスマホ以外のカメラ人口が減少しているという統計もあるようです。カメラメーカーにとっては切実な問題でしょうが、スマホで撮影したものでも立派な写真であることには違いありません。
 あらゆるものが時代とともにその形を変えていくので、写真関連の団体の在り方も徐々に変化していくと思いますが、自分の目的や感性に合った団体を見つけて、そこに加入してみるというのは意義のあることだと思います。自身の成長はもちろんですが、加入する人が増えることで団体も活性化し、存続していくことができるわけです。

 最後に、もしも、今回のような散策撮影会にまた参加することがあったとしたら、その時は「チェキ」を手に入れて持っていきたいと思っています。なんてったって撮った写真をその場で見ることができるのですから。

(2023.3.17)

#GW690#GP3

近所の公園で初春に咲く花の撮影

 東京では1月の終り頃になるとロウバイや早咲きの梅がちらほらと咲き始め、2月の半ばを過ぎると梅も見ごろを迎えます。それまでは枯れ木ばかりが目立った公園も急に華やかな感じになります。陽あたりの良い場所ではるり色のオオイヌノフグリも咲き始め、本格的な春の訪れが近いことを感じるようになります。
 私が住んでいる近くには大きな公園がいくつかあっていろいろな花を見ることができるので、この時期には貴重な撮影場所の一つです。
 そんな公園をのんびりと歩きながら、また、いくつかの公園をはしごしながら初春に咲く花を撮影してきました。

ロウバイ(蝋梅)

 名前に「梅」の字がありますが植物学的には梅の仲間、すなわちバラ科の植物ではなく、ロウバイ科に属するようです。中国原産の植物らしいですが、近年は公園や庭木などでよく見かけます。種類の違いなのか場所によるものなのか、早いものでは12月末ごろから咲き始める個体もあります。
 どちらかというと地味な花ですが、この時期には数少ない花の一つでもあり、まるっとした黄色の花を見るとなんだか心が和みます。

 公園などで見られる木は植樹されたものですが、成長が遅いのかあまり大木にならず、目線の高さにもたくさんの花をつけているので撮影向きと言えます。

 下の写真は地面から2mほどの高さに咲いていた二輪の花を撮影したものです。

▲Linhof MasterTechnika 45 Schneider Tele-Xenar 360mm 1:5.5 F5.6 1/30 Velvia100F 

 ロウバイは房のような形の果実をつけるのですが、これが冬を越しても落ちずに真っ黒になって枝に残っています。花が咲いても花の数に負けないくらいのたくさんの真っ黒な果実がついていて、撮影しようとするとこれが結構気になります。なので、あまり枝が込み合っておらず、真っ黒な果実がないところに咲いている花を見つけるのが意外に大変です。
 たくさんの花が咲いているところも素敵ですが、数輪だけにして余計なものはあまり入れない方が花の素朴さや愛らしさを出すことができます。

 天気が良くて日差しがあるときに逆光で撮ると、まるで花自体が発光しているように見えますが、そのように撮るときは出来るだけ背景を暗く落とし込んだ方が効果的です。バックに大きな木などがあって日陰になっている場所で、木漏れ日が花に差し込んでいる状態であれば、ぼんぼりのようなロウバイを撮ることができます。
 上の写真では右下にもぼかした状態で花を入れましたが、入れる分量を若干少なめにした方が良かったかもしれません。

 この写真は「ソシンロウバイ」ですが、種類によって花の形状も異なるようです。個人的には花が開ききる前のこのようにまるっとした状態がいちばん好きです。

白梅

 梅の種類は本当にたくさんあって、一口に白梅と言っても真っ白なもの、ごくわずかにピンクっぽく見えるもの、あるいは黄緑色っぽく見えるものなど多岐に渡っています。実際には花弁の色というよりも、花芯の色が赤っぽかったり緑色っぽかったりすることで、花全体の色合いが変わって見えるのだと思います。
 また、それぞれに名前がついているようですが、私はほとんど知りません。

