久しぶりのモノクロフィルムのリバーサル現像 イルフォード DELTA100

 ビューティーモデル1という骨董カメラの試し撮りの際、マミヤ6 MFにモノクロフィルムを入れて一緒に持っていきました。その時に撮った写真をリバーサル現像してみました。
 リバーサル現像は通常のネガ現像よりもプロセスが多くて手間がかかるのであまりやらないのですが、カラーリバーサルほど難しくはないし、リバーサルで見るモノクロも味わいがあるので、久しぶりにやってみました。

イルフォードの推奨プロセスで処理

 今回、撮影に使ったフィルムはイルフォードのDELTA100 PROFESSIONALです。シャープネスでキリッと締まった画像が得られるので、個人的には気に入っています。
 ということで、現像はイルフォードの推奨プロセスを参考に行ないました。イルフォードから提示されているプロセスは下記の通りです。

  1) 第一現像 : 20度 12分
  2) 水洗   : 20度 5分
  3) 漂白   : 20度 5分
  4) 水洗   : 20度 1分
  5) 洗浄   : 20度 2分
  6) 水洗   : 20度 30秒
  7) 再露光  : 片面30秒
  8) 第二現像 : 20度 6分
  9) 停止   : 20度 30秒
  10) 水洗   : 20度 30秒
  11) 定着   : 20度 5分
  12) 水洗   : 20度 10分
  13) 水滴防止 : 20度 30秒
  14) 乾燥

 なお、イルフォードの推奨プロセスには停止工程と水滴防止工程は記載されていませんが、これらは通常の現像でも行なう工程なので今回も入れています。

 現像液は「ブロモフェン」または「PQユニバーサル」が推奨となっていますが、手元になかったので今回はシルバークロームデベロッパーを使用しました。
 漂白液は過マンガン酸カリウム水溶液と希硫酸(硫酸水溶液)の混合液、洗浄液はピロ亜硫酸ナトリウム水溶液を使っており、これらはイルフォード推奨プロセスと同じです。
 また、定着液はシルバークロームラピッドフィクサーを使いました。

 全工程にわたり水温20度を保つというのは結構難しいので、いちばん影響のある第一現像だけは極力、20度に近い状態を保つように気をつけましたが、それ以外は±1~2度の変動があると思います。

黒が締まったイルフォードらしい描写

 リバーサル現像後のスリーブの写真です。ライトボックスにのせた状態で撮影しています(全12コマ中の9コマ)。

▲リバーサル現像後のスリーブ(ライトボックス上で撮影)

 モノクロフィルムを使うときはモノクロ用のフィルター(Y2とかYA3など)を装着することが多いのですが、今回はいずれも使用していません。
 コントラストもまずまずで、黒もイルフォードらしい感じが出ていると思います。

 下の写真は東京都庁の都民広場にある彫像「天に聞きく」です。

▲Mamiya 6 MF G 75mm 1:3.5 F5.6 1/30 DELTA100

 彫像にも建物にも陽があたっていないので全体的に軟調な感じがしますが、彫像のエッジは綺麗に出ているのではないかと思います。手振れが心配だったので絞りはF5.6で撮影していますが、もう一段くらい開いた方が良かったようです。

 次の写真は、新宿にある住友ビルの一階部分の天井です。屋根を支える鉄骨が描くラインが綺麗です。

▲Mamiya 6 MF G 50mm 1:4 F4 1/15 DELTA100

 屋内での撮影なのでコントラストはあまり高くありませんが、屋根から差し込む光で鉄骨に模様が描かれていますが、そこそこ綺麗に表現できていると思います。
 太陽が西に回り込んでこの屋根に光が差し込むと、よりアーティスティックな模様が浮かび上がるのではと想像します。

 さて、もう一枚は公園での一コマです。

▲Mamiya 6 MF G 75mm 1:3.5 F8 1/250 DELTA100

 斜光状態なのでコントラストが高めになっています。中央の地面は落ち葉が白く輝いており、飛び気味です。左右にある2本の木の幹は日陰になっていますが、ぎりぎりディテールが見て取れる感じです。

ネガ現像とリバーサル現像の比較

 同じフィルム(イルフォード DELTA100 PROFESSIONAL)で撮影し、普通にネガ現像したものとリバーサル現像したものとで違いがあるかということで、下の写真はネガ現像したものです。

▲Mamiya 6 MF G 50mm 1:4 F8 1/60 DELTA100

 電話ボックスを撮影したもので、同じ場所や同じ条件で撮影したわけではないので比較しにくいですが、ネガ現像したほうが黒の締まりが強いように感じます。光の条件が違うのでそう感じるのかもしれませんが、現像による影響もあるかも知れませんし、スキャナで読み取る際はネガ設定とポジ設定と異なりますので、その影響も考えられます。
 やはり、リバーサル現像の方が難しく、扱いを慎重にやらないと良い結果が出ないようです。

 参考に、リバーサル現像とネガ現像した写真の部分拡大を掲載しておきます。
 下の写真の1枚目がリバーサル現像(新宿住友ビル)の天井部分を拡大したもの、2枚目がネガ現像(電話ボックス)の自転車のハンドル部分を拡大したものです。

▲新宿住友ビルの写真の部分拡大
▲電話ボックスの写真の部分拡大

 粒状感やシャープネスなどに大きな違いは感じられません。

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 手間のかかるリバーサル現像ですが、スリーブをライトボックスで観賞できるのは便利です。それ以外にリバーサル現像するメリットはほとんど思いつかないのですが、いつもとは違うフィルムで撮影したような気持ちになれるので、気分転換にはなるかも知れません。

(2022年2月4日)

#イルフォード #ILFORD #モノクロフィルム #リバーサル現像

イルフォードもコダックも値上げ! フィルムはどこまで高くなるのか?

 昨年(2021年) 末、銀塩カメラの愛好者にとっては極めて衝撃的なニュースが飛び込んできました。2022年の早いうちに、イルフォードもコダックもフィルムをはじめとした写真用品の値上げをするという内容です。詳細はわかりませんが、今でも十分に高いのに更に高くなるということで、ずいぶん暗い気持ちになったものです。

 2022年1月現在の主なフィルムの価格を調べてみました。いずれも東京の大手カメラ店での実売価格(税込)です。

 【イルフォード 135フィルム(35mm判) 36枚撮り】

   モノクロ HP5(ISO400) 990円
   モノクロ FP4(ISO125) 990円 
   モノクロ DELTA400(ISO400) 1,320円
   モノクロ DELTA100(ISO100) 1,210円
   モノクロ DELTA3200(ISO3200) 1,580円

 【イルフォード 120フィルム(ブローニー判)】

   モノクロ HP5(ISO400) 990円
   モノクロ FP4(ISO125) 990円 
   モノクロ DELTA400(ISO400) 1,150円
   モノクロ DELTA100(ISO100) 1,100円
   モノクロ DELTA3200(ISO3200) 1,370円

 【コダック 135フィルム(35mm判) 36枚撮り】

   モノクロ トライX400(ISO400) 2,120円
   モノクロ T-MAX400(ISO400) 2,270円 
   モノクロ T-MAX100(ISO100) 2,080円
   カラーネガ ColorPlus(ISO200) 1,050円
   カラーネガ PORTRA800(ISO800) 3,060円
   カラーネガ PORTRA400(ISO400) 13,740円(5本パック)
   カラーネガ Ektar100(ISO100) 2,490円
   リバーサル E100(ISO100) 4,110円

