二眼レフカメラ プリモフレックス オートマット PRIMOFLEX Automat

 1950年代に爆発的なブームを迎えたと言われている二眼レフカメラですが、その独特のフォルムは半世紀以上たった今でも色あせるどころか、独特のオーラを放っているように私には感じられます。そして、写真を撮る気にさせてくれるカメラの一つです。
 今回は、 東京光学(現トプコン)製の二眼レフカメラ、「プリモフレックス オートマット」を紹介したいと思います。

このカメラの主な仕様

 このプリモフレックス オートマットは「L型」と思われ、1957年の発売で、プリモフレックスシリーズの最終機になります。初代のプリモフレックスは1950年の発売ですから、7年ほどでプリモフレックスシリーズは終焉を迎えてしまったことになります。

 主な仕様は以下の通りです。

  ・ビューレンズ  Toko 7.5cm 1:3.5
  ・テイクレンズ  Topcor 7.5cm 1:3.5 3群4枚
  ・最短撮影距離  約65cm
  ・絞り  3.5~22
  ・シャッター速度  B、1~1/500秒(大陸系列)
  ・シャッター  SEIKOSHA-MXL
  ・シャッターチャージ  セルフコッキング(巻上げ連動式)
  ・使用フィルム  120

 初代プリモフレックス オートマットは1956年に発売されたましたが、それまでのプリモフレックスシリーズに対して、レンズコーティングの変更、セルフコッキングの採用、オートマット機構の採用など、いくつかの改良が加えられたようです。
 また、テイクレンズはテッサー型のTopcor 7.5cmで、3郡4枚構成にグレードアップされています。「驚異的解像力 200L/mm」というキャッチフレーズは有名だったようです。

特徴的なライトバリュー方式の採用

 最終型であるL型になって最も特徴的なところは、シャッター速度レバーを動かすとそれに連動して絞り値が動き、一定のLV値を保つという「ライトバリュー方式」が採用されたことだと思います。巻き上げクランクのところに取付けられた露出表をもとにLV値を設定すれば、シャッター速度を変更しても常に同じ露出が得られるというすぐれものです。

▲ライトバリュー方式が採用されたLV値の指標(右側)

 これについては便利と思うか煩わしいと思うか、賛否があると思いますが、私はどちらかというと煩わしい方に一票という感じです。私にとってはシャッター速度と絞りはそれぞれ独立して動く方が便利というのが理由ですが、これは撮影のスタイルによって異なるので、このライトバリュー方式が便利と感じる方も多いのではないかと思います。

ピント合わせがし易い、明るいスクリーン

 フレネルタイプのフォーカシングスクリーンが採用されており、非常に明るいのでピント合わせがし易いです。フォーカシングスクリーンの上部には「TOKOBRITE」という銘が彫られており、非常にこだわりが感じられます。
 また、ピントルーペを出した状態でもスクリーン全体が視野に入るため、構図確認とピント合わせでルーペを畳んだり出したりということをしなくても済むので便利です。

▲フレネルタイプのフォーカシングスクリーン

 最短撮影距離が約65cmと短いため、パララックス補正のための線がスクリーン上部左右にあります。二眼レフの場合はその構造上、近い被写体を撮影する際はスクリーン上の投影像と実際に写る範囲に上下のずれが生じてしまいます。そのため、近接撮影での正確なフレーミングは結構難しいです。パララックス補正ラインがあっても、実際にはスクリーンの上端と補正ラインの間で位置決めをしなければならないので、この辺りは勘に頼るといった感じです。

フィルムの装填位置にもこだわりが

 多くの二眼レフカメラの場合、フィルムはカメラの下側(底の方)にいれ、上側(スクリーン側)に巻き上げるようになっています。これに対してこのカメラは逆で、フィルムを上側に入れ、下側(底の方)に巻き取っていくようになっています。

▲フィルムは上側に装填し、下側のスプールに巻き取る

 フィルムを下側に入れて上方向に巻いていくと、次に撮影するコマの位置でフィルムが直角に曲げられてしまいます。これによってフィルムの平面性が損なわれてしまうのを防ぐため、フィルムを上側に装填する方式を採用しているようです。
 実際にどの程度の影響があるのかわかりませんが、こういったところにもこのカメラのこだわりが感じられます。

プリモフレックス オートマットで撮影した作例

 まず、中野駅(東京都)周辺の路地で撮影した一枚です。居酒屋の軒に下がった赤ちょうちんを撮ってみました。

▲PRIMOFLEX F4 1/60 PROVIA100F

 絞りはF4ですので、開放に近い状態です。
 焦点距離は75mmなのでそれほど大きなボケは期待できませんが、画右半分の路地風景は比較的素直なボケになっていると思います。遠くに行くにしたがってなだらかにボケていく綺麗なボケです。これくらいの遠近差であれば、何が写っているか識別できるというのがこの焦点距離ならではだと思います。

 一方、ピントは左側の赤ちょうちんに合わせていますが、まずまずの解像度が出ていると思います。紙の質感や上に被せられたビニールの質感も良く出ており、レンズの解像度の高さが感じられます。
 日陰なので青被りしていますが、色乗りも自然な感じです。

 二枚目も同じく中野駅周辺で撮影したものです。壁に描かれた絵が印象的だったので撮ってみました。

▲PRIMOFLEX F5.6 1/60 PROVIA100F

 ここは建物の陰になっているので直接の日差しがなく、コントラストが低めな状況です。壁に描かれた絵はすっかり汚れてしまっていますが、このくすんだ感じも良く描写されていると思います。前の写真と同様に、しっかりした色乗りがありながらこってりしすぎておらず、自然な感じの色合いです。
 ベニヤ板のようなところに描かれたと思われますが、表面のざらつきなどもわかるので良く解像していると思います。

 さて、三枚目は雪景色です。

▲PRIMOFLEX F11 1/250 PROVIA100F

 青空、真っ白な雪、踏切の警報器、杉木立と、明暗差が大きな被写体で、画の左側からのサイド光で撮影しています。逆光というほどではないのですが、全体にごく薄いフレアがかかっているように感じられます。今の高性能のレンズで撮れば、全体にもっとパキッとした感じになると思われます。コーティング技術の違いによるものかもしれませんが、嫌味のない発色だと思います。
 掲載した写真は解像度を落としているのでわかりにくいですが、元画像を見ると中央の木々の先端まではっきりと見えます。

 半世紀以上も前のレンズということからしても十分な解像度を持っていると思いますし、色の出方にも不自然さがなく、個人的には好印象なレンズです。そして、どちらかというと繊細な描写をするレンズといった感じです。ボケも柔らかな感じなので、綺麗な作画ができると思います。

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 二眼レフカメラは何台か持っているのですが、風景を撮ることが多い私にとって、それらのカメラはそれほど出番が多いわけではありません。しかし、ときどき二眼レフを持ち出したくなる衝動に駆られることがあります。いわゆる風景写真とはちょっと違った、その辺りに普通に存在している身近な景色を撮るには二眼レフカメラ、と思うのは私だけでしょうか?

(2022年1月31日)

#PRIMOFLEX #プリモフレックス #二眼レフ

1950年代のカメラBeauty MODEL1 ビューティーモデル1で撮影してみました

 友人から送り付けられた1950年代のフォールディングカメラ「Beauty MODEL1」、修理をして一通りの動作確認はしましたが、ちゃんと撮れるのかどうか確認するため、フィルムを入れて実際に撮影してみました。最初はモノクロフィルムでと思ったのですが、色のノリ、絞りやシャッター速度等の露出精度も確認するため、ちょっともったいないと思いましたがリバーサルフィルム使うことにしました。
 結果は予想外でした。

 なお、このカメラの分解・修理についてご興味のある方はこちらの記事をご覧ください。

 「1950年代のカメラ Beauty MODEL1 ビューティーモデル1の分解・清掃・修理

撮影の前に結像することを確認

 いきなり撮影してもなにがしかの映像は写ると思いますが、フィルムを無駄にしたくないので、きちんと結像することを確認します。
 カメラの裏蓋を開け、フィルムがあたるところに乳白色のシートを貼って、レンズのシャッターを開いたときに像ができれば一応合格ということになります。
 実際に確認したのが下の写真です。

▲結像を確認するため、乳白色のシートに投影

 正確なピントまではわかりませんが、概ね、ピントは合っているようです。念のため近景でも確認しましたが、レンズの距離指標と合っているように見えますので、それほどピンボケになることはないと思われます。

 また、このカメラのピント合わせは目測で、しかもレンズの距離指標は「フィート」です。被写体までの距離を目測(もちろんメートル)で決め、およそ3倍するとフィートになりますが、目測で距離を測るということに慣れていないのでピント合わせに手間がかかりそうです。

▲ピント合わせは目測 距離目盛りは「フィート」

 フィルムの巻き上げとシャッターのチャージは独立しているので、今のカメラのようにフィルムを巻き上げないとシャッターが切れないというロック機構がありません。フィルムを巻かなくても何回でもシャッターが切れてしまうので、多重露光にならないように注意が必要です。

 フィルムの巻き上げは、裏蓋の小さな窓からフィルムの裏紙に記載されている番号(1~12)を確認して行ないます。
 因みに、このカメラは645判での撮影もできるので、その際は上側の窓を使い、1~16の番号を確認しながら巻き上げを行ないます。

