第205話 奥入瀬渓流 撮影のお役に立てる..かもしれない情報あれこれ その2

 前回は奥入瀬渓流全般や混雑具合等について書きましたが、今回は主な撮影スポットについて触れていきたいと思います。滝や流れ、瀬など、名前がついているだけでもかなりの数になり、名前がついていなくてもとても写真映えするスポットもたくさんありますが、すべてをご紹介するのは大変なので、その中から10ヵ所を抜粋してみました。
 奥入瀬渓流の下流の焼山から上流の十和田湖に向かって順にご紹介していきたいと思います。
 なお、前回ご紹介した場所は割愛させていただきますので、奥入瀬渓流の中でも特に人気の高い5ヵ所については前回のページをご覧ください。

 今回ご紹介する場所は下の図の通りです。青色で番号表記した10ヵ所を対象としました。

 番号がついていない場所については今回は触れませんでしたが、十分に写真映えのするスポットです。

①紫明渓(しめいけい)

 奥入瀬渓流の最下流、焼山に近い辺りにある紫明渓は川幅が広く、水深が比較的浅い流れです。かつては玉石を敷きつめたような河床に澄んだ水が流れる美しい場所だったようですが、今は土砂が堆積して昔の面影はなくなってしまったようです。
 この紫明渓、春から秋にかけては地味な場所ですが、雪のシーズンになると景色が一変します。
 川中に点在している石や岩の上に雪が積もり、まるで大福もちがたくさんあるような光景を見ることが出来ます。

 もともと水深が浅い上に冬は水量が少なくなるので、石や岩の上に雪が積もり易いのだと思います。特に夜中に大雪が降った次の日は特大の大福もちを見ることが出来ますが、地元の方ならともかく、遠方から訪れるものにとっては、なかなかそういうタイミングに出会うことが難しいです。
 雪のない時期はインパクトに欠けますが、天気の良い日は川面がキラキラと輝いて、私は好きな場所のひとつです。
 また、川の右岸にカエデの木があって、新緑や紅葉の時期にはとても美しい景色になります。たくさんの人が訪れて混雑することもないので、ゆっくりと撮影をすることが出来ます。
 道路脇に5~6台の駐車スペースがあります。

②屏風岩(びょうぶいわ)

 奥入瀬でいちばん混雑する石ヶ戸から少し上流に行ったところにある、まさに屏風のように垂直に切り立った崖です。
 この岩のすぐ下を川が流れていて、川が緩やかにカーブしていることもあり、静と動のコントラストが美しい場所です。

 上の写真は紅葉も終盤の頃のものですが、初夏から夏にかけての緑と清流との組み合わせもとてもいいものです。遊歩道脇にちょっとしたスペースがあるので、三脚を立てて撮影するにはありがたい場所です。
 また、冬もきれいな場所ですが、雪が降ると道路が除雪されて路肩に高い雪の壁が出来てしまうため、このようなアングルでの写真撮影をしようとなるとその雪の壁をよじ登らなければなりません。川に転落する危険もあるのでやめておいた方が良いでしょう。
 ここは近くに駐車スペースもないので、石ヶ戸などに車を置いて徒歩で訪れることになります。

③馬門岩(まかどいわ)

 屏風岩のすぐ先、屏風岩とは反対の右岸側にそびえているのが馬門岩です。
 国道102号線に沿って続いているので、場所によっては切り立った崖の真下まで行くことが出来ます。
 その昔、馬で往来していた時代に、ここより先は馬が通れないほどの植物が生い茂っており、ここで馬を降りてその先は徒歩で進んだと言われる、門のような岩だったことからこの名がつけられたようです。

 火山から噴出した火砕流堆積物で形成されているとのことで、何枚もの岩が積み重なって大きな岩になっているのがわかります。長年の間に岩に苔が付着したり草が生えたり、また、岩の間に根を下ろした樹木などの姿があったりして、原始の森を見ているような感じもします。
 冬になると緑はすっかりなくなってしまいますが、岩を流れ落ちる水が氷柱となり、それが徐々に成長して巨大な氷瀑のような姿になります。
 下の写真は今年(2026年)に撮影した馬門岩にできた氷柱です。

