EPSON エプソンのフラットベッドスキャナ GT-X970 の原稿台ガラス清掃

 私は撮影した写真(フィルム)をWebページに掲載したり自分でプリントする際に、EPSON エプソンのフラットベッドスキャナ GT-X970 を使用しています。このスキャナの発売は2007年なので、すでに発売から17年も経過しており、私が購入してからも15年近くは経っていると思われます。すでに現行機種ではありませんが今のところ順調に稼働してくれています。
 しかし、長年使っていると原稿台のガラスの内側が徐々に曇ってきます。だいぶ以前(たぶん、6~7年前)に一度、清掃をしているのですが、最近、クモリが気になりだしていました。ガラスのクモリがスキャンにどの程度の悪影響を及ぼしているのかわかりませんが、それよりも白っぽくなったガラスが気になって精神衛生上もよろしくありません。
 ということで、原稿台ガラスの内側の清掃(クモリ除去)を行ないました。

原稿台(ガラス)の取外し

 このスキャナは本体の上に原稿カバーが乗っている構造ですが、原稿台のガラスを清掃するためには、本体の上面についている原稿台を取り外す必要があります。

 まず、スキャナにつながっているすべてのケーブル(電源ケーブル、USBケーブル、原稿カバーとの接続ケーブル)を外し、原稿カバーを90度開いた状態で上に引っ張り上げると、原稿カバーのヒンジごと取り外すことができます。ヒンジは本体の穴に差し込んであるだけで、何ら固定はされていません。

 次に、原稿台を固定している4本のネジを外します。ネジは原稿台の四隅にあります。

 上の写真で赤い矢印のところにあるのが原稿台を固定しているネジの場所ですが、キャップのようなものがはめ込まれていて、ネジはこの下に隠れています。

 このキャップは押し込まれているだけなので、先の細いドライバーのようなものを差し込んでこじれば取れますが、そうすると原稿台にもキャップにも、もれなく傷がついてしまいます。傷がついても機能や性能には影響ありませんが、見てくれが良くありません。
 そこで、グルーガンを使ってこのキャップを取り外します。

 まず、キャップの上にグルーガンでグルースティックを盛ります。

 キャップの直径は1cmほどなので、ここからはみ出さないようにグルースティックを盛り、固まるまで1~2分待ちます。
 そして、グルースティックが固まったらこれをペンチなどでつかんで、上に引っ張り上げます。すると、スポッとキャップがとれます。

 キャップがとれた中には原稿台を固定しているネジの頭が見えるので、このネジを外します。
 なお、キャップに盛ったグルースティックはペンチなどでこじれば跡も残ることなく、きれいに取ることができます。

 4本のネジをすべて外せば原稿台を取り外すことができますが、原稿台の裏側の本体前側には爪のようなものがあり、これが本体に引っかかっているので、本体後ろ側から持ち上げると簡単に外すことができます。
 取り外した原稿台はこんな感じです(裏側)。

原稿台ガラス内側の清掃(クモリ除去)

 上の写真ではよくわかりませんが、ガラスの内側がまんべんなく薄っすらと曇っています。
 わかりやすいように、ガラスの背後からLEDライトをあててみました。ガラス全面が曇っている様子がよくわかります。

 LEDライトの光がガラス面で乱反射して青白くなっています。光が照射されている中央部付近が黒く見えるのはクモリを拭き取った場所です。
 また、白い点々は付着しているホコリです。
 余談ですが、このようにガラスの内側が曇るのは、クモリの原因となる物質がスキャナ内部から放出されているのではないかと思っています。もちろん何の確証もありませんが、ガラスの外側の面はそれほど曇らないのでそんな気がしています。

 このガラスを綺麗に清掃するだけの簡単な作業ですが、面積が広いので結構時間がかかります。今回はレンズクリーナーを使ってクモリの除去を行ないました。
 クモリを取り除くのはすぐにできるのですが、拭き跡が残らないようにするのが大変で、LEDライトをあてて確認しながらせっせと拭いていきます。あまりゴシゴシと拭きすぎると静電気が生じるのか、空気中を漂っている微細なホコリがガラスに付着してしまい、これを拭き取ろうとするとさらにホコリが付着するという悪循環です。ブロアでシュッとやっても取れません。

 そこで、拭き跡がなくなったところで、刷毛でホコリを取り除きます。
 使用したのはHAKUBA製の刷毛です。

 これは髪の毛よりも細いと思われるポリエチレン製の毛がびっしりと束ねられていて、静電気の力でホコリを刷毛の中に吸い取ってくれるという優れものです。
 これを使って清掃を完了した原稿台がこちらです。