▲カメラの裏蓋 66判の時は下側の窓からコマ数を確認する

予想に反してしっかりとした写りをするカメラ

 下の写真が実際に撮影したポジ原版(全12枚中の9枚)です。

▲ポジ原版 ライトボックス上で撮影

 ポジ原版をライトボックスの上に乗せて撮影しているので画質は良くありませんが、意外としっかり写っているのがわかると思います。何枚か抜粋した写真はこのあと紹介しますが、まずまずのコントラストや解像度が保たれているようです。ただし、レンズのイメージサークルが小さいのでしょうか、周辺光量の落ち込みが目立ちます。

 使用したフィルムは富士フイルムのベルビア100ですので、本来であればもっとくっきりとした鮮やかな発色になるのですが、60年以上前のカメラということを考慮すると健気に頑張っているという感じです。
 正直なところ、写りに関してはまったく期待をしておらず、酷い写真しか撮れないのではないかと思っていたのですが、予想に反した仕上がりに驚きです。

 ただし、ファインダーの精度は決して良くはありません。ファインダー自体は非常に単純な構造なので、覗き込む目の位置によって見える範囲がずれますし、ファインダーで見える範囲よりもだいぶ広く写るようです。写したと思ったのに周囲が欠けてしまったというよりは、多少広く写しておいた方が救済できるという判断からかも知れません。

最近のレンズと比較するのは酷だが、及第点の写り

 では、撮影したうちの何枚かをスキャンしてみましたのでご紹介します。いずれもスキャンしたままの状態で、画像の加工はしていません。

 まずは、晴天時に斜め後ろからの順光に近い状態で撮影したのが下の写真です。

▲F8 1/200

 このような条件下だと少々難ありのレンズでも比較的良好に写りますが、遊具に塗られた赤青黄の色や地面の土、生け垣の緑なども自然な感じの発色です。黄色が褪せて見えるかもしれませんが、実際にこんな感じでした。また、桜の小枝の先端も識別できるくらいですから、解像度も及第点でしょう。

 次に、近景から遠景までということで、手前に木を入れて新宿の高層ビルを撮ってみました。

▲F22 1/50

 このような構図だと周辺光量の低下が目立ちます。しかも画の中央部が最も明るいという状況なので、手前の木が黒くつぶれないようにすると新宿の高層ビルが露出オーバーになってしまいます。
 最小絞りであるF22まで絞っていますが、パンフォーカスにするには若干無理がある感じです。手前の木のディテールは損なわれますが、ピントの位置をもう少し先にもっていくと遠景がくっきりとした写真になると思います。

 もう一枚、周辺光量の落ち込みによる影響を受けている写真です。高圧線の鉄塔を見上げるアングルで撮ったものです。

▲F11 1/200

 中央の鉄塔が白く飛び気味です。もう一段絞ると鉄塔は落ち着いた色になると思いますが、手前の山茶花などはアンダーになってしまいます。やはり、このようなシチュエーションは難しいというのが正直なところですが、半世紀以上も前のカメラならではの写りと思えば、それはそれで味わい深いものです。

 下の写真は明暗差の大きな被写体ということで撮ってみました。

▲F11 1/200

 神社に奉納されたお酒の樽に陽が当たっており、そのお堂の軒下が暗く落ち込んでいる状態です。軒下はつぶれてしまうかと思いましたが、かろうじて梁のようなものが認識できます。
 やはり最も明るい酒樽のところの解像度は低下しているように見えます。

 さて、次は道路沿いにある公園にたむろしていた鳩たちです。寒いので縮こまっています。

▲F11 1/100

 中央にいる鳩までの距離は1.5mほどです。掲載した写真ではわかりにくいと思いますが、近距離ということもあり、まずまずの解像度が感じられます。
 また、上の1/3は暗く落ち込んでいるためにわかりませんが、下の両端を見ると光量が低下していることがわかります。

 下の写真は東京都庁の都民広場にある彫像「アダムとエヴァ」です。都民広場には全部で8体の彫像がありますが、そのうちの一つです。

▲F11 1/200

 順光ですので、彫像のディテールも結構よく出ていると思います。アダムの顔の辺りとその後方のリンゴの部分を拡大してみるとこんな感じです。

▲上の写真の部分拡大

 やはりエッジのシャープさはイマイチですが、ここまで写れば文句なしというところでしょう。

 同じく都民広場の彫像の「早蕨」を背後から撮影したのが次の写真です。

▲F5.6 1/50

 彫像に直接の日差しはあたっていませんが、都庁の窓ガラスに反射した光で彫像の輪郭が青く輝いています。彫像の表情がわかるくらいまで露出をかけているので背景が非常に明るくなり、このカメラのレンズにとっては苦手な状況です。都庁にピントは合っていませんが、全体的に霞がかかったようなモヤっとした感じの描写です。

 最近のレンズと比較すると解像度は低く、エッジがシャープになっていないので画全体がふわっとした感じに写りますが、十分に撮影に使えると思います。逆光気味の条件下では厳しい感じですが、その辺りを理解して光の入り方に注意すればひどい状態になるのは避けられます。
 また、レンズのコーティングも今のレンズと全く違うのは明らかで、前玉をのぞき込んだ時、深みのある吸い込まれそうな色合いがありませんので、その影響も大きいと思います。

 なお、距離合わせが目測のため、ピントが甘くなっている可能性もありますのでご承知おきください。

60年以上経っているが十分に使えるカメラ

 今回の試し撮りでは単体露出計を使って露出を設定しました。特に露出オーバーとか露出アンダーということもなく、ほぼ設定どおりの露出で撮影できているので、シャッター速度も絞りも問題なく、正常に機能していると思います。
 また、蛇腹を修復していますが、蛇腹からの光線漏れや裏蓋周辺からの光線漏れも生じていないようです。このカメラ、裏蓋の周辺にはモルトはまったく使われていません。モルトをべたべたと貼り付けて光線漏れを防いでいるよりも個人的には好ましく思います。

 発売から60年以上が経っていますが、手入れをしていけばまだまだ十分に使えそうです。

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 疑心暗鬼で行なった試し撮りですが予想もしていない結果となり、ささやかな満足感とともにほっとした気持ちです。スローな写真ライフを楽しむにはうってつけのカメラかも知れません。
 きちんと写ることも確認もできたので、カメラは本来の持ち主のところに戻っていきました。

(2022年1月19日)

#スプリングカメラ #中古カメラ #リバーサルフィルム

PENTAX67用ソフトフォーカスレンズ SMC PENTAX67 SOFT 120mm 1:3.5

 1990年前後だと思うのですが、PENTAX67用のレンズがSMCタクマーからSMCペンタックスになったタイミングでラインナップされたソフトフォーカスレンズです。
 写真家のデヴィッド・ハミルトン氏や秋山正太郎氏の影響も大きいと思うのですが、当時はソフトフォーカスの人気も高く、いろいろなソフトフォーカスレンズが各社から発売されていました。今ではレタッチソフトで加工して、ソフトフォーカスレンズで撮影したような描写に仕上げてしまうことが簡単にできるので中古市場での人気もイマイチですが、ときどき使ってみたくなるレンズです。

このレンズの主な仕様

 レンズの主な仕様は以下の通りです(PENTAX67 SOFT 120mm 使用説明書より引用)。

   レンズ構成枚数   : 3群4枚
   絞り目盛り     : F3.5~F22
   画角        : 40.5度(67判カメラ使用時)
   最短撮影距離    : 約0.75m
   測光方式      : 絞り込み測光
   フィルター取付ネジ : 77mm
   全長        : 63.5mm
   重量        : 520g

▲SMC PENTAX67 SOFT 120mm 1:3.5

 35mm判カメラ用の焦点距離60mmのレンズと同じくらいの画角ですので、若干長めの標準レンズといったところです。
 
 普通のレンズは球面収差をおさえるために何枚ものレンズを組み合わせていますが、このレンズはあえて球面収差を残すことで芯のある像の周囲にボケを発生させるという原理のようです。
 このレンズは、1986年に製品化された35mm判用のSMC PENTAX SOFT 85mm F2.2というレンズが原型になっていると言われています。SOFT 85mmレンズは私も購入しましたが、ソフト効果が強力過ぎるのと周辺部の画質が良くないという理由でほとんど使わずに手放してしまいました。
 しかしこちらのレンズは、SOFT 85mmと比べるとはるかにきれいな描写をするレンズです。

 PENTAX67用のレンズは多くの一般的なレンズと同様、レンズの前側にピントリングがあり、マウント側に絞りリングがありますが、このSOFT 120mmレンズは絞りリングがレンズ前側でピントリングがマウント側にあり、普通のレンズと配置が逆です。
 このレンズは絞り値によってボケ量が変化しますが、ボケ具合を確認する際、絞りリングが回し易いように前側に配置されているのではないかと思われます。
 また、ピントリングのところに距離目盛りがないのも特徴的です。

 絞り羽根は8枚で、F4で綺麗な円形になります。
 また、絞りリングはF4からF22の間で中間位置にクリックがあります。

▲絞りF4で綺麗な円形になる

独特なピント合わせ

 上でも触れたように、このレンズは球面収差を利用しているため、絞りを絞るにつれて球面収差は小さくなり、F11以上になると目立たなくなります。
 しかし、開放(F3.5)からF5.6辺りではボケが大きくて、ピント合わせがし易いとは言えません。ピントの山がつかみにくいという印象です。

 レンズの使用説明書を見ると、以下のような二通りのピント合わせの方法が示されています。

 1) 絞りをF3.5~8に設定した時は、ファインダーでピント合わせをした後、ピントリングを左に回して補正する。
 2) 絞りを11以上にしてピント合わせをした後、好みのボケ量の位置まで絞りを開く