 雪のない時期はこれほど岩の近くまで行くことは困難ですが、道路の除雪によって路肩に雪の壁ができる冬は、その壁をよじ登って氷柱のすぐ下まで行くことが出来ます。

④九十九島(くじゅうくしま)

 阿修羅の流れのすぐ上流にある場所で、奥入瀬渓流のなかで川中の岩が最も多いことからこの名がつけられたそうです。

 ここは流れがほぼ直下に曲がっていて、上の写真の左側が下流に向かう流れで、このすぐ先が阿修羅の流れです。
 この写真は車道脇から見下ろすようなポジションで撮影していますが、遊歩道はこの真下にあり、遊歩道からは流れとほぼ同じ高さで見ることが出来ます。
 川中の大きな岩の上にはたくさんの樹木が育っていて、その間を縫うように水が流れています。変化に富んだ美しい場所だと思います。

 なお、すぐ上流のところには平成11年に発生した大規模な地滑りによって生じた「平成の流れ」という場所があって、大きな落差の豪快な流れを見ることが出来ます。全く変わらないようでも、日々その姿を変えているのだということを感じさせてくれます。

⑤白布の滝(しらぬののたき)

 雲井の滝から少し上流に行ったところ、遊歩道から川を挟んだ対岸にある落差およそ26mの滝です。滝の落口から白い布を垂らしたような、ほぼ直瀑に近い美しい滝です。

 水量も多く、真冬でも完全に凍ってしまうことはないようです。
 上の写真は3月の半ばごろに写したもので、まだ木々に葉っぱがない時期なので滝がよく見えますが、葉っぱが生い茂ってくる季節になると視界が遮られてしまい、滝がよく見えなくなってしまいます。
 この滝は見通しがきく撮影場所が非常に限られていて、しかも車道にも遊歩道にもスペースがないので撮影には苦労します。混雑する場所ではありませんが、遊歩道を散策している人の迷惑にならないよう、早朝の撮影がお勧めです。

⑥白銀の流れ(しろがねのながれ)

 白布の滝からさらに上流へ徒歩5分ほどのところにあります。流れの激しいところと比較的緩やかなところが混在した美しい景観を見せてくれる場所です。川中の岩にぶつかって生じる波しぶきがキラキラと輝いて、白銀という表現がぴったりだと思います。

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 この写真は6月の初め頃、緑が鮮やかな時期に撮影したものです。
 石ヶ戸の瀬にも似たところがある美しい場所ですが、雲井の滝より上流に行くと人の数はぐっと少なくなり、この白銀の流れのあたりも散策する人が時どき通るくらいで混雑するようなことはありません。隠れた撮影スポットという感じです。

 この付近も駐車スペースがなく車道からも離れているので、ここを見るには徒歩で訪れることになります。

⑦雲井の流れ(くもいのながれ)

 白銀の流れのさらに上流に位置していますが、ここが雲井の流れというようなスポット的な感じではなく、比較的広い範囲を指しているようです。どちらかというと穏やかな流れのところが多い場所です。

 上の写真も6月上旬、天気が良い日の日中に撮影したものです。まばゆいくらいの日差しを感じますが、木々の葉っぱにさえぎられて川面には直接光があたっておらず、繊細な流れを撮ることが出来ます。このような場所は薄曇りの日の方がしっとりとした感じに写ると思います。
 流れが穏やかなのでこの辺りの遊歩道は平坦で足腰への負担は少ないですが、水はけがあまりよくないのか、いつもぬかるんでいるという印象があります。
 また、渓流沿いには休憩用のテーブルとベンチが用意されていて、気持ちの良い流れを眺めながらランチをしている人の姿もよく見かけます。

