ずっと欲しかったコンパクトフィルムカメラ コニカ KONICA C35 Flash matic をゲット

 半年ほど前(2023年4月)、「いま、とっても欲しいカメラ ~撮影の頻度が確実に増すと思われるカメラたち~」というタイトルのページを書きましたが、その中の一つ、コニカ KONICA C35 Flash matic というコンパクトフィルムカメラを手に入れました。小さくて、とても愛嬌のあるフォルムが気に入っていて、ずっと以前から欲しい欲しいと思っていたカメラでした。
 今回、フィルム2本(カラーネガとリバーサル各1本)で試し撮りをしてみましたので、その使い勝手とともにご紹介したいと思います。

大手ネットオークションサイトで購入

 このカメラをネットオークションサイトで検索すると、かなりの件数(台数)がヒットします。そのほとんどは5,000円~15,000円くらいの範囲におさまっています。まれに3,000円という安いものや、20,000円を超えるようなお高いものも出品されていますが、やはり安いものはそれなりに理由があるもので、正常に動作するかどうかわからなかったり、かなり傷みがあるものだったりしています。

 1ヶ月ほど前、ビールを飲みながらオークションサイトを物色していた際、このカメラが目に留まり、欲しいという欲望が再び頭を持ち上げてきました。レンズを探す目的でオークションサイトを見ていたのですが、それはどこへやら行ってしまい、ひたすら KONICA C35 を探す羽目に。
 結局、数ある中から私が選んだのは8,000円という値がついていたものです。当然、通常使用による細かな傷などはあるものの、全体的にはかなり綺麗な状態を保っている感じで、一通りの動作もすると書かれていました。掲載された写真だけではわからないこともたくさんありますが、ある程度の割り切りも必要と思い、アルコールが入っていた勢いもあり、ぽちっとしてしまいました。
 他に入札する人もいなかったようで、2時間ほど後に「落札」のメールが届きました。

 その翌々日、早くも宅配便で KONICA C35 が届きました。
 掲載されていた写真の通り、かなり綺麗な状態の個体です。汚れもほとんど見当たりませんが、念のため、アルコールで清掃をします。
 その後、一通りの動作確認を行ないましたが特に問題になるようなところは見当たらず、たぶん問題なく使えるだろうとの感触を得ました。

こんな仕様で、こんな使い勝手のカメラ

 ネットで検索したところ、当時の取扱説明書が見つかりましたので、そこから主な部分を抜粋したのが下の仕様です。

  ・レンズ : HEXANON 38mm 1:2.8 3郡4枚
  ・撮影距離 :約1m~∞
  ・露出調整 : CdSによる自動露出
  ・ファインダー : 採光式ブライトフレーム 0.46倍
  ・距離計 : 二重像合致式
  ・シャッター : B ・ 1/30~1/650
  ・セルフタイマー : 約10秒
  ・フィルム感度設定 : ASA25~ASA400 
  ・フラッシュ対応 : GN 7~56
  ・電池 : 1.3v 水銀電池
  ・サイズ : 112mm x 70mm x 52mm
  ・重さ : 380g

 電池とフィルムを入れ、フィルム感度を設定した後は、実際に操作するのは距離合わせのピントリングのみという、実にシンプルなカメラです。
 フィルム感度も「ISO」ではなく、今となっては懐かしい「ASA」となっているところが何ともレトロさを感じます。

 フィルムの巻き上げ角は約132度で、右手の親指がちょうどカメラの右側面に行ったところで止まるので、指に負担なく巻き上げができる感じです。しかも、巻き上げ後のレバーは約30度引き出された位置で停止するので、次の巻き上げがとても楽です。
 ピント合わせのヘリコイドの回転角は約48度。少ない回転角でピント合わせができるので、最短距離から無限遠までリングを持ち変える必要がありません。
 ファインダー内の二重像合致式は視認性も良く、ピント合わせはし易い方だと思いますが、縦のラインがないと使いにくいです。