 一つ目のピント合わせについてですが、球面収差の影響で、肉眼でピントが合っていると見える位置と実際にピントが合っている位置にずれがあるようで、これを補正するためにピントリングを左に動かす(フォーカスシフト)ということのようです。
 下の写真がその補正用の目盛りです。

▲ピント補正(フォーカスシフト)用の指標

 向って右から赤、白、白と3本のラインがありますが、ピント合わせをした後、ピントリングを赤のラインから白のライン位置まで移動させるという操作を行ないます。ボケ(フレア)をあまり大きくしたくないときは真ん中の白いラインまで、ボケを大きくしたい時は左の白のラインまで移動させます。
 ピントリングを左に回すということはレンズが前に繰り出されることになりますので、後ピンになっているということのようです。

 試しに、絞りF3.5の時とF11まで絞った時の、ピントリングの位置を調べてみました。

▲絞りによってピントの合う位置がずれる

 上の写真で、ピントリングに付けてある緑の付箋(右側)がF3.5の時のピントが合った位置で、赤の付箋(左側)がF11の時にピントが合った位置です。ちょうど赤のラインと真ん中の白のラインの感覚と同じくらいのずれがあります。
 これでわかるように、絞りを開いた状態の時は後ピンでピントが合ったように見えるようです。

 二つ目のピント合わせの方法、F11以上に絞ってピント合わせをする場合ですが、この時は通常のレンズと同じようにピント合わせができるようで、補正の必要がないということです。
 ただし、F11以上に絞るとファインダーが暗くなりますので、被写体によってはかえってピントが合わせにくくなってしまいます。どちらの方法が良いか、慣れにもよると思いますが、その時の状況に応じてピント合わせの方法を使い分けることも必要かもしれません。

被写体によってフレアの出方に大きな違いがある

 ソフトフォーカスレンズのボケ方というのは、ピントが合っていないボケ(ピンぼけ)とは違って、芯(ピントが合っている)がはっきりしており、その周囲にフレアが出るというものです。また、明るいところほどフレアが強く出ます。
 このため、コントラストが強すぎる被写体の場合、ハイライト部分のフレアが非常に強く出てしまいます。強い点光源のようなものがあるとそこのフレアは非常に大きくなります。
 一方、コントラストが低い被写体の場合は均一にフレアが出るため、霧がかかったような感じになり、全体的に白っぽい画になってしまいます。フォギーフィルターというのがありますが、それをつけた時の状態に似ています。

 全体的にクセのない綺麗な描写をするレンズだと思いますが、絞り開放近辺の周辺画質は落ちる傾向にあるので、被写体によっては注意が必要かもしれません。
 テレコンバーターをつけて周辺部をカットしてしまうという方法もありますが、画角が狭くなってしまうのと、全体の画質が若干落ちてしまうため、私はほとんど使うことはありません。

SOFT 120mmで撮影した作例

 このレンズに限らず、ソフトフォーカスレンズは被写体やシチュエーションによって写りが大きく変わります。そんな中から、このレンズの特性が感じられる作例をいくつかご紹介したいと思います。

 まず一枚目は八重咲の桜をアップで撮影した写真です。

▲PENTAX67 SMC PENTAX67 SOFT 120mm F4 1/30 PROVIA100F

 薄曇りなので強い光は当たっておらず、そのため、バックは暗く落ち込んでいます。極端なハイライト部はない状態ですので、全体として柔らかな感じで描写されていますが、ピンクの花弁のところは綺麗なフレアが出ています。
 花弁の部分を拡大してみるとこんな感じです。

▲上の写真の部分拡大

 花弁の輪郭はしっかりと残しながら、フレアが出ているのがわかると思います。
 ふわっとした柔らかさで、一味違った桜の美しさが表現できるのではないかと思います。

 これに対して、全体的に明暗差が少なくコントラストが低い被写体を撮るとこのような感じになります。

▲PENTAX67 SMC PENTAX67 SOFT 120mm F4 1/60 PROVIA100F

 バックも比較的明るく、これといったハイライト部もシャドー部もない状態です。全体的に霧がかかったような描写になります。
 これはこれで雰囲気があるのですが、何かポイントとなるようなものがないと写真が平坦になってしまいます。普通のレンズで撮っても面白くないのでソフトフォーカスレンズを使ってみたが、やっぱりどうってことはなかったみたいな状態に陥りやすいケースです。
 フォギーフィルターを使った時と描写が似ていますが、芯がしっかりと出ているので奥行きが感じられます。

 被写体に強い光があたっている状態だと全く違う描写になります。
 下の写真は透過光に輝く葉っぱを撮影した写真です。

▲PENTAX67 SMC PENTAX67 SOFT 120mm F4 1/125 PROVIA100F

 光が当たっている葉っぱと光があまりあたっていない背景とで明暗差がありますが、直接光が入り込んでいるハイライト部がないため、光が透過している葉っぱも柔らかな感じになっています。
 これを普通のレンズで撮ると、パキッとした感じになってしまいますが、このような描写できるのはソフトフォーカスレンズならではです。
 背景の木漏れ日による滲みも柔らかくて綺麗だと思います。

 下の写真は、桜の咲く時期に茅葺き屋根の民家を撮ったものです。

▲PENTAX67 SMC PENTAX67 SOFT 120mm F4 1/500 PROVIA100F

 薄曇りで柔らかな光が全体に回り込んでいる状態なのでフレアの出方にも大きな差がなく、画全体が滲んでいるような描写になっており、絵画のような雰囲気があります。
 コントラストはそれほど高くないので、露出をかけすぎると全体的に白っぽくなってしまいますが、露出を若干切り詰めることでこのような描写にすることができます。
 絞りを適度に絞ると明るい部分のフレアも抑えられるとともに、シャドー寄りの部分も柔らかな描写になります。

 上の写真とは正反対というか、ハイライト部分が点在している状態の被写体を撮ったのが下の写真です。

▲PENTAX67 SMC PENTAX67 SOFT 120mm F4 1/125 PROVIA100F

 残り柿に太陽の光があたって白く輝いている状態です。その部分のフレアが大きく広がって、全体がふわっとした感じになっています。
 枝も白く輝いており、このフレアも全体を柔らかくしています。
 残り柿の雰囲気を出すためには、もう少し露出を切り詰めた方が良いかもしれません。その方が晩秋のイメージが出ると思います。

 これらの作例でもわかると思いますが、ソフトフォーカスレンズの場合、露出過多は避けた方が良いと思います。フレアが出過ぎて、写真の雰囲気を台無しにしてしまう可能性が高いです。

 さて、もう一枚、点光源に対する描写の例ということで、夜のレインボーブリッジを撮ってみました。

▲PENTAX67 SMC PENTAX67 SOFT 120mm F3.5 2s PROVIA100F

 絞りは開放にしているので、ハイライト(点光源)部分のフレアは顕著に表れています。点光源が多く、かつコントラストが高いとここまでフレアが大きくなってしまい、元の形も崩れてしまうほどです。フレアをどれくらいの大きさにするかは好みというか作画意図というか、そういうものによると思います。

 橋の中央部分を拡大してみるとこんな感じです。

▲上の写真の部分拡大

 芯はしっかりとしながら綺麗な滲み(フレア)が出ています。
 しかし、点光源の影響はかなり大きいので、このような夜景を撮影する場合はどの程度絞るか、悩ましいところではあります。絞ればこのようは綺麗な円形のボケではなく多角形になってしまいますので、写真の雰囲気も変わってきます。

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 ソフトフォーカスレンズは特殊レンズに分類されるといっても良く、その描写は被写体やシチュエーションによって大きく変化します。ファインダーで見たような仕上がりにはなかなかならないという、クセのあるレンズかもしれません。デジカメであればすぐに結果を確認できますが、フィルムカメラではそのようなわけにもいかず、たくさんの撮影をしながらレンズの特性を把握していくということが必要になります。面倒くさいと言えばそれまでですが、そんなレンズの特性を理解しながら撮影するのもフィルムカメラの楽しみの一つかもしれません。

(2021.12.15)

#ペンタックス67 #PENTAX67 #レンズ描写 #ソフトフォーカス

1950年代のカメラ Beauty MODEL1 ビューティーモデル1の分解・清掃・修理

 先日、友人から「かなり昔のカメラが手に入ったんだけど、使える?」という要領のまったく得ないメールが来ました。現物を見てみないとわからないと返信すると、「では送る」という短い回答があり、後日、宅配便でカメラが送られてきました。
 開けてみると「Beauty MODEL1」というカメラでした。この週末にこのカメラを分解・清掃・修理をしてみましたのでご紹介します。

Beauty MODEL1の状態を調べてみると..

