35mmフィルムケースを使って、ブローニー用フィルムケースの作成

 最近は35mm判フィルムを使うことが少なくなったのですが、10年くらい前までは中判や大判よりも、使用量が圧倒的に多かったのが35mm判フィルムです。35mmフィルムは一本ずつケースに入っているため、このケースがどんどんたまっていきます。捨てるには忍びないと思い、段ボール箱に放り込んであるのですが、ほとんど使われることはありません。小さなネジなどを入れるのに使うこともありますが、そんなことで使われる数はたかが知れています。
 そこで、この空ケースを使って、ブローニーフィルムを入れるケースを作ってみました。

35mmフィルムケース2個を使い、ブローニー用フィルムケースを1個作る

 昔はブローニーフィルムを現像に出すと、5本用のフィルムケースがおまけのようについてくることがありました。いま私が使っているフィルムケースも無料でいただいたものです。
 しかし、長年使っているため、あちこちにひびが入ったり欠けたりしているので、新しいものと交換したいと思うのですが、今は無償で手に入れることができません。ブローニーフィルムが5本入る専用のケースは市販されていますが、1,600円ほどと驚くほど高額です。
 作る手間を考えれば買った方が安上がりかもしれませんが、使い道のない35mmフィルムケースの再利用という点では一役買ってくれそうです。

 35mmフィルムのパトローネの径とブローニーフィルムの巻き径に大きな差はないので、35mm用フィルムケースにうまい具合に納まります。しかし、そのままでは長さ(高さ)が足りないので、35mm用フィルムケースを少し継ぎ足して、ブローニーフィルムが入るようにします。
 
 下の写真を見ていただくとわかり易いと思いますが、フィルムケース2本のうち1本を、下から25mmくらいの位置でカットします。カットする位置に目印となる線を入れておきます(写真①)。
 カットする寸法は1mmくらい前後しても問題ありませんが、複数個つくるときに同じ長さになるようにしなければならないので、正確に決めておく必要があります。

 実際にカットした状態が写真②です。

 カットする際は目印の線に合わせてガムテープなどを巻き付けて、それに沿ってカットしていくと曲がらずに綺麗に切ることができます。
 カットしたケースの下側(底の部分)はフィルムケースのキャップになります。
 また、カットした上側の部分はケース内側の立ち上がりに使用します。そのままだと直径が同じで中に入らないので、約5mmの幅でスリットを入れます(写真③)。

 この立ち上がりをもう1本のフィルムケースの中にはめ込み、接着します。
 今回使用したフィルムケースは富士フィルムのものですが、材質はHDPE(高密度ポリエチレン)製のため、通常の接着剤は使えません。ポリエチレンやポリプロピレンを貼り合わせることができる接着剤が必要です。セメダイン製のPPXやスーパーXハイパーワイド、コニシ製のボンドGPクリヤーなどが使えますが、今回は手元にあったボンドGPクリヤーを使いました。硬化するまでに若干時間はかかりますが、接着直後であれば張り合わせ位置の修正ができるので便利です。

 接着する部分の長さが11mm、立ち上がりとして上に飛び出す部分が14mmとなるようにしました。
 実際に立ち上がり部分を接着した状態が写真④です。

 なお、立ち上がり部分は5mmほどの幅で切り取ってあるので、ケースの中にはめ込んだ際に若干の隙間ができます。この隙間はグルーガンで埋めておきます。

 切り取った下側の部分をキャップとして被せると、ケースの高さは約75mmになります。
 ブローニーフィルムの高さは約65mmなので余裕があり過ぎるように思いますが、フィルムがラッピングされた状態で入れるにはちょうど良い高さになります。

 接着した立ち上がりですが、無理やり剥がそうと力を入れて引っ張れば取れてしまいますが、通常の使用では問題ないくらいの強度はありそうです。

フィルムケース5個をつないで、5本用のフィルムケースにする

 こうして出来上がったフィルムケースをそのまま使っても問題ないのですが、1本ずつのケースでは使い勝手があまりよくないので、このケース5個を横につないでフィルムが5本入るケースにします(もちろん、4本用でも6本用でも構いませんが)。
 5個のケースをどのように配置するかは自由ですが、使い勝手が良くて、カメラバッグの中に入れても納まりの良い良い配置というと、やはり横一列という配置だと思います。

 しかし、円筒形(正確には富士フィルム製のケースは完全な円筒形ではなく、わずかに上が広いテーパになっています)の接着面は非常に細い線状でしかないので、接着しても強度がなく、少し力を加えると簡単にとれてしまいます。
 そこで、5個のケースを横一列に接着した後、片面に薄いアクリル板を貼りつけることにします。

 5個のケースを接着した状態が下の写真です。

 貼りつけるのは板厚が1.6mmの透明なアクリル板です。フィルムケースと同じ色合いにするため、両面にサンドペーパーをかけてすりガラス状にします。
 アクリル板は切断や切削などの加工も比較的簡単にできますし、接着も通常のプラスチック用の接着剤が使用できますが、接着する片方がポリエチレンなので、やはりGPクリヤーを使います。

 アクリル板を貼りつけた状態はこんな感じです。

 ポリエチレンは塗装もできませんが、アクリル板であれば塗料も問題なく乗るので、お気に入りの色を塗ることも可能です。
 また、アクリル板の左右両端は、できるだけ段差が出ないように斜めに削っておきます。

 なお、補強の目的で、底面に厚さ0.3mmのプラバンを貼りました。アクリル板を貼れば強度的には問題ないと思いますが、念のためということで。

キャップは接着せずにバラの状態で

 キャップとして使用するケースの下側の部分ですが、カッターナイフでカットした場合、小口(断面)の角が鋭利になっているので、軽くヤスリをかけて角をとっておきます。
 キャップはスカスカでもなく、かといってきつい感じもなく、程よい抵抗感で嵌めたり外したりできます。グルーガンで埋めたところが滑り止めのような効果を発揮しています。

 さて、このキャップをどうするかですが、ケースの入れ物と同じように5個を横一列に並べて接着し、アクリル板を貼りつけて一体化することも考えましたが、とりあえずそのまま、バラの状態で使用してみることにしました。
 5個をつないでしまうと、キャップの開け閉めがし難くなるのではないかという懸念と、実際に使う際は5個のうちのどれか一つだけなので、バラ状態の方が使い易いだろうという思いからです。
 ただし、バラだとキャプをなくしてしまう可能性が高まりますが、その場合はキャップだけ新たに作ればよいので、大きな問題ではないでしょう。
 なお、キャップ側も連結したほうがケース全体の強度は増すと思います。

 しばらく使ってみて、使いにくいとか問題があるようであれば、キャップの連結も試みてみようと思います。

 また、フィルムケースは乳白色なので、中がぼんやりと見えます。撮影前のフィルムなのか撮影済みなのかが一目でわかるので、意外と便利かもしれません。市販のケースは遮光性を保つため、色付きの素材を使っていますが、通常はカメラバッグの中に入れておくので、それほど遮光性に神経質にならなくても大丈夫かと思います。

 これまで使っていたフィルムケースと比べると、横の長さが約5mmほど長くなっていますが、使う上で特に支障はないと思われます。

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 フィルムケースというのは、フィルムを2~3本しか持っていかないときはなくてもそれほど支障のあるものではありませんが、長期間の撮影行で20本、30本と使うときは必要なものです。フィルムの種類を分けたり、撮影前と撮影後のフィルムを分けたり、また、カメラバッグの中でフィルムが行方不明になるのを防ぐということにも役立ちます。
 今回のケースの自作で35mmフィルムのケース10個を使いましたが、もともとついていたケースの蓋が10個残ってしまい、これの使い道は思いつきませんので廃棄しました。