⑧白糸の滝(しらいとのたき)

 雲井の流れからさらに上流に向かうとトイレがあります。石ヶ戸休憩所のように売店が併設されているわけではなくトイレのみで、石ヶ戸休憩所から子ノ口までの約9kmの間にある唯一のトイレです。
 そこを過ぎて20分ほど歩くと白糸の滝があります。落差が約30mほどあるようで、糸を引いたように流れ落ちる美しい滝です。

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 手前にたくさんの木々が生い茂っているので、滝の全貌を見ることが出来るのは冬のみということになりますが、木々の間に見え隠れする姿も風情があっていいものです。
 ここは奥入瀬川の流れが非常に穏やかなところで、広い河原も広がっているので撮影するにはありがたい場所です。目の前の道路には車2~3台分の駐車スペースもあります。
 冬になると流れ落ちる水が風で飛ばされ、周囲の岩はびっしりと氷で埋め尽くされてしまいますが、滝自体は完全に凍ることはなく糸のように流れる姿をみせてくれています。時おり、岩に張り付いた氷が割れて落ちる音が辺りに響き渡り、ちょっとぞくっとします。

 昨年(2025年)の8月、青森県に発生した線状降水帯による猛烈な豪雨に襲われ、ここ奥入瀬渓流も水浸しになってしまったようで、その際にこの滝の向かい側斜面で大規模な土砂崩れが発生しました。それによって、大量の土砂が奥入瀬川に流れ込み、ここから下流の水は長いこと茶色く濁ってしまいましたが、土砂崩れ現場の復旧作業のおかげで紅葉の時期には綺麗な奥入瀬川に戻っていました。

⑨九段の滝(くだんのたき)

 銚子大滝から少し下ったところにある滝です。層になったように積み重なった岩の上を何段にもなって流れ落ちています。見ようによっては10段にも11段にも見えるのですが、響きの良いところで九段となったのではないかと思います。

 この滝も滝つぼのすぐ近くまで行くことが出来る、数少ない滝のひとつです。
 水量は決して多くはありませんが、真っ黒な岩肌と白い水しぶきとのコントラストが美しい滝です。上の写真は10月の紅葉の時期に撮ったもので水量が少ない時期ですが、雪解けから深緑の頃にかけてはもっと水量が多くなり、向かって左側にも水の流れが生じます。
 落差は15mほどだそうですが、間近で見上げるようにして見るせいか、実際よりも高く感じます。
 なお、この滝は木々の葉っぱが生い茂っている季節は車道から見ろことはできませんが、冬になって木々が落葉すると車道からも見ることが出来ます。

⑩万両の流れ(まんりょうのながれ)

 奥入瀬渓流の最上流、子ノ口に近いところにある「万両の流れ」と呼ばれる場所です。光が流れに反射してキラキラと輝く様を大量の小判に例えた名前のようです。
 川幅はあまり広くありませんが、川中に岩があったり、そこに倒木が引っかかっていたりして、所どころで激しい水しぶきを上げています。

 上の写真は紅葉の時期、万両の流れの下側から上流に向かって撮影したものです。たくさんの倒木が川の中にあるのがわかると思いますが、この倒木にさらに木の枝などが引っかかって、訪れるたびに流れの様相が異なっているのを感じます。
 奥入瀬では倒木などがあっても道路などをふさがない限りは人の手が加えられることはなく、自然のなすがままにされています。
 また、この付近では野生の動物に出会う機会が多く、クマを見かけたのもこの近くですし、ここの遊歩道を歩いているときにはキツネ、ネズミ、ウサギなどにも出くわしました。特にネズミはたくさんいるようで、そこら辺りをチョロチョロと走り回っている姿をよく目にします。

