大判カメラ とっても珍しくて、とっても恥ずかしい失敗のあれこれ

 大判カメラは構造も機能もシンプル、かつ、極めてアナログ的であり、撮影には手順を踏んでやらなければならないことがたくさんあります。そのため、ちょっとしたミスが失敗作を生んでしまうこともあるわけですが、以前、そんなミスや失敗について書いたことがあります。興味ある方は下のページをご覧ください。

  「大判カメラの撮影時における失敗のあれこれ」

 この時に書いた内容は比較的起こり易い失敗についてでしたが、今回は、「えっ、こんなことが起こるの!?」と思われるような失敗について書いてみたいと思います。
 いずれも私自身が実際に経験したことで、これまでに1度きりの経験という内容です。本来であれば恥ずかしくてお披露目できるような内容ではないのですが、こんなこともあるんだという参考になればと思います。

レンズキャップを外し忘れて撮影

 レンジファインダーカメラの場合、レンズキャップをつけたままであってもファインダーを覗けば向こうの景色がくっきりと見えるわけですから、レンズキャップを外し忘れて撮影なんていうことが起きても、「あ~、やっちまったな」というくらいで、そのこと自体はそれほど不思議なことだと思いません。

 しかし、大判カメラとなると話は違います。
 大判カメラは後部のフォーカシングスクリーンで構図決めやピント合わせを行なうので、そもそもレンズキャップをつけたままの状態で行なうことはできません。
 にもかかわらず、レンズキャップをつけたままで撮影、という不可解なことをしでかしてしまいました。

 とある東北地方の海岸で、夕日を撮影しようとしていた時にその事件は起きました。

 いつものように構図を決めたりピントを合わせたり、シャッターを切るための準備は滞りなく進んでいました。左手方向から形の良い雲がゆっくりと流れてきていたので、フレーミングの中に入ってくるまでしばらく待つことにしました。
 太陽高度は低くなってきているとはいえ真夏の太陽の光は強いので、レンズのシャッター膜にダメージがないよう、保護のためにレンズキャップを被せて待っていました。
 およそ5分後、お目当ての位置に雲が流れてきたのでシャッターを切りました。手応えのようなものを感じていたのを憶えています。

 撮影行から帰り、フィルムを現像に出してさらに数日後、現像の上がったフィルムを受け取りに行ったところ、「露光されていないフィルムがあったようです」という店員さん。「そんなはずは...」と思いながら袋から紙のフォルダーを取り出してみると、中から皆既日食の観測にも使えそうな真っ黒なフィルムが出てきました。

 何故こんなことになったのか、必死に撮影当時の記憶を巻き戻しながら、「あっ!」と思ったのがレンズキャップを外すのを忘れたまま撮影したことでした。
 もしかて、シャッターを切った後に感じた手応えのようなものはこれだったのかと、自分の感じた手応えとはなんと当てにならないものだと痛感しました。

空っぽのシートフィルムホルダーで撮影

 大判カメラで撮影に行く前には、シートフィルムホルダーにフィルムを1枚ずつ詰めておきます。フィルムホルダーは両面に1枚ずつのフィルムが入るので、一つのホルダーで2枚の撮影ができることになります。そうして、撮影目的や撮影期間などに応じて、必要と思われる数のフィルムホルダーを携行します。

 ある日、日帰りで紅葉の撮影に行きました。
 数日後、現像のあがったフィルムを受け取りに行くと、「フィルムが入っていないホルダーがあったようです」とのこと。フィルムホルダーの引き蓋を抜いてみると確かに中は空っぽです。しかも両面とも。

 大判カメラを使うほとんどの人がしているのと同じように、私もフィルムホルダーに番号を振っておき、撮影後はその番号と撮影データを記録しておきます。
 撮影メモを確認してみると、確かにその番号のホルダーで撮影したことになっています。なぜフィルムが入っていないのか、さっぱりわかりません。

 フィルムホルダーに振ってある番号はユニークにしてあるので、どの番号のホルダーを使っても問題はありません。ですが、私は必ず連番のホルダーを持ち出すようにしています。ばらばらの番号や飛び番で持ち出すことはありません。
 単にフィルムの装填忘れかとも思いましたが、だとしたら未装填のフィルムが残っていなければなりません。