 このカメラは1950年代の半ばに、東京の神田にあった太陽堂光機という会社が発売した国産のフォールディング(折り畳み式)カメラです。
 Beautyというブランドは「BEAUTY FLEX」という二眼レフカメラの方が有名で、今でも中古カメラ店で見かけることがありますが、今回のようなシックス判のフォールディングカメラはほとんど見かけることはありません。二眼レフカメラが大成したので、フォールディングカメラからは手を引いてしまったのかも知れません。

▲太陽堂光機製 Beauty MODEL1 かなり汚い
▲太陽堂光機製 Beauty MODEL1

 120フィルムを使用するカメラで、Doimer(ドイマー)という焦点距離80mm 1:3.5のレンズがついています。土居さんという社長の苗字からとった名称らしいですが、洒落っ気が感じられます。シャッター速度はB・1~1/200秒、最小絞りはF22、距離合わせは目測です。

 送られてきたカメラを一通り見てみると、以下のような状態でした。

 1) 全体に汚い
 2) ファインダーが曇っていてほとんど見えない
 3) 折りたたんだ時に前蓋がしっかりと閉まらない
 4) シャッターをチャージすると、シャッター膜が半開きになってしまう
 5) レンズが汚れている カビ、クモリもある
 6) 蛇腹が破れている

 果たして使えるようになるのかどうか、分解してみることにしました。

レンズの清掃とシャッターの修理

 まずはレンズが使えるようにならないと撮影はできないので、レンズを取り外してばらしていきます。

▲Doimer 80mm 1:3.5

 レンズは3枚構成で、前玉と後玉は激しく汚れています。カビが取れるかどうかわかりませんが、しばらくエタノールに浸しておき、その後、清掃しました。わずかにカビの跡が残っていますが、かなり綺麗になりました。

▲前玉を外したところ
▲後玉を外したところ

 問題はシャッター膜が半開きになってしまう現象ですが、ばらして調べたところ、シャッターをチャージした時にロックされる爪の位置がずれているようです。なぜそのようなことが発生したのかは不明ですが、しっかりロックされる位置になるよう、調整しました。

▲シャッターをチャージすると半開き状態になってしまう

 シャッター速度はバルブも含め、変化していますが、絞り羽根もシャッター膜も粘っている感じがあったので分解して洗浄しました。

 また、ピント合わせをする前玉のヘリコイドがかなり重かったので、少しグリスを塗り込んでおきます。

▲清掃・修理後のレンズ

 シャッターとレンズを組み立てて動作確認してみましたが、粘った感じもなくなり快調に動いているようです。念のため、シャッター速度を計測してみたところ、以下のような状況でした。

 <速度目盛り> <実測値>
  1      1.083秒
  1/2     0.458秒
  1/5     0.185秒
  1/10     0.109秒
  1/25     0.048秒
  1/50     0.023秒
  1/100    0.013秒
  1/200    0.006秒

 それぞれ3回計測した平均値です。ばらつきはありますが、まずまずといったところでしょう。

ファインダーの清掃

 軍幹部の中央に可愛らしい覗き穴のようなファインダーがあります。真っ白に曇っていてほとんど視界はゼロといった感じです。軍幹部を取り外してファインダーレンズを清掃します。
 このカメラは66判と645判が使えるのですが、それに合わせて接眼部を回すとファインダー内のマスクが切り替わるようになっています。このカメラの中で最もセンスが輝いている構造のように感じました。

▲ファインダー(軍幹部のカバーの内側)

 ファインダーのレンズは取り外してエタノールで拭くと、驚くほどクリアになりました。

蛇腹の修理

 蛇腹には棒状のもので突いたような破れがあります。ピンホールもあるかと思い、LEDライトを照射して確認しましたが大丈夫そうです。蛇腹自体もヨレヨレした感じはなく、しっかりとしているので破れたところを塞げばまだ使えそうです。

 蛇腹をカメラ本体から取り外すためには、カメラ前面の張り革を剥がさなければならないようです。先の薄いヘラを張り革の下に差し込んだところ、張り革が5mmほどの大きさでボロッと欠けてしまいました。60年以上も経っているのですっかり劣化しているようです。
 うまく剥がせれば再利用しようと思っていたのですが、それはあきらめて前面の張り革を全部削り取ってしまいました。

▲カメラ前面の張り革を剥がしたところ

 張り革の下のネジを外すと、カメラの筐体から蛇腹部分を取り出すことができます。

▲カメラ筐体から蛇腹機構を取り出す

 蛇腹の破れたところは、外側と内側の両方から補修テープで塞ぎます。両面にテープを貼ると厚みが増して、蛇腹の折り畳みに影響が出るかと思いましたが問題ななそうです。念のため、補修テープの周囲に黒のタッチアップペンを塗っておきます。

 蛇腹を外したついでに、前蓋のロック機構も修理しておきます。
 前蓋を閉めた際に、カチッと爪が引っかかるようになっているのですが、この爪が歪んでいてロックされません。ラジオペンチで歪みを直してロックされるようにしましたが、前蓋自体も少し歪んでいるようで、隙間ができてしまいます。カメラを落としたか、どこかにぶつけたかして歪んでしまったのでしょう。とりあえず閉まるようになったので良しとします。

カメラ前面の張り革

 取り外した蛇腹やレンズ、軍幹部をもとのように組み上げ、ボロボロになってしまったカメラ前面の張り革は新しく張り替えます。全面張り替えたいところですが、他は剝がれたり傷んだりはしていないので、とりあえずそのままにしておきます。

▲清掃・修理後のBeauty MODEL1

 前面だけとはいえ張り革も新しくなり、長年の汚れも落としたので、見違えるほどきれいなカメラになりました。ファインダーもくっきりと見えるし、絞りやシャッターも問題なく動作しているようです。

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 とりあえず正常に動作しているようには見えますが、実際に撮影をしてないので、きちんと写るのかどうかは不明です。後日、実際に撮影をしてみたいと思います。

(2021年12月5日)

#ビューティー #Beauty #スプリングカメラ #中古カメラ

KOWA SIX MM コーワシックス MM 国産の中判一眼レフ

 キャベジンやコルゲンで有名な興和株式会社が1960~1970年代にかけて製造していた中判(66判)の一眼レフカメラのひとつで、独特なスタイリングが特徴です。今のカメラにはない無骨さのようなものは感じますが、かといって古臭さがあるわけでもなく、まさに写真を撮る機械といった感じです。
 今回はKOWA SIX MMをご紹介します。

二眼レフのような縦長の独特のフォルム

 コーワシックスシリーズは、1968年に初代のコーワシックスⅠが発売され、以降、さらに3つのモデルが発売されて、全4モデルが存在しているようです。
 KOWA SIX MMは1972年に発売された2番目のモデルです。初代KOWA SIXにミラーアップ機能と多重露光機能が追加されたことで、「MM」というネーミングになっているようです。

▲コーワシックス MM KOWA SIX MM

 コーワシックスシリーズに共通している縦長のフォルムは独特で、ローライフレックスの6000シリーズにちょっと似ています。国産のカメラですが設計したのはドイツ人技術者らしく、他のコーワ製カメラとはずいぶんかけ離れたデザインもうなずける感じです。

 標準ではウエストレベルファインダーが装着されており、上から覗き込むスタイルでの撮影なので縦長のボディというのはホールディングがしやすいです。感覚的には二眼レフカメラとよく似ています。
 サイズは116mmx137mmx157mmで、背丈は二眼レフカメラとほぼ同じですが、一回りほどおデブな感じです。ただし、重さは1,750gあり、かなり重いです。これにレンズをつけて長時間首から下げ続けるのは結構きついものがあります。

 このカメラの主な仕様は以下の通りです。

  ・66判レンズシャッター一眼レフ
  ・シャッター:T、1~1/500秒
  ・ファインダー:ウエストレベル(標準)
  ・レンズマウント:スピゴットマウント
  ・使用フィルム:120(12枚撮り)、および220(24枚撮り)
  ・ミラーアップ機能あり
  ・多重露光機能あり
  ・サイズ:116mmx137mmx157mm
  ・重量:1,750g

明るくて見やすいファインダー

 カメラの上部にあるファインダーカバーを持ち上げるとバネの力でフードがカパッと開きます。シャッターを切った後はミラーが跳ね上がったままになっているので、再度巻き上げ操作をして、ミラーを下ろさないとファインダーに光が入ってきません。
 フォーカシングスクリーンはフレネルタイプが採用されており、とても明るくて見易いファインダーです。

▲KOWA SIX MM のファインダー

 ファインダーのフード内にはルーペが装備されており、ピント合わせの際、細部まで確認ができます。また、このルーペは視度調整用に交換が可能です。

あまりお目にかかることができないスピゴットマウント

 スピゴットマウントという規格があるわけではないようです。レンズとカメラを相対的に回転させてはめ込むのではなく、スピゴットと呼ばれる締め付けリングのようなもので固定する方式のことをいうようです。
 コーワシックスシリーズはボディ側にスピゴット(締め付けリング)があり、レンズを差し込んだ後、このリングを回して固定します。レンズの取り外しの際はシャッターをチャージした状態にしておく必要があります。

▲スピゴットマウント

 スピゴットマウントは構造はシンプルですが、レンズの取付けや取り外しの際、ボディとレンズを持ちながらスピゴットを回さなければならず、操作がし易いとは言えません。手は2本しかないので、レンズ取り外しの時はカメラをテーブルの上とか膝の上に仰向けに置いて操作しないと、レンズを落としてしまいそうです。
 上の写真でオレンジ色の矢印のレバーでスピゴットのロックを解除します。

フィルムの入れ替えがやりにくい

 このカメラの裏蓋は、自動車のハッチバックドアのように上に跳ね上げる方式です。しかも、ファインダーのフードに当たるため、90度くらいしか開きません。
 また、裏蓋の内側にはフィルム圧板があり、これが結構重いので裏蓋が簡単に落ちてきてしまいます。裏蓋は取り外しができるので外してしまえば操作しやすいですが、外したりはめたりは面倒くさいです。

▲裏蓋を開けた状態

 このため、フィルムの交換の際に裏蓋が邪魔になります。レンズの交換の時とは逆に、テーブルの上などにレンズを下に向けて置いた状態にしておかないと、とてもやりにくいです。
 屋外でテーブルなどがないときは、膝の上にカメラを逆さまに置いてフィルムを入れ替えるということになり、あまりスマートではありません。