 【コダック 120フィルム(ブローニー判) 5本パック】

   モノクロ TRI-X400(ISO400) 11,000円
   モノクロ T-MAX100(ISO100) 7,710円
   モノクロ T-MAX400(ISO400) 11,000円
   カラーネガ PORTRA800(ISO800) 16,180円
   カラーネガ PORTRA400(ISO400) 13,290円
   カラーネガ Ektar100(ISO100) 11,930円
   リバーサル E100(ISO100) 14,700円

 参考までに富士フイルムの価格です。

 【富士フイルム 135フィルム(35mm判) 36枚撮り】

   モノクロ ACROS100Ⅱ(ISO100) 1,040円
   カラーネガ FUJICOLOR100(ISO100) 1,080円 
   カラーネガ SUPERIA PREMIUM 400(ISO400) 1,350円
   リバーサル PROVIA100F(ISO100) 1,760円
   リバーサル Velvia50(ISO50) 2,030円

 【富士フイルム 120フィルム(ブローニー判)】

   モノクロ ACROS100Ⅱ(ISO100) 1,040円
   リバーサル PROVIA100F(ISO100) 5,550円(5本パック)
   リバーサル Velvia50(ISO50) 5,710円(5本パック)

 こうしてあらためてフィルムの価格を見てみると、つくづく高いと感じます。特にコダックの製品が際立っているように思います。極めつけは35mm判リバーサルフィルムのE100で、1本4,000円を超えているという驚くべき価格です。アメリカの人件費高騰による影響が大きいともいわれていますが、実際のところはよくわかりません。
 フィルムの需要が激減している現実からすると致し方ない気もしますが、値上げ幅は20%以上という話しもあり、35mm判のフィルム1本が軒並み2,000円という時代になるのではないかと思わずにいられません。
 もちろん、ここに掲載したフィルム以外に格安の製品がありますので、それらも同様に値上げになるのかどうかはわかりません。

 一方で、若い世代を中心にフィルムカメラを使う人が増えているという話しも聞きます。これまでフィルムカメラなど使ったことがないけど、フィルム写真の雰囲気が良いとか、インスタ映えするとか、フィルムカメラ自体がかっこいいとか、いろいろな理由があるようです。富士フイルムの「写ルンです」の売上げが好調なのも、こういった理由かもしれません。

 理由はともかく、フィルム人口が増えてくれるのはありがたいことです。私もときどき、中古カメラ店に足を運ぶことがありますが、確かに20代くらいの若い人を見かけることが増えた気がします。「これからフィルムカメラを始めたいので」と言って、お店の方に相談しているのを耳にしたことが何度もあります。しかも、女性のお客さんを見かけるようになったのは驚きです。数年前までは、中古カメラ店と言えば中高年以上のおっさんの姿しかなかったのですから。

コンパクトカメラの売行きが好調らしい

 しかし、これからフィルムカメラを始めようとしている方にとって、現在のフィルムの価格はべらぼうな値段に感じるのではないかと思います。加えて、現像料金がかかります。初めてフィルムで撮ろうという人が、いきなり自家現像するというのはゼロではないにしても極めて少数派だと思われますので、現像料金もバカになりません。
 カメラ自体は中古カメラ店でリーズナブルな値段で購入できたとしても、フィルム代や現像代がランニングコストとして重くのしかかってきます。家庭用のインクジェットプリンターとインクカートリッジの値段の関係に似た構図になっています。

 今回掲載した35mm判の中でいちばん安いフィルムを使っても、一回シャッターを押せばフィルム代と現像代を合わせて60円ほどがかかるわけで、最も高いコダックのリバーサルフィルムE100を使いようものなら、1カットあたり160円ほどにもなってしまいます。
 デジタルカメラのように機材を揃えるのに費用はかかっても、その後のランニングコストはほとんどかからないというのであれば気にせずにバシバシ撮れますが、フィルムだとなかなかそういうわけにはいきません。まさに「一球入魂」といった感じでシャッターを押すことになります。
 逆にそれが新鮮でいいという意見をお持ちの方もいらっしゃるようですが、それにしてもランニングコストは安いに越したことはありません。

 フィルム価格の高騰は簡単に言えばフィルム需要が激減しているからなのでしょうが、さらに価格が上がれば需要は一層減り、今でも負のスパイラルに入っているのに、ますます深まってしまいます。
 とはいえ、今の状況で需要が拡大することは到底望めません。フィルムカメラに興味を持つ若い世代の人が増えたといっても、下がってきた需要を回復できるほど多くの人が興味を持ってくれているとも思えません。

 私は主にリバーサルフィルムを使用していますが、ここ数年、消費するフィルムの数が減ってきています。年間に撮影に出かける回数は特に減っておらず、むしろ増えていると思うのですが、使うフィルム数は減っています。
 これは、従来は同じ場所で何カットも撮影したのですが、最近は2カットとか3カット、少ないときは1カットしか撮らないので、結果として消費量が減っているわけです。その理由は、複数カットを撮っても廃棄に回ってしまうものがあってもったいないということと、やはりフィルムの価格が上がったということが大きく影響しています。致し方ないことだとは思いながらも、自分自身も負のスパイラルを加速している一人なんだという思いもあります。

 今回のイルフォードやコダックの値上げのニュースを聞いて思ったのは、このままフィルム価格が上がり続けて、いくらになるまで自分はフィルムを使い続けていられるんだろう、いくらになったらフィルムをあきらめるのだろうということです。例えば、今の価格の2倍になったらあきらめるかというと、そうとも思えません。「もう少し、もう少し...」とあがきながら細々と使い続けているんだろうなと思います、たぶん...

 話は変わりますが、最近、若い女性が二眼レフカメラや中判カメラを首から下げて、街中を歩いている姿を見かけることが多くなりました。たぶん、スナップを撮っているのではないかと思われるのですが、妙にカッコ良くて思わず見入ってしまうことがあります。どんなフィルムを使っているのか、もちろん尋ねたこともありませんが、とても応援したい気持ちになります。
 前出のフィルムに興味を持った若い世代もそうですが、こういう方々がフィルム価格の高騰が理由で、せっかく踏み入れたフィルムの世界から足を洗ってしまうことがないようにと願うばかりです。

二眼レフカメラや中判カメラを持ち歩いている人を見かけることも

 この先フィルムがどうなっていくのか、私などには全くわかりませんが、すぐになくなるとも思えません。市場では中古カメラの価格が下がるどころか、むしろ上がっているようにも感じます。私には不思議な現象に思えるのですが、中古価格の高騰がフィルムの足を引っ張ることにならなければ良いがと思っています。

 それにしても値上げは痛い! これ、本音です。

(20221年1月14日)

