なぜフィルム写真に心がときめくのか? 不思議な魅力を持ったフィルムという存在

 写真フィルムの出荷量がピークだったと言われている西暦2000年から23年が経過し、その量は1/100にまで減少したというデータもあるようですが正確なところは良くわかりません。しかし、減少していることは間違いのないことだと思われ、フィルム価格の相次ぐ値上げや製品の生産終了などを受け、フィルム写真を断念してしまう人も多いという話しも聞きます。
 ネット上のいろいろなサイトを拝見すると、いまどきフィルム写真をやるなんて何の意味があるのかとか、愚の骨頂とか書かれている記事もたくさんありますが、私はいまだにフィルム写真をやめられずにいます。今の時代からすると化石のような存在かも知れません。

 デジタルカメラやデジタル写真の進歩にはすさまじいものがあります。しかし、フィルム写真と比較するようなものでもないし、また、比較しても特段意味があるとも思えませんが、解像度や見た目の綺麗さなどではデジタルの方がはるかに勝っていると思えることもたくさんあります。また、フィルムカメラではとても難しいとか、たぶん無理と思えるようなもの(被写体)であっても、今のデジタルカメラであれば容易に写すことができるということがたくさんあります。

 私が住んでいる近くに大きな公園があり、そこにオオタカが営巣している木があります。時どき、散歩がてらその木の近くを通ることがありますが、たくさんの人がまるでバズーカ砲のようなレンズを装着したカメラを三脚に据えて、全員が同じ方向を向けて撮影をしている光景を見ることができます。
 私は野鳥を撮るようなことはありませんし、そのような機材も持ち合わせていないので、皆さんの邪魔にならないように後ろの方に立ってレンズが向いている方向の木の上に目を凝らし、肉眼でオオタカの姿を探しています。
 オオタカに限らず野鳥というのは常に我々の目の前に姿を現してくれるわけではないし、運よく飛んできても長居はしてくれないので撮影チャンスはごく短い時間に限られてしまいます。私などは鳥の姿が見えなければ10分もしないうちに飽きてしまいますが、野鳥を撮られる方は何時間でもじっとチャンスを待っています。そう考えると、野鳥撮影をする皆さんの忍耐力には頭が下がります。
 そして、待ちに待ったオオタカが姿を現すと一斉にシャッターが切られ、その音があたりに響き渡ります。しかも、1秒間に10コマ以上は切られているのではないかと思えるほどの高速連射です。
 このような写真は私が持っている半世紀も前のフィルムカメラでは絶対に撮れません。まさにデジタルカメラならではです。

 野鳥の撮影は一つの例ですが、そんなデジタルカメラの凄さや便利さを承知しながらも、私はフィルム写真から離れられずにいます。
 では、なぜフィルム写真に拘っているのかと問われても、正直なところ、うまく答えを返すことができません。それは、理由が一つではないこともありますし、言葉でうまく表現できないということもあります。

 私が使用しているフィルムの7~8割はカラーリバーサルフィルムです。リバーサルフィルムはネガフィルムと違い、現像が上がった時点で完成となります。ですので、現像後のポジをライトボックスで観賞できるわけですが、これが最高に美しいと思っています。
 昔はポジ原版から直接プリントするダイレクトプリントと呼ばれるサービスもありましたし、今はスキャナで読み込んでプリントすることも出来ます。しかし、どんなに熟練したプロの職人さんがプリントしたものであっても、ライトボックス上の透過光で見た時の美しさにはかないません。また、プリントした写真よりもポジ原版を直接見た方がはるかに立体感のある写真、そして透明感のある写真に見えます。
 私が初めてリバーサルフィルムで撮影したのは今から何十年も前のことですが、初めてポジ原版を見た時の感動は忘れることがなく、今もポジ原版を見ると胸が高鳴ります。
 実際には常にポジ原版を鑑賞しているなんていうことはなく、プリントしたものを額装しているわけですが、見ようと思えばいつでもライトボックス上でポジを鑑賞できるということは何ものにも代えがたい魅力であることは間違いありません。

 では、モノクロネガフィルムの場合はどうかというと、もちろん、リバーサル現像でもしない限りは白黒が反転したネガ原版ですから、ライトボックス上で見てもリバーサルフィルムのように完成形を見ることはできません。しかし、立体感のようなものはネガ原版であっても十分に感じられますし、白黒反転していても脳がさらにそれを反転してくれるというか、普通に肉眼で見た時と同じように感じられるから不思議です。