大型のフィルム巻き上げノブ

 フィルムの巻き上げノブは大型で使い易いです。クランクが折りたたまれているので、これを持ち上げて巻き上げることもできますが、クランクを使わなくても非常に楽に巻き上げができます。

▲大型のフィルム巻き上げノブ

 巻き上げ角度はおよそ270度くらいだと思います。適度な重さがあり、巻き上げが終わるとノブの回転がストンと軽くなります。
 この状態でミラーが下がるので、ファインダースクリーンに像が映し出されます。

MMから採用されたミラーアップ機構

 どのような機構になっているのかよくわからないのですが、ミラーアップに関しては独特な動きをします。巻き上げを行なった後、ミラーアップノブを回してシャッターボタンを押すと、シャッターは切れずにミラーアップだけが行なわれます。その後、再度、シャッターボタンを押すとシャッターが切れます。
 ただし、1回目のシャッターボタンを押した後はミラーが上がっているので、ファインダーには何も映っていません。2回目のシャッターボタンを押すまでの間、ファインダーでは何も見えない状態になるので、この間にカメラが動いてしまうと構図が変わってしまいます。

▲ミラーアップノブ

 PENTAX67ほどではありませんが、ミラーショックはそこそこある方だと思います。ミラーアップを使うよりもセルフタイマーを使った方がブレ防止には効果があると思うのですが、10秒と長いのであまり現実的ではありません。それこそ、手持ち撮影の場合はその間にカメラが動いてしまいそうです。

カメラグリップの取付けもできますが

 専用のカメラグリップが用意されており、カメラの底にネジで締め付けるようになっています。
 私は純正品は持っていませんが、マミヤCシリーズ用のグリップを若干改造して取り付けるようにしていました。カメラの底部にある2個のピン穴の間隔がほんの少し異なる(マミヤCシリーズの方が狭い)ので、グリップの2本のピンの1本を抜いています。
 カメラにグリップを取り付けるとこんな感じです。

▲カメラグリップ(マミヤCシリーズ用を改造)

 左手だけでカメラを支えられるので安定するようにも思えますが、私は二眼レフカメラのように、カメラの下側を両手で支える方が使い易く、グリップはほとんど使ったことがありません。
 アイレベルファインダーを取り付けた時は便利かも知れません。

撮影はしなくとも、ときどき動かすことも大切

 このカメラに限ったことではありませんが、特に機械式のカメラは時々、撮影と同じように稼動箇所を動かすことが大切です。コーワシックスは長期間使わずにいると、巻き上げ機構が固着してしまうという傾向があるようです。巻き上げができないとレンズの取り外しもできなくなってしまいますから、そうなるとカメラの側板を外して修理するしかなくなってしまいます。

 さすがに発売から50年も経っているので、巻き上げ機構以外でも故障する可能性も十分に起こりえます。人気のあるカメラという話しもよく耳にしますが、中古市場では意外と安い価格で出回っていますので、部品取り用に中古品を1台、買っておこうかなと思っています。
 
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 ディスプレイしておくだけでも様になるカメラだと思いますが、やはり、撮影してこそのカメラだと思います。次回はレンズのご紹介をしたいと思います。

(2021年8月30日)

#KOWA_SIX #コーワSIX

PENTAX67を使って35mmフィルムでフルパノラマ写真を撮る

 だいぶ以前になりますが、ホースマンのパノラマフィルムホルダの紹介ページにおいて、PENTAX67でパノラマ写真が撮れるような改造をしたことをチラッと書きましたが、今回はそれをご紹介したいと思います。
 パノラマ写真は何とも言えない魅力がありますが、写真として仕上げるのは難しいと思います。
 今回ご紹介するのは、かなり以前に作ったものなので作成途中の写真はありません。悪しからず。

24mm×70mm アスペクト比1:2.9のパノラマ写真

 PENTAX67に限らず、中判カメラに35mmフィルムを入れてパノラマ撮影をされている方は結構いらっしゃると思います。35mmフィルムのパトローネとブローニーフィルム(120、220)の太さがほぼ同じため、うまい具合に35mmフィルムが中判カメラの中に納まるので、面倒な加工をしなくてもパノラマ写真が楽しめるというお手軽さが受けているのかもしれません。

 かつて、富士フイルムからTX-1という35mmフルパノラマ写真が撮れるカメラが発売されていましたが、67判のカメラを使うことでTX-1を上回るアスペクト比1:2.9のパノラマ写真が撮れます。これはかなり迫力のある写真になります。

フィルムマスクの作成

 特にフィルムマスクもせずに、35mmフィルムのパーフォレーションのところも露光させるというダイナミックな写真を撮られる方も多いですが、今回は70mm×24mm(正確には69.4mm×24mm)になるようなフィルムマスクを作成しました。
 このフィルムマスクを作成したもう一つの理由は、フィルムの平面性を保つためです。マスクなしで横幅70mmのフィルムを左右両端だけで支えると、フィルム圧板があってもフィルムの上下がレンズ側に湾曲してしまいます。フィルムマスクをつけることでフィルムの上下端を支えるので、フィルムの湾曲を極力抑えることができます。

 PENTAX67のアパーチャー(フィルム露光枠)の大きさは、69.4mm×55mmです。このため、この枠の上下に15.5mm幅のマスクを取り付けます。
 マスクの簡単な図面は下の通りです。

▲PENTAX67用 フィルムマスク寸法

 厚さ2mmのアクリル板で、PENTAX67のアパーチャーにピッタリはまるマスクのベースを作ります。この上に、厚さ0.8mmのプラスチック板でマスクを作り、貼り付けます。
 厚さ0.8mmのプラスチック板を貼り付けると、ブローニーフィルムの上下端が乗るレールとちょうど同じ高さになります。ちなみに、0.8mmのプラスチック板は、不要になったクレジットカードを流用しています。

 こうして作成したフィルムマスクが下の写真です。2枚必要です。

▲PENTAX67用 フィルムマスク

 このマスクをPENTAX67に装着するとこんな感じになります。

▲PENTAX67にフィルムマスクをつけた状態

 シャッター膜の上に見える上下2枚の黒い板がフィルムマスクで、このマスク間の幅が24mmになります。

35mmパトローネ用のスプールの作成

 35mmフィルムのパトローネの太さはブローニーフィルムとほぼ同ため問題ありませんが、長さが短いので、ブルーニーのスプールと同じ長さになるように付け足す必要があります。
 ブローニーのスプールの両端を切断し、ここに、35mmフィルムのパトローネにはめ込むための加工を施します。
 パトローネの軸は上端と下端で形状が違うので、下の写真ような2種類の加工を行ないます。

▲35mmフィルムパトローネ用スプール軸

 フィルムが上下中央に来るように、それぞれ寸法は正確にする必要があります。主な寸法は下図の通りです。

▲35mmフィルムパトローネにはめるスプール軸

 ブローニー用のスプールを、両端からそれぞれ7mm、12mmのところで切断し、ここに上の図面の青い網掛けのパーツを作成し、スプールにはめ込みます。私は、加工のし易い厚さ3mmのプラスチック板で作成しました。

 これを35mmフィルムのパトローネに嵌めると、こんな感じです。

▲35mmフィルムパトローネにスプール軸を装着した状態

フィルム巻き取り側のスプールの作成

 PENTAX67の裏蓋を開けた右側にはフィルムを巻き取っていくための空のスプールが入ります。ブローニーフィルム用のスプールをそのまま使うこともできますが、巻き取った後がタケノコ状態になってしまうと写真が斜めになってしまうので、それを防ぐために35mmフィルムがちょうど収まるようにスプールの両端にガイドをつけます。

▲フィルム巻き取り側のスプール

 スプール端からのガイドの幅をそれぞれ19mmにすると、中央のフィルムを巻き取る部分の幅は35mmになります。
 このガイドをどうやって取り付けるか、いろいろ悩んだのですが、幅を19mmに切った画用紙をくるくると巻き付けていくというお手軽な方法で済ませました。

ファインダーのマスク

 ファインダーが67判のままだと構図決めがやりにくいので、ファインダースクリーンのところにマスキングテープでマスクをします。幅15mmのマスキングテープをファインダースクリーンの上下端に合わせて貼ると、中央の幅がちょうど24mmになります。

▲PENTAX67 ファインダーマスク

 マスクは何を使っても良いのですが、マスキングテープを使うと真っ暗にならず、少し映像が見えるので便利です。また、マスキングテープは剥がしても痕が残らないので、元に戻すときも便利です。

35mmフィルムの先端にリーダーペーパーをつける

 以上で必要なパーツは揃いましたが、最後に、35mmフィルムにちょっとした手を加えます。
 35mmフィルムと違い、ブローニーフィルムには先端にリーダーペーパーがついています。このリーダーペーパーを空のスプールに巻き付け、フィルムを巻き上げていくわけですが、リーダーペーパーの端からフィルムの1コマ目まで、45cmほどの長さがあります。
 35mmフィルムをそのまま使用すると、約45cmも無駄に巻き上げられてしまい、とてももったいないです。
 そこで、35mmフィルムの先端にリーダーペーパーを取り付けます(下の写真)。