#イルフォード #ILFORD #コダック #KODAK

大判写真と35mm判写真は何がどのように違うのか

 私は風景を撮る機会が多いので、大判カメラ(主に4×5判)を使う頻度も高くなります。カメラはでかいし、撮影に手間がかかり著しく機動性に欠けるし、フィルムや現像などコストはかかるし、デメリットばかりが目立ってしまいがちですが、仕上がった大判写真の美しさや迫力は、数々のデメリットを補って余りある魅力があります。
 写真としての出来不出来は大判だろうが35mm判だろうが関係なく、大判だから良い写真が撮れるわけではありませんし、もちろん35mm判でも良い写真は撮れます。ですが、大判と35mm判とでは明らかに異なる点がいくつかあります。今回はその違いについて触れてみたいと思います。

フィルムサイズの違いとその影響

 35mm判と大判で最もわかり易い明確な違いは、言うまでもなく一目瞭然、フィルムのサイズです。実際に画像が記録される大きさは、

  35mm判 : 36mm × 24mm
  4×5判  : 121mm × 95mm

 で、面積比でいうと4×5判は35mm判の約13.3倍になります。
 アスペクト比(縦横比)が異なりますが、4×5判の対角の長さは35mm判の約3.56倍になります。

 フィルムをデジカメの撮像素子のような画素数で表現することはあまり意味があるとは思いませんが、比較をするうえで数値化したほうがわかり易いので、あえて画素数で表してみます。
 富士フィルムが公開しているデータシートによると、リバーサルフィルムVelviaの場合、解像力は80~160本/mmとなっています。コントラストが非常に低いときで80本/mm、高コントラスト時で160本/mmということですので、中間の値をとって120本/mmとして計算してみます。

 この「解像力」の意味ですが、120本/mmとは、1mmの幅の中に120本の線を識別できるということです。したがって、最低でも240画素以上が必要ということになります。
 この値をフィルムのサイズにかけ合わせると以下のようになります。

  35mm判 :  36mm × 240本/mm × 24mm × 240本/mm
       = 8,640dot × 5,760dot
       ≒ 4,977万画素

  4×5判 :  121mm × 240本/mm × 95mm × 240本/mm
       = 29,040dot × 22,800dot
       ≒ 6億6,211万画素

 では、この画素数の違いが、写真にとってどの程度の影響があるかということを試算してみます。35mm判と4×5判ではアスペクト比が違うので、横置きの場合の水平方向(長辺)を対象に進めます。

 いま、35mm判カメラに焦点距離50mmのレンズをつけて、5m先の被写体にピントを合わせることを想定してみます。水平方向の長さ36mmのフィルムに対して焦点距離50mmのレンズですので、水平画角は39.6度になります。
 4×5判のフィルムでこれと同じ水平画角となるレンズの焦点距離は168mmです。実際に168mmなどという中途半端な焦点距離のレンズはないと思いますが、便宜上、この値で話を進めます。
 下の図を参照してください。

 上の図から分かるように、5m先にある被写体を、水平画角39.6度でとらえた時、フィルムに写る水平方向の長さは3.6m(3,600mm)です。
 この3.6mを、35mm判では8,640dotで、4×5判では29,040dotで記録するわけですから、それぞれの分解能は以下のようになります。

  35mm判 : 3,600mm ÷ 8,640dot = 0.417mm/dot
  4×5判 : 3,600mm ÷ 29,040dot = 0.124mm/dot

 つまり、5m先にある被写体について、35mm判では最小で0.417mmまで識別でき、4×5判では最小で0.124mmまで識別できるということになります。言い換えると、35mm判が1ドットで記録される範囲を、4×5判は約3.36ドットで記録されるということです。
 これは、数値上からは5m先にいる人の指の指紋が識別できる解像度ですが、実際には指紋のコントラストはそんなに高くないと思いますので現実的には無理ではないかと思われます。

 また、色が変化しているような場合、4×5判の方が色の変化を滑らかに記録できることになります。35mm判で画素と画素の間の色の変化を、4×5判では3.36段階に分けて記録されるわけですから、滑らかさの違いは想像に難くないと思います。
 画素数が多いことで細部まで記録できるのはもちろんですが、写真を見た時に、35mm判に比べて4×5判で撮った写真の方が階調が豊かに感じられるのはこのような理由ではないかと思います。

 なお、実際にはレンズによっても左右されると思いますが、ここではレンズによる影響は考慮していません。

被写界深度の違いとその影響

 フィルムサイズ(画素数)の違いの次は被写界深度の違いです。
 上と同じ条件(35mm判に焦点距離50mmのレンズ、4×5判に焦点距離168mmのレンズをつけ、5m先の被写体を対象)のときの被写界深度を比較してみます。

 被写界深度の計算式(近似式)は以下の通りです。

  前側被写界深度 D₁ = a²εF / (f² + aεF)
  後側被写界深度 D₂ = a²εF / (f² - aεF)

 ここで、
  a :被写体までの距離[mm]
  ε:許容錯乱円[mm]
  F :絞り値
  f :レンズの焦点距離[mm]
 です。

 許容錯乱円は35mm判の場合、0.022~0.028mmの値が使われていることが多いようなので、ここでは中間の値の0.025mmを用いることにします。
 上の式に、a = 5,000、ε = 0.025、f = 50、および、f = 168、絞り値Fには大判レンズの開放値として多く採用されているF = 5.6をあてはめてみます。

 まず、35mm判、焦点距離50mmのレンズの場合です。

  前側被写界深度 = 5,000×5,000×0.025×5.6 / (50×50 + 5,000×0.025×5.6)
          = 1,094mm

  後側被写界深度 = 5,000×5,000×0.025×5.6 / (50×50 – 5,000×0.025×5.6)
          = 1,944mm

 続いて、4x5mm判、焦点距離168mmのレンズの場合です。

  前側被写界深度 = 5,000×5,000×0.025×5.6 / (168×168 + 5,000×0.025×5.6)
          = 121mm

  後側被写界深度 = 5,000×5,000×0.025×5.6 / (168×168 – 5,000×0.025×5.6)
          = 127mm

 この結果から分かるように、同じ絞り値F5.6の場合、35mm判(f=50mmレンズ)の被写界深度は3,038mmですが、4×5判(f=168mmレンズ)の被写界深度はわずか248mmしかありません(いずれも前側被写界深度と後側被写界深度を加算した値です)。

 ピントが合っているように見える範囲は、35mm判は4×5判の12倍以上あるわけですから、写真を見た時に明らかに違いが感じられます。4×5判ではピントの合っている範囲がごく一部であっても、35mm判だとかなり広範囲にピントが合っているように見えるはずです。この被写界深度の違いはフィルムサイズの違いによる影響よりもはるかに大きなインパクトを与えます。

 被写界深度は絞り値に影響を受けるので、4×5判(f=168mmレンズ)で35mm判(f=50mmレンズ)と同じだけの被写界深度を稼ぐには絞り値をどれくらいにすればよいかを計算してみます。

 上で示した被写界深度から絞り値Fを求めるように変形します。

  絞り値 F = ( (a²ε/D₁f²) - (aε/f²) )⁻¹

 この式に、35mm判(f=50mmレンズ)の前側被写界深度 D₁=1,094 を当てはめて計算すると、

  絞り値 F = ((5,000×5,000×0.025 / 1,094x168x168) – (5,000×0.025 / 168×168))⁻¹
       = 63.24