 神社仏閣に行くと必ずと言ってよいくらい梅の木がありますが、梅の木のある公園もたくさんあります。花が咲くとメジロやシジュウカラなどの小鳥がたくさん来ており、見飽きることのない景色です。

 梅は桜と同じように一本の木にたくさんの花を咲かせるので、とても華やかで豪華な感じがします。風景として撮るのであればとても映えますが、公園などの人工物が多い場所で風景として撮るのは結構苦労します。とはいえ、華やかに咲いた梅の木全体を撮ると、焦点の定まらない写真になってしまいがちです。写り込んでほしくないものがたくさんある場所では一枝だけとか、数輪だけを対象にした方が撮り易いかも知れません。

▲Linhof MasterTechnika 45 Schneider Tele-Xenar 360mm 1:5.5 F5.6 1/60 Velvia100F

 上の写真はかなり早咲きの白梅で、私が良く訪れる近くの公園にある梅の中では最も早く咲き始めます。八重咲の花で花芯部分が赤っぽいのが特徴です。花も大きくてとても豪華な感じがします。
 名前がわからないので少し調べてみたところ、「月宮殿」という梅かも知れませんが定かではありません。

 一枝に咲いている花の数がとても多い木ですが、数が少なめで形の良い枝を探して撮影しました。
 画の左上から太陽光が差し込んでいる状態ですが、透過した光で乳白色からクリーム色へのグラデーションがとても綺麗です。
 背景は真っ黒にならないように明るい部分を少し入れてみました。画の上部にある黒いボヤっとした線は背後にある枝です。背景がうるさくなりすぎないように、花に近づいて撮影しています。

 さて、もう一枚は順光で撮影した白梅です。上の写真とは種類が違うのではないかと思います。

▲Linhof MasterTechnika 45 Fujinon T400mm 1:8 F8 1/125 Velvia100F

 バックに青空が入るように見上げるアングルで撮影しています。背景には枝や幹、花などがたくさん入り込んでいてちょっとにぎやかです。右上から左下に通っている枝がとても気になったのですが、切ってしまうわけにもいかず、出来るだけぼかそうとしたのですがこれが精いっぱいという感じです。
 トップライトに近い状態なので梅の花が平坦になり過ぎないよう、上にある枝で少し陰ができるタイミングで撮りました。光が透過した梅も綺麗ですが、青空との組み合わせも春らしさが感じられます。青と白というのはとても清潔感のある組み合わせだと思います。

紅梅

 紅梅は白梅に比べると遅咲きというイメージがありますが、近くの神社には早くも1月中旬に咲き始める大きな紅梅の木があり、必ずしも遅咲きではないようです。また、花の色も緋色をしたものから淡いピンク色のものまで多岐に渡っていますが、やはり紅梅は遠くからでもよく目立ちます。
 日本には数えきれないくらいたくさんの色の名前がありますが、「紅梅色」という色もあり、少し紫がかった紅色をしています。よく見かける紅梅の色とは違う感じで、こんな色をした紅梅があるのだろうかと思ったりもします。

 下の写真は紅というより、ピンク色をした紅梅です。

▲Linhof MasterTechnika 45 Schneider Tele-Xenar 360mm 1:5.5 F5.6 1/125 Velvia100F

 まだ一分咲きといった感じで、ほとんどが蕾の状態です。所どころの枝先にこのように数輪から十数輪の花が咲き始めたばかりです。花は八重咲のようでボリューム感があります。びっしりとつぼみがついているので、満開になるとかなり見応えがあると思います。
 撮影した木は背丈が大きく、下の方には枝がほとんどないので、どうしても見上げるようなアングルでの撮影になってしまいます。そのため、背景に空が入ってしまい、花が綺麗に見えません。木の周りをグルグルしながらバックに生け垣が入る位置にある枝をやっと見つけて撮った一枚です。