 原因不明のまま忘れかけていた頃、新たにフィルムを装填しようとしたところ、引っかかってうまく入らないホルダーがありました。もしやと思い調べてみると、案の定、中には既にフィルムが入っていました。
 どこで取り違えたのかいまだに良くわからないのですが、たぶん、連番のホルダーの最初の一つを持たず、代わりにフィルムの入っていない連番のホルダーを持ち出してしまったようです。

 フィルムの入っていないホルダーで真剣に撮影していたのかと思うと、とても惨めな気持ちになります。逃した魚は大きい...という太公望と一緒かも知れません。

ロールフィルムホルダーの引き蓋の入れ忘れ

 大判カメラでの撮影といっても必ずしも大判フィルムだけを使うわけではありません。ロールフィルムホルダーにブローニー(120)フィルムを詰めて、それで撮影することもあります。
 ロールフィルムホルダーは67判や69判、パノラマの612判など、何種類ものサイズが用意されているので、撮影意図によってホルダーを変えるということができるのも便利なところです。

 こういった機材を使った場合の撮影手順などは人によって決まったやり方、その人なりの習慣のようなものがあるもので、私の場合、ロールフィルムホルダーの引き蓋は完全に引き抜いてしまわずに、アパーチャー(フィルム開口部)から外れたところで止めておくという使い方をします。

 ところが、過去に一度だけ、引き蓋を全部抜き取って撮影したことがありました。

 房総半島の海岸で4分とか5分という長時間露光撮影をしていた時です。
 たまたま風が強い日でしたので、途中まで抜いた状態の引き蓋が風にあおられてバタバタするため、全部引き抜いて三脚のストーンバッグに入れておきました。

 そして撮影後、その引き蓋を元に戻さずにロールフィルムホルダーをカメラから外してしまいました。
 その時はまったく気がつかず、次のコマを撮影しようとしてロールフィルムホルダーを手に取ったときのことです。
 いつもならアパーチャーのところはステンレス製の引き蓋があり、銀色に光っているのですが、その時は薄茶色のような鈍い色をしたフィルムがむき出しになっているではありませんか。なんか、とってもいけないものを見てしまったときのような後味の悪さです。

 現像後のポジを見て驚きました。むき出しにしてしまったコマがスケスケなのは当然ですが、その前後のコマの半分くらいまで光が回ってスケスケ状態になっていました。都合、3コマ分のフィルムを駄目にしてしまったということです。

NDフィルターをつけ忘れて撮影

 私は滝や渓谷、海など、水のある被写体を撮ることが多く、そのため、NDフィルターを使用する機会も多くなります。3段分の減光効果のあるND8を使うことが多いのですが、長時間露光をするためにND64とかND400を使うこともあります。
 NDフィルターをつけたままだとピント合わせができないので 、構図決めやピント合わせの際は外して行なうことになります。そして、ピント合わせ後にNDフィルターを装着して撮影という手順になります。

 このNDフィルターの装着を忘れるということは普通では考えられないのですが、ある時、測光して露出設定をした直後に光の具合が変わったので測光し直しました。そして、再度、絞りやシャッター速度を設定したことで、NDフィルターの装着をすっかり忘れてしまったことがあります。何ともお粗末な結果です。

 この時に使おうとしていたフィルターはND400という真っ黒なもので、約8.5段分の減光効果があります。ですので、このフィルターをつけ忘れた状態でシャッターを切ると、約8.5段分もの露出オーバーになってしまいます。

 NDフィルターの装着忘れに気がついたのは現像が上がってきた後です。ポジ原版はスケスケ状態でした。撮影直後に気がつけば現像に出すことはなく、フィルムを無駄にするだけで済んだのですが、現像代までも無駄にしてしまいました。

 同じようなことは中判カメラでも起こりうる可能性は考えられるのですが、中判カメラの場合、大判カメラほどやることが多くないので忘れることもないのだと思われます。
 それにしても、スケスケのポジを見た時の、心の中を冷たい風が吹き抜けていくような何とも言えない無力感は忘れられません。