 となり、F64まで絞ると、35mm判(f=50mmレンズ)のF5.6とほぼ同じ被写界深度になることがわかります。

 なお、許容錯乱円の値を35mm判と同じ0.025mmを用いましたが、4×5判からプリントする場合は35mm判に比べて拡大率が低いので、一般には許容錯乱円の値も35mm判よりも大きな値(0.08~0.1)を使うことが多いようです。しかし、フィルム上での比較ということで、ここではあえて同じ値で計算しました。

 適当な作例がありませんが、ストックの中から探してきました。
 1枚目が4×5判に焦点距離210mmのレンズをつけて撮ったもの、2枚目がAPSサイズのデジカメで焦点距離40mm近辺で撮ったものです。

▲4×5判 210mm F8 1/30
▲APSサイズ 約40mm F8 1/20

 2枚のフレーミングは少しずれていますが、おおよそ同じ位置から撮っています。ツツジまでの距離は4~5mといったところです。絞り値はいずれもF8で、4×5判で210mmレンズと、APSサイズで40mmレンズの画角はほぼ同じです。
 風が強くてかなり被写体ブレを起こしていますが、今回はそこは無視してください。

 4×5判の方は後方の白樺の木がほとんどボケていますが、デジカメの方はかなり後方まで鮮明に写っているのがわかると思います。
 同じ被写体、同じ構図ですが、写真を見たイメージはずいぶん違うと思います。

ボケの大きさの違いとその影響

 3点目の違いはボケの大きです。ここでいうボケとは、ピントが合っていないところのボケの大きさをいいます。
 ここでも上と同じ条件(35mm判に焦点距離50mmのレンズ、4×5判に焦点距離168mmのレンズをつけ、5m先の被写体を対象)のときに、無限遠のボケの大きさがどれくらい異なるのかを試算してみます。

 まず、ボケの大きさはレンズの絞り値によって決まります。
 レンズの焦点距離 f、絞り値 F、そして有効径 Dの間には次のような関係式が成り立ちます。

  絞り値 F = f/D

 よって、レンズの有効径は、

  有効径D = f/F

 上の式に、焦点距離50mm、および168mm、絞り値5.6をあてはめてレンズの有効径を求めると、

  50mmレンズの有効径 = 50 / 5.6
            = 8.928mm

  168mmレンズの有効径 = 168 / 5.6
             = 30mm

 となります。

 これを図に表すとこうなります。

 上の図で、ピントの合っていないところがボケの大きさを表すことになるわけですが、絞り値が等しければ光軸に平行に入ってきた無限遠光は同じところに焦点を結ぶので、ボケの大きさも等しくなります。

 では、この状態から5m先の被写体にピントを合わせた場合のレンズの位置を計算してみます。

 レンズの焦点距離 f、レンズから被写体までの距離 a、レンズから撮像面までの距離 bの間には次のような関係があります。

  1/a + 1/b = 1/f

 よって、

  1/b = 1/f - 1/a

 この式に、a = 5,000、f = 50、および、f = 168 をあてはめると、

  50mmレンズ 1/b = 1/50 – 1/5,000
        b = 50.505mm

  168mmレンズ 1/b = 1/168 – 1/5,000
        b = 173,841mm

 となります。
 すなわち、無限遠からの繰出し量が50mmレンズの場合は0.505mm、168mmレンズだと5.841mmということです。
 レンズが前に繰り出した分、無限遠はボケることになります。

 次に、無限遠のボケ径は次の式で求められます。

  ∞ボケ径 d = F²/F(a - f)

 この式に、絞り値 F = 5.6、被写体までの距離 a = 5,000、焦点距離 f = 50、および、f = 168 をあてはめると、

  50mmレンズ∞ボケ径 = 50×50 / 5.6x(5,000 – 50)
            = 0.090mm

  168mmレンズ ∞ボケ径 = 168×168 / 5.6(5,000 – 168)
             = 1.043mm

 となり、5m先にピントを合わせた時の無限遠のボケの大きさは、35mm判(f=50mmレンズ)に対して4×5判(f=168mmレンズ)は約11.6倍にもなります。これは被写界深度の違いと同様で、写真を見た時に35mm判と4×5判では明らかに印象が異なります。同じ画角で同じ範囲を写しても、35mm判に比べて4×5判の方が急激に、しかも大きくボケていくことがわかります。

 では、焦点距離168mmのレンズの無限遠のボケ径が、50mmレンズと同じ大きさ(0.09mm)になるにはどれくらいまで絞ればよいかを計算してみます。

 上の式から、絞り値 F は次のように求めることができます。

  絞り F = f²/ d(a - f)

 ここにそれぞれの値をあてはめると、

  絞り F = 168×168 / 0.09x(5,000 – 168)
      = 64.9

 となり、およそF64まで絞ると50mmレンズのボケ径とほぼ同じになることがわかります。

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 このように、4×5判で撮影した写真は、撮像面の大きさによる画像の鮮明さや階調の豊かさに加え、被写界深度の違いやボケの大きさの違いによって、同じ範囲を写した写真でも35mm判の写真とは全くイメージの異なる画になります。
 どの範囲にピントを合わせ、どのようにボケを取り入れるかなどは作画意図によって変わってきますが、大判写真というのは豊かな階調やボケの大きさなどの要素が合わさり、非常に奥行きのある画になるという特徴があると思います。

 一方で、被写界深度が深ければピントの合う範囲が広いので、全体として締まりのある感じになるでしょうし、浅ければ被写界深度を稼ぐために苦労するかもしれませんが、その反面、主張したいところだけを浮かび上がらせることができます。どちらがより良いということではなく、35mm判なり4×5判なり、それぞれの特性を活かした作画をすべきなんだろうと思います。

 また、今回は35mm判と4×5判が同じ画角になるようにそれぞれ、50mm、168mmの焦点距離のレンズで試算しましたが、35mm判のカメラに168mmの焦点距離のレンズを付けても被写界深度やボケの大きさに関しては4×5判で計算した値と同じになります。
 ただし、写る範囲がぐっと狭まりますので、出来上がる写真のイメージはまったく違うものになります。

 大判写真というのは単にフィルムが大きいので綺麗に写るということだけでなく、35mm判とは大きく異なる要素がいくつかあります。そういったことを理解したうえで構図をどうするか、どのように撮影するかということを考えるのも大判写真の楽しさかもしれません。

(2021年8月22日)

#レンズ描写 #写真観

現像済みのフィルムの経年劣化と保管

 フィルムを使っていると、撮影前のフィルムの保管、撮影後から現像するまでの保管、そして現像後のフィルムの保管と、常に「保管」をどうするかということがついて回ります。
 フィルムをデータ化されている方も多いと思いますが、やはり、せっかく撮った写真をフィルムの状態で残しておきたいというのが正直な気持ちです。
 そこで今回は、現像後のフィルムの経年劣化や保管方法について触れてみたいと思います。

ビネガーシンドローム

 ネガにしてもリバーサルにしても現像後のフィルムというのは、スリーブに入ったまま箱などに放り込まれ、長年にわたってそのままの状態で保管されっぱなしということが多いのではないかと思います。いったんプリントしたり電子化したりした写真のネガやポジはそれほど頻繁に使うものではないので、以降は日の目を見る機会が非常に少なくなります。
 ある日、ふと思いついたように現像済みのフィルムを保管しておいた箱を開けてみたら、ツーンとする酢のような臭いがしたという経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないかと思います。