 そして、カラーリバーサルにしてもモノクロネガにしても、フィルムという物理的な媒体を直接見るとまるでその場にいるかのような錯覚を憶えます。臨場感というのともちょっと違うのですが、撮影した空間をそっくりそのまま持ってきたという感じです。これもプリントしたものやパソコンのモニタに映した画像では味わえない感覚です。

 フィルム写真は、デジタルカメラのように撮影したその場で出来具合を確認するということはできません。これは、デジタルカメラに慣れてしまうと何とも不便なことに思えるかもしれませんが、シャッターを切った瞬間に自分の思い描いた映像がフィルムに記録されているかと思うと、ワクワクともドキドキともつかない不思議な感覚に包まれます。常に思い通りに撮れるわけではなく、予想に反した写真になってしまうこともあるわけですが、それも含めたワクワクやドキドキだと思います。
 失敗したら高いフィルムが1枚無駄になってしまうということもありますが、何よりも、今と同じ写真は二度と撮ることができないという緊張感のようなものが高揚感となって頭を持ち上げてくるように思います。特に自然相手の風景写真の場合、明日、また同じ場所に来ても同じ写真は絶対に撮れないわけで、余計にそれが強いのかもしれません。
 デジタルカメラのように、撮ったその場で確認できればどんなに便利かと思うこともありますが、現像が上がるまでの間、出来具合をあれこれ思いめぐらす時間、焦らされるような時間があるというのもフィルムならではです。
 二度と同じ写真が撮れないのであれば、失敗してもすぐに撮り直しのきくデジタルカメラの方に100%の分があるというのは承知しているのですが、フィルムに記録されるという物理的な現象には媚薬のような効き目があり、これに抗うことはできません。
 以前、この話を友人にしたところ、「お前、変わってるな」と言われたことがありました。自分ではそんなに変わっているとは思っていないのですが...

 フィルムの価格が今のように高額でないときはカラーリバーサルフィルムの現像も自分で行なうこともありました。しかし、なかなか発色が思うようにいかず、いまはプロラボに依頼をしています。一方、モノクロフィルムは自分で現像していますが、リバーサルにしてもネガにしても、現像工程を終えて現像タンクからフィルムを取り出したときに像が形成されているのを見るとやはり感激します。無から有が生成されるマジックを見ているような感じで、しっかりと説明のつく化学変化だとわかってはいても感動の瞬間です。
 撮影の時にイメージしたものがしばらくの時間をおいた後、像となって表われ、それを手に取ることができる不思議な感覚、私にとって心をときめかせるには十分すぎる事象だと思っています。

 さて、上でも書いたように、最近のデジタルカメラは驚くほど高精細で綺麗な写真が撮れます。写真は解像度がすべてではないと思いますが、それでも高解像度で綺麗であることを否定する理由は何もありません。そのようなデジタルカメラで撮った高解像度の写真に比べると、フィルム写真はちょっとざらついた感じがします。整然と並んだ撮像素子と、ランダムに配置された乳剤粒子(ハロゲン化銀粒子)の違いによるものが主な理由だと思いますが、私はフィルムのちょっとざらついた感じが好きです。

 ざらついていると言ってもかなり拡大しないとわからないので、デジタルカメラとフィルムカメラそれぞれで、同じ被写体を同じレンズを使って、同じ位置関係で撮影してたものを比較してみます。
 私が1台だけ持っているデジタルカメラはだいぶ前のもので、撮像素子はAPS-Cサイズ、約1,600万画素という、今ではかなり見劣りのするカメラです。そして、比較用に使ったのは中判のPENTAX67です。これらのカメラにPENTAX67用の135mmレンズを装着し、同じ位置から同じ被写体(桜)を撮影しました。
 そして、67判のポジ原版をデジタルカメラの1画素とほぼ同じ大きさになるような解像度(約5,420dpi)でスキャンします。写る範囲が67判の方が圧倒的に広いので、その画像データからデジタルカメラで撮影できるのとほぼ同じ範囲を切り出してみました。

 1枚目がデジタルカメラで撮影したもの、2枚目がフィルムカメラで撮影後、スキャンして切り出したものです。

▲デジタルカメラで撮影
▲フィルムカメラで撮影後、スキャンして切り出し

 画像処理のアルゴリズムなどの影響を受けていると思いますので2枚の写真に色調の違いはありますが、それを無視してもこうして比較すると、デジタルカメラで撮影した写真の方が滑らかな感じがすると思います。