▲35mmフィルムにリーダーペーパーをつけた状態

 私は、セロハンを35mm幅に切って、これをフィルムの先端にテープで貼り付けています(透明でわかりにくいので、黒のマジックで縁取りしてます)。
 一旦、このセロハンのリーダーペーパーをパトローネの中に巻き込み、その状態でカメラにセットします。なお、全部巻き込んでしまわずに、先端を少し残しておきます。全部巻き込んでしまうと、取り出すのに苦労します。
 こうすることで、フィルムの無駄をなくすことができます。

カメラへのフィルムの装填

 さて、いよいよカメラへの装填です。
 カメラの右側に巻き取り用のスプール、左側に35mmフィルムのパトローネをはめ込みます。そして、35mmフィルムの先端に取り付けたリーダーペーパーを引き出し、右側のスプールに巻き付けます。

▲PENTAX67に35mmフィルムを装填した状態

 その後、カメラの巻き上げレバーを動かしてフィルムを巻き上げていきますが、フィルムの先端がパトローネからチラッと見えたところで巻き上げを止めます。この位置がスタートマークに相当します。上の写真ではフィルムがかなり顔を出していますが、もっと手前で止めておくのが望ましいです。

 この状態でカメラの裏蓋を閉じ、巻き上げレバーを動かして巻き上げていくと、フィルムカウンターが「1」のところで巻き上げができなくなります。これで撮影ができる状態になっているわけですが、この時、フィルムもちょうど1コマ目あたりがアパーチャーのところにきているという感じです。

 なお、PENTAX67の枚数切り替えダイヤルを「220」にしておかないと、10枚撮影した時点で巻き上げはできますがシャッターがチャージがされなくなり、以後、撮影ができなくなってしまうので要注意です。

撮影可能な枚数

 36枚撮りフィルムを使い、うまく1コマ目の頭出しができていると18枚の撮影が可能です。
 フィルムの頭出しがうまくいかず、少し無駄が出てしまうと17枚までは可能で、18枚目を巻き上げようとすると、フィルムの終端が来てしまい、途中で動かなくなってしまいます。そうなった場合は無理をせず、装填したフィルムの撮影はそこで終了ということです。
 なお、カラーネガフィルムには27枚撮りというものがありますが、これについては使ったことがないので何枚の撮影ができるか不明です。撮影コマ数の比率で計算すると13枚くらいかと思われますが...

撮影後のフィルムの取り出し

 ブローニーフィルムは撮影後、そのまま巻き取ってしまいますので、35mm判カメラのような巻き戻し機能はありません。そのため、撮影後はカメラの裏蓋を開けてフィルムを取り出さなければなりません。
 当然、真っ暗闇で行なわなければフィルムが感光してしまうので、ダークバッグや暗室の中で行なう必要があります。35mmフィルムのパトローネを取り出し、くるくると手で回しながらフィルムをパトローネに巻き込んでいくという煩わしさがあります。
 フィルムを何本も持って行っても、ダークバッグがなければ2本目以降の撮影はできませんので注意が必要です。

アスペクト比1:2.9のパノラマ写真の作例

 実際にPENTAX67パノラマ改造機を使って撮影した写真です。

▲PENTAX67 SMC-TAKUMAR6x7 75mm 1:4.5 F16 36s PROVIA100F

 やはり、アスペクト比が大きいのと、35mmフィルムといえども、フルに使っているので中判並みの解像度があります(解像度を落としているので画面ではわかりにくいと思いますが)。
 唯一の悩みは、このパノラマ写真をプリントしても、きちんと額装できる額縁が市販品にはないということです。額装する場合はマット紙を特注するか、自作しなければなりません。

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 今回はPENTAX67を使いましたが、他の中判カメラでも同じような方法でパノラマ写真の撮影ができます。機会があれば、ミノルタオートコード(66判の二眼レフカメラ)や富士フイルムのGW690などでもやってみようかと思います。

(2021.7.7)

#ペンタックス67 #PENTAX67 #パノラマ写真 #ホースマン #Horseman

大判カメラにPENTAX67を取り付けるアダプタの作成

 通常、大判カメラは1枚ごとにカットされたシートフィルムを使いますが、ロールフィルムホルダーを使うことでブローニーフィルム(120、220)での撮影が可能になります。1本のフィルムで10枚とか20枚の撮影ができるので荷物がかさばらなくてありがたいのですが、構図を決め、ピントを合わせた後、カメラのフォーカシングスクリーンを外してロールフィルムホルダーを取り付けなければならず、結構面倒くさいです。
 そこで、中判カメラ(PENTAX67)を直接取り付けられるようなアダプタを作ってみました。

必要なパーツはたったこれだけ

 アダプタといっても非常に単純なもので、アクリル板にPENTAX67用のレンズのマウント金具を取り付けるだけのシンプルな構造です。
 まずは板厚3mmの黒いアクリル板です。

板厚3mmのアクリル板(黒)

 このアクリル板はアマゾンで400円ほどで購入できます。もちろんアクリル板でなくても構いませんが、そこそこの剛性があり、加工がし易いということからアクリル板がお勧めです。

 そして、もう一つ必要なパーツがPENTAX67用レンズのマウント部の金具です。これはさすがに作成するというわけにはいかないので、レンズから取り外して使います。

PENTAX67用レンズから取り外したマウント金具

 大手ネットオークションサイトで1円で落札したジャンクレンズから取り外しました。
 PENTAX67用レンズのマウント金具は6本のネジで止めてあります。古いレンズの場合、このネジが異常に硬いことがありますので、ネジ山を舐めないように注意して取り外します。

 その他、作成に必要な工具類は、アクリルカッター、ドリル、ヤスリ、アクリル用接着剤、ノギス、コンパスなどです。

アクリル板の加工

 今回作成するアダプタは、ホースマンなどのロールフィルムホルダのボードと同じ寸法なので、上下幅を121.5mmにします。左右幅はフィルムホルダよりも若干余裕を持たせ、180mmとします。
 ここに、PENTAX67用レンズのマウント金具をはめ込むための穴をあけます。寸法は下図の通りです。

 実際に穴をあけたアクリル板はこんな感じです。

マウント金具をはめ込む穴をあけたアクリル板

 この板をカメラ側に取付ける際、カメラ側で押さえ込める板厚は約5.6mmほどなので、この板の周囲に幅6~8mmにカットしたアクリル板を張り付けます。

周囲にアクリル板を張り付けた状態

 一方、カメラ側のフィルムホルダーを受けるところには幅3mm、深さ2mmほどの溝があり、ここにフィルムホルダの突起がはまり込むようになっています。これは、フィルムホルダのずれ防止と光が入り込むのを防ぐためかと思われます。ですので、今回作成するアダプタボードの内側にも、この溝にはまるような突起を張り付けます。これは、幅2.5mmにカットしたアクリル板を接着しています。

アダプタボードの裏側(カメラの溝にはまる突起を取り付け済み)

 これでアダプタボードはほぼ完成です。

PENTAX67用レンズマウント金具の取付け

 さて、次はPENTAX67用レンズのマウント金具をアダプタボードに取付けます。
 カメラ(PENTAX67)を取り付けた際に、カメラが水平にならなければならないので、マウント金具の位置決めは慎重に行なう必要があります。PENTAX67の場合、レンズの距離・絞り指標が真上に来た時、レンズのロックピンが左に90°の位置に来ますので、この位置がずれないように位置決めを行ないます。
 テープなどで仮止めし、マウント金具を固定するためのネジ穴をあけます。

 実際にマウント金具を取り付けるとこんな感じです。

アダプタボードにPENTAX67用レンズのマウント金具を取り付けた状態

 今回使用したアクリル板は表面が光沢面だったので、艶消しのラッカー塗装をしました。
 ボードの上下の縁に削った跡が見えると思いますが、これはカメラのボード押さえ金具がスムーズに入るようにするためのものです。

大判カメラへの取付け

 こうして作成したアダプタボードを大判カメラ(リンホフマスターテヒニカ)に取付けるとこのようになります。

リンホフマスターテヒニカ45にマウントボードを取り付けた状態

 そして、ここにPENTAX67を取り付けるとこんな感じです。

PENTAX67を取り付けた状態

 では、このアダプタボードを実際に使って撮影する際に使用可能なレンズについてですが、PENTAX67のフランジバックは85mm(正確には84.95mm)、今回作成したアダプタボードの厚さは5mm(アクリルボード+マウント金具の厚さ)、リンホフマスターテヒニカの蛇腹の最短繰出し量は約50mm(これは私のカメラの場合)で、これらを合算するとフランジバックは約140mmということになります。
 すなわち、無限遠を出すためには焦点距離が140mm以上のレンズが必要ということになります。これは中判の場合、中望遠に近い値であり、これより短焦点のレンズでは無限遠の撮影は不可能ということになります。

 一方、近接(マクロ)撮影においては自由度が広がります。

 また、PENTAX67というかなり重量級のカメラを取り付けることに加え、シャッターを切るときのミラーショックが大きいので、PENTAX67側でシャッターを切るとカメラブレを起こす可能性が高いと思われます。
 そのため、PENTAX67側はバルブにしてシャッターを開いておき、大判カメラに取付けたレンズでシャッターを切るのが望ましいと思います。

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 短焦点(広角)のレンズでの無限遠撮影には使えませんが、フォーカシングスクリーンで構図決めやピント合わせをした後に、ロールフィルムホルダに付け替えるという煩雑さからは解放されます。
 使い勝手がどの程度のものか、実際に撮影で使った時の状況については別途、掲載したいと思います。

(2021.6.26)