 これは一般に「ビネガーシンドローム」と呼ばれており、フィルムが高温多湿の密閉された状態に長期間置かれていたことによる劣化で、フィルムのベース素材が空気中の水分と結びついて変質(加水分解)していく現象と言われています。
 初期の段階は酢のような臭い(酢酸臭)だけですが、進行するとフィルム表面がべとつきはじめ、さらに進行するとフィルムがワカメのように波打ったりカールしたりしてしまいます。
 ビネガーシンドロームが一度起きてしまうと、修復することはもちろん、完全に進行を止めることもできません。
 保管してある箱を開けただけでは臭いがわからなくても、スリーブからフィルムを抜き出して鼻を近づけたときに、ふんわりと酢の臭いがしたら、既にビネガーシンドロームが始まっている証拠です。

 このビネガーシンドロームは、セルローストリアセテートという素材で作られたフィルムに起きる現象のようで、ポリエステル製のフィルムでは発生しないようです。
 富士フィルムのデータシートを調べてみたところ、カラーネガ、モノクロ、リバーサルのいずれも35mmフィルム、およびブローニー(120、220)フィルムはセルローストリアセテートが使用されており、シートフィルム(4×5、8×10)に関してはポリエステル素材を使用しているとのことでした。
 すなわち、シートフィルム以外はビネガーシンドロームの呪縛からは逃れられないということになります。

退色と黄変

 ビネガーシンドロームと同じくらい避けがたい経年劣化が「退色」と「黄変」です。
 退色は色が抜けていってしまう現象で、退色前と比べるとずいぶんあっさりした色合いになってしまいます。ネガは見ただけではわかりにくいですが、プリントすると良くわかります。

 下の写真はおよそ35年前にカラーネガフィルム(フジカラー)で撮ったものですが、退色してしまった例です。

▲退色の例 カラーネガフィルムにて撮影

 モノクロ写真ではないかと思えるほど、あっさりした色になってしまっています。退色前のものと比較するまでもなく、誰が見ても退色しているのは明らかです。

 そして、退色よりも発生頻度が高いのではないかと思われるのが黄変です。黄変も退色の一つかもしれませんが、画全体、もしくは一部分が黄色く変色してしまう現象です。青が抜けて(退色)しまうことで黄色くなってしまうようですが、ネガを見ただけではわからず、プリントしたりスキャンして初めて黄変に気がつくことが多いです。

 同じく、およそ35年前にカラーネガフィルムで撮った写真ですが、見事なまでに黄変しています。

▲黄変の例(1)  カラーネガフィルムにて撮影

 青い色が抜けてしまい、補色となるなる黄色が目立ってくるのだと思います。
 また、同じころに撮影したものでも、あまり黄変が生じていないスリーブもあります。スリーブによって出たりでなかったりしているので、フィルムの違いとか現像処理の影響とかがあるのかもしれません。

 黄変がそれほど感じられない写真でも、拡大してみると黄変が発生しているものもたくさんあります。
 下の写真はパッと見では比較的黄変は少なく感じます。

▲黄変の例(2)  カラーネガフィルムにて撮影

 しかし、上の空の部分を拡大してみると、こんな感じです。

▲黄変の例(2) の部分拡大

 斑点のように黄色が広がっているのがわかると思います。たぶん、あと何年かすると真っ黄色になってしまうと思われます。

リバーサルフィルムは退色に強い

 カラーネガフィルムに比べてリバーサルフィルムは退色や黄変に対して非常に強い印象です。
 下の写真は36年前にリバーサルフィルム(フジクローム)で撮影したものです。

▲リバーサルフィルムにて撮影

 若干の退色は認められますが、変色はほとんど感じられません。
 保管条件はほとんど同じですので、リバーサルフィルムの方がはるかに劣化に対する耐性が強いのがわかります。
 私は圧倒的にリバーサルフィルムを使うことが多いのですが、カラーネガのように退色や変色で手に負えなくなったということがありません。

私流、フィルム劣化の防止と保管方法

 残念ながらフィルムの経年劣化を完全に防止することは不可能と思われます。一説には冷凍保存すれば良いという話しもあります。確かに、何十万年も前に死んだマンモスが永久凍土から発見された例があるくらいなので、フィルムも冷凍保存すれば劣化は防げるかもしれませんが、再利用することはあきらめねばなりません。

 しかし、ビネガーシンドロームにしろ退色にしろ、進行を遅らせることはある程度可能だと思います。高温と高湿と光をどれだけ防ぐことができるかによって、劣化の速度はずいぶん変わるといわれていますので、冷凍保存とは言わないまでも、冷蔵庫で保存することができればかなり効果的だとは思います。しかし、保管するフィルム量が多くなると個人でそれを行なうのは結構ハードルが高いと思います。

 また、日の当たらない、比較的涼しい場所で保管することは大切ですが、スリーブに入れっぱなしというのはあまり好ましくないと思っています。特に、ビネガーシンドロームを発症している状態だと、フィルムとスリーブがくっついてしまい、使い物にならなくなってしまう可能性があります。

 私は、重要なフィルムについてはスリーブを使わず、中性紙に挟んで保管しています。「ピュアガード」という製品名で販売されている中性紙があるのですが、これをフィルムの幅に切り、蛇腹状に折って、ここにフィルムを挟んでいます。
 下の写真はブローニーフィルムの例です。

▲中性紙を用いたフィルムの保管(ブローニーフィルム)
▲ピュアガード

 これを同じく中性紙で作られた箱に入れて保管しています。
 ビネガーシンドロームの予防には通気性も重要だと言われていますので、スリーブのようにフィルムと密着することもなく、通気性も多少は改善されると思います。
 そして、普通に市販されているキャビネット(金属製)に入れておくだけですが、キャビネットの天井にパソコンに使われているような冷却ファンを2個、取り付けてあります。これでキャビネット内の空気を常に入れ替えるようにしています。キャビネット内には光が入らないので、フィルムを入れた箱には蓋をしてありません。

 この方法でどれくらいの効果があるのか、定量的なデータは持ち合わせておりませんが、いま手元にある最も昔に撮影したフィルムを見る限り、退色はあるものの、ワカメ状態になっているものやカールしているものは確認されていません。ただし、鼻を近づけるとわずかに酢の臭いがするものがあります。やはり、ビネガーシンドロームは進行していると思われます。
 因みにいちばん古いのはカラーネガフィルムで、1983年4月の撮影ですから、今から38年前ということになります。

 それでは、何年くらいすると酢の臭いがしてくるのか、保管してあるカラーネガフィルムを一年ごとに遡って臭いをかいでみました。
 その結果、2002年6月に撮影したフィルムからかすかに酢の臭いが感じられました。今から19年前になります。これがさらに5年ほど遡る(24年前)と、酢の臭いはだいぶはっきりとしてきます。