(2022.8.11)

4×5判シートフィルムをブローニーフィルム用現像タンクで現像する

 私はモノクロフィルムを使う頻度はリバーサルに比べるとそれほど高くありませんが、それでも時どき、ブローニー判や4×5判のモノクロフィルムで撮影を行ないます。撮影後のモノクロフィルムは自家現像をしており、4×5判のシートフィルムの現像にはパターソンのPTP116という現像タンクを使っています。このPTP116という現像タンクは現像液が大量に必要なので、フィルムの枚数が少ないときにはもったいない気がします。
 そこで、フィルム枚数が少ない(1~2枚)ときには、ブローニーフィルム用のパターソンのPTP115という、少し小ぶりの現像タンクで4×5判シートフィルムを現像していますので、今回はそれをご紹介したいと思います。
 なお、実際に作成したのは何年も前のことであり、製作過程の画像がありませんのでご了承ください。

パターソンのPTP115で4×5判シートフィルム2枚を現像

 パターソンのPTP115という製品は、35mm判フィルム、およびブローニーフィルム用の現像タンクで、ブローニーフィルム用のリールは1本しか入りませんが35mm判用であれば一度に2本のリールを処理することができます。一回に使用する現像液の量は500mlなので、比較的少なくて済みます。

▲パターソン PTP115 現像タンク

 PTP115は4×5判シートフィルムを横置きにしたときにちょうど収まる深さがありますので、フィルムを適当にタンクの中に放り込んでおいても現像はできるかもしれません。しかし、フィルムは水分を含むと腰が弱くなって現像タンクの内壁に張り付いてしまう可能性があります。
 また、フィルムを何らかの方法で固定しておかないと現像タンクの中を自由に泳ぎ回ってしまうため、フィルム同士がくっついてしまう可能性も考えられ、あまり好ましくありません。

 フィルムをくるんと丸めて輪ゴムで止めて、それを現像タンクに入れて処理するという方もいらっしゃるようですが、撹拌の勢いで輪ゴムが外れてしまうのではないかという心配があり、私は試したことがありません。

 私は2枚のシートフィルムを固定するための簡単なホルダー(治具)を自作し、それを用いています。
 現像タンク内のスペースとしては4枚くらいは入れられると思うのですが、一度に4枚を処理するのであればPTP116を使った方が楽です。あくまでも1枚とか2枚の現像をするとき用です。
 また、フィルムを4枚入れてしまうと現像タンク内がぎゅうぎゅう詰め状態になり、回転攪拌ができなくなってしまいます。パターソンの製品は回転撹拌ができるようになっているので、それを活かすためにあえて2枚の処理用としています。

シートフィルムを固定するホルダー

 4×5判のシートフィルムは現像タンク内の内壁に沿って湾曲させなければなりません。手でフィルムの両端を挟んで内側に押すとフィルムが湾曲しますが、その状態を保持するようなホルダーがあればよいので、下の図、および写真のような簡単なものを自作しました。

▲PTP115用 シートフィルムホルダー
▲PTP115用 シートフィルムホルダー

 素材は厚さ0.15mm、サイズは100mmx200mmのステンレス板です。1枚400円ほどだったと思います。
 この厚さであれば切ったり曲げたりも簡単にできますし、いったん曲げてしまえば自然にもとに戻ることはありません。0.15mmというとペラペラな感じに思われるかもしれませんが、ステンレスなのでかなりしっかりしています。

 現像タンクの内壁に沿うように全体を湾曲させるのですが、直径3~4cmくらいの丸棒に巻き付けるようにして、急激な力を加えずゆっくりと転がすように曲げていくと割ときれいにできます。もちろん、金型で成形したようにはいきませんが、多少の凹凸があった方が現像液の流れる隙間になって良いかも知れません。

 ホルダー両端の折り返してあるところにフィルムの端を入れると、フィルムが元に戻ろうとする力でホルダーに固定されます。ホルダーの中央部が内側に山折りしてあるのは、水分を含んだフィルムが柔らかくなってホルダーに張り付いてしまうのを防ぐためです。
 また、ステンレス板の下側を若干短くして、両端を折り返したときに斜めになるようにしていますが、これはパターソンの現像タンクが上にいくにしたがって内径がわずかに大きくなっており、それに合わせるためです。
 とはいえ、それほど精密に加工する必要はないので、現物合わせといった感じです。

 実際に4×5判シートフィルムを入れるとこんな感じになります。

▲PTP115用 シートフィルムホルダー(フィルムを入れた状態)

 フィルムの乳剤面が内側になるようにホルダーにはめ込みます。

 このホルダーを2枚作って、現像タンクの中に向かい合わせに入れます。
 その状態が下の写真です。

▲PTP115とシートフィルムホルダー

 ホルダー自体は現像タンク内でどこにも固定されていませんので、倒立撹拌を行なえば多少は動くと思いますが、特に問題はないと思います。また、2枚のホルダーの折り返した両端同士が接しているので、動くとしても円周方向であり、現像タンクの中心方向に動くことはありません。

 なお、ステンレス板の表面はとても滑らかですが端面や角はざらついていたり尖っているので、フィルムを傷めないためにも、サンドペーパーなどで出来るだけ滑らかにしておきます。
 また、油などを落とすためにアルコールや中性洗剤できれいに洗っておきます。

回転撹拌用の羽根

 パターソンの現像タンクは、中央にセンターコラムと呼ばれる回転撹拌用のパイプ(筒)を入れないと光が入り込んでしまうのですが、通常はこのセンターコラムにリールを差し込み、回転撹拌を行ないます。つまり、リール(フィルム)を回転させる仕組みになってるわけです。
 しかし、今回のようにリールを使わずにフィルムがホルダーとともにほぼ固定状態ですので、ここにセンターコラムだけを入れて回転させてもほとんど意味がありません。倒立撹拌を行なえば何の問題もありませんが、せっかく回転撹拌できるようになっているので使えるようにしてあります。

 上の写真でわかると思いますが、2枚のフィルムを入れると現像タンクの中央にレモン型の空間ができます。この空間を利用して撹拌用の羽根を回転させるようにしています。
 羽根の部分は35mmフィルムのケースとアクリル板、そしてそれを固定するステンレス板で自作しています。

▲PTP115用センターコラム(右)と撹拌用の羽根(左)

 フィルムケースの素材は弾力があるので、回転撹拌用のセンターコラムに抜き差しできるようにするためにはうってつけです。
 この羽根をセンターコラムに装着して、通常の回転撹拌のようにすれば現像タンク内で羽根が回転して水流が発生します。フィルムを回転させるのではなく、現像液を撹拌するという方式です。
 もちろん、倒立撹拌でも全く問題はありません。

▲センターコラムに撹拌用の羽根を取付けた状態

現像上のトラブルもなく、問題なく使える

 実際にこれを作ったのは4~5年前で、現像するフィルム枚数が少ないときはこれを使っていますが、これまでに現像ムラなどのトラブルは一度もおきたことがありません。
 最初は、フィルムがホルダーから外れてしまうのではないかと心配もしましたがそんなこともなく、回転撹拌しても倒立撹拌してもしっかりと保持されていました。