 ファインダー内には露出を示す目盛りと指針があり、露出オーバーなのか露出アンダーなのかがわかるようになっています。これを見て不思議に思ったのですが、シャッター速度と絞りの値が互いに固定されており、明るさに応じて露出計の針は動くものの、これではシャッター速度と絞り値の組合せが変化しないということです。
 どうやらこのカメラは、シャッター速度と絞りの組合せがあらかじめ決まっていて、その範囲だけで露光しているようです。
 シャッター速度が変化しているのかどうか気になったので、シャッター速度を計測してみました。
 その結果、露出計の受光部分を指で覆った場合、約1/30秒で切れていました。また、受光部分にLEDライトをあてて計測したところ、最速で約1/500秒という値が得られました。1/650秒という高速シャッターは確認できませんでしたが、たぶん、もっと強い光を当てればその速度で切れるのでしょう。ということで、精度はわかりませんが、明るさに応じてシャッター速度が変化しているのは確実なようです。

 また、ファインダー内の指標によると、このカメラの露出範囲はF2.8 1/30秒から、概ねF14 1/650秒までと読み取れます。これをEV値にするとEV8(ISO100)~約EV17(ISO100)に相当します。つまり、約9段分の露出範囲を持っていることになります。シャッター速度の変化で約4.5段分を対応し、絞りの変化で残りの約4.5段に対応していることになります。今のカメラのように複雑な露出の組合せをすることなく、極めてシンプルな方法で露出調整を行っているカメラという印象です。

 試しに電池を抜いて確認してみました。電池がなくてもシャッターは切れますが、シャッター速度は1/30秒固定のままです。また、絞り羽も開放のまま変化しません。

カラーネガフィルムでの撮影例

 実際にカラーネガフィルムを装填して撮影した写真を何枚かご紹介します。
 使用したフィルムは富士フイルムのフジカラー SUPERIA PREMIUM 400です。
 なお、カラーネガフィルムで撮影したものをスキャナで読み取っているので、フィルム上に記録された状態が比較的忠実に再現されていると思います。同時プリントしてもらうとプリントの段階でかなり補正がかかるので、ここで掲載した写真よりもかなり綺麗に仕上がると思います。 

 まず1枚目は地下鉄丸ノ内線の車両基地の写真です。

 この車両基地は道路から見下ろせる場所にあり、道路脇にはフェンスが張られていますが、その網の間にレンズを置いて撮ったものです。
 薄曇りの日なので全体に光が回っていて、コントラストはあまり高くない状態です。露出は1段くらいオーバー気味の感じです。
 ピントは画の中央部付近にある赤い車両の丸窓の辺りに合わせています。画の下側に写っている有刺鉄線や金網もはっきりとわかる状態ですし、線路に敷かれた砕石の質感も良くわかるので、解像度はまずまずといったところでしょうか。
 全体にマゼンタ系に寄っている印象があり、これはカメラというよりはフィルムによるものと思われますが、私はカラーネガフィルムを使うことがほとんどないのでその特性については疎いのではっきりとはわかりません。ですが、カラーネガの場合、この程度のカラーバランスはプリント時にいくらでも調整が効くので、特に問題になるほどではないと思います。

 2枚目は近所の公園で撮影した紅葉の写真です。

 紅葉したカエデの木の下から、頭上に伸びる枝を逆光になる位置から撮影しています。
 光が葉っぱを透過することで紅葉はとても綺麗ですが、これもやはり露出オーバーといった感じです。飽和してしまっているようにも見受けられ、葉っぱの質感も損なわれてしまっています。やはり、このようなシチュエーションでは少し厳しいのかも知れません。
 とはいえ、すべてカメラ任せでシャッターを押すだけでここまで撮れるのですから、良しとせねばなりません。

 次は、散歩の途中で見つけた河童のオブジェです。

 今にも雨が降り出しそうなどんよりとした日だったので、実際にはこの写真よりももっと暗い感じです。そのため、絞りは開放かそれに近い状態だったのではないかと思われ、歩道脇の石垣や奥の方はピントから外れています。
 画全体が低コントラストの中で河童の下の石だけがかなり明るい状態で白飛びしてしまっていますが、河童とのコントラストという点では効果的に働いているようにも思えます。
 この写真もわずかにマゼンタに寄っている感じを受けます。