 一方、リバーサルフィルムからは酢の臭いがしません。手元にあるリバーサルフィルムで最も古いのが37年前に撮影したものです。
 富士フィルムの資料を見る限り、フィルムベースの素材はネガフィルムと同じセルローストリアセテートですので、同様にビネガーシンドロームが起きると思われるのですが、不思議です。
 なお、私の嗅覚は「並」だと思います。念のため。

ビネガーシンドロームと退色の修復

 ビネガーシンドロームでカールしたりワカメ状になったフィルムは、80度くらいの温度をかけながら加圧することでフィルムから水分を除去し、平面性を保つことができるという事例があるようです。まるでアイロンをかけるようですが、私は実際に試したことはありません。興味のある方は検索してみてください。
 カールしている程度なら直るかも知れませんが、ワカメ状になっていたり、フィルムベースが傷んでしまっているような場合、修復は無理ではないかと思います。

 また、退色や変色については、フィルム上で色を取り戻すことは不可能ですが、スキャンしてデータ化した後にレタッチソフト等である程度復元することはできます。しかし、これは私も何度かやったことはありますが、やり方が下手なのか、やはり色が不自然になってしまい好ましい結果は得られません。特に黄変してしまったネガは手に負えないといった感じです。

 フィルムが劣化する前にデータ化しておくのが最も効果的な方法かもしれませんが、これまでに撮りためた膨大な量のフィルムをすべてデータ化するとなると、まさにライフワークになってしまいそうです。
 さらに、データが壊れたり消えたりしたときの対策まで考えると、これまた大変な作業になりそうです。

 修復については機会があれば別途掲載したいと思います。

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 今回ご紹介した保管方法は一般的に認証されているわけでもなく、あくまでも個人的に試みている方法であり、その効果性については不明です。効果を定量的に測定するためには比較が必要ですが、近いうちに保管条件を変えた実験をしてみたいと思います。ただし、結果が出るまでに何年もかかると思われますので、ご紹介できるかどうか..

(2021年8月16日)

#カラーネガフィルム #リバーサルフィルム #保管

カラーリバーサル 1コマあたりのコストはこんなに高い!

 私が写す被写体は風景が多く、使うフィルムの中で圧倒的に使用頻度が高いのがカラーリバーサルフィルムです。以前はリバーサルフィルムの種類も豊富でしたが、今では5本の指で余るくらいに銘柄が減ってしまいました。
 追い打ちをかけるように近年、フィルム自体の価格が高騰し、現像料金も驚くほど高くなりました。モノクロは自家現像するのですが、カラーリバーサルは何度やってもラボに依頼したようなきれいな色が出ないので、料金が高くても依頼することになってしまいます。

 実際に、カラーリバーサルで撮影した場合、いかほどの費用が掛かっているのか、今更ながらですが、リバーサルフィルムの中でも特に良く使用する富士フイルムの「PROVIA 100F」について調べてみました。なお、記載の金額は2021年7月時点のものです。カメラ店によって多少の違いはあるかも知れませんが、私が良く利用している大手カメラ店での金額を採用しています。

▲ 左上:67判  右上:4×5判  下:135

 現在、PROVIA 100Fには135(35mm)、120(ブローニー)、4×5、8×10の4種類がラインナップされています。
 まず、フィルム自体の価格は以下の通りです。いずれも最小販売単位の実売価格です。

  ・135-36(36枚撮り)  1,760円/本
  ・120(5本パック)   5,550円/箱
  ・4×5(20枚入り)   13,900円/箱
  ・8×10(20枚入り)   53,350円/箱

 これを1コマあたりにすると以下のようになります。120フィルムについては67判で1本あたり10コマということで計算しています。

  ・135-36(36枚撮り)   48.9円/枚
  ・120(5本パック)    111.0円/枚
  ・4×5(20枚入り)    695.0円/枚
  ・8×10(20枚入り)   2,667.5円/枚

 そして、ここに以下のような現像料金がかかってきます。135と120は1本、4×5と8×10は1枚が最小現像単位になります。

  ・135-36    1,493円/本
  ・120      1,313円/本
  ・4×5      377円/枚
  ・8×10    1,609円/枚

 現像料金もフィルムの価格と同様に1コマあたりにすると、

  ・135-36    41.5円/枚
  ・120    131.3円/枚
  ・4×5    377.0円/枚
  ・8×10   1,609.0円/枚

 となります。

 よって、フィルムの価格と現像料金を合わせた1コマあたりのコストは以下のようになります。

  ・135-36   90.4円/枚
  ・120    242.3円/枚
  ・4×5   1,072.0円/枚
  ・8×10  4,276.5円/枚

 
 なんと、35mmフィルムでさえ、1コマあたり90円以上という高額です(135の36枚撮りフィルムは37枚撮れるので、もう少し安くなるというご意見もあるかも知れませんが)。
 正確なことはわかりませんが、まだフィルムの需要がそこそこ高く、銀塩全体が元気だった頃(たぶん、7~8年前)に比べると、2倍以上のコストになっていると思われます。

 フィルムサイズが大きくなるとそれに伴って高額になるのは理にかなっていますが、1コマあたりの価格比と有効面積比をみてみると以下のようになります。いずれも135フィルムを1としたときの比率です。

       <価格比> <面積比>
  ・135-36    1      1
  ・120      2.68    4.47
  ・4×5     11.86    13.06
  ・8×10    47.31    54.28

 こうしてみると、面積あたりのコストパフォーマンスが最も高いのが120フィルムということになります。

 と、ここまでは簡単な計算で求められるのですが、ここからが本題になります。
 これは私の経験によるものなので、一般的に通用するかどうかはわかりませんが、という前提で進めさせていただきます。あらかじめご承知おきください。

 フィルムを使った撮影の場合、たとえ失敗であってもフィルムにしっかりと記録され、確実に1コマを消費してしまいます。デジカメのように失敗したものをなかったことにしてしまうわけにはいきません。例えば135の36枚撮りフィルムを使った場合、失敗作でも1コマで90円以上の費用がぶっ飛んでしまいます。8×10に至っては4枚の千円札に侍従までついて、いずれも羽が生えて飛んでいくという悲惨な結果です。

 そう考えると、上で1コマあたりのコストを単純計算しましたが、失敗作や保存しておく価値のない駄作などを差し引いて、最終的に残ったコマ数で算出するのが正しいコストの出し方ではないかと思うわけであります。仮に、36枚撮ったうち10枚が失敗作で、残す価値のあるものが26枚だったとすると、1コマあたりのコストは36で割るのではなく26で割るべきです。そうすると、1コマあたり90円ではなく、125円ほどに跳ね上がることになります。
 もちろん、失敗作だろうが駄作だろうが、大切に残しておきたいということであれば話しは別です。ですが、私の場合、失敗作や駄作は廃棄してしまうのでコストに跳ね返ってきます。

 では、実際に失敗作や駄作がどれくらい発生するかということですが、保管してある撮影済みのポジを少し調べてみました。どれくらいの廃棄が出ているか、ある程度は感覚的にわかってはいましたが、あらためて調べてみたところ、135フィルムで約59%、120フィルムで約11%、4×5フィルムで約3%が廃棄されていました。8×10は撮影枚数が少なすぎてデータが取れませんでした。因みに私の場合、失敗作より駄作の方が圧倒的に多いです。