 また、実際に使ってみて感じたのは、フィルムをホルダーにはめ込むのが実に簡単ということです。ホルダーにはめる際は暗室やダークバッグの中などの真っ暗闇で行なうわけですが、構造が単純なだけに変なところにはまってしまうこともなく、手探りでも簡単に行なえます。
 唯一、注意をするとしたら、フィルムの裏表を間違えないようにするということぐらいでしょうか。実際に裏表を反対にした状態で試したことはありませんが、乳剤面の水流が不十分で現像ムラが起きる可能性は考えられます。

 なお、一回に必要な現像液の量は500mlです。

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 回転撹拌をあきらめれば、4枚を同時に現像できるようなホルダーも考えられますが、形状が複雑になるので加工精度が求められ、手作業で製作するのは難しいかも知れません。一度に多くの枚数を処理できるのは効率的ですが、少しずつ現像の条件を変えたいというときにはこのほうが無駄がなくて便利かもしれません。

(2022.5.14)

#パターソン #PATERSON #フィルムホルダー #モノクロフィルム

大判レンズのシャッター速度と絞りを実測

 大判カメラ用のレンズにはシャッターが組み込まれていて、絞り羽根もシャッターも電子制御とかではなく、すべて機械的に動くようになっています。バネや歯車、カムなどの組合せでこれらを正確に動かしているわけですから本当にすごいと思います。
 この機械式シャッターがどの程度の精度で機能しているのかを実測してみました。
 高精度の測定器を用いたわけではありません。あくまでも簡易的な測定ですので精度はそれほど高くないことをあらかじめお断りしておきます。

シャッター速度の測定方法

 シャッター速度の計測は下の図のような方法で行なうことにしました。

 シャッターが開いたり閉じたりする際に、光が透過、遮断される状態を感知するための装置(治具)が必要になりますが、これは自作します。この治具をレンズの下部に置き、レンズ上方から光をあてて、シャッターを切ったときの波形をオシロスコープでつかまえようというものです。
 治具の他に必要な機器類は安定化電源、オシロスコープ、LED照明、そして外光を遮断するための暗箱(これも自作)だけという簡単なものです。

 まず、シャッターの開閉を感知するための治具ですが、これはフォトトランジスタを使って実現することにしました。電子パーツの箱をかき回したところ、東芝製のフォトトランジスタ(すでに生産終了品)があったのでこれを使います。
 あとは抵抗器、端子台くらいがあれば何とかなりそうです。

 作成する治具は下の図のようなものです。

 細かな説明は省きますが、フォトトランジスタは光があたると電流が流れるというスイッチのような役目を果たしてくれます。このフォトトランジスタと抵抗器を上の回路図のように接続して、小さなケースに収めれば治具は完成です。フォトトランジスタの受光部に光があたるよう、ケースの上側に小さな穴を開け、ここにフォトトランジスタを差し込みます。
 上図右側の写真がケースに収めた状態ですが、ケースから出ている3本の電線のうち、赤と黒の線は電源に、黄色の線はオシロスコープに接続します。

 シャッターの開閉によりフォトトランジスタから流れる電流の波形は、角が取れた台形のような形をしています。

 台形波形の底辺の位置がシャッターが閉じている状態、上辺の位置が開いている状態になります。シャッターが開き始めてから開くまでの立ち上がり波形の1/2の位置、および、閉じ始めてから閉じきるまでの立下り波形の1/2の位置の間をシャッターが開いている時間(露光時間)とします。

シャッター速度の測定結果

 今回、計測対象としたレンズは、フジノンの大判レンズ「FUJINON W180mm 1:5.6」です。このレンズのシャッターにはコパルNo.1が使われており、シャッター速度は1~1/400秒まで、10段階あります。
 治具に外光があたらないようレンズを自作の暗箱に乗せ、上からLED照明をあてて計測します。

 実際に計測した結果は下記の通りです。
 それぞれのシャッター速度の位置で5回ずつ計測し、平均値、分散、偏差を求めてみました。

 オシロスコープの限界があるので、シャッター速度によって分解能(最小計測時間)を以下のように変えています。
  1~1/2秒   10ms
  1/4秒     5ms
  1/8秒     2ms
  1/15~1/30秒  200μs
  1/60~1/400秒 100μs

 この結果からもわかるように、低速側(1~1/8秒)では規格値よりも若干速め(開いている時間が短い)、高速側(1/15~1/400秒)では規格値よりも若干遅め(開いている時間が長い)という傾向があります。規格値に対して最もずれが大きいのが1/30秒の時ですが、それでも5.6%のずれですからかなり正確ではないかと思います。
 メーカーが規定している許容範囲がどのように設定されているのか詳しくは知りませんが、何年か前にこのレンズとは別のレンズを修理に出したことがありました。修理から戻ってきた際に検査結果表を見たら、シャッター速度は+30%~-20%くらいの許容値が書かれていたように記憶しています。
 規格値に対して30%のずれということは、大雑把に言うと絞りにして1/3段くらいに相当します。それくらいは許容範囲ということなのでしょう。

 それにしても、機械仕掛けだけでこれだけの精度を出すわけですから驚きです。

絞り開口部の測定方法

 次に、絞り羽根による開口部の測定です。
 これは開口部をデジカメで撮影し、その画像から開口部を多角形として近似的に面積を求めます。考え方を下の図に示します。

 任意の多角形(上の図では五角形)の頂点(P1~P5)と、任意の原点(P0)をプロットし、隣り合った2点ごとに原点からのベクトルの外積を求め、これを積算していくという方法です。
 この方法で任意の多角形の面積は以下の一般式で求めることができます。

 実際にレンズの開口部を撮影し、各頂点をプロットしたのが下の写真です。

 ここでは28点をプロットしています。絞り羽根の内縁は弧を描いているので、厳密にはもっと多くの頂点をプロットすべきですが、そこまでやっても有効値は得られないだろうということで28点にしました。
 各頂点の座標は、原点からの画像の画素数で求めています。
 上の写真は約1,600万画素のデジカメで撮影したものを若干トリミングしています。トリミング後の長辺が約4,480画素あり、この画素数で写している長さは約210mmですので、計算上の分解能は約0.047mmということになります。

 そして、この画像から各頂点間の長さを求めるため、基準として外側ジョウを40mmに開いたノギスを写し込んでいます。このノギスのジョウ間の画素数をもとに各頂点間の長さ(ベクトル)を求め、上の計算式にあてはめて開口部の面積を算出します。

絞り開口部の測定結果

 測定に用いたレンズはシャッター速度の計測に使ったのと同じ「FUJINON W180mm 1:5.6」です。このレンズの絞り羽根枚数は7枚です。測定対象はF5.6~F45までの7点です。なお、レンズの後玉を外して撮影しています。

 測定結果は以下の通りです。

 絞りは1段絞るごとに開口部の面積が半分になるので、F5.6のときの開口部面積を基準にして、各絞り値の時の比率を出してみました。いずれも基準値に対して±6%以内におさまっています。シャッター速度と同様に、この程度のずれに納まっているというのはやはり驚きです。
 最小絞りあたりになると開口部の形状が崩れてしまうレンズを見かけることがありますが、このレンズはF45まで絞っても、元の形と同様に比較的綺麗な7角形を保っていました。 