#ペンタックス67 #PENTAX67 #リンホフマスターテヒニカ #Linhof_MasterTechnika

Mamiya 6 MF マミヤ6 MF レンズ編

 ニューマミヤ6シリーズ用として50mm、75mm、150mmの3本のレンズがラインナップされています。いずれもコンパクトで、優れた描写力を持ったレンズだと思います。マミヤの歴代のレンズのほとんどには「セコール」の名が冠されていましたが、このレンズにはその名がなく、「G」とだけ記されています。
 今回はこれら3本のレンズをご紹介します。

マミヤ G 75mm 1:3.5

 オルソメター型4群6枚構成のレンズです。66判では標準レンズに分類され、最短撮影距離は1m、フィルター径は58mm、画角は55°で、35mm判の40mmくらいのレンズの画角に相当します。3本のレンズの中では最も小ぶりで、まるで35mm判カメラ用のレンズのようです。

▲Mamiya G 75mm 1:3.5

 絞りリングは1段ごとのクリックで、1/2段のクリックはありません。中間絞り(例えばF8とF11の中間など)を使いたい時にはちょっと不便さを感じます。
 ヘリコイドは軽すぎず重すぎず、滑らかに動くので微妙なピントも合わせやすいです。

 オルソメターはツァイスの歴代レンズ中でも特に傑作と言われており、イメージサークルが大きいことや画面周辺まで破綻が少ないという特徴があるようです。そのためか、大判レンズによく使われているレンズ構成です。
 一方で、明るくできないという欠点があるようですが、このレンズは開放でF3.5の明るさを持っています。

 開放では自然でクセのない柔らかい描写をしますが、絞り込むにしたがってコントラストの高い、非常にシャープな描写になります。歪曲収差もほとんど感じられません。

 下の写真は高山市(岐阜県)のさんまち通りで撮ったスナップです。

▲さんまち通り  Mamiya 6 MF Mamiya G 75mm 1:3.5 F3.5 1/30 PROVIA100F

 雨が降り出しそうな薄暗い日でしたので絞り開放で撮っていますが、細部まで見事に解像しているのがわかります。カリカリしすぎないシャープな写りが気に入っています。

 一方、晴天の日に桜を撮ったのが下の写真です。

▲亀ケ城跡の桜  Mamiya 6 MF Mamiya G 75mm 1:3.5 F22 1/30 PROVIA100F

 青空と桜のコントラストがきれいに出ていると思います。最小絞り(F22)まで絞り込んでいますので、ほぼパンフォーカス状態で、桜の木の枝先も磐梯山も、とてもシャープに写っています。

 一般的に標準と言われるレンズよりも若干、短焦点(広角寄り)ですが、真四角なフォーマットなので個人的には非常に使い易い画角だと思います。

マミヤ G 50mm 1:4

 ビオゴン型5群8枚構成のレンズです。最短撮影距離は1m、フィルター径は58mm、画角は75°で、35mm判の28mmくらいのレンズの画角に相当する広角レンズです。75mmレンズに比べると全長が1cmほど長く、後玉が大きく飛び出しているのが特徴です。
 50mmという短焦点レンズなので、最短撮影距離はもう少し短いとありがたいと思うことがあります。

▲Mamiya G 50mm 1:4

 コントラストが高く、非常になめらかな描写で、かつシャープな写りのするレンズです。75mmに比べると若干、硬調に写るように感じます。
 また、このレンズをつけたとき、ブライトフレームの周辺部ではファインダー像が樽型に歪みますが、気にするほどではありません。

 山形県で偶然見つけた「古代の丘」で土偶(もちろんレプリカ)を撮ってみました。

▲古代の丘  Mamiya 6 MF Mamiya G 50mm 1:4 F16 1/30 PROVIA100F

 非常にシャープな写りをしており、土偶の質感も良く出ていると思います。このレンズの最短撮影距離である1mほどまで土偶に近づいていますが、後ろの土偶にもピントが合っています。

 もう一枚、青森県の五能線を走る特急を撮ったのが下の写真です。

▲五能線  Mamiya 6 MF Mamiya G 50mm 1:4 F8 1/250 PROVIA100F

 こちらは、列車がブレないように1/250でシャッターを切るため、絞りF8で撮っていますが、近景からしっかり解像しています。掲載している写真は解像度を落としているのでわかりにくいですが、手前の葉っぱの葉脈までしっかりと写っています。
 ちょっと硬めに感じられる描写ですが、広角には似合っていると思います。

マミヤ G 150mm 1:4.5

 35mm判に換算すると80mmくらいのレンズの画角に相当する中望遠レンズです。超低分散レンズを採用した5群6枚構成で、撮影距離は1.8m、フィルター径は67mm、画角は32°です。

▲Mamiya G 150mm 1:4.5

 このレンズを付けるとブライトフレームは非常に小さく、決して使い易いレンズとは言えません。ですが、ファインダーではわからない中望遠レンズらしいボケがあり、使用頻度は高くありませんが、良い写りをしてくれるレンズです。

 下の写真は田圃の傍らにある観音像を撮ったものです。

▲観音様  Mamiya 6 MF Mamiya G 150mm 1:4.5 F4.5 1/60 PROVIA100F

 150mmという焦点距離ならではのボケが出ていると思います。被写界深度も浅く、長焦点の特徴を活かした画をつくることができます。被写界深度は浅いですがピントの合ったところは非常にシャープで、ボケの中にピンポイントで被写体を浮かび上がらせることができるレンズです。
 ボケも嫌味がなく綺麗で、見ていて気持ちの良い描写をしてくれると思います。

 そしてもう一枚、柳の芽吹きを撮ってみました。

▲芽吹き  Mamiya 6 MF Mamiya G 150mm 1:4.5 F4.5 1/125 PROVIA100F

 浅い被写界深度を活かして、芽吹きの新緑の部分を撮ってみました。柳の枝の質感も良く出ていると思います。離れた場所から被写体のごく一部だけにフォーカスできるのは望遠レンズならではです。
 ただし、150mmなので決して大きくボケるわけではありません。被写体と背景、または前景との距離が近いとボケきれずにうるさい感じになってしまうので、被写体の前後に大きく空間のある状態が望ましいです。

 このレンズ、市場ではあまり人気がないらしく、中古品は割と安い価格で取引きがされているようですが、間違いなく市場評価以上の性能があると思います。
 他の2本に比べて仕様頻度は低いですが、その特性を活かすと魅力ある写真が撮れると思います。

使う場所を選ばないカメラ&レンズ

 レンズが3本しかラインナップされていないというのはずいぶん少ないという感じもしますが、実際に使用するうえで特に不便さを感じたことはありません。広角、標準、望遠に1本ずつという潔さのようなものさえ感じますし、少ないがゆえにそれぞれのレンズの特徴を活かした作画ができるのではないかと思います。
 また、いずれも中判フィルムを十分に活かす性能を持ったレンズであると思います。

 ニューマミヤ6シリーズは、本体もレンズも携行性にも優れ、スナップに良し、風景撮影に良し、他に類を見ないオールラウンドなカメラだと思います。
 今後、このようなカメラやレンズが出てくることは期待できそうもなく、大切に使っていきたいと思います。

(2021年5月30日)

#マミヤ #Mamiya #レンズ描写 #プロビア #PROVIA

Mamiya 6 MF マミヤ6 MF ボディー編

 長い歴史を持つ二眼レフカメラのほとんどはスクエアフォーマットですが、比較的近年に製造販売されたカメラで「ましかく写真」が撮れるカメラはそれほど多くはありません。そういった意味でもマミヤ6 MF はレアなカメラであると思います。完成度の高さや携行性の良さなどが話題になるカメラですが、私もましかく写真が撮りたくなると持ち出すカメラの一つです。

このカメラの主な諸元


 ニューマミヤ6シリーズの後期型として、1993年に発売された66判のレンズ交換式レンジファインダーカメラです。主な諸元は以下の通りです(Mamiya 6 MF 取扱説明書より抜粋)。

   型式     : 6×6判レンジファインダー、レンズ交換式、沈胴式カメラ
   使用フィルム : 120フィルム(12枚撮り)、220フィルム(24枚撮り)
   画面サイズ  : 6×6判(実画面サイズ56×56mm)
   フィルム送り : レバー1回巻き上げ185度(予備角30度)
   シャッター速度: B、4秒~1/500秒 電子式レンズシャッター
   露出制御   : 絞り優先AE、受光素子SPD(ファインダー内)、露出補正±2EV(1/3EVステップ)
   距離計    : レンズ偏角方式、実像式二重像合致、基線長60mm(有効基線長34.8mm)
   ファインダー : 距離計連動ファインダー、ブライトフレーム自動切り替え(50、75、150mm)
   電池     : LR44またはSR44を2個
   大きさ    : 155(H)×109(W)×69(D)mm (沈胴時は54(D)mm)
   質量     : 900g

Mamiya 6 MF + G 50mm 1:4

 MFというのは「マルチフォーマット」のことで、フィルム面にアパーチャーマスクを取り付けることによって645判の撮影ができたり、35mmフィルムアダプターを取り付けることでパノラマ撮影ができたりします。ただし、645判での撮影は66判をマスクするだけでフィルム送りが変わるわけではないので、フィルムが非常にもったいない気がします。

いかにもマミヤらしい沈胴機構

 このカメラのいちばんの特徴は何と言っても沈胴式の機構です。外からは見えませんが、内部に蛇腹が組み込まれており(裏ブタをあけると蛇腹が見えます)、収納時はレンズマウント部が15mmほど沈み込みます。さらにレンズ自体も15mmほど沈み込みますので、レンズを装着した場合は30mmほど薄くなることになります。この30mm薄くなることで、バッグに入れるときにはとても助かります。