 この近くに車2~3台が停められる駐車スペースがありますが、ここを訪れる人は少ないです。

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 今回は奥入瀬渓流の撮影したくなるスポット10ヵ所をご紹介しました。いずれも名前がつけられている場所ですが、これ以外にも名前がついている場所がありますし、名前がついていなくても素敵な場所がたくさんあります。
 奥入瀬渓流は車道も遊歩道もよく整備されていて、車で移動しながらポイントを見て回るということもできますが、やはり奥入瀬渓流の魅力を感じるのは歩いて回ることだと思っています。季節ごとに違った景色を見ることが出来るのは言うまでもありませんが、同じ季節でも訪れるたびに新たな発見があるのも歩いて回るからこそだと思います。

 ちなみに、私は渓流釣りはやりませんが、時どき釣りをしている人に出会うことがあります。イワナやヤマメが釣れるようで、確かに水の中に魚影を見ることが良くあります。
 秋に訪れると、奥入瀬川に流れ込む小さな支流で、イワナかヤマメだと思うのですが、産卵しているシーンに出くわすことがあります。

(2026.3.24)

#奥入瀬渓流 #渓流渓谷

第204話 奥入瀬渓流 撮影のお役に立てる..かもしれない情報あれこれ その1

 今から1万5千年ほど前、十和田火山の噴火で形成されたカルデラ湖(現在の十和田湖)の東側外輪山が決壊し、流れ出した大量の水が火砕流台地を侵食しながら太平洋まで達したのが奥入瀬川だそうです。
 この奥入瀬川の起点となる子ノ口から焼山までのおよそ14kmほどが奥入瀬渓流と呼ばれていて、四季を通じて風光明媚な景色を見せてくれます。日本国内はもとより、今では海外からの観光客も増え、新緑や紅葉の季節にはたくさんの人で賑わっています。
 奥入瀬渓流の最大の特徴は、渓流沿いに整備されている遊歩道が川面とほぼ同じ高さにあるため、人の目線の高さで渓流を見ることができるということだと思います。

 奥入瀬渓流に関してはガイドブックが出版されていたりSNSなどに投稿された動画や写真がたくさんあるので情報を得るには事欠かないと思いますが、今回は奥入瀬渓流を訪れる方のお役に立てるかもしれない情報をご紹介したいと思います。
 私が奥入瀬渓流を訪れるのはもっぱら写真撮影が目的ですので、そういった内容に偏ってしまうと思いますのでご承知おきください。

奥入瀬渓流のシーズンごとの混雑具合

 奥入瀬渓流は青森県の中でも一、二を争う人気の観光地で訪れる人も多いのは確かですが、年間を通じて常に観光客がいるかというとそういうわけでもありません。わかり易いように月ごとの混雑具合をグラフにしてみるとこんな感じになると思います。なお、正確に人数を計測したわけではなく私の感覚ですので、あくまでも参考程度にご覧ください。

 何と言ってもいちばん混雑するのは紅葉の時期です。10月に入ってから色づき始め、11月の上旬にはほとんどの樹が落葉してしまいます。紅葉のピークは10月20日頃から10月末頃までの10日間ほどといったところでしょうか。
 ただし、混雑すると言っても京都のように人で埋め尽くされるような状態になるわけではありません。
 例年、この紅葉ピークの間で1週間ほどはマイカー規制がかかり、一般車の立ち入りは禁止されてしまいます。この間に奥入瀬渓流を訪れる場合はバスを使うかレンタル自転車、または徒歩ということになります。ただし、規制がかかるのは平日の10:00~16:00、土日の9:00~16:00なので、この時間帯を外した朝早くと夕方であれば自家用車を乗り入れることが出来ます。ちなみに私はこの規制がかかっている期間に撮影する場合は、早朝6時ごろには現地に入り、9時前に奥入瀬を出るというスタイルをとっています。

 紅葉シーズンほどではありませんがやはり混雑するのが新緑の季節で、5月中旬頃から梅雨に入る前の6月中旬頃までです。紅葉シーズンのようなマイカー規制はかかりませんので、車の乗り入れが可能です。
 新緑の季節が終わり、紅葉を迎えるまでのいわゆる夏の期間は訪れる人も少し減る感じで、落ち着いた静かな奥入瀬渓流を味わうことが出来ます。