 露出はシャッター速度と絞りの組合せで決まるので、今回の測定結果からすると、それらの組み合わせで最もずれが大きくなるのが絞りF45、シャッター速度1/30秒の時で、露出がおよそ10%増えてしまうことになります。10%というのは通常の撮影ではほとんど気にならない誤差の範囲だと思います。
 シャッター速度や絞りが正常に機能せず、規格値から大きくずれてしまうと露出オーバーや露出アンダーの写真になってしまうわけですが、出来上がった写真を見てそれがわかるというのは、それぞれ50%以上のずれが生じている状態だと思われます。

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 今回、大判カメラ用のレンズのシャッター速度と絞りを実測してみましたが、素人が簡易的に計測しているので計測誤差はかなりあると思います。ですが、それを差し引いても傾向はつかめたのではないかと思います。
 手持ちのレンズすべてを計測するのは時間もかかり大変ですが、レンズを修理したり清掃した後に確認の意味で計測してみるのは価値があると思います。

(2022年1月25日)

#フジノン #FUJINON #シャッター速度 #絞り

マグネット式 角型フィルターホルダーの作成

 風景撮影には欠かせないフィルターの一つに「ハーフNDフィルター」があります。例えば、画面の上半分と下半分の明暗差が大きいとき、明るい方にNDがかかるようにして使うわけですが、そのため、通常のフィルターのように円形ではなく、上下(もしくは左右)に移動できるよう、主に長方形をしています。
 円形のフィルターのように直接レンズの前枠にねじ込むというわけにはいかず、まずはフィルターホルダーをレンズに取付け、フィルターホルダーに設けられている溝にこの角型フィルターを差し込みます。
 これが結構面倒くさく、少しでも手間が省けるようにということで、マグネットでフィルターを保持するホルダーを作ってみました。

角型フィルターの両側面を磁石の力で保持

 角型フィルターをより簡単に取付けができるよう、マグネット式やバネ式などのホルダーがいろいろ市販されていますので、そういったものを購入すれば済むのですが、現在保有している角型フィルターに専用のアダプターを取付けたり何かと費用が嵩んでしまいます。そこで、できるだけ低コストで保有しているフィルターを使えるようにということで、マグネット式を採用することにしました。

 今回作成する角型フィルターホルダーのイメージはこんな感じです。

 ホルダー自体はアクリル板とプラスチック板で自作しますが、レンズの前枠にはめ込むところはケンコー製のアダプターリング(82mm)を使います。これは、今まで使ってきたフィルターホルダー用のもので、それをそのまま流用します。
 私が使っている角型フィルターは100mmx150mmサイズのものがほとんどで、前枠径が大きなレンズや画角の大きなレンズでも対応できますが、非常に短焦点のレンズでフィルターを使うというような場合、フィルターホルダーにケラレてしまうことがあります。
 そのため、フィルターホルダーの厚みはできるだけ薄いのが理想的で、2枚重ねるときでもフィルターが密着する方が望ましいので、マグネット式にしました。さすがに角型フィルターを3枚重ねることはないと思われるので、2枚まで対応できるものとしました。

 角型フィルターの厚さは2mmしかないので、これを両側面からマグネットで支えるために、磁力が強いネオジム磁石を使用することにしました。

フィルターホルダー本体の構造

 フィルターホルダー本体はできるだけ薄く、かつ軽くしたいため、厚さ2mmのアクリル板を組み合わせて作ります。

 厚さ2mmのアダプターリングを差し込むための溝を持った構造になっています。アダプターリングを差し込んだ状態で、ホルダー本体は自由に回転させることができます。
 今回使用するアダプターリングの外形は108mmですので、これを受けるホルダー本体の溝幅も108mmということになりますが、0.5~1mmくらい広めにしておいた方がアダプターリングの差込みがスムーズにできます。

 各パーツはアクリル樹脂用接着剤(有機溶剤)で接着します。
 ホルダー本体をくみ上げ、艶消し黒の塗装をした状態が下の写真です。上側がフィルムホルダー、下側がアダプターリングです。

▲角型フィルターホルダー本体とアダプターリング

 ホルダーの手前側の左右に溝(スリット)が見えると思いますが、ここにアダプターリングが入ります。

 ホルダー本体にアダプターリングを差し込むとこんな感じです。

▲フィルターホルダー本体にアダプターリングを挿入した状態

 因みに、裏側はこのようになっています。

▲フィルターホルダー本体の裏側

 アダプターリングには82mm径のオネジが切ってあり、これをレンズの前枠にねじ込みます。

フィルターを支えるマグネットの取付け

 ホルダー本体の左右の内側にフィルターを支えるためのマグネットを取付けるのですが、今回使用するマグネットは直径5mm、厚さ2mmのネオジムマグネットです。左右それぞれ18個ずつをアクリル板に接着します。
 アクリル板の厚さは2mmありますが、このままだとフィルターをはめ込む幅が100mmになってしまいますので、アクリル板を0.1mmほど削ります。平ヤスリの上にアクリル板をのせて、20~30回ほど擦ると板厚が1.9mmほどになります。1.9mmを若干下回るくらいの厚さが望ましいです。

 マグネットをアクリル板に接着した状態が下の写真です。

▲ネオジムマグネットをアクリル板に接着

 このパーツをホルダー本体に仮止めして、マグネット間の幅をノギスで測ってみて、100.2~100.3mmに納まっていればOKです。これよりも狭い場合は、アクリル板をもう少し削ります。削りすぎるとマグネット間の幅が広くなって、磁力の影響が弱まってしまいますので要注意です。

 これをホルダー本体の内側に取付ける(仮止め)とこのようになります。

▲フィルターホルダー本体にマグネットを取付け(仮止め)た状態

 この段階では仮止めにしておきます。ホルダーに接着してしまうと、あとで微調整ができなくなってしまいます。

角型フィルター側面にステンレス板を接着

 次に、角型フィルターをホルダーのマグネットで保持するため、フィルター側面にステンレス板を張り付けます。使用するのは厚さ0.1mmのステンレス板、というよりステンレスシートです。裏面に粘着シールがついているタイプであれば、あらためて両面テープを張らなくても済むので便利です。
 また、磁石に着く材質でなければならないので、「SUS430」という素材のステンレスを使います。「SUS304」というステンレスも出回っていますが、こちらは磁石に着きません。

 ご存じのようにステンレスは硬いですが、厚さが0.1mmですのでハサミやカッターナイフで簡単に切れます。ただし、ハサミで切るとステンレスが反ってしまいますので、カッターナイフで切るのがお勧めです。
 角型フィルターの厚さと同じ2mm幅、長さはフィルターより10mmほど短かく切ります。そして、このステンレス板を角型フィルターの側面に張り付けます。

 実際に張り付けた状態が下の写真です。

▲角型フィルターの側面に、厚さ0.1mmのステンレス板を張り付けた状態

 この状態で角型フィルターの幅を測ってみます。計算上は100.2mmをわずかに上回ることになります。
 そして、この値と、前で測定したマグネット間の幅を比較して、マグネット間の幅の方がわずかに(0.05~0.1mm)広いことを確認します。もし、マグネット間の幅の方が狭い場合は、マグネットを接着したアクリル板を少し削ります。

 ステンレス板を着けた角型フィルターをホルダーに嵌め、ホルダーを立てた時に角型フィルターがずり落ちないことを確認します。また、ピッタリしすぎているとはめ込みや取り外しの際に力がかかり過ぎてしまいますので、適度な力で取り外しできる状態であることも確認します。