Mamiya 6 MF + G 50mm 1:4 沈胴時

  

裏蓋を開くと見える蛇腹

 少々気になるのは蛇腹が劣化してきたときのことです。交換するとなると結構面倒で、コストもかかりそうに感じます。大判カメラのように蛇腹に穴が開いたからといって光線漏れが起きることもないようにも見えますが、あえて蛇腹を採用している以上、穴が開けば光線漏れを起こしてしまうのでしょう。しかし、大判カメラほど頻繁に動かすこともないので、劣化についてはそれほど心配しなくても良いのかもしれません。

明るいファインダー

 ファインダーの倍率は0.56倍で、若干低めの感じもしますが、明るくて見やすファインダーです。レンズを交換するとブライトフレームも自動で切り替わりますし、パララックスの自動補正機能も備わっています。
 ピント合わせ用の二重像も見やすいですが、縦のラインがない被写体の場合はピント合わせにちょっと苦労するかもしれません。
 
 ファインダーの視度補正レンズは交換可能で、マミヤ645やマミヤ7と共通のようです。

 ファインダー内の表示はシャッター速度と露出オーバー、およびアンダーのインジケータ、そしてアラーム用のファンクションランプだけという非常にシンプルなものです。シャッターボタンから指を離せば数秒後にはこれらも消灯するので、フレーミング時の邪魔になるようなこともありません。

少々、クセのある内蔵露出計

 このカメラには露出計が内蔵されていますが、使いこなすには慣れが必要です。露出計が内蔵されている場所というのがファインダー内のため、外部の光、特に空からの光に影響を受けやすくなっています。すなわち、ファインダーに強い光が入り込むとそれに反応して、露出がアンダー側に振れてしまう傾向にあります。撮影の条件によっては1EV以上、アンダーの値を示すこともあります。

 また、その構造上、レンズを交換しても測光範囲が変わるわけではないので、短焦点の50mmレンズを装着した場合は中心部をスポット的に測光しますが、長焦点の150mmレンズの場合は全面を平均的に測光することになります。内臓露出計に頼って撮影する場合は、このようなクセを把握しておくことが必要になります。

 ちなみに、私は上空からの光の影響を防ぐため、ファインダーの上に自作のシェードを取り付けています。

アクセサリーシューに取付けたファインダーシェード

しっかりとしたフェイルセーフ機構

 このカメラはレンズシャッターを採用しているため、レンズを外すとフィルムが光にさらされてしまいます。それを防ぐため、レンズ交換時は遮光幕を出す必要があり、遮光幕を出した状態でないとレンズが外れないようになっています。
 そして、レンズ交換後は遮光幕を収納しないとシャッターが切れないようになっています。私も遮光幕の収納を忘れてシャッターが切れず、「あれ?」となったことが何度かあります。

 また、前の方で沈胴機構が組み込まれていると書きましたが、沈胴した状態だとやはりシャッターが切れません。
 こうしたフェイルセーフの仕組みがしっかりと組み込まれている辺りにもマミヤらしさが出ていると思います。

カメラ底面にある遮光幕レバー

 フェイルセーフではありませんが、裏蓋まわりにモルトプレーンを使用していないというのも個人的には気に入っています。加工精度がしっかりと保たれれば、モルトプレーンを使わなくても十分に遮光性が確保できるということなのでしょう。

操作性に優れた使い易いカメラ

 中判カメラですが、75mm(標準)レンズを装着しても重さは1.2kg弱で、それほど重いと感じることはありません。PENTAX67は標準レンズを着けると軽く2kgを越えてしまうので、それと比べるととても軽く感じます。
 カメラを持った時のホールド感も良く、私にように手が小さくても、全く違和感なく手になじむ感じです。フィルム巻き上げレバーもシャッターボタンも、持ち変えることなく親指と人差し指で操作できます。

 ちょっと使いにくいと感じるのが露出補正ダイヤルです。これは、親指でリリースボタンを押しながら人差し指でレバーを動かすのですが、若干操作しにくいのと、補正ダイヤルのクリックが浅いのか、カチッ、カチッと動いてくれません。これはもしかしたらカメラの個体差によるものかもしれません。

 また、レンズシャッターですので切れるときの衝撃は皆無と言っても良く、「チャッ」という小気味良い音がして切れます。
 あまり大きな問題ではありませんが、裏蓋をあけておかないと空シャッターが切れないというのもこのカメラの特徴かもしれません。

 このカメラ用のレンズは50mm、75mm、150mmの3本がラインナップされています。私はスナップ撮影に使用することが多いのですが、風景撮影でも素晴らしい写りをしてくれます。レンズについては次回でご紹介したいと思います。

(2021.5.11)

#マミヤ #Mamiya

PENTAX67用レンズ - PENTAX-K マウントアダプタの作成

 私が使うカメラはもっぱらフィルム用ですが、デジカメを全く使わないというわけではありません。一応、コンパクトデジカメとデジタル一眼レフをそれぞれ1台ずつ持っています。一眼レフは何年か前に中古で購入したPENTAX K-5というカメラですが、ほとんど出番がありません。作品作りはフィルムでということがデジカメの出番のない大きな理由ですが、レンズを1本しか持ち合わせていないということもあります。
 追加でレンズを購入しようと思ったことも何度かありましたが、あまり使うことのないカメラにお金をかけてももったいないということで、結局、踏ん切りがつかずに過ぎてしまいました。

 出番がかなり少ないとはいえ、レンズが1本しかないのは不便なので、PENTAX67用のレンズをマウントアダプタを介して使おうと思い、調べてみましたが、これがかなりお高いことが判明しました。
 それならば作ってしまえということで、家に転がっているパーツを使って作ってみました。
 使用するパーツは下の写真の通りです。

マウントアダプタに使う主なパーツ

 まず、PENTAX67用のレンズをはめ込むマウントとして使用する、1号の接写リング(写真左上)です。
 次に、マウントアダプタの長さを稼ぐために使うPENTAX67用レンズのリアキャップ(写真右上)。
 そして、PENTAX K-5のマウントにはめ込むための金具(写真右下)です。この金具をレンズのリアキャップに取付ければよいのですが、そのまま取付けたのでは長さが足りず無限遠が出ないので、スペーサーとしてPENTAX用のボディキャップ(写真左下)を使います。

 調べてみたところ、PENTAX K マウントのフランジバックは45.46mm。一方、PENTAX67のフランジバックは84.95mmで、マウントアダプタとしては、39.49mmの長さが必要ということがわかりました。1/100mmの精度の加工は無理なので、39.5mmとすることにしました。
 1号の接写リングの厚さは14mm、レンズのリアキャップの厚さは19.5mm、マウント金具の厚さが2mmでしたので、これらを重ねると35.5mmになります。あと4mmはスペーサーでカバーすることになります。

 接写リングは特に加工する必要がないので、そのまま使います。

 次に、レンズのリアキャップですが、PENTAXのボディキャップが入るように、中央に直径45mmの穴をあけます(下の写真)。

PENTAX67用レンズ リアキャップ

 PENTAX K-5のマウントにはめ込む金具は、ネットオークションで1円で落札したジャンクレンズから外して使います。金具を止めている小さなネジが5本ありますので、なくさないように要注意です。

 スペーサーとして使うボディキャップの加工には少し手間がかかりますが、まず、キャップの中央に直径42mmの穴をあけます。次に、キャップ裏側にカメラのマウントと嵌合する爪があるので、これをやすりで削り取ってしまいます。プラスチックなので簡単に取れます。
 そして、キャップの表面をやすりで削って、全体を薄くしていきます。削り取る厚さは2.5mmほどですが、厚みに偏りができるとレンズの光軸が傾いてしまうので、ノギスで厚さを測りながら慎重に行ないます。

 さて、ボディキャップの厚さが4mmほどになったら、これら4点のパーツを仮組して、PENTAX K-5にはめてみます。無限遠が出ていればOKです。もし、無限遠が出ていなければボディキャップがまだ厚すぎるので、もう少し削る必要があります。
 スペーサーとして完成したのが下の写真です。

PENTAX用ボディキャップを加工したスペーサー

 こうして、無限遠が出るようになったら、4点のパーツを組み上げます。マウント金具はスペーサーにネジ止め、スペーサーとレンズリアキャップは強力接着剤で固定します。レンズをカメラに取付けた時に、レンズの距離・絞り指標(赤い菱形のマーク)が真上になるよう、位置関係を確認して取り付けます。
 最後に、接写リングへの取付けですが、レンズのリアキャップは簡単に外れてしまうので、動かないように3か所からネジで締め付けるようにして固定します。
 少々不格好ですが、出来上がったマウントアダプタが下の写真です。

PENTAX6 - PENTAX-K マウントアダプタ

 そして、カメラに取付けるとこんな感じになります。つけているレンズはPENTAX67 MACRO 135mmです。

PENTAX K-5 + PENTAX67 MACRO 135mm

 一通り確認してみましたが、特に問題はなさそうです。
 ただし、光軸が撮像面に対して直角になっているかどうかまでは確認できていません。精密な工作機械で加工したわけではないので、間違いなく傾いていると思います。
 しかし、これでPENTAX67用のレンズ、35mmフィッシュアイから500mm望遠まで11本のレンズがPENTAX K-5で使えるようになりました。ジャンク箱の中から拾い集めたパーツで作ったので、新規購入コストは0円でした。

(2021.2.28)

#ペンタックス67 #PENTAX67 #マウントアダプター