 ホコリを完全に取り除くことはできませんが、LEDライトをあてても以前のようにガラス面で乱反射することなく、光が透過しているのがわかります。やはりガラスはこうでなくっちゃという感じになりました。

 あとは、きれいになったガラスを指で触ったりしないように気をつけながら、外した時と逆の要領で原稿台を本体に取り付ければ清掃は完了です。
 なお、ネジにかぶせるキャップのようなものは嵌合する位置があるので、それに合わせて押し込めばパチッと嵌まります。

清掃前と清掃後のスキャン画像の比較

 さて、多少の微細なホコリはあるものの、すっかりきれいになった原稿台でスキャン画像の違い(効果)があるものなのか、気になるので清掃前と清掃後でスキャン画像を比較してみました。
 過去に撮影したポジ原版の中から色調が濃いめで、コントラストも比較的高いと思われるものを選び、同じ条件でスキャンしてみました。
 1枚目が清掃前、2枚目が清掃後です。掲載写真は解像度を落としてありますが、いずれも6,400dpiでスキャンしました。

▲清掃前のスキャン画像
▲清掃後のスキャン画像

 はっきり言って、清掃前と清掃後の違いはほとんどわからないのですが、並べてみてみると、清掃後の画像の方がわずかにコントラストが高いように感じます。黒とか青などの濃い色の締まりがある感じです。
 しかし、別々に見るとどちらが清掃前でどちらが清掃後なのか、全くわかりません。

 そこで、画像のヒストグラムを比較してみました。
 下の画像の左側が清掃前のヒストグラム、右側が清掃後のヒストグラムです。

▲左:清掃前 右:清掃後

 波形は非常に似通っていますが、波形の左から1/4の辺り、清掃前の波形は角のような形状がありますが、清掃後の波形にはこれがありません。
 実は、清掃後にスキャンしようとした際にフィルムホルダーを落としてしまい、フィルムの一部がフィルムホルダーから外れて、長さ2mmほどの折れ跡のようなものがついてしまいました。どうやらこれが原因ではないかと思われます。

 それとは別に、ヒストグラムの左側の立ち上がりの位置が微妙に違っています。清掃前に比べて清掃後のヒストグラムの方が、左側の立ち上がりの位置がわずかに左に寄っています。
 これはごくわずかですが、全体的に色調が濃くなっていることを示していて、2枚の画像を並べて目視した際に、清掃後の方がコントラストが高めに感じるということと一致しているように思えます。これが、原稿台ガラス面のクモリがなくなったことによる結果であるならば、ごくわずかではあってもこの清掃の効果があったと言えるかも知れません。
 しかしながら、スキャン自体の条件も寸分違わずにというような厳密なものではないので、本当に因果関係があるのかどうかは怪しさがつきまとっています。

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 原稿台のガラスに多少のクモリがあっても、それによってスキャン画像の画質が劇的に悪くなるというものではなさそうですが、ガラス面に余計なものが付着していないに越したことはないわけで、画質に与える影響もさることながら、気になっていたモヤモヤ感が払しょくされたことの効果の方が大きいかも知れません。
 ガラスが曇ったり汚れたりするのは仕方がないことですし、使用環境や使用頻度などによってその度合いも異なってくると思いますが、いずれ、何年か経つとまた曇ってくることは明らかです。それまでこのスキャナが順調に稼働してくれるかどうかわかりませんが、故障さえしなければ数年間はクモリを気にすることなく気持ちよく使うことができそうです。

(2024.5.28)

#EPSON #GT_X970 #エプソン #スキャナ

最近、姿を消しつつある撮影機材などのあれこれ ~手に入らなくなる日も近いかも...~

 デジタルカメラが普及するとともにフィルム写真のシェアはどんどん小さくなっていき、フィルムカメラやフィルムが次々と市場から姿を消していったのは言うまでもありませんが、相変わらずフィルムで写真を撮っている私のような立場からすると、カメラやフィルム以外にも姿を消していっているものがたくさんあって、何とも言えない寂寥感のようなものがあります。
 デジタルカメラではほとんど使うことはないけれど、大判カメラや中判カメラではないと困ってしまうものがたくさんあり、そんな中で、特に数を減らしつつある撮影機材などについて触れてみたいと思います。

スポット単体露出計

 今のカメラには露出計が内蔵されているため単体露出計の必要性はほとんどありませんが、大判カメラには露出計が内蔵されていないので、単体露出計は必須アイテムの一つです。単体露出計はニーズが激減しているので市場から姿を消していくのは自明の理ですが、私が主な被写体としている風景撮影に必要な反射光式単体露出計、しかもスポット単体露出計の現行品は、私が知る限り1~2機種しかありません。