マグネットをホルダーに接着

 以上の確認が済んだら、マグネットを着けたアクリル板をホルダーに接着します。これで完成です。
 
 実際にレンズに取付けるとこんな感じです。

▲PENTAX67に角型フィルターホルダーを取付けた状態

 マグネットはかなり強力なので、少々の風や振動などでフィルターが外れてしまうというような心配はなさそうです。
 ハーフNDフィルターのようにファインダーを覗きながらフィルターの位置を動かす場合も、フィルターの片側を少し持ち上げることで簡単に上下することができるので便利です。

 私が保有している角型フィルターはすべてアクリル製なので非常に軽いですが、重いガラス製の角型フィルターでも問題なく保持できそうです。
 ただし、万が一、落ちてしまって割れたり傷がついたりということが心配であれば、マグネットを少し大型(強力)なものにすれば問題ないと思いますが、そうするとホルダー自体も少し大きく、重くなってしまいます。

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 今回、このホルダーを作成するのにかかったコストですが、アクリル板は以前使った端切れなのでコストはかかっていませんが、新たに購入しても300~400円くらいです。ネオジムマグネットは100個で550円でした。そして、いちばんお高かったのがステンレスシートですが、30cmx90cmサイズで1,400円ほどでした。実際に使うのは端の方のほんのわずかな部分です。
 年末年始で家にいる時間が長かったので作ってみましたが、近いうちに撮影で使ってみたいと思います。実際に使ってみるといろいろな問題も出てくるかもしれませんが、使用レポートは別の機会にしたいと思います。

(2022.1.3)

#フィルター

大判カメラにPENTAX67を取り付けるアダプタの作成

 通常、大判カメラは1枚ごとにカットされたシートフィルムを使いますが、ロールフィルムホルダーを使うことでブローニーフィルム(120、220)での撮影が可能になります。1本のフィルムで10枚とか20枚の撮影ができるので荷物がかさばらなくてありがたいのですが、構図を決め、ピントを合わせた後、カメラのフォーカシングスクリーンを外してロールフィルムホルダーを取り付けなければならず、結構面倒くさいです。
 そこで、中判カメラ(PENTAX67)を直接取り付けられるようなアダプタを作ってみました。

必要なパーツはたったこれだけ

 アダプタといっても非常に単純なもので、アクリル板にPENTAX67用のレンズのマウント金具を取り付けるだけのシンプルな構造です。
 まずは板厚3mmの黒いアクリル板です。

板厚3mmのアクリル板(黒)

 このアクリル板はアマゾンで400円ほどで購入できます。もちろんアクリル板でなくても構いませんが、そこそこの剛性があり、加工がし易いということからアクリル板がお勧めです。

 そして、もう一つ必要なパーツがPENTAX67用レンズのマウント部の金具です。これはさすがに作成するというわけにはいかないので、レンズから取り外して使います。

PENTAX67用レンズから取り外したマウント金具

 大手ネットオークションサイトで1円で落札したジャンクレンズから取り外しました。
 PENTAX67用レンズのマウント金具は6本のネジで止めてあります。古いレンズの場合、このネジが異常に硬いことがありますので、ネジ山を舐めないように注意して取り外します。

 その他、作成に必要な工具類は、アクリルカッター、ドリル、ヤスリ、アクリル用接着剤、ノギス、コンパスなどです。

アクリル板の加工

 今回作成するアダプタは、ホースマンなどのロールフィルムホルダのボードと同じ寸法なので、上下幅を121.5mmにします。左右幅はフィルムホルダよりも若干余裕を持たせ、180mmとします。
 ここに、PENTAX67用レンズのマウント金具をはめ込むための穴をあけます。寸法は下図の通りです。

 実際に穴をあけたアクリル板はこんな感じです。

マウント金具をはめ込む穴をあけたアクリル板

 この板をカメラ側に取付ける際、カメラ側で押さえ込める板厚は約5.6mmほどなので、この板の周囲に幅6~8mmにカットしたアクリル板を張り付けます。

周囲にアクリル板を張り付けた状態

 一方、カメラ側のフィルムホルダーを受けるところには幅3mm、深さ2mmほどの溝があり、ここにフィルムホルダの突起がはまり込むようになっています。これは、フィルムホルダのずれ防止と光が入り込むのを防ぐためかと思われます。ですので、今回作成するアダプタボードの内側にも、この溝にはまるような突起を張り付けます。これは、幅2.5mmにカットしたアクリル板を接着しています。

アダプタボードの裏側(カメラの溝にはまる突起を取り付け済み)

 これでアダプタボードはほぼ完成です。

PENTAX67用レンズマウント金具の取付け

 さて、次はPENTAX67用レンズのマウント金具をアダプタボードに取付けます。
 カメラ(PENTAX67)を取り付けた際に、カメラが水平にならなければならないので、マウント金具の位置決めは慎重に行なう必要があります。PENTAX67の場合、レンズの距離・絞り指標が真上に来た時、レンズのロックピンが左に90°の位置に来ますので、この位置がずれないように位置決めを行ないます。
 テープなどで仮止めし、マウント金具を固定するためのネジ穴をあけます。

 実際にマウント金具を取り付けるとこんな感じです。

アダプタボードにPENTAX67用レンズのマウント金具を取り付けた状態

 今回使用したアクリル板は表面が光沢面だったので、艶消しのラッカー塗装をしました。
 ボードの上下の縁に削った跡が見えると思いますが、これはカメラのボード押さえ金具がスムーズに入るようにするためのものです。

大判カメラへの取付け

 こうして作成したアダプタボードを大判カメラ(リンホフマスターテヒニカ)に取付けるとこのようになります。

リンホフマスターテヒニカ45にマウントボードを取り付けた状態

 そして、ここにPENTAX67を取り付けるとこんな感じです。

PENTAX67を取り付けた状態

 では、このアダプタボードを実際に使って撮影する際に使用可能なレンズについてですが、PENTAX67のフランジバックは85mm(正確には84.95mm)、今回作成したアダプタボードの厚さは5mm(アクリルボード+マウント金具の厚さ)、リンホフマスターテヒニカの蛇腹の最短繰出し量は約50mm(これは私のカメラの場合)で、これらを合算するとフランジバックは約140mmということになります。
 すなわち、無限遠を出すためには焦点距離が140mm以上のレンズが必要ということになります。これは中判の場合、中望遠に近い値であり、これより短焦点のレンズでは無限遠の撮影は不可能ということになります。

 一方、近接(マクロ)撮影においては自由度が広がります。

 また、PENTAX67というかなり重量級のカメラを取り付けることに加え、シャッターを切るときのミラーショックが大きいので、PENTAX67側でシャッターを切るとカメラブレを起こす可能性が高いと思われます。
 そのため、PENTAX67側はバルブにしてシャッターを開いておき、大判カメラに取付けたレンズでシャッターを切るのが望ましいと思います。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 短焦点(広角)のレンズでの無限遠撮影には使えませんが、フォーカシングスクリーンで構図決めやピント合わせをした後に、ロールフィルムホルダに付け替えるという煩雑さからは解放されます。
 使い勝手がどの程度のものか、実際に撮影で使った時の状況については別途、掲載したいと思います。

(2021.6.26)