 そして、ほとんど人の姿を見かけることがないのが冬の奥入瀬で、12月から翌年の3月くらいまでは雪に埋もれた静かな奥入瀬になります。私も1月~2月に雪景色を撮りに行きますが、車道を走る車には時々出会いますが、歩き回っている人を見かけることはほとんどありません。

奥入瀬渓流での移動手段

 奥入瀬渓流は川と遊歩道と車道(国道102号)がほぼ並行しているので、車での移動がいちばん便利であることは間違いないのですが、駐車場が潤沢にあるわけではないので混雑するシーズンは車を止める場所に苦労する可能性があります。
 比較的広い駐車場があるのは最下流の焼山と最上流の子ノ口、そしてその中ほどにある石ヶ戸の3ヶ所で、そのほかは路肩に2~3台分の駐車スペースが所々にある程度です。しかも、先客で埋まっていることが多いです。

 また、奥入瀬渓流沿いを通っている国道102号にはJRの路線バスとシャトルバスが走っています。上り下りとも30分に1本くらいの間隔ですが、これを有効に使うと効率よく回ることが出来ます。
 バス停はおよそ1.5kmごとに設置されています。

 車やバスも便利ですが、やはり奥入瀬渓流は歩くのがいちばんだと思います。比較的大きな駐車場が3ヶ所あると書きましたが、そこに車を止めて、後は徒歩で回るというスタイルです。
 ただし、およそ14kmある奥入瀬渓流のすべてを歩くのは結構しんどいので、時間との兼ね合いで途中まで歩いて戻りはバスを使うなどして、無理のないようにするのがお勧めです。

 なお、レンタサイクルもあるので、暖かな季節は自転車で回っている人も良く見かけます。

奥入瀬渓流の混雑スポットベスト5

 混雑するシーズンと言えども、およそ14kmの奥入瀬渓流のすべてで混雑するわけではなく、スポット的であるというのが実情です。その理由は、車やバスで人気の場所を訪れて、限られた時間で周辺を散策して、またすぐに移動してしまうというパターンの人が大半を占めているからです。
 では、どのあたりが混雑するのか、混雑する上位5ヵ所をご紹介します。簡単な地図にその5ヵ所を書き入れてみましたので参考にしてください。

 まず1番目は、奥入瀬渓流のちょうど中ほどにある「石ヶ戸」です。
 ここには渓流内で唯一の休憩所があって、一般車数十台分の駐車場や大型観光バス用の駐車場が整備されています。休憩所にはトイレや売店もあり、売店ではうどんやそばなどの軽食も用意されています。
 ここに車やバスを停めて散策するという人が多いのと、この休憩所から徒歩で5~6分のところに「石ヶ戸の瀬」と呼ばれる人気の場所があるため、初夏から秋までは終日賑わっています。特に混雑する季節の週末は駐車場もすぐに埋まってしまうので、確実に車を停めたいという場合は午前8時前には到着するのが望ましいと思います。
 大型観光バスもひっきりなしに来るので、そうするとバスからたくさんの人が降りてきて、休憩所は大変な混雑になります。

 近くの「石ヶ戸の瀬」は私も好きな場所のひとつで、よくここで写真を撮ります。

 ここを通るほとんどの人が写真を撮っていきますし、遊歩道脇にキャンバスを立てて絵を描いている人も見かけます。川中の岩の間を縫うように白波を立てて流れるさまは本当に美しいと思います。

 2番に混雑する場所は「阿修羅の流れ」です。
 ガイドブックなどでは必ずと言ってよいほど紹介されている場所で、たぶん、奥入瀬渓流の中でも一番人気の場所だと思います。2つに分かれた流れが再び合流し、激しく岩の間を流れ落ちていく迫力のある場所です。