 現在、私が使っている露出計はPENTAXのデジタルスポットメーターという機種で、もちろん現行品ではありません。今のところは正常に機能しているので問題ありませんが、万が一、壊れでもしたら一大事です。
 入射光式の単体露出計は反射光式に比べると現行品も多くありますが、入射光式で反射光式露出計の代替をするというのはやはり無理があります。広範囲を測光するのであれば入射光式でも良いのですが、ここの露出は外したくないというようなピンポイントでの測光にはスポット露出計がどうしても必要になります。

 機械ものなのでいつかは壊れるだろうし、その時のために今から予備を用意しておこうとも思いますが、上でも書いたように現行品は極々限られた機種のみで、しかも、購入しようとするとかなりの高額を覚悟しなければなりません。かといって、中古品も潤沢に出回っているわけではなく、大手ネットオークションサイトを見てもスポット式露出計の出品はとても少ないです。また、中古品の場合は測光精度が不明なため、手を出しずらいというのが正直なところです。
 スポット測光のついているデジタルカメラを代用にと考えないこともありませんが、機材が大きくて重くなるので使い勝手としてはイマイチどころかイマニ、イマサンといった感じです。
 中古カメラ店やネットオークションサイトで根気よく探すしかないのかも知れません。

ケーブルレリーズ

 露出計のように高額でもなく、小物アクセサリーの代表格のようなケーブルレリーズですが、これも店頭からは姿を消しつつあります。それでも大手のカメラ店に行けば手に入りますが、やはり2~3種類しかありません。
 ケールレリーズなどどれでも同じだろうと思われるかも知れませんが、実はそんなことはなく、長さであったり操作部の形状であったり、自分の撮影スタイルにあったものとなると限られてしまいます。
 ちなみに、私にとって使いやすいのは、長さが60~70cmで、操作部が比較的小さなものです。

 ケーブルレリーズはまさに過去の遺物のような存在になってしまっているため、中古市場には多く出回っていますが、私の使用条件に合うものとなるとほとんどありません。
 普通に使っていれば壊れることはまずありませんが、撮影に行った際にどこかで落としてしまったなんてことは十分にありうるので、やはり予備は持っておきたい小物です。ケーブルレリーズがなければ指でシャッターを押すことも可能ではありますが、カメラブレが心配ですし、何よりも撮影時の意気込みに影響を与えます。
 また、構造はいたってシンプルなのですが、この代替となるようなものが見当たりません。
 新品で購入してもたかだか数千円の小物ですが、撮影において果たす役割はとても大きな小物でもあります。

冠布

 大判カメラでの撮影時に、外光を遮断するために頭からすっぽりとかぶる風呂敷のようなものです。
 大判カメラの後部についているフォーカシングスクリーンに光が当たると、ここの結像がほとんど見えなくなってしまいます。そのため、外部からの光、特に後部からの光を遮断して結像が良く見えるようにします。フィールドカメラにはフォーカシングスクリーンにフードがついているものもありますが、後方に太陽があるとほとんど役に立ちません。
 この冠布、扱っているお店がとても減ってしまいました。というよりは、冠布の製造をやめてしまった会社(メーカー)が多いというのが正しいと思います。

 冠布が手に入らなければ遮光性の高いカーテンなどを適当な大きさに切って代用することも可能なので、もし市場から姿を消してしまってもそれほど深刻ではありませんが、やはり、専用に作られているものの方が優れているのは言うまでもありません。
 私もかつては数枚持っていましたが、汚れたり、あちこち破れたりしたので捨ててしまい、今は1枚だけになってしまいました。この1枚がボロボロになったら、「お値段以上」のお店に行って遮光カーテンを買って自作してみようと思います。

ライトボックス

 私が使うフィルムはリバーサルがほとんどなので、撮影後のポジを確認するためにライトボックスが必要になります。フィルム用のライトボックスは光の色によってポジの色調が変わらないよう、色温度5,000Kが標準とされています。
 ライトボックスはフィルムチェック以外にもトレースなどで使用する人もいるのでなくなることはないだろうと思っていたのですが、なんと、最近になって急激に姿を消しつつあるように思います。

 私が使っているライトボックスはかなり昔のもので、光源に蛍光管を使っています。今では様々な照明機器がLEDになりつつあり、蛍光管自体が非常に珍しい存在になってしまいました。しかも、色温度が5,000Kという蛍光管はもはや手に入らないのではないかと思っています。数年前に蛍光管を交換しているので、あと数年は光量も落ちることなく使えると思いますが、その先のことはわかりません。
 LEDタイプのライトボックスにしようと思っていろいろ探してみたところ、以前は結構たくさんの機種があったのにすっかり減ってしまい、5,000Kのライトボックスはごくわずかしかありませんでした。研究用とかの非常に高額なものはあるのですが、手ごろな価格のいわゆる民生用は姿を消しつつあるという感じです。