#ペンタックス67 #PENTAX67 #リンホフマスターテヒニカ #Linhof_MasterTechnika

PENTAX67用レンズ - PENTAX-K マウントアダプタの作成

 私が使うカメラはもっぱらフィルム用ですが、デジカメを全く使わないというわけではありません。一応、コンパクトデジカメとデジタル一眼レフをそれぞれ1台ずつ持っています。一眼レフは何年か前に中古で購入したPENTAX K-5というカメラですが、ほとんど出番がありません。作品作りはフィルムでということがデジカメの出番のない大きな理由ですが、レンズを1本しか持ち合わせていないということもあります。
 追加でレンズを購入しようと思ったことも何度かありましたが、あまり使うことのないカメラにお金をかけてももったいないということで、結局、踏ん切りがつかずに過ぎてしまいました。

 出番がかなり少ないとはいえ、レンズが1本しかないのは不便なので、PENTAX67用のレンズをマウントアダプタを介して使おうと思い、調べてみましたが、これがかなりお高いことが判明しました。
 それならば作ってしまえということで、家に転がっているパーツを使って作ってみました。
 使用するパーツは下の写真の通りです。

マウントアダプタに使う主なパーツ

 まず、PENTAX67用のレンズをはめ込むマウントとして使用する、1号の接写リング(写真左上)です。
 次に、マウントアダプタの長さを稼ぐために使うPENTAX67用レンズのリアキャップ(写真右上)。
 そして、PENTAX K-5のマウントにはめ込むための金具(写真右下)です。この金具をレンズのリアキャップに取付ければよいのですが、そのまま取付けたのでは長さが足りず無限遠が出ないので、スペーサーとしてPENTAX用のボディキャップ(写真左下)を使います。

 調べてみたところ、PENTAX K マウントのフランジバックは45.46mm。一方、PENTAX67のフランジバックは84.95mmで、マウントアダプタとしては、39.49mmの長さが必要ということがわかりました。1/100mmの精度の加工は無理なので、39.5mmとすることにしました。
 1号の接写リングの厚さは14mm、レンズのリアキャップの厚さは19.5mm、マウント金具の厚さが2mmでしたので、これらを重ねると35.5mmになります。あと4mmはスペーサーでカバーすることになります。

 接写リングは特に加工する必要がないので、そのまま使います。

 次に、レンズのリアキャップですが、PENTAXのボディキャップが入るように、中央に直径45mmの穴をあけます(下の写真)。

PENTAX67用レンズ リアキャップ

 PENTAX K-5のマウントにはめ込む金具は、ネットオークションで1円で落札したジャンクレンズから外して使います。金具を止めている小さなネジが5本ありますので、なくさないように要注意です。

 スペーサーとして使うボディキャップの加工には少し手間がかかりますが、まず、キャップの中央に直径42mmの穴をあけます。次に、キャップ裏側にカメラのマウントと嵌合する爪があるので、これをやすりで削り取ってしまいます。プラスチックなので簡単に取れます。
 そして、キャップの表面をやすりで削って、全体を薄くしていきます。削り取る厚さは2.5mmほどですが、厚みに偏りができるとレンズの光軸が傾いてしまうので、ノギスで厚さを測りながら慎重に行ないます。

 さて、ボディキャップの厚さが4mmほどになったら、これら4点のパーツを仮組して、PENTAX K-5にはめてみます。無限遠が出ていればOKです。もし、無限遠が出ていなければボディキャップがまだ厚すぎるので、もう少し削る必要があります。
 スペーサーとして完成したのが下の写真です。

PENTAX用ボディキャップを加工したスペーサー

 こうして、無限遠が出るようになったら、4点のパーツを組み上げます。マウント金具はスペーサーにネジ止め、スペーサーとレンズリアキャップは強力接着剤で固定します。レンズをカメラに取付けた時に、レンズの距離・絞り指標(赤い菱形のマーク)が真上になるよう、位置関係を確認して取り付けます。
 最後に、接写リングへの取付けですが、レンズのリアキャップは簡単に外れてしまうので、動かないように3か所からネジで締め付けるようにして固定します。
 少々不格好ですが、出来上がったマウントアダプタが下の写真です。

PENTAX6 - PENTAX-K マウントアダプタ

 そして、カメラに取付けるとこんな感じになります。つけているレンズはPENTAX67 MACRO 135mmです。

PENTAX K-5 + PENTAX67 MACRO 135mm

 一通り確認してみましたが、特に問題はなさそうです。
 ただし、光軸が撮像面に対して直角になっているかどうかまでは確認できていません。精密な工作機械で加工したわけではないので、間違いなく傾いていると思います。
 しかし、これでPENTAX67用のレンズ、35mmフィッシュアイから500mm望遠まで11本のレンズがPENTAX K-5で使えるようになりました。ジャンク箱の中から拾い集めたパーツで作ったので、新規購入コストは0円でした。

(2021.2.28)

#ペンタックス67 #PENTAX67 #マウントアダプター

構図決めに便利なプアマンズフレームの作成

 世の中にはフレーミングを決める際に便利なズームファインダーなるものがあります。大判カメラ用のズームファインダーは、大体65~400mmくらいのレンズの画角をカバーしますので、通常の撮影領域ではこのファインダーひとつで事足りてしまいますが、非常に高価な代物です。
 そこで、ほとんどコストをかけずに同等の機能をもつ「プアマンズフレーム」をつくってみました。

 まず、厚紙などで使用するフィルムと同じ大きさの枠をつくります。例えば、4×5判のフィルム用の場合は、150×130mmくらいの大きさの厚紙の中央に120×96mmの窓をくり抜きます(120×96mmが4×5判フィルムの有効サイズです)。
 次に、この厚紙の下の端に紐を取り付けます。そしてその紐に目盛りを振れば完成です。目盛りは取り付けたところを起点(0cm)として、使用するレンズの焦点距離を少し上回るくらいまで振ります(例えば、400mmまでのレンズを使うのであれば、45cmくらいまで)。

 こうしてできたのが下の写真です。

4×5判用プアマンズフレーム(目盛りは5cmの位置から1cm刻みで50cmまで)

 これの使い方はいたって簡単で、窓枠をくり抜いたボードを片手で持ち、もう片方の手で紐を持ちます。そして、片方の目でこの窓枠を覗き、写したい範囲が窓枠内に納まるようにボードを前後に動かします。フレーミングが決まったらボードを動かさないようにして、もう片方の手で持った紐をピンと張った状態で目の下にあてます。
 そのとき、目の下にあたった紐の目盛りを読み取れば、使用するレンズの焦点距離がわかるという優れものです。例えば、目盛りが15cmだったとすると、焦点距離150mmのレンズを使えばよいということがわかります。
 もちろん、ミリ単位の精度は望むべくもありませんが、レンズを決めるには全く問題ありません。

 また、使うレンズの焦点距離があらかじめ決めっている場合は、焦点距離に等しい目盛りの部分を目のところに当て、紐をピンと張った状態で窓枠を覗くと、その焦点距離のフレーミングになります。

 窓枠の縦横中央に糸などで十字線を張れば、フレーミングの際の目安になって便利かもしれませんが、余計なものがない方が使い易いだろうと思い、私は何もつけていません。
 また、ボードそのものを透明なアクリル板などにすれば窓をくり抜く必要はなく、逆に周囲をマスクすれば済むのでこの方が簡単に作れると思いますが、かなり透明度が高いものを使わないと像がくっきりとしないので、使いにくくなってしまうかもしれません。1円でも安くしたいというのであれば、やはり厚紙をくり抜く方法がお勧めです。