 この場所は石ヶ戸のように広い駐車場があるわけではなく、路肩に数台分の駐車スペースがあるだけですので、ここを訪れるのは石ヶ戸から歩いて来た人か、もしくは石ヶ戸に戻っていく人がほとんどです。石ヶ戸からは徒歩で30~40分といったところです。
 観光バスもここには停まらないので、たくさんの人が一気に押し寄せるわけではありませんが、常に人がいるという感じです。

 3番目に混雑する場所は「銚子大滝」です。
 奥入瀬渓流の本流にかかる唯一の滝で、奥入瀬川の上流、十和田湖に近いところにあります。落差はおよそ7m、幅は約20mの滝で、水量の多いときは豪快に流れ落ちる水で辺りに水煙が立ち込めます。

 この滝のすぐ近くに車10台ほどと観光バス数台分が停められる駐車場が整備されています。駐車場から徒歩1分というロケーションの良さもあり、観光バスはまず間違いなく立ち寄る人気スポットです。観光バスが到着すると滝の周辺は大変な賑わいになり、写真撮影するにはあまり有難くない状態になりますが、20分もすると移動してしまうので、そうすると比較的静かな銚子大滝に戻ります。

 混雑する場所の4番目は「雲井の滝」です。
 阿修羅の流れから上流に向かって車なら数分、徒歩でも20分ほどのところにある滝で、落差がおよそ20m、水量も豊富で渓流沿いのある滝の中では一番大きな滝ではないかと思います。車道から少し奥まったところにある滝ですが、滝つぼまで歩いていくことが出来るのでそれも人気の理由の一つかもしれません。

 滝の入り口のところの車道の幅が若干広くなっていて、本来は駐車スペースではないと思うのですが、車2~3台なら停めることが出来ます。ただし、ここに車を停めてしまうと大型観光バスや大型トラックが来たときにすれ違いできなくなってしまうことがあります。迷惑になるのでここでの駐車は避けた方が良いと思います。シャトルバスのバス停も設置されているので、バス、もしくは徒歩で訪れるのが望ましいです。

 そして混雑する場所の5番目は「三乱(さみだれ)の流れ」です。
 ここは石ヶ戸から下流に向かって徒歩で20分ほどのところにあります。流れが三つに分岐することからこの名がつけられたそうです。初夏にはツツジが咲いて、緑と赤の美しいコントラストを見せてくれます。また、流れ自体がとても優美な感じがして、奥入瀬に来たらぜひ撮影したくなる場所でもあります。

 ここには駐車スペースはありません。少し下流に行ったところに1~2台が停められる場所があるだけです。しかし、路肩に停めている車を結構見かけることがあり、交通量が多いときはとても迷惑な存在です。観光バスもここには停まりませんが、車内から美しい景色を見ることが出来るよう、ゆっくりと通過していきます。
 ですので、混雑すると言っても他の場所に比べると圧倒的に人の数は少ないです。
 なお、この付近は車道と遊歩道が完全に分離されておらず、車道の端が遊歩道になっている状態なので、三脚を立てての撮影はとても危険ですし、他の人の迷惑にもなります。道路から河原に降りて撮影する人もいますが、足場も良くないので注意が必要です。

 以上が奥入瀬渓流で混雑する場所のベスト5ですが、これ以外の場所が激しく混雑するということは見たことがありません。冬以外、遊歩道には常に人の姿はありますが、列をなすような状態になるわけではありません。

 補足ですが、奥入瀬渓流は十和田湖の子ノ口にある水門で水量の調節をしており、この水門が開くのが午前7時ごろです。それ前は水量が少なく、あちこちで川底が露出していますが、7時を過ぎると一気に水量が増えます。流れを撮影するのであれば、水量の増える午前7時以降をお勧めします。