 さて、4枚目の写真は近所の公園で日向ぼっこしている野良猫です。

 太陽に背中を向けて、気持ちよさそうにしています。
 周囲は枯葉があったり木の影が落ちていたりして、野良猫の白い毛の部分とのコントラストが大きすぎ、さすがにこのような状態をカメラ任せというのは厳しい感じです。それでも、カラーネガフィルムならではの柔らかさで救われているところもありますが、やはり硬調気味に仕上がっています。
 白い毛の部分は飛んでいますが、背中の茶色い毛の部分は毛並もはっきりとわかるくらいに解像しています。さすが、ヘキサノンという感じです。

 カラーネガフィルムで撮影した5枚目は居酒屋で撮影した写真です。

 店内の鴨居につるされた提灯や、天井から下がっている電球がとても印象的でした。壁に貼ってあるポスターも、レプリカかも知れませんが時代を感じさせるようなものばかりで、思わずシャッター切った一枚です。提灯がたくさんあるといえ、昼間の屋外のように明るい状態ではないので、果たしてうまく写るかどうか気にはなりましたし、全体が暗いので提灯や電球が真っ白に飛んでしまうかとも思いましたが、予想以上に良く写ってくれました。レンズの上側についている小さな露出計ですが、良い働きをしてくれています。
 左下のメニューの文字も何となく読めるのは、ISO400のフィルムのお陰でしょう。

カラーリバーサルフィルムでの撮影例

 せっかくの試し撮りなのでリバーサルフィルムでもということで、冷蔵庫に残っていた富士フイルムのPROVIA 100F で撮影してみました。ちなみに、このフィルムは使用期限を1年ほど過ぎていました。

 まず1枚目は、日本民家園で撮影したものです。

 さすがリバーサル、といった色合いです。
 緑やグレー、茶といった色合いが多いので露出合わせはし易い状況だと思いますが、露出は1段以上オーバーという感じです。マニュアル露出で撮影するときのことを考えると、合掌造りの屋根の質感をもっと出すために1.3段、もしくは1.5段くらいは露出を切り詰めると思います。そうすると、手前のススキももっと落ち着いた色合いになるはずですが、自動露出なのであまり文句は言えません。
 解像度も概ね良好で、掲載した画像ではわかりにくいですが、ススキの穂先や合掌造り背後の木の葉先もはっきりとわかるくらいです。

 もう一枚は、散歩の途中で通りかかった神社で撮影した写真です。

 最短撮影距離に近い位置から撮影しています。ピント位置が適切ではありませんが、この被写体の場合、これくらい露出がオーバーになってもさほど気にならない感じです。実際にはもっと薄暗い感じでしたが、明るめに写ることで良い感じに仕上がったかも知れません。左側からの光に金色に輝く柄杓がやはり飛び気味ですが、かろうじて木の質感も残っています。
 かなり近寄って撮影しているので被写界深度も浅くなっており、ボケ具合も大きくはありませんが、クセのない素直なボケ方だと思います。もう少しボケて欲しいと思いますが、38mmという焦点距離を考えるとこんなところでしょうか。
 ポイントとなる柄杓の色をもっと落ち着かせたいというのが本音ですが、マニュアル設定できないカメラの限界かも知れません。

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 ずっと以前から欲しいと思っていたカメラで、その理由は性能とか写りとかではなく、その可愛らしいフォルムが魅力だったのですが、実際に使ってみて想像以上に素晴らしいカメラだというのが正直な感想です。もちろん、最近の高性能のカメラやレンズと比べるのは酷ですが、50年以上経った今でも十分に使えるカメラです。

 今回、カラーネガフィルムとリバーサルフィルムをそれぞれ1本ずつ使ってみましたが、露出は1段、もしくは1.3段くらいオーバーになる傾向のようです。しかしながら、露出条件のかなり厳しい状況でなければ問題なく使えると思いますし、カラーネガフィルムを使うのであればプリントの段階で補正が効くので全く問題のないレベルだと思います。露出計の精度や露出コントロールも優れているという印象です。微妙な露出調整はできませんが、面倒なことは考えず、お手軽に撮影できるカメラとしても十分に使えると思います。