 このプアマンズフレームを覗いた時の目の位置は、使用するレンズの前側焦点の位置になります。したがって、そのフレーミングで撮影する際のレンズの中心は、目の位置から焦点距離分後方に置くことになります。このレンズの位置をあまり大きく変えてしまうと、無限遠の被写体の場合はさほど気にすることもありませんが、近接撮影の場合はフレーミングにずれが生じてきますので注意が必要です。
 とはいえ、もともとがかなり大雑把なものなので、レンズを選択する際の目安として使う程度であり、これにあまり高い精度を求めない方がよろしいかと思います。

 今回は4×5判を例にとりましたが、67判のフィルム用であればくり抜く窓枠の大きさは69×56mm、35mm判フィルム用であれば36×24mmの大きさになりますので、使用するフィルムに合わせて用意しておけば便利です。

(2021.2.23)

#フレーミング #構図 #撮影小道具

大判カメラ用の袋型ピントグラスフード

 大判カメラでのピント合わせは、カメラ後部についているピントグラス(フォーカシングスクリーン)で行ないます。この時、ピントグラスを暗くしないと像が見にくいので、多くの場合、冠布(カンプ)を頭からすっぽりとかぶり、周囲からの光を遮断して行ないます。光を通さないように2枚の布を張り合わせた大き目な風呂敷のようなもので、単純がゆえに自由度が高くて便利ではありますが、特に夏場は暑くて大変です。
 カメラにもちょっとしたフードがついていますが、小さいので遮光効果は十分とは言えず、特に順光での撮影時には後方からもろに光が入り込んできますので、ほとんど役に立ちません。

 そこで、ピントグラス全体を覆うことのできる袋型のフードを作ってみました。

袋型ピントグラスフード(リンホフマスターテヒニカに取付け)

 光を通さない黒い布(今回はナップサックに使われるようなナイロン素材を使用)を、カメラがちょうど入るくらいの筒状(直径28cmくらい)にします。一方の端はゴムひもが通るように加工し、ここにゴムひもを通して少し絞っておきます。これをぎゅっと広げて、カメラに被せることになります。

袋型フード(カメラ取付側)

 もう一方の端は、55mm径のレンズ用の金属製フード(長さが20mmほど)を用意し、この外周に巻き付けます。こうすると全体がボールのような袋状になります。

袋型フードのルーペ取付け側(レンズフード使用)

 次に、このレンズフードにはめ込むルーペを作ります。私は55mm径のNo.3クローズアップレンズを使用しましたが、No.5とかを使えばルーペの倍率を高くすることができます。そして、クローズアップレンズの前側にステップアップリングをはめ込みます(私は55-67のステップアップリングを使用しました)。
 これを先ほどのレンズフードにはめ込めばルーペになるのですが、このままだと若干緩くてするっと抜けてしまいます。そのため、クローズアップレンズの外周にパーマセルテープを巻き、ちょうど入るくらいの太さにします。

フードにはめるルーペ(クローズアップレンズ+ステップアップリング)

 こうしてできたフードはこんな感じになります。

袋型フード

 これを大判カメラに取付ければ、ピントグラスに当たる光をほぼ遮断することができます。
 ルーペ(クローズアップレンズ)を外した状態だとピントグラス全体を見ることができるので構図の確認がし易く、また、ルーペをはめるとピントの確認がし易くなります。

 ただし、正確なピント合わせはこのフードを外して、倍率の高いルーペで行なう必要があると思います。

 なお、今回作成した袋型フードの長さは約20cmですが、私の場合、若干老眼が来ているために、これ以上短くするとぼやけてしまいます。ですので、このフードの長さは目の状態に合わせて、いちばん使い易い長さにするのが良いと思います。

 実際に使用した感想ですが、遮光に関しては合格点だと思います。冠布を使っても下側からの光が入りやすいのですが、このフードは全方位遮光してくれます。それと、広角レンズや超広角レンズを使った撮影の際、ピントグラス周辺ではとても像が見にくいのですが、この袋状フードだと斜めからピントグラスを覗き込むことができるので、像が見やすくなります。また、非常に軽いですし、折りたためば小さくなるので持ち運びにも便利です。
 一方、正確なピント合わせはこのフードを外して行なわなければなりません。その点、冠布は構図確認から正確なピント合わせまですべてこれをかぶった状態で出来ますので、やはり冠布に勝るものはないといったところでしょう。

 しかし、撮影状況によっては冠布を使っても漏れてくる光で像が見にくく、それが結構なストレスになったりもしますので、それを回避してくれるという点ではこのフードを使う価値があるように思います。着けたり外したりが面倒かも知れませんが、あると便利かもしれません。

 余談ですが、冠布は片面が黒、もう片面が赤とか銀色をしています。銀色の理由は日差しを反射して少しでも暑さを防ぐためらしいですが、赤い理由は、森の中でクマなどと間違えられて猟銃で撃たれないようにということのようです。私が使っている冠布は片面が銀色のタイプですが、銃で撃たれるのは怖いので赤いタイプに変えようかなと思ってます。

(2021.1.2)

#撮影小道具 #フレーミング #フード

スライドフォトフレームを作ってみました

 フィルムで撮影していると、露出の過不足やカメラブレなどの失敗作がときどき生まれます。また、そういった失敗ではないにしても、写真や作品というにはあまりに駄作というものも量産されてしまいます。デジタルカメラの場合はすぐに確認して、失敗作や駄作は亡き者にしてしまうことができますが、フィルムの場合はしっかりと記録されてしまい、失敗作だろうが何だろうが分け隔てなく現像され、物理的に残ってしまいます。

失敗作でも廃棄できない撮影済みのポジ

 失敗作の多くは廃棄してしまいますが、露出も適正でブレもない、一応写真としては成り立っているものの、どう贔屓目に見ても駄作というコマについてはなかなか捨てることができません。出来の悪い子供ほどかわいいというのに似ているかもしれません。残しておいても一生、日の目を見ることもないだろうと思いながらも捨てられずにどんどん増えていってしまいます。

 日頃からポジはライトボックスで見るのが最も美しいと思っているのですが、ある日、現像から上がってきたポジをライトボックスでチェックしているときに、たまっている駄作ポジに光を当ててやろうと思いつきました。早い話、フォトフレーム(額縁)に駄作ポジを入れ、背面からライトで照らすだけのことですが、これによって駄作も少しは見栄えがするだろうと思ったわけです。
 私の場合、ブローニーの67判での撮影枚数が最も多いので、当然、67判の駄作の枚数もいちばんです。ということで、とりあえず67判のスライドフォトフレームを作ることにしました。

LEDライトを使ってバック照明

 2Lサイズのフォトフレーム(額縁)に合わせてマット紙をカットし、中央に67判ポジより一回り小さな窓を切り抜きます。マット紙の裏側にポジを固定し、乳白色のアクリル板を重ねて固定します。さらに、LED照明を取り付けるための枠を自作し、これをアクリル板に重ねてフォトフレームにはめ込みます。
 LED照明はアマゾンで2,000円ほどで購入。67判だけでなく4×5判にも使えるようにと、LED面がはがきサイズほどのものを選びました。これを先ほどの枠に取付ければ完成です。

スライドフォトフレーム用LED照明

 LED照明を点灯するとこんな感じです。

スライドフォトフレーム(67判)

 当然のことながら、バックライト方式ですので暗いところでも観賞することができます。プリントしたものを見るのと違って透明感や立体感があり、駄作でもずいぶん見栄えが良くなります。馬子にも衣裳という言葉がぴったりです。
 ときどきポジを交換すれば飽きることなく楽しめるかもしれません。
 また、4×5判用のマット紙を作れば4×5のポジも同様に見ることができるので、そのうち作ってみたいと思います。