ティルトロックのネジ締め不足でレンズが動いた

 大判カメラはアオリ機構がついてるため可動部分がたくさんあります。当然、それらの可動部にはロックするためのネジがついているのですが、これをしっかり締めておかないとあちこちが簡単に動いてしまいます。とはいえ、何らかの力がかからなければ、勝手に動くことはありません。

 木製の大判カメラを使って撮影していた時のことです。
 手前から奥までパンフォーカスにするため、フロント部をティルトダウンしてピント合わせを終え、フィルムホルダーを差し込み、4秒のシャッターを切った直後のことです。蛇腹がゆっくり伸びていくのが目に飛び込んできました。目を疑いましたが、もはやどうすることも出来ません。

 この時使っていたレンズはフジノンのW 250mm 1:6.3 というレンズです。このレンズ、かなり重いうえに重量バランスが前玉側に大きく偏っています。つまり、レンズボードのところを手で持つと、前玉側が異常に重く感じます。
 このレンズをカメラに取付け、フロントティルトのロックネジを緩めてティルトダウンすると、自身の重さでレンズが前に首を振ってしまいます。もちろん、ロックネジをしっかり締めればそんなことは防げるのですが、どうやらこの時はロックネジの締め方が足りなかったようです。

 1/125秒とか1/250秒という高速シャッターであれば救えたかもしれませんが、4秒の間、ゆっくりと首を振っていったとなると、流し撮りのような写真になってしまうことは容易に想像できます。
 ということで、この時のフィルムはボツになりました。

フィルムホルダーを取り外すときに引き蓋が抜けた

 大判カメラのフォーカシングスクリーンがついている部分はフィルムホルダーを押さえる機能も兼ねています。フィルムホルダーが簡単に動いたり外れたりしては困るので、かなり強いバネの力で押さえつけています。
 フィルムホルダーを装着するときも取り外すときも、このバック部の片側を持ち上げるようにして行ないます。慣れればどうってことはないのですが、そのカメラのクセのようなものがあって、持ち上げる角度が悪かったりすると引っかかってうまく外れないことがあります。

 私の場合、左手でカメラのバック部を持ち上げ、右手でフィルムホルダーの端を持って取り外します。
 以前、冬の景色を撮影していた時、撮影後のフィルムホルダーを取り外そうとした際に指が滑って引き蓋の引手のところに引っかかり、引き蓋が1/3ほど抜けてしまったことがあります。引き蓋が抜けた側のフィルムは撮影前でしたが、当然、使い物にならなくなってしまいました。

 冬で湿度が低く、お肌が乾燥していたため指先の摩擦力が低下し、滑ってしまったのではないかと思っています。
 このようにちょっとしたミスで引き蓋が簡単に抜けないようにロックする爪がついているのですが、ロックし忘れていたか、フィルムホルダーを触っているうちにロックが外れてしまったと思われます。
 撮影中に引き蓋が抜けてしまうなんて、後にも先にもこの時だけです。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 どれもこれも注意していれば防ぐことのできることばかりですが、注意が散漫になっていたりするとこのような信じられない失敗をしでかしてしまいます。大判カメラでリバーサルフィルムを使ってこのような失敗をすると、フィルム代も現像代も高額な昨今、ダメージが大きいです。
 当事者でなければ笑える内容かも知れませんが、本人にとってはかなり深刻な問題です。

 いずれもずいぶん昔の失敗で、以来、同じ失敗を繰り返したことは今のところありませんが、いつまた起きるとも知れない可能性を含んでいるおバカな失敗談でした。

(2022.11.12)