 では、拡大してみるとどうかということで、画中央のまだ開ききっていない花の辺りを拡大したものが下の写真です。同じく1枚目がデジタルカメラで撮影したもの、2枚目がフィルムカメラで撮影したものです。

▲部分拡大 デジタルカメラ
▲部分拡大 フィルムカメラ

 明らかに違いが判ると思います。デジタルカメラ(1枚目)の方が全体に滑らかで、細部までくっきりと描写されているのがわかります。
 一方、フィルム(2枚目)の方は全体的にざらついた感じがしますが、これはフィルムに塗布された色ごとの乳剤粒子が重なっているため、それによって複雑な色の組合せが生まれていることが理由だと思われます。デジタルに比べてはるかにたくさんの色数が表現されていますが、これがざらついた感じに見えるのだと思います。
 デジタルの撮像素子とフィルムの性能比較をするつもりはなく、生成される画の違いを見ていただければと思います。

 ざらついていると言っても、中判フィルムから全紙くらいの大きさに引き伸ばしプリントした程度ではざらつきはほとんど感じられません。超高感度のフィルムを使ったときの粒子の粗さによるざらつきとは全く別物で、豊かな色調からなる画の奥深さのようなものを感じます。 
 個人的にはこのフィルムのざらついた感じが好きで、それがフィルムの魅力の一つでもあります。

 このように、私はいろいろなところでフィルムの魅力を感じていて、しかも、それらが相乗効果で押し寄せてくるので、そう簡単にフィルムに踏ん切りをつけることができないというのが正直なところです。もちろん、フィルム価格や現像料の高騰は大打撃ですが、ごくごく些細な工夫をしながらでも、フィルムを使い続けたいという気持ちがあります。
 私はフィルムと日本酒の保管専用に小型の冷蔵庫を使っていますが、扉を開けた時にフィルムと日本酒が並んでいるのを見ると幸せな気持ちになります(なぜ、フィルムと日本酒が同居しているのかという突っ込みはしないでください)。使用前のフィルムのパッケージを眺めていると、それだけでどこかに出かけて撮影しているときの映像が頭の中に浮かんできます。まるで、うなぎを焼くときの煙でご飯を食べることができるおっさんみたいですが、私にとってはそれくらい魅力的な存在です。

 現在、冷蔵庫に保管されているフィルムは1年~1年半ほどで使い切ってしまいそうな量です。今の品薄状態と高額には閉口しますが、切らさないように何とか補充し続けていきたいと思っています。

(2023.6.5)

#PENTAX67 #ペンタックス67 #リバーサルフィルム #ライトボックス

67判のポジフィルムをカバーするライトボックス用ルーペの作成

 私が主に使っているフィルムはリバーサルフィルムの中判と大判です。現像が上がったリバーサルフィルムはライトボックスで確認をするわけですが、その際、ピントやブレなどの具合を調べるためにルーペを使います。
 そのためのルーペは数個持っていますが、いずれもルーペのレンズの直径があまり大きくないので一度に見ることのできる範囲は狭く、中判や大判のフィルムを確認するためにはルーペをあちこち移動させなければなりません。これが結構なストレスになります。もちろん、大口径のルーペも販売されてはいますが驚くほど高額です。
 そこで、大判フィルムはともかく、せめて67判フィルムをカバーできるルーペをということで、家にころがっているガラクタを集めて作ってみました。

今回、作成するルーペの仕様

 私が使っている中判のサイズは圧倒的に67判が多いので 、作成するルーペの大きさとしては、このフィルムをカバーするサイズとします。「カバーする」というのは、フィルムの上にルーペを置いた状態で、ほぼフィルム全体が視野に入るということを意味します。67判の対角線長は約88mmありますから、理想は直径88mm以上のレンズということになりますが、それだとかなり大きくなってしまい、手の小さな私には持ちにくくなってしまいます。フィルムの四隅が少しカットされるのは我慢するとして、今回は直径80mm前後ということにします。