 正午近くの撮影だったので、正面上方から太陽の光が当たっています。逆光状態です。
 画右側に白っぽい光が見えますが、これは生け垣の隙間からの木漏れ日です。これが少し強すぎて、梅の花よりもこちらに目が行ってしまうのですが、これがないと単調になってしまうのであえて入れてみました。

 これを撮影したのは2月の半ば頃だったので、今頃は満開になっていると思います。

スイセン(水仙)

 スイセンは寒い時期から咲く花のひとつですが、日当たりの良い場所では次々と咲き始めています。
 野性のニホンズイセンには一重咲きと八重咲がありますが、個人的には素朴な一重咲きの方が好きです。一本の茎にたくさんの花をつけ、それがほぼ同じ方向を向いているので何とも微笑ましい光景になります。寒い時期から咲くので寒さに強いのかと思っていましたが耐寒性はあまりないようで、温暖な地域を好むようです。

▲Linhof MasterTechnika 45 Fujinon W250mm 1:5.6 F5.6 1/60 Velvia100F

 背丈は30cmほどとあまり大きくないので、花と同じ目線で撮影するのは思いのほか苦労します。上から俯瞰するようなアングルで撮ると楽ですが、地面にある雑多なものが入り込んでしまい、これに花が埋もれてしまいます。
 上の写真も花と同じ高さにカメラを構え、バックに余計なものが入らない位置から撮影しました。

 スイセンには明るくて陽気なというイメージがあるのですが、この写真は露出を少し切り詰めて落ち着いた感じにしてみました。背景の色も濃い緑と濃い青と、比較的同系色だけで占められているので単純化できていると思います。
 この時期はあちこちでよく見かけるスイセンですが、いざ撮影しようとするとなかなか良いアングルが見つけられない花でもあります。

フクジュソウ(福寿草)

 フクジュソウは何といっても雪とのコラボが最高なのですが、残念ながら東京ではそのような光景を見ることはできません。そもそも、東京ではフクジュソウ自体、それほど容易にみられるものではなく、野生のものとなると山奥にでも行かなければ目にすることはないと思われます。
 また、フクジュソウの開花は傾熱性によるらしいので、曇天の日や日暮れ時は花が閉じてしまいます。開いた花を撮影するには晴れた日ということになります。

 下の写真は公園の片隅に咲いていたフクジュソウですが、木漏れ日があたっている花は開いていますが、その他の花は十分に開いていません。

▲Linhof MasterTechnika 45 Fujinon C300mm 1:8.5 F8.5 1/15 Velvia100F

 すぐ近くに松の木があり、地面は松の落ち葉で埋め尽くされています。周囲にある樹木で太陽の光は遮られていて全体に薄暗い環境ですが、かえってそれがフクジュソウの黄色を引き立ててくれています。特に光が当たっているところは黄色というよりも黄金色といった感じで輝いています。

 黄色は肉眼で感じるよりもずっと明るくて、露出オーバーになると質感が一気に失せてしまいます。かといってアンダー気味にすると色が濁ってしまい、撮影するには難しい色の代表格ではないかと思っています。感覚的にはほんのちょっとだけオーバー気味にするといった感じでしょうか。

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 まだまだ、咲いている花の種類は決して多くはありませんし、人間の手で植えられた樹木や草花がほとんどですが、この時期に一つの公園内で何種類もの花を見ることができるのはありがたいことです。公園なので人工物が多かったり人通りがあったりしますが、じっくり腰を落ち着けて撮影するにはもってこいの場所かも知れません。時には人工物や人物も良い被写体になることもありますし。
 また、今のところ、野草はオオイヌノフグリくらいしか咲いていませんが、これからどんどん野草の数も増えていきます。徒歩で行って一日中撮影していられるという地の利も近所の公園ならではです。

(2023.3.4)

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