#フィルムホルダー #NDフィルター #ロックネジ #レンズキャップ

4×5判シートフィルムをブローニーフィルム用現像タンクで現像する

 私はモノクロフィルムを使う頻度はリバーサルに比べるとそれほど高くありませんが、それでも時どき、ブローニー判や4×5判のモノクロフィルムで撮影を行ないます。撮影後のモノクロフィルムは自家現像をしており、4×5判のシートフィルムの現像にはパターソンのPTP116という現像タンクを使っています。このPTP116という現像タンクは現像液が大量に必要なので、フィルムの枚数が少ないときにはもったいない気がします。
 そこで、フィルム枚数が少ない(1~2枚)ときには、ブローニーフィルム用のパターソンのPTP115という、少し小ぶりの現像タンクで4×5判シートフィルムを現像していますので、今回はそれをご紹介したいと思います。
 なお、実際に作成したのは何年も前のことであり、製作過程の画像がありませんのでご了承ください。

パターソンのPTP115で4×5判シートフィルム2枚を現像

 パターソンのPTP115という製品は、35mm判フィルム、およびブローニーフィルム用の現像タンクで、ブローニーフィルム用のリールは1本しか入りませんが35mm判用であれば一度に2本のリールを処理することができます。一回に使用する現像液の量は500mlなので、比較的少なくて済みます。

▲パターソン PTP115 現像タンク

 PTP115は4×5判シートフィルムを横置きにしたときにちょうど収まる深さがありますので、フィルムを適当にタンクの中に放り込んでおいても現像はできるかもしれません。しかし、フィルムは水分を含むと腰が弱くなって現像タンクの内壁に張り付いてしまう可能性があります。
 また、フィルムを何らかの方法で固定しておかないと現像タンクの中を自由に泳ぎ回ってしまうため、フィルム同士がくっついてしまう可能性も考えられ、あまり好ましくありません。

 フィルムをくるんと丸めて輪ゴムで止めて、それを現像タンクに入れて処理するという方もいらっしゃるようですが、撹拌の勢いで輪ゴムが外れてしまうのではないかという心配があり、私は試したことがありません。

 私は2枚のシートフィルムを固定するための簡単なホルダー(治具)を自作し、それを用いています。
 現像タンク内のスペースとしては4枚くらいは入れられると思うのですが、一度に4枚を処理するのであればPTP116を使った方が楽です。あくまでも1枚とか2枚の現像をするとき用です。
 また、フィルムを4枚入れてしまうと現像タンク内がぎゅうぎゅう詰め状態になり、回転攪拌ができなくなってしまいます。パターソンの製品は回転撹拌ができるようになっているので、それを活かすためにあえて2枚の処理用としています。

シートフィルムを固定するホルダー

 4×5判のシートフィルムは現像タンク内の内壁に沿って湾曲させなければなりません。手でフィルムの両端を挟んで内側に押すとフィルムが湾曲しますが、その状態を保持するようなホルダーがあればよいので、下の図、および写真のような簡単なものを自作しました。

▲PTP115用 シートフィルムホルダー
▲PTP115用 シートフィルムホルダー

 素材は厚さ0.15mm、サイズは100mmx200mmのステンレス板です。1枚400円ほどだったと思います。
 この厚さであれば切ったり曲げたりも簡単にできますし、いったん曲げてしまえば自然にもとに戻ることはありません。0.15mmというとペラペラな感じに思われるかもしれませんが、ステンレスなのでかなりしっかりしています。

 現像タンクの内壁に沿うように全体を湾曲させるのですが、直径3~4cmくらいの丸棒に巻き付けるようにして、急激な力を加えずゆっくりと転がすように曲げていくと割ときれいにできます。もちろん、金型で成形したようにはいきませんが、多少の凹凸があった方が現像液の流れる隙間になって良いかも知れません。

 ホルダー両端の折り返してあるところにフィルムの端を入れると、フィルムが元に戻ろうとする力でホルダーに固定されます。ホルダーの中央部が内側に山折りしてあるのは、水分を含んだフィルムが柔らかくなってホルダーに張り付いてしまうのを防ぐためです。
 また、ステンレス板の下側を若干短くして、両端を折り返したときに斜めになるようにしていますが、これはパターソンの現像タンクが上にいくにしたがって内径がわずかに大きくなっており、それに合わせるためです。
 とはいえ、それほど精密に加工する必要はないので、現物合わせといった感じです。