 今使っているライトボックスの蛍光管がヘタってきたら、5,000KのLEDライトを購入して蛍光管と交換しようと思っています。
 ただし、LEDの光は蛍光管のように拡散しにくいので、乳白色板を入れるなどして、色温度が変わらないようにしながら光を拡散させなければならず、若干の工夫が必要そうです。

ポジフィルム用スリーブ、ポジフィルム袋

 ポジ原版はそのままで観賞できるように透明の袋に入れて保管しなければなりません。一般に「OP袋」と呼ばることが多く、フィルムの大きさに合うように何種類もの製品が用意されていました。
 多くの製品はフィルムがちょうど収まるような大きさですが、私が愛用しているのは、撮影データなどを書き込んだメモを差し込めるポケットがついているタイプのものです。

 かつてはいくつものメーカーから出ていたのですが、今ではほとんど見かけなくなってしまいました。店頭からすっかり姿を消してしまったのでメーカーに直接問い合わせをしたことがありますが、製造を終了してしまい、今後も製造する予定はないとの回答でした。
 また、一口にOP袋といっても様々で、非常に薄いタイプのものや腰のしっかりしたもの、透明度が高いものや何年か経つと白っぽくなってしまうものなど、いろいろです。素材の違いなのかもしれません。
 今は買い置きしたものを使っていますが、これが底をついたときに代替となるポジ袋が今のところ見つかっていません。幸いにも、メモをいれるポケットがついていないタイプのポジ袋であれば何種類も販売されているので保管に困ることはなさそうですが、メモ書きを入れて置けるという便利さは損なわれてしまいます。
 何らかの工夫をしてメモ書きを添付できるようにするか、割り切ってメモ書きはあきらめるか、手持ちのポジ袋を使い切るころに検討することとします。

四切サイズの額縁

 このサイトを始めた頃に、四切サイズの額縁が減ったというページを書きましたが、ここ最近はさらに拍車がかかった感じです。特にワイドマットタイプの四切は数えるほどしかありません。しかも、ここにきて額縁全体がかなり値上がりしています。値上がりしているのは額縁に限ったことではありませんが、額縁の値上げ幅は半端ない感じです。
 すべての額縁が減ってしまっているわけではなく、A4とかA3、ワイド四切といったサイズのものはむしろ増えている感じがします。たぶん、35㎜判フィルムの縦横比に近いことが理由だと思われます。
 そして、額縁だけでなく、一般に市販されている四切サイズのプリンタ用紙も次々と姿を消してしまいました。数年前までは各社から紙質が異なる複数の四切の製品が出ていましたが、今では数えるほどに減ってしまいました。この現象を見ても、四切のニーズがいかに少ないかということが良くわかります。

 私が使うフィルムは大判の4×5判と中判の67判がほとんどなので、縦横比が比較的近い四切はほとんどトリミングせずに額装できます。
 フィルムにしてもデジタルにしても35㎜判を使う方が圧倒的に多いでしょうから、四切が減るのは致し方ないとも思えますが、気に入ったデザインの額縁のラインナップに四切が入っていないのを目の当たりにすると、思わずため息が出てしまいます。
 個展でも開かない限り、額縁というのはそんなに大量に使うものではないので、気に入った額縁をオーダーで何枚か作ってもらい、それを使い続けることを考えています。当然、市販品に比べて割高になりますが、何年も使えるものですし、何よりも気に入った写真を気に入った額に入れる方がはるかに心が和みます。
 そして、プリンタ用紙はというと、A3サイズを購入して四切サイズにカットして使う日がくるのではないかと思っています。

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 フィルムカメラやフィルム写真に関する機材やアクセサリーなどがどんどん減ってしまうのは仕方のないことです。それでも、途絶えてしまわないように、細々ながらでも製品を供給し続けてくださるメーカーがあることはとてもありがたいことです。製造数が減れば価格が上がるのも当然のことかもしれませんが、たとえ種類が減っても販売が続いている実態を見ると、フィルム写真もまだ大丈夫かと淡い期待を抱いてしまいます。
 とはいえ、いずれは姿を消してしまうものもあるでしょうから、予備を用意しておくとか、代替の方法を考えておくとか、そういう対策も必要になると思っています。ないものは工夫して作る、というのも楽しみの一つかも知れません。

(2024.5.10)

#カメラ業界 #ライトボックス #レリーズ #額装