 それにしても、見れば見るほど可愛らしいカメラです。撮ることが楽しくなるカメラ、眺めているだけで何だか笑みがこぼれてくるカメラというのはこういうカメラのことかも知れません。

 (2023.11.27)

#KONICA_C35 #コニカ #カラーネガフィルム #リバーサルフィルム

いま、とっても欲しいカメラ ~撮影の頻度が確実に増すと思われるカメラたち~

 私は何年か前に、それまで所有していた35mm判のカメラやレンズのほとんどを処分して以来、カメラの台数はほとんど増えていません。正確に言うと、衝動買いしたフォクトレンダーのベッサマチックが1台加わりましたが、このカメラはすっかりディスプレイと化しています。
 ちなみに、レンズの方は今でも微増しております。

 新たにカメラが増えていないのは、私が使ってるようなフィルムカメラの場合は、カメラが変わっても写真に大きな違いはないということがいちばんの理由です。もちろん、多くの二眼レフカメラやレンジファインダーカメラなどのようにレンズが固定式の場合は、カメラが変わればレンズも変わるので写りにも影響しますが、私が主に使っている大判カメラや中判カメラはレンズが交換できるので、カメラ本体をたくさん持つ必要がありません。
 しかしながら、カメラに対する物欲がまったく失せてしまっているかというとそんなこともなく、もう長いこと欲しい欲しいと思いながらも、いまだに手にすることができていないカメラがあります。

 まず1台目は、富士フイルムの「GF670W Professional」という中判カメラです。

▲富士フイルム製 GF670W Professional (富士フイルム HPより転載)

 このカメラは2011年3月に発売された中判フィルムカメラで、その2年前(2009年)に発売された「GF670 Professional」というカメラの広角レンズタイプです。GF670は蛇腹を採用した折り畳み式でしたが、GF670Wはレンズ固定の一般的なレンジファインダーカメラの形態をとっていました。
 価格はオープンとなっていましたが、新宿の大手カメラ量販店では15万円ほどで販売されていたと記憶しています。

 装着されていたのは「EBC FUJINON 55mm 1:4.5」という8群10枚構成のレンズで、電子制御式のシャッターが内蔵されていました。FUJINONのレンズと言えばその写りの素晴らしさは誰しもが認めるところであり、私もFUJINONの大判レンズを何本か持っていたので、写りに関しては何の懸念もありませんでした。

 66判と67判を切り替えて使うことができたのも魅力の一つでしたが、私にとっては何と言っても洗練されたデザインが最大の魅力でした。
 フィルムの巻き上げもレバーではなくダイヤル式が採用されていたりして、半世紀も前のカメラを彷彿とさせるようなたたずまいですが、とても垢抜けしているように感じたのを憶えています。
 また、中判では主に67判を使っていた私にとって、レンジファインダーの67判というところにも心を揺さぶられました。

 このカメラが発売された2011年というのはフィルムにかなり翳りが出ていた頃で、同じ会社である富士フイルム製のフィルムも次々に販売終了になっており、そんなときによく新たなフィルムカメラを出したものだと驚きました。もしかしたら「フィルム復活!?」なんていう淡い期待を抱いたのも事実です。
 しかし、わずか4年後の2015年5月には出荷終了となってしまいました。なんと、先に販売が開始されたGF670よりも2年以上も早くに出荷終了になってしまいました(GF670は2017年12月で出荷終了)。初代のGF670の方が人気があったのかも知れません。

 生産された期間がわずか4年間で、しかも、このカメラを購入しようと思う人は決して多かったとは思えません。最終的な出荷台数がどれくらいになったのかはわかりませんが、市場に出回った台数はとても少ないのではないかと思います。
 それが証拠に、中古市場でもタマ数は少ないうえに異常とも思える高値がついています。30万円、40万円とかは当たり前で、中には50万円を超えるものもあり、ここまで価格が高騰してしまうととても手が出せません。15万円で新品が購入できたときに何故買っておかなかったのか、今更ながらの後悔です。15万円というのは安い金額ではないので踏ん切りがつかなかったのと、そんなに早くに出荷終了になるとは思いもしなかったというのが、当時購入しなかった理由だと思います。