季節ごとの服装について

 夏の日中はTシャツ一枚でも問題ありませんが、朝のうちはヒンヤリするので羽織るものか薄手の長袖があった方が良いです。
 また、渓流沿いはたくさんの木々が生い茂っているので、どちらかというと木陰の方が多い環境です。真夏でも汗がダラダラ流れるというようなことはないので、長袖は持参した方が良いと思います。
 奥入瀬渓流の遊歩道は上流、すなわち十和田湖方面に向かってゆっくりと登っていて、登山のような急登があるわけではありません。所々に石段がある程度ですので、靴はスニーカーでも大丈夫だと思いますが、長時間歩く場合はトレッキングシューズが望ましいです。
 遊歩道はぬかるんでいたり水たまりがあったりするので、底が滑りにくく、水がしみ込みにくく、多少汚れても構わないものが良いと思います。ちなみに、私はライトトレッキング用の長靴を履いていくことが多いです。

 春から初夏、そして秋は気温もだいぶ低くなるので長袖は必要で、さらにウィンドブレーカーもあった方が良いと思います。春先と晩秋はかなり冷えるので、薄手のダウンジャケットのようなものが必要になります。

 そして冬ですが、大量の雪、風も強い上に、毎日大型の除雪車が通るので路面はスケートリンクのようにカチカチつるつるです。完全な防寒対策が必要です。
 私の場合、上はヒートテックのインナーシャツ、ハイネックのアンダーシャツ、その上にセーターを着て、登山等の裏ボア付きジャケットを着こみます。
 下はアンダーパンツ、いわゆる股引のようなものを履いて、ズボンの上にはオーバーパンツを履き、足元は防寒用のトレッキング長靴です。
 これで寒さはほとんど防げますが、手の指先がどうしても冷たくなるので、手袋は二重にしています。
 冷え性の方はホッカイロのようなものをあちこちにペタペタ張っておくとよいと思います。

クマは...います クマ以外の動物もいます

 昨年(2025年)、私は奥入瀬渓流でクマを2回見かけました。いずれも十和田湖に近い上流域で、100m以上離れたところから走っている姿を見かけました。
 奥入瀬渓流入り口辺りに設置されている道路情報の電光掲示板には「ツキノワグマ出没警報」が常に表示されていますし、石ヶ戸休憩所にも「クマ出没注意」の張り紙があるので、やはりクマは普通にいるのだと思います。
 車道は常に車が走っているし、遊歩道にも人が歩いているので、そうそう人前に出てくることはないと思いますが、クマはいるということを忘れないようにしたいです。
 効果があるかどうかわかりませんが、私はクマ避けの鈴(ベアベル)を2個とクマ避けスプレーを腰につけています。

 クマ以外にもいろいろな動物に出会うことがあり、私がこれまで出会ったのはカモシカ、キツネ、シカ、ウサギ、テン、ネズミです。
 いずれも人の姿を見ると逃げてしまうのですが、一度だけ、全く逃げないネズミに出会ったことがあり、スマホで撮影することが出来ました。

 渓流に架けられた橋の上を歩いていると何やら動くものが目に入り、見てみると可愛らしいネズミが走り回っていました。何か小さな石ころのようなものを手に持ってカリカリとかじっているようにも見えましたが、近寄っても逃げるわけでもなくカリカリし続けていたので撮影することが出来ました。大きさは7~8cmほどの小さなネズミです。

 動物のほかに野鳥もたくさんいますが、私は野鳥を撮ることがないので写真は全くありません。

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 訪れるたびに違う表情を見せてくれる奥入瀬渓流で、季節ごとに魅力がありますが、個人的には初夏の奥入瀬渓流がいちばん好きです。長い冬が終わり、すべての命が目覚めて躍動しているような、本当に気持ちの良い季節だと思います。
 今回は奥入瀬渓流の混雑具合を中心に紹介しましたが、次回は撮影ポイントをできる限り紹介したいと思います。

(2026.3.19)

#奥入瀬渓流 #渓流渓谷