 実際に4×5判シートフィルムを入れるとこんな感じになります。

▲PTP115用 シートフィルムホルダー(フィルムを入れた状態)

 フィルムの乳剤面が内側になるようにホルダーにはめ込みます。

 このホルダーを2枚作って、現像タンクの中に向かい合わせに入れます。
 その状態が下の写真です。

▲PTP115とシートフィルムホルダー

 ホルダー自体は現像タンク内でどこにも固定されていませんので、倒立撹拌を行なえば多少は動くと思いますが、特に問題はないと思います。また、2枚のホルダーの折り返した両端同士が接しているので、動くとしても円周方向であり、現像タンクの中心方向に動くことはありません。

 なお、ステンレス板の表面はとても滑らかですが端面や角はざらついていたり尖っているので、フィルムを傷めないためにも、サンドペーパーなどで出来るだけ滑らかにしておきます。
 また、油などを落とすためにアルコールや中性洗剤できれいに洗っておきます。

回転撹拌用の羽根

 パターソンの現像タンクは、中央にセンターコラムと呼ばれる回転撹拌用のパイプ(筒)を入れないと光が入り込んでしまうのですが、通常はこのセンターコラムにリールを差し込み、回転撹拌を行ないます。つまり、リール(フィルム)を回転させる仕組みになってるわけです。
 しかし、今回のようにリールを使わずにフィルムがホルダーとともにほぼ固定状態ですので、ここにセンターコラムだけを入れて回転させてもほとんど意味がありません。倒立撹拌を行なえば何の問題もありませんが、せっかく回転撹拌できるようになっているので使えるようにしてあります。

 上の写真でわかると思いますが、2枚のフィルムを入れると現像タンクの中央にレモン型の空間ができます。この空間を利用して撹拌用の羽根を回転させるようにしています。
 羽根の部分は35mmフィルムのケースとアクリル板、そしてそれを固定するステンレス板で自作しています。

▲PTP115用センターコラム(右)と撹拌用の羽根(左)

 フィルムケースの素材は弾力があるので、回転撹拌用のセンターコラムに抜き差しできるようにするためにはうってつけです。
 この羽根をセンターコラムに装着して、通常の回転撹拌のようにすれば現像タンク内で羽根が回転して水流が発生します。フィルムを回転させるのではなく、現像液を撹拌するという方式です。
 もちろん、倒立撹拌でも全く問題はありません。

▲センターコラムに撹拌用の羽根を取付けた状態

現像上のトラブルもなく、問題なく使える

 実際にこれを作ったのは4~5年前で、現像するフィルム枚数が少ないときはこれを使っていますが、これまでに現像ムラなどのトラブルは一度もおきたことがありません。
 最初は、フィルムがホルダーから外れてしまうのではないかと心配もしましたがそんなこともなく、回転撹拌しても倒立撹拌してもしっかりと保持されていました。

 また、実際に使ってみて感じたのは、フィルムをホルダーにはめ込むのが実に簡単ということです。ホルダーにはめる際は暗室やダークバッグの中などの真っ暗闇で行なうわけですが、構造が単純なだけに変なところにはまってしまうこともなく、手探りでも簡単に行なえます。
 唯一、注意をするとしたら、フィルムの裏表を間違えないようにするということぐらいでしょうか。実際に裏表を反対にした状態で試したことはありませんが、乳剤面の水流が不十分で現像ムラが起きる可能性は考えられます。

 なお、一回に必要な現像液の量は500mlです。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 回転撹拌をあきらめれば、4枚を同時に現像できるようなホルダーも考えられますが、形状が複雑になるので加工精度が求められ、手作業で製作するのは難しいかも知れません。一度に多くの枚数を処理できるのは効率的ですが、少しずつ現像の条件を変えたいというときにはこのほうが無駄がなくて便利かもしれません。

(2022.5.14)

#パターソン #PATERSON #フィルムホルダー #モノクロフィルム

シートフィルムをフィルムホルダーに装填する際のミス防止

 大判カメラで撮影する場合は、まずシートフィルムを専用のフィルムホルダーに装填しなければなりません。この装填の仕方についてはたくさんの方が投稿されていらっしゃいますので、そちらを見ていただいた方が良いと思います。ここでは装填時のミスを防ぐちょっとしたコツのようなものをご紹介します。