 量産された駄作ポジ、何とか使い道はありましたが、日の目を見ることができるのはこれまでにたまった駄作のごく一部に過ぎないと思われます。

 余談ですが、駄作はブローニーだけでなく4×5判でも生まれます。しかし、撮影枚数に対する駄作の発生率がブローニーに比べてはるかに低いです。最近はほとんど使わなくなりましたが、以前、35mm判を使っていた時は、ブローニーよりも35mm判の駄作の発生率はずっと高かったです。やはり、フィルムが大きくなるにつれて、撮るときの気合の入れ方が違うのだろうと思います。

(2020.10.17)

#フォトフレーム #リバーサルフィルム

ピンホールカメラ(針穴写真機)をつくる

 初めて針穴写真機を作ったのは、確か小学校の夏休みの自由研究だったと思います。フィルムの代わりにポラロイド印画紙を使用することで、その場で写真を見ることができました。ぼんやりといえども、レンズもないのに像が焼き付けられることをとても不思議に思ったものでした。

PENTAX67を使ったピンホールカメラ

 以来、何台ものピンホールカメラを作っては壊ししてきましたが、いま手元に残っているピンホールカメラは一台もありません。唯一、針穴写真を撮ることができるのは、PENTAX67のボディキャップにピンホールを加工(ビールの空き缶に針で穴をあける)したものだけです。
 これは10年ほど前に作ったものですが、針穴写真といえどもそれなりに画質を追求したく、ピンホールの大きさ(直径)を何種類も作りました。その中で最もシャープに写るピンホール(レンズ)だけが手元に残っています。
 直径0.2mm~0.6mmまで、0.1mm間隔で5枚のピンホールを作りましたが、直径0.3mmのピンホールがいちばんきれいに写りました。直径が小さければ小さいほど画像はシャープになると思っていたのですが、小さくなると光の回析によって像がぼけてくるようです。
 調べたところ、最適なピンホール径はd=√2fλで求められるとのこと(fは焦点距離、λは光の波長)。PENTAX67のフランジバックは約85mmですので、これをこの式に当てはめると約0.3mmとなります。

PENTAX67 ピンホールカメラ

 PENTAX67による針穴写真は思いのほか綺麗に写り、我ながら感激したものです。しかし、焦点距離が固定になってしまいますので、接写リングをかませることで85mmから197mmまで、14mm刻みで焦点距離を変えることが出来ました。

ピンホールレンズを自作

 今回、大判フィルムやブローニーのパノラマで針穴写真を撮ってみようと思い、ピンホールレンズを作成してみました。手元にあるリンホフマスターテヒニカにピンホールレンズを着けることで、約50mm~370mmの焦点距離を実現することができます。
 PENTAX67を使ったときは、カメラ自体にシャッターがついていたので問題はなかったのですが、大判カメラにはシャッターがついていないので、シャッターを何とかしなければなりません。最初はレンズキャップを外したり着けたりでいいだろうと思っていたのですが、それだと日中の明るいときの撮影時など、シビアなことがわかりました。
 ピンホール径を0.3mmにした場合、最も焦点距離の短いときでf168くらいになり、太陽の光の強いところでは1/2秒とか1/3秒のシャッターを切らなければなりません。これをレンズキャップで行なうのは結構無理があると思い、ちゃんとしたシャッターをつけることにしました。 

 まず、インターネットオークションでジャンクの大判レンズ探しからです。できるだけピンホールの包括角度を大きく取れるようにするため、#1か#3のシャッターのついたレンズで、希望は1,000円くらい。レンズはカビがあろうが腐っていようが構いません。シャッターさえ動けば問題はないので根気よく探します。

 そんなある日、運よく#1シャッターのついたレンズが1,200円で出ていましたのでゲット。数日後、品物が届きました。「ジャンク品によりNCNRで」とありましたが、程度が良いので驚きました。レンズもきれいですが今回は不要ですので、前玉と後玉を外してシャッター部だけを使います(外した前玉と後玉は防湿庫で保管してあります)。

 厚さ0.1mmの銅板に直径0.3mmの穴をあけ、これを中央をくりぬいたレンズキャップに取り付けます。そして、大判レンズのシャッター部にピタッとはめ込めばピンホールレンズは完成です。

SEIKO #1 シャッターを利用したピンホールレンズ

 今回使用したシャッターですが、ピンホールレンズ取り付け位置がレンズボードから18mm前方にあります、また、シャッター部後端の内径が42mmですので、これらから計算すると包括角度は約100度ということになります。したがって、4×5フィルムを使用してもケラれない最短の焦点距離は約65mmになります。カメラの最短フランジバックが約50mmですから、この状態でピンホールレンズを取り付けると、ピンホールからフィルムまでの距離が68mmとなり、ぎりぎりケラれずに済みそうです(あくまで計算上ですが)。
 ということで、リンホフマスターテヒニカに取り付けた場合、実際には68mm~388mmの焦点距離を持ったピンホールカメラということになります。

構図確認用ピンホールレンズの作成

 しかしこのピンホールレンズのままでは暗くて、大判カメラのピントグラスでは何が投影されているかわからず、構図の確認ができません。ファインダーがあれば問題ないのですが、無段階に変化する焦点距離に対応できるファインダーを自作するのは困難なので、ピンホール径を2.5mmまで大きくした構図確認用のピンホールを作成しました。構図を決めるときにはこれを使い、撮影の際には撮影用のピンホールレンズに交換します。

構図確認用ピンホールレンズ (中央の穴径が約2.5mm)

 こうして出来上がったピンホールレンズは最短の焦点距離68mmでf226、最長の焦点距離388mmでf1293というとてつもなく暗いレンズです。焦点距離388mmで撮影することはまずないと思われますが、f1293がどれくらい暗いかというと、真夏の日中でf16-1/250秒というときに、約30秒の露光が必要ということになります。

露出換算用のツールが必要

 当然のことながら、こんな値は単体露出計の目盛りの範囲を超えていますので、露出計で測った後に換算しなければなりません。これが結構面倒で、計算を間違えると露出オーバーやアンダーになってしまいますので、簡単に換算できるためのツールを作りました。

 古くなって変色してきたPLフィルターのガラスを外し、透明なガラスと交換します。そして、枠のベース部分の円周上にシャッター速度を書き込みます。一方、くるくる回転する枠のガラスには絞り値を書き込みます。露出計で測定した絞りとシャッタースピードの目盛りを合わせると、ピンホールレンズのf値の時のシャッタースピードがすぐにわかるという仕組みです。

露出換算用のツール(PLフィルター利用)

大判カメラによるピンホールカメラ

 今回作成したピンホールレンズをリンホフマスターテヒニカに装着するとこんな感じです。

Linhof MasterTechnika 45 ピンホールカメラ

 さて、このピンホールレンズ、4×5フィルムを使って焦点距離100mmで撮影すると、計算上、周辺部では約1EV(1段)の光量の落ち込みがあると思われます。フランジバックを最も短くした焦点距離68mmでは、2EV強の光量の落ち込みになりそうです。周辺光量の落ち込みが気にならなくなるのは150mm以上かと思います。
 周辺光量の落ち込み、それもまた針穴写真の面白さかもしれませんが、実はまだ撮影に行くことができておらず、作例をご紹介することができません。近々、撮影日記のページでご紹介できればと思っています。

(2020.8.10)

#ピンホール写真 #中古カメラ