 次にルーペの高さですが、ライトボックス上にフィルムを置いたとき、どれくらいの位置から見るのが最も見易いのかをいろいろ試してみました。低すぎると上体を前に倒さなければならないので、あまり有り難くありません。かといって高すぎると、これまたルーペが巨大になってしまい、使い回しに手を焼いてしまいそうです。
 結局、ライトボックスの上面から10~15cmくらいが最も使い勝手がよろしいというのがわかったので、ルーペの高さとしてはおよそ10cmとすることにしました。

 さて、ルーペの倍率をどれくらいにするかですが、私が普段使っているルーペの倍率は約6倍と約8倍で、細部をしっかり確認するにはちょうど良いのですが、ポジ全体を見渡すには倍率が高すぎます。もう少し倍率を落とした、3~4倍あたりが使い易そうですので、今回は4倍を目安にすることにしました。

 これらの条件を満たすレンズを決めなければならないのですが、ルーペの高さから逆算すると、ライトボックス上面からレンズまでの距離が70~80mmが適当な感じです。中間値をとって75mmとして計算してみます。

 レンズの焦点距離(f)、レンズから物体(フィルム)までの距離(a)、およびレンズから虚像までの距離(b)の関係は下の図のようになります。

 ここで、a=75mm、倍率mは4倍と設定しているので、レンズから虚像までの距離(b)は、

  b = m・a

 で求められます。
 よって、

  b = 4 x 75 = 300mm

 となります。

 次に、これを満たすレンズの焦点距離(f)ですが、

  1 / a - 1 / b = 1 / f

 の関係式に各値を代入すると、

  1 / f = 1 / 75 - 1 / 300

 よって、f = 100mm となります。

 すなわち、焦点距離100mmのレンズが必要ということです。

ルーペの作成に必要なパーツ類

 焦点距離100mmのレンズというと、クローズアップレンズのNo.10がこれに相当しますが、残念ながらそんなものは持ち合わせておりません。ガラクタをあさってみたところ、直径82mmのクローズアップレンズ(No.2)が1枚と、直径77mmのクローズアップレンズ(No.2、No.3、No.3、No.4)が4枚、計5枚がでてきました。
 なぜこんなにクローズアップレンズがあるかというと、昔、35mm判カメラで接写にはまったことがあり、その時に買い集めたものが今も使われずに残っていたというものです。
 82mm径であれば大きさも問題ないのですが、No.2が1枚ではどうしようもないので、少し小さくなってしまいますが77mm径のクローズアップレンズを組み合わせて使うことにします。

 クローズアップレンズの焦点距離は以下のようになっています。

  No.2 : 500mm
  No.3 : 330mm
  No.4 : 250mm

 2枚のレンズを組み合わせた時の焦点距離は以下の式で求めることができます。

  1 / f = 1 / f₁ + 1 / f₂ - d / (f₁・f₂)

 この式で、f₁、f₂ はそれぞれのレンズの焦点距離、dはレンズ間の距離を表します。

 この式から、これらのクローズアップレンズを組み合わせて焦点距離100mmを作り出すには、No.3(330mm)を2枚とNo.4(250mm)を1枚、計3枚で100mmが作り出せることがわかります。厳密にはクローズアップレンズ同士の間隔ができるので少し変わってきますが、そんなに精度を求めているわけではないので良しとします。

▲今回使用したクローズアップレンズ (左からNo.4、No.3、No.3)

 また、クローズアップレンズを同じ向きで重ね合わせると像の歪みが大きくなるので、1枚をひっくり返して反対向きにする必要があります。反対向きにするとオネジ同士、またはメネジ同士が向かい合ってしまい、ネジ込みすることができなくなってしまいます。そこで、これらをつなぐアダプタを作らなければなりませんが、これは使わなくなった77mm径のフィルターの枠を2個、流用することにします。

▲アダプタ用に使用したフィルター(2枚)

 そして、ライトボックス上面からレンズまでの高さを稼ぐため、これも昔使っていた金属製のレンズフードを使うことにしました。おあつらえ向きに77mm用のフードがあったので、まさに復活という感じです。フード先端の内径が約80mmあるので67判の対角には少し足りませんが、まぁ、我慢することにしましょう。
 また、ライトブックスは下から光が照射されるのでルーペ内には外光が入らない方が望ましく、金属製のフードは打ってつけです。

▲77mmのレンズフード(金属製)