シートフィルム挿入時に発生しやすいミス

 シートフィルムを装填するのは真っ暗闇で行なわなければなりません。暗室がいちばん作業しやすいのですが、暗室がない場合はダークバッグやダークボックスの中で行なうことになります。私も家でフィルムの装填をおこなうときは暗室にこもりますが、撮影先でフィルムが不足した時は暗室がありませんので、ダークバッグを使います。ダークバッグは中が狭くて、決して作業性が良いとは言えませんが仕方ありません。

 シートフィルムの装填は慣れてしまえばどうってことないですが、慣れないうちはミスってしまうこともあります。多分、いちばん多いミスはフィルムホルダーの引き蓋用のスリットに入ってしまうことではないかと思います。フィルムの表裏を間違えるというミスも可能性としてはゼロではありませんが、右側から挿入する場合はフィルムについているノッチコードを右手前に来るように確認さえすれば、表裏が逆になることはまずありません。
 ということで、フィルムが正しくない位置に入ってしまうミスの防止について触れたいと思います。

フィルムホルダーの構造

 下の写真は4×5判フィルムホルダーの全景(写真左)と、ホルダーの引き蓋を引いた状態(写真右)です。

4×5判 フィルムホルダー

 ここにシートフィルムを1枚ずつ入れていくわけですが、挿入する箇所を拡大したのが下の写真です。

4×5判 フィルムホルダー

 引き蓋を引くとレールのようなものが2本あることがわかります。上側のレール(黄色の矢印)と下側のレール(赤色の矢印)です。上側のレールと下側のレールの間のスリット(溝)は引き蓋が通るところで、フィルムは下側のレールの下のスリットに入れなければなりません。
 ところが、引き蓋が通るスリットにフィルムが入ってしまうことがあります。そうなるとフィルムが浮いた状態になりますので、どんなにピントを合わせても実際に撮影するとピントがずれた写真になってしまいます。また、最悪の場合、撮影後に引き蓋を挿入するときに引き蓋でフィルムが押されて、フィルムが折れ曲がってしまうという事態になりかねません。

フィルムを正しい位置に入れるために

 フィルムが正しい位置に入った状態(写真左)と、引き蓋が通る溝に入ってしまった状態(写真右)が下の写真です。

4×5判 フィルムホルダー フィルムの挿入位置

 正しい位置に入ったかどうか確認するために、挿入後に指でこの2本のレールを触ってみるという方法があります。上側と下側のレール端が5mm程ずれていますので、2つのレールの端が確認できれば、フィルムが正しい位置に入っていることになります。
 また、もし引き蓋が通るスリットに入ってしまっている状態で引き蓋を閉めると、引き蓋の動きが重くなるので、注意しているとわかります。

 ですが、そもそも引き蓋が通るスリットに入らないようにするのが理想です。そのために、引き蓋を全部引き抜てしまうのではなく、下側のレールと同じくらいの位置まで開いた状態でフィルムを挿入することで、このミスを防ぐことができます(下の写真)。

4×5判 フィルムホルダー

 赤色の矢印が下側のレールの端で、これと同じくらいの位置で引き蓋を止めておきます。この状態だと、引き蓋が通るスリットに入れる方が至難の業です。
 真っ暗闇の中、手探りでこの状態にするのが難しい場合は、暗室やダークバックに入れる前にこの状態にしておきます。

 フィルムが正しい位置に入ると、フィルムの後端を指で軽く押すだけでスーッと入っていきます。もし、引っかかるような感触があったり動きが重いようであれば、正しくない場所に入っている可能性が高いので、再度入れ直しを行なった方が無難です。

 なお、フィルムホルダーを振り回したり強く振ったりすることなく、普通に扱っていれば引き蓋が勝手に抜けてしまうようなことは起こりませんが、もし心配な場合はマスキングテープとかパーマセルテープで止めておけば振り回しても安心です。

(2020.11.26)

#フィルムホルダー