 また、私はこのカメラで実際に撮影している人をこれまで一度も見たことがありません。中古市場に出回っているカメラも状態の良いものがほとんどで、あまり使われることもなく大事に保管されていたのではないかと思ってしまいます。出荷台数が少ないがゆえに、コレクターズアイテムのような存在になってしまっているとしたら、ちょっと寂しい気持ちになります。

 いくら欲しいとはいえ、今のような高額の状態で手を出すことはないと思いますが、もし、幸運にもこのカメラをゲットできたとしたら、スナップ感覚で風景を撮りに行く回数が確実に増えると思います。

 いま、とっても欲しいカメラの2台目は、「シャモニーChamonix 45 F-2」です。

▲Chamonix 45 F-2 (シャモニービューカメラ HPより転載)

 これは中国にあるシャモニービューカメラという会社で作られている大判(4×5判)カメラです。

 シャモニーのカメラについては以前、別のページでもちょっと触れましたが、会社のホームページを見ると、2003年に中国の写真家と登山家によって設立されたと書かれています。大判カメラを専門に作っているようですが、そのラインナップは素晴らしく、これまで聞いたことのないようなフォーマットのカメラがいくつもあります。

 私は今から10年ほど前にはじめてこの会社の存在を知り、そこで作られているカメラの美しさに目を奪われました。ウッド(木製)カメラに似ていますが、木材の他に金属や炭素繊維(カーボンファイバー)が豊富に使われており、それらがとてもよく調和したデザインになっています。
 また、とても丁寧に作られている感じがして、美しい仕上がりになっています。

 そして、最も私の気を引きつけたのがユニークなカメラムーブメントでした。
 これまでの大判カメラにはなかったと思われる独自の機構がいくつもあり、シンプルでありながら機能性に富んだカメラという印象です。カメラのベース部分は金属製ということもあり、見た目からも堅牢な感じがします。フィールドでも安心感をもって使用できるカメラだと思います。
 金属が多用されているので重量も増しているかと思いましたが、カタログ上では1,600gとなっていて、私が使っているタチハラフィルスタンドよりもほんの少し重いだけです。
 残念ながら、私は一度も触ったことはありませんが、たくさんの方が動画をアップされていて、それらを拝見することで美しさや機能性の良さをうかがい知ることができます。
 また、単にカメラを製造して販売するだけでなく、パーツ類の供給やサポート体制もしっかりとしているようで、企業体質にも誠実さが感じられます。

 国内の中古カメラ店にも時どき入荷することがあるようなのですが、人気のモデルはすぐに売れてしまうようです。4×5判であれば価格も20万円を下回っていて、べらぼうに高いという感じはしません。むしろ、リンホフやエボニーなどの中古品よりもずっとお手頃な価格です。
 ホームページに掲載されている新品価格が1,455ドルですから、円安の今でさえ、20万円ほどで手に入れることができるわけです。

 現在、私は4×5判のカメラを4台持っていて、これ以上、カメラが増えても持て余すだけになってしまいますし、特に大判カメラの場合、よほどひどい状態でない限り、どのカメラで撮っても写りに違いが出るわけではありません。ですから、今持っているカメラで何ら不都合はないのですが、魅力というのは不思議なもので、現実をはるかに超越してしまう力を持っています。
 今あるカメラを1~2台手放して、代わりにこのカメラをゲットしようかとも考えましたが、それはそれで後ろ髪を引かれる様なところがあり、思い切りよくやることができずにいます。

 それにしても、どれくらいの需要があるのかわかりませんが、これだけの品質のカメラを1,455ドルという価格で提供し続けることができるということに驚いてしまいます。事業として採算がとれるのだろうかと、つい余計な心配をしてしまいます。