 後は、レンズまでの距離(高さ)が不足する場合、それを埋めるためのスペーサーとして、やはり使わなくなったフィルター枠を使います。

ルーペの組み立て

 組み立てと言ってもクローズアップレンズやフィルター枠をはめ込んでいくだけですが、作らなければならないのがクローズアップレンズ同士をつなぐアダプタと、レンズフード取り付けのためのアダプタです。
 まず、クローズアップレンズを向かい合わせにつなぐために、上にも書いたように77mm径のフィルターからガラスを取り外した枠を反対向きに接着剤でくっつけます。接着面は非常に狭くて接着剤だけでは強度的に心もとないので、内側にグルーガンで補強しておきます。
 接着剤がはみ出したりしてあまり綺麗でないので、表面に自動車用の絶縁テープを巻いておきます。

▲フィルター枠(2個)を貼り合わせたアダプタ

 それともう一つ、レンズフードを取付けるためにオネジをメネジに変換しなければならないので、不要になったフィルターの枠をひっくり返してレンズフードに接着しなければなりません。これも同じように接着剤でくっつけ、内側をグルーガンで補強しておきます。

 あとは下から順に、レンズフード、クローズアップレンズ(No.4)、アダプタ、クローズアップレンズ(No.3)、クローズアップレンズ(No.3)と重ねていけば完成です。
 今回使用したクローズアップレンズのNo.3のうちの1枚は枠が厚いタイプだったので問題ありませんでしたが、枠が薄いタイプだとレンズの中央部が枠よりも飛び出しているため、重ねると干渉してしまいます。その場合は、フィルター枠を1枚かませるなどして、干渉しないようにする必要があります。

 下の写真が組み上がったルーペです。

 大きさがわかるように隣にブローニーフィルムを置いてみました。
 いちばん上に乗っているのは保護用(プロテクター)フィルターですが、これもガラクタの中から出てきたので、上側のクローズアップレンズを保護するためにつけてみました。使用上はなくても何ら問題はありませんが、クローズアップレンズが傷ついたり汚れたりするのを防いでくれるという点では役に立っていると思います。
 また、ルーペの下に置いてあるのが67判のポジ原版です。四隅が少しはみ出しているのがわかると思います。

 No.10のクローズアップレンズがあれば1枚で済んだのですが、有り合わせのもので作ったのでちょっと不細工になってしまいました。フィルター名やレンズ名の刻印がたくさんあってにぎやかですが、気になるようであれば適当なクロスか何かを巻いておけば問題ないと思います。

ガラクタから作ったルーペの使い勝手

 こうして完成したルーペですが、大きさや重さは以下の通りです。

  高さ : 105.5mm
  外径 : 80mm(上側) 85mm(下側)
  重さ : 224g

 クローズアップレンズ3枚と保護フィルター1枚、金属製のフードやフィルター枠を使っているので、やはりちょっと重いという感じはします。
 また、もう少し外径が細い方が私には持ちやすいとは思いますが、十分に許容範囲内です。

 実際にライトボックス上でポジ原版を見てみると、若干、糸巻型の歪みが感じられますが気になるほどではありません。
 67判の四隅はフードによってカットされてしまいますが、それでもほぼ全体が視野に入ってくるのでルーペを移動させる必要もなく、とても便利です。
 倍率は正確にわからないのですが、たぶん4倍程度といった感じです。ピントの甘いところやブレているところなどもしっかりとわかりますから、十分な倍率だと思います。

 そして、いちばん驚いたのがポジ原版の画像がものすごく立体的に、浮き上がって見えることです。広い範囲が見えるのでそう感じるのかもしれませんが、肉眼で見たのとは別の写真を見ているような印象です。

 ピントの位置も特に問題なく、ルーペをライトボックス上に置いた状態でフィルムにピントが来ています。
 もし、ピント位置が合わないようであればフィルター枠をかませようかと思っていましたが、その必要もなさそうです。

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 ガラクタを集めて作ったので見てくれは良くありませんが、クローズアップレンズを交換したり減らしたりすれば倍率も変えることができますし、ピント位置の調整もフィルター枠などを使うことで容易に行なうことができます。実際にクローズアップレンズを1枚外し、2枚構成にしてポジ原版を見てみましたが、倍率は少し下がるものの、十分に使用できるレベルでした。
 細部をシビアに点検するときは6倍以上のルーペが必要ですが、67判をほぼ視野に入れることができるメリットは大きく、今後、活躍してくれそうです。

(2023.1.12)

#ルーペ #クローズアップレンズ #リバーサルフィルム #ライトボックス