 廃棄されずに手元に残った枚数で1コマあたりのコストを割り出してみると、

  ・135-36   約221円/枚
  ・120     約272円/枚
  ・4×5   約1,105円/枚
  ・8×10    —

 となります。

 こうしてデータを見てみると、135フィルムではいかに無駄なシャッターを切っていたかということがわかります。結果的に2.4倍ものコストがかかっており、120フィルムのコストに迫る勢いです。
 露出を大幅に間違えたり意図しないブレが生じたりという失敗作はともかく、一応、写真として成立しているものを駄作とするかどうかは本人の主観の問題ですが、あまり考えずにシャッターを切っていたということが歴然としています。
 一方、120や4×5フィルムになると、廃棄に回る数はずいぶん減少します。失敗作が出ないわけではありませんが、35mmフィルムに比べると、コストの上昇率はかなり低く抑えられています。

 こうした結果になる理由はいくつかありますが、まず、中判や大判はそもそものコストが高いので、ここと決めたもの以外はほとんど撮らないということが挙げられます。撮るべき対象物をしっかり見定めて、頭の中で画を組み立てるということをするので、あまり考えずに撮るということがありません。
 また、中判カメラや大判カメラは撮影までの手間がかかるので、画作りにも神経が行き届くという感じがします。特に大判カメラの場合は一発勝負というところがあるので、構図決めにしてもピント合わせにしても露出設定にしても、とにかく慎重に行ないます。
 結果、失敗作や駄作の減少につながるのだと思います。

 しかしながら、35mmフィルムのようにたくさん撮った中から最高のものを選ぶ、ということがなかなかできません。そんなことを中判や大判でやった日にはコストがどれくらいかかるか分かったものではありませんし、何よりもそんなに大量に撮れるほどの機動性がありません。

 まぁ、所詮は自己満足の世界かも知れませんが、中判や大判には写真を撮ったという実感があることも事実です。

 撮影スタイルは人それぞれですから、一枚を大切に撮る人もいれば、瞬間を逃さないためにたくさん撮る人もいると思いますが、私の場合、使用するカメラ、というよりは使用するフィルムのサイズによって無意識のうちに撮影のスタイルが変わっているということです。
 シャッターを切るごとに頭の中で「チャリーン」と音がして、コストが積み上げられていくわけではありませんし、これはと思った被写体に対してはコストのことなど全く無視して撮り続けます。常にコストを気にしながら撮るなどということはしたくありません。

 ですが、こうして1コマあたりのコストをはじき出してみると、つくづく「高いなぁ」と思います。写真に限ったことではありませんが、コストがかかりすぎると控えようと思うのは人間の常です。無い袖は振れないと言いますから仕方のないことですが、これ以上、フィルムの価格も現像料金も上がらないことを願うばかりです。

 それならデジタルにすればいいじゃないか、という声が聞こえてきそうですが、フィルムに拘っている時代錯誤野郎の独り言と聞き流してください。

(2021年8月7日)

#リバーサルフィルム

富士フィルム カラーネガ「PRO400H」販売終了

 2021年1月15日付で富士フィルムから、カラーネガフィルム「PRO400H」の販売終了の発表がありました。いつかは来るだろうとは思っていましたが、正直、「またか!」と思いました。私はカラーネガを使うことは少ないのですが、それでも数少ないフィルムのラインナップからまた一つ、姿を消してしまうということはとても寂しいことです(135は2021年3月、120は2022年3月で終了予定とのこと)。
 同社のカラーネガフィルムが完全になくなってしまうわけではありませんが、フィルムの将来はどうなってしまうのだろうと思わずにいられません。

富士フィルム PRO400H  (富士フィルム株式会社 公式HPより引用)

 最近はフィルム回帰する人が増えているとか、若い人でもフィルムカメラに興味を持つ人が増えているとかいうことを良く耳にします。確かに増えていることは事実なのかもしれませんが、実際のところどれくらい増えているのか、定量的なことは全くわかりませんし、富士フィルムという大企業のフィルム事業を支えられるほど増えているとは到底思えません。
 フィルム事業もビジネスである以上、採算が見込めなければ事業縮小や撤退というのは致し方のないことです。フィルム小売価格の値上げや現像料金の値上げなどをおこなっても製造販売終了の製品が出るということは、多少のユーザーが増えても焼け石に水といった状況なのでしょう。

 フィルム写真全盛期の頃は、カラーネガの現像&同時プリントが60分とか45分とかいう看板があちこちで見られました。撮影済みのフィルムを写真屋さんにもっていけば、1時間後にはプリントが仕上がっているというサービスで、しかもおまけにフィルムがついてくるなんていう状況もありました。最初に1本のフィルムを買えば、あとは一生買わなくても写真が撮り続けられるという、いまから思えば夢のような時代でした。

 すこし調べてみたところ、2000年をピークに写真フィルムの生産量は下がり続け、2010年には6割ほどにまで減ってしまったようです。カラーフィルムに限っては10年間で1/10にまで落ち込んだというデータもありました。その後も減り続けていたようですが、2013年以降のデータを見つけることができませんでした。
 写真フィルム全体では2011年、2012年と前年比で20~30%ずつ減少していたようですから、もしこの状態が10年続いたとすると、昨年2020年にはさらに1/10にまで落ち込んだことになり、2000年と比べると1/16になってしまったということになります。ピーク時の6%ほどにまで落ち込んでしまったところに多少ユーザーが増えたところで、誤差の範囲といったところでしょう。
 また、フィルム代も現像料金も高いので、やたらに撮ることができないという声も良くききます。もっとたくさんフィルムで撮りたいけどコストがかかりすぎて...というのが本音かもしれません。

 PRO 400Hの製造販売終了で、富士フィルムのプロ用と言われるネガフィルムはPRO160NSだけになってしまいます。複数の製品を供給し続けるにはコストがかかりますから、企業としては製品を一本化していこうという方針なのかもしれませんが、それでもフィルムを作り続けてもらえることに感謝です。
 
 とはいえ、2018年に製造販売を終了したモノクロフィルムのACROSも、およそ一年後にACROSⅡとして復活した事例もあります。海外に製造委託をしているとはいえ、富士フィルムのブランドを冠しているわけですから、ACROS復活といっても間違いではないと思います。
 コダックのリバーサルフィルムE100も最初は135だけでしたが、その後、ブローニー(120)、シートフィルム(4×5)が発売されました。
 同じようにPRO400Hも、OEMでもODMでも構いませんので、いつの日か復活してくれることを願ってます。

(2021.1.19)

#カラーネガフィルム #富士フイルム

リバーサルフィルの使用期限

 私はフィルムや現像液などの保管専用に小型の冷蔵庫を使っています。フィルムは適当な量に小分けしてビニール袋に入れ、袋に使用期限を書き込んで保管しており、古いものから使用していくためにときどき冷蔵庫の中のフィルム位置の入れ替えをおこなっています。
 先日、フィルム位置の入れ替えをおこなっていたところ、7年ほど前の日付が書き込まれたフィルムが出てきました。日付の書き間違いかと思って袋を開けて確認しましたが、やはり7年ほど前に使用期限が切れているブローニーのリバーサルフィルムでした。5本入りが4箱(20本)、すでに製造販売が終了して久しいVelbia50の220フィルムでした。何故こんなことが起きてしまったのかわかりませんが、多分、フィルム位置の入れ替えの際に埋もれてしまったのでしょう。まるでセミの幼虫のように7年もの間、暗く冷たいところでひっそりと過ごしていたのかと思うと、なんだかいじらしくなります。もしかして冬虫夏草のようなものが生えていないかと思い確認しましたが大丈夫でした。
 ちなみに、箱には5,480円の値札ラベルが張られたままになっており、いまは220フィルムがなくなってしまったので単純比較はできませんが、現在の120フィルムの5本パックと同じくらいの価格ですから、この7年でフィルムの価格が約2倍になったという感じでしょうか。