 いま、とっても欲しいカメラの3台目は、「コニカ KONICA C35」、35mm判のコンパクトフィルムカメラです。

▲コニカ C35 Flash matic

 メーカーが提供している画像を見つけられなかったので、絵をかいてみました。へたくそですみません。
 
 製造発売元の小西六写真工業(のちのコニカ株式会社、現コニカミノルタ株式会社)は、富士フイルムと並ぶフィルムメーカーとしても有名でしたが、ミノルタと合併してコニカミノルタとなった後、カメラ事業や写真関連事業をあちこちに譲渡していき、現在のコニカミノルタからはカメラの臭いがなくなってしまいました。

 このC35というカメラはいくつかのモデルがあるのですが、初代は1968年に発売されたようです。今から50年以上も前で、アメリカのアポロ11号が月面に降りる前の年です。
 上の写真のカメラはC35 Flash matic というモデルで、発売年は初代機の3年後の1971年とのことですので、やはり50年以上は経過しています。

 35mm判カメラのほとんどを処分してしまったにもかかわらず、何故、今になって35mm判のコンパクトカメラが欲しいのかというと、理由はただ一つ、その見てくれの可愛らしさです。
 コンパクトフィルムカメラは、これまで各メーカーからそれこそ数えきれないくらいのモデルが発売されてきましたが、私にとってはそのデザイン性という点において、このカメラの右に出るものはないと思っています。デザインというのは好き嫌いがありますから、誰もがこのデザインを好むとは思っていませんが、私からすると、愛嬌もあり野暮ったくもない、50年経っても古臭さを感じないデザインは他にないと思っています。
 私が愛用しているCONTAX T2も優れたデザインだと思っていますが、T2のように優等生ぶっていない親しみのある風貌が何とも言えません。いわば、T2の対極にあるようなデザインといった感じです。
 以前から可愛らしいカメラだとは思っていたのですが、最近になってとても気になる存在になってきました。現役で使っている35mm判カメラがT2だけになってしまったからかも知れません。

 カタログデータを調べてみたところ、大きさはT2よりも少しばかり大きく、重量もT2より少し重いようですが、それでも非常にコンパクトであることには変わりありません。レンズは写りに定評のあるHEXANON 38mmがついているので、その描写能力に関しても問題はないと思われます。
 このカメラ、中古市場では結構たくさん出回っているようで、大手ネットオークションサイトを少し調べてみましたが、安いものであれば数千円、程度の良いものでも一万円前後で出品されています。手に入れたいと思えば比較的容易に購入できる状況のようです。

 CONTAX T2はお散歩カメラとして今も活躍してくれていますが、もし、コニカ C35を手に入れた時のことを想像すると、お散歩カメラとして持ち歩きたくなるのは間違いなくC35だと思います。なんだかT2には申し訳ないようですが、こればかりは仕方ありません。
 富士フイルムのGF670WやシャモニーのChamonix 45 F-2のように何十万円もするわけではなし、今夜にでもポチッとすれば2~3日後には手に入るカメラです。GF670WやF-2に対する物欲とは次元の違う物欲を感じるカメラです。

 こうしてあらためて振り返ってみると、いま欲しいと思っているカメラは機能や性能に優れているというだけでなく、琴線に触れるようなフォルムとかデザインを持ったカメラというような気がします。もちろん、機能や性能は重要な要素ですが、私の気持ちはどちらかというとデザインに重きが置かれているといった感じです。
 デザインの好き嫌いは個人の好みの問題ですが、どんなに機能や性能が優れていても、デザインが気に入らなければ全く興味が湧きません。これら3つのカメラは機能や性能も十分に備えながら、デザイン的にも優れているカメラだと感じています。あくまでも個人的にですが。

 この他にも気になっているカメラはいくつかあります。しかし今のところ、手に入れたいと思うようなカメラはこの3つ以外には存在しません。世の中には私がまだ知らずにいるカメラもたくさんあるわけで、そういった中には琴線に触れるものもきっとあると思います。いつか、そんなカメラと出逢う日もあるだろうという期待を持ちつつ、この3つのカメラをゲットすべきかどうか悩む日は続きそうです。

(2023.4.28)

#GF670W #Chamonix #シャモニー #コニカ #KONICA_C35