Velbia50 220

 フィルムは生ものですので使用期限内に使ってしまうのが望ましいのですが、賞味期限を1~2日過ぎた牛乳を飲んでも何の問題もないのと一緒で、フィルムも保管状況が良ければ使用期限を数か月くらい過ぎたところで大した影響はないと思っています。しかし7年ともなると話しは変わってきます。そんなフィルムを今まで使った経験はありませんし、ネット上には10年、20年と使用期限を過ぎたフィルムを使ってみたというような投稿を見かけることがありますが、やはりあまり古いと色が綺麗に出ないようです。
 7年でどの程度の影響があるのかわかりませんが、現像してみたら駄目でしたということがあると恐ろしいので、きちんとした撮影に使うのはリスクがありすぎます。しかし、20本ものフィルムを捨ててしまうのはもったいないので、1本を使って試し撮りしてみることにしました。

 近所の公園で晴れた日、曇りの日、そして日没間近の夕方と条件を変えて撮影をし、現像に出しました。

 数日後、現像から上がってきたポジを見てびっくり。目視する限り、色に影響が出ているようには見えません。ルーペでも確認しましたが、使用期限内に撮影したポジとの違いはわかりませんでした。Velbia50は超高彩度で鮮やかな色乗りが特徴のフィルムですが、見るからにVelbia50という感じで写っていました。冷蔵庫で保管していたことが良かったのかどうかはわかりませんが、残りの19本のフィルムも多分問題なく使えるものと思われます。この調子だと、10年くらい過ぎても問題なさそうにさえ思えます。
 フィルムが非常にお高い昨今、このような出来事はとてもありがたい(?)ことです。私の脳は自分に都合の良いように考えるらしく、7年前にお金を払って購入したことなどすっかり忘れてしまい、今回の「棚から牡丹餅」のことだけに脳みそが使われているようです。

 私は大量のフィルムを一度に購入してストックして、それを何年も使い続けるということはなく、だいたい1年ほどの間には使い切ってしまいますので、今回のようなことは初めてです。使用期限を7年も過ぎたフィルムでも問題がなさそうというのはあくまでも私の個人的な感覚であって、厳密には乳剤の劣化とかが進んでいるのではないかと思います。また、メーカーが使用期限を設定しているのにはそれなりの理由があるのでしょうから、使用期限内に使ってしまうほうが良いのは当然ですが、それほどシビアな描写を求めるのでなければ、期限切れだからと言って捨ててしまうほどではないと思います。
 今回はリバーサルフィルムでしたので、カラーネガやモノクロフィルムが同じようになるかどうかは不明です。

 ちょっと話がそれますが、フィルムを長期保管する場合は冷凍保存が好ましいといわれています。「長期」というのがどれくらいの期間なのかわかりませんが、私の場合、保存期間は概ね1年程度ですので、冷凍保存は使ったことがありません。フィルムの劣化を防ぐためには冷凍保存のほうが良いのでしょうが、使う際に常温に戻すのに時間がかかってしまうので、お手軽な冷蔵保存にしています。

 7年の眠りから覚めた棚ボタのVelbia50で、2020年の紅葉を撮りに行きたいと思っています。

(2020.10.24)

#富士フイルム #リバーサルフィルム #ベルビア #Velvia

スライドフォトフレームを作ってみました

 フィルムで撮影していると、露出の過不足やカメラブレなどの失敗作がときどき生まれます。また、そういった失敗ではないにしても、写真や作品というにはあまりに駄作というものも量産されてしまいます。デジタルカメラの場合はすぐに確認して、失敗作や駄作は亡き者にしてしまうことができますが、フィルムの場合はしっかりと記録されてしまい、失敗作だろうが何だろうが分け隔てなく現像され、物理的に残ってしまいます。

失敗作でも廃棄できない撮影済みのポジ

 失敗作の多くは廃棄してしまいますが、露出も適正でブレもない、一応写真としては成り立っているものの、どう贔屓目に見ても駄作というコマについてはなかなか捨てることができません。出来の悪い子供ほどかわいいというのに似ているかもしれません。残しておいても一生、日の目を見ることもないだろうと思いながらも捨てられずにどんどん増えていってしまいます。

 日頃からポジはライトボックスで見るのが最も美しいと思っているのですが、ある日、現像から上がってきたポジをライトボックスでチェックしているときに、たまっている駄作ポジに光を当ててやろうと思いつきました。早い話、フォトフレーム(額縁)に駄作ポジを入れ、背面からライトで照らすだけのことですが、これによって駄作も少しは見栄えがするだろうと思ったわけです。
 私の場合、ブローニーの67判での撮影枚数が最も多いので、当然、67判の駄作の枚数もいちばんです。ということで、とりあえず67判のスライドフォトフレームを作ることにしました。

LEDライトを使ってバック照明

 2Lサイズのフォトフレーム(額縁)に合わせてマット紙をカットし、中央に67判ポジより一回り小さな窓を切り抜きます。マット紙の裏側にポジを固定し、乳白色のアクリル板を重ねて固定します。さらに、LED照明を取り付けるための枠を自作し、これをアクリル板に重ねてフォトフレームにはめ込みます。
 LED照明はアマゾンで2,000円ほどで購入。67判だけでなく4×5判にも使えるようにと、LED面がはがきサイズほどのものを選びました。これを先ほどの枠に取付ければ完成です。

スライドフォトフレーム用LED照明

 LED照明を点灯するとこんな感じです。

スライドフォトフレーム(67判)

 当然のことながら、バックライト方式ですので暗いところでも観賞することができます。プリントしたものを見るのと違って透明感や立体感があり、駄作でもずいぶん見栄えが良くなります。馬子にも衣裳という言葉がぴったりです。
 ときどきポジを交換すれば飽きることなく楽しめるかもしれません。
 また、4×5判用のマット紙を作れば4×5のポジも同様に見ることができるので、そのうち作ってみたいと思います。

 量産された駄作ポジ、何とか使い道はありましたが、日の目を見ることができるのはこれまでにたまった駄作のごく一部に過ぎないと思われます。

 余談ですが、駄作はブローニーだけでなく4×5判でも生まれます。しかし、撮影枚数に対する駄作の発生率がブローニーに比べてはるかに低いです。最近はほとんど使わなくなりましたが、以前、35mm判を使っていた時は、ブローニーよりも35mm判の駄作の発生率はずっと高かったです。やはり、フィルムが大きくなるにつれて、撮るときの気合の入れ方が違うのだろうと思います。

(2020.10.17)

#フォトフレーム #リバーサルフィルム