第208話 ケントメア KENTMEREのモノクロフィルム PAN 100の使用感とリバーサル現像

 あらためて説明するまでもありませんが、ケントメアはイングランドにあった写真フィルムなどの感光材料を製造販売する会社でしたが、2007年にハーマンテクノロジー社に買収され、現在はその傘下のケントメア・フォトグラフィックとして白黒写真に関する事業を継続しています。
 ハーマンテクノロジーは、2004年に破産したイルフォードも取り込み、イルフォードブランドとしてのフィルムの製造販売も行なっています。イルフォードブランドは高級志向、ケントメアブランドはどちらかというと普及版というか、廉価版というような位置づけをしているようです。
 イルフォードのフィルムは私も使う頻度が高いのですが、ケントメアのフィルムはほとんど使ったことがなく、今回、PAN 100というフィルムを使ってみました。

ケントメアのパンクロマチックフィルム

 外箱は青を基調にターコイズブルーをあしらったデザインになっており、小さな文字で「Chesire UK」と「Made in England」と記載されています。イングランド西北部にあるチェシャーというところにある工場でつくられているようです。
 ケントメアのフィルムは英国国内では販売されておらず輸出専門とのことで、外箱には英語のほかに日本語、中国語、フランス語、ドイツ語、スペイン語の文字が見受けられます。
 ちなみに、PAN 200の外箱は青を基調に黄色をあしらったデザイン、PAN 400は赤紫をあしらったデザインになっています。

 PAN 100のデータシートによると、フィルムの素材は厚さ0.125mmのアセテートベースが採用されているとのこと、また、露出時間が1秒を超える場合は約1.26倍の露出補正が必要との記載があります。
 ISO感度は100ですが50~200の範囲で対応可能としているようです。非常に滑らかな微粒子のフィルムとされていますが、解像度に関する具体的なデータは開示されていないようです。ハイコントラスト時に約120本/mmという情報もありますが、定かではありません。富士フイルムのACROSⅡがハイコントラスト時に220本/mmという値がデータシートに記載されていますので、それに比べると半分ほどの解像力ということになりますが、まずまず良好な値ではないかと思います。

 今回使用したのはブローニーの120サイズフィルムです。1本1,200円(2026年5月現在)ほどでしたので、フィルム価格が高騰している昨今、この金額というのはかなりお安い部類に入るのではないかと思います。
 ちなみに、イルフォードのDELTA 100 PROの120サイズフィルムは1本2,000円近い(2026年5月現在)価格になっており、この1年でかなり高騰してしまいましたが、それと比較しても購入しやすいフィルムと言えます。

現像に関するデータ

 このフィルムの現像はコダックのD-76やイルフォードのD-11など一般に出回っている多くの現像液が使用可能とのことですので、今回は自家調合したD-76準拠の現像液を使用しました。
 D-76準拠の自家調合については下記のページで紹介をしていますので、興味のある方はご覧ください。

  「第187話 モノクロフィルム現像用「D-76準拠」現像液の自家調合」

 実際の現像条件は以下の通りです。

  ・現像液 : D-76 (自家調合)
  ・希釈 : stock
  ・温度 : 20度
  ・現像時間 : 9分
  ・撹拌 : 最初に1分、その後60秒ごとに2回倒立撹拌
  ・停止 : 60秒
  ・定着 : 7分
  ・水洗 : 20分

 使用した現像タンクはパターソンのPTP-115というモデルで、500mlの現像液でブローニーフィルム1本の現像が可能です。
 今の季節は現像するには最適で、室温も20℃前後、水道水の温度も20℃ほどなので、バットに張った水の温度変化もほとんどありません。保温したり冷却したりする必要がないので助かります。
 なお、停止液は富士酢酸、定着液はスーパーフジックスLと、いずれも富士フイルムの製品を使いました。

 現像液を投入する前に水洗いを行ないましたが、廃棄した水は着色されることなく、ほとんど無色の状態でした。
 また、フィルムは適度な厚さがありながら巻き癖はさほど強くなく、腰もしっかりしているのでリールへの巻き付けもし易いという印象があります。
 乾燥後はほとんどカールすることなく平面性を保ってくれています。スリーブに入れてもスリーブ自体が反ってしまうようなこともありません。

ケントメア PAN 100の作例

 今回の撮影に使用したカメラはMamiya 6 MF、使用したレンズはG 75mmです。撮影した中から4枚の写真をご紹介します。フィルムの特性が損なわれないよう、撮影時にフィルターは使用していません。

 まず1枚目は、哲学堂公園(東京都中野区)にある霊明閣という建物を撮影したものです。

 もともとはここを創設した井上円了が特別な客人を迎えるための迎賓室として名付けた建物らしいのですが、現在は廃屋のような荒れた感じになっています。木漏れ日が庭や建物に落ちていたので撮ってみました。
 パッと見た印象は柔らかで素直な写りのするフィルムといった感じです。コントラストはあまり高くない、というよりは若干低めといった方が良いかもしれません。一方、中間調は綺麗に表現されているという感じがします。メリハリ感は低いですが、なだらかな階調表現だと思います。
 解像度も決して高いわけではありませんが、十分に実用的なレベルだと思います。粒状感もあるのですが、階調がなだらかなのであまり目立たないといった感じです。

 板壁の部分を拡大したのが下の写真です。

 木目などはきれいに表現されていますが、やはり、コントラストや解像度はあまり高くないようです。実際にはここまで拡大して見ることはほとんどないと思われますので、普通に写真を鑑賞するのであれば十分ではないかと思います。

 少しコントラストが高めの写真ということで撮影したのが下の写真です。

 左右から樹が覆いかぶさっていて、その間から陽の当っているマンションを撮影したものです。
 マンションの外壁は白いので、手前の木々とのコントラストはかなり高い状態です。この写真を見てもやはりコントラストはそれほど高くないというのがわかると思いますが、このようなシチュエーションでも階調が損なわれることなく表現されているという感じです。マンションのベランダや画下側の石垣も綺麗に表現されていると思います。
 
 3枚目は哲学堂公園近くにあるお寺で撮影したお地蔵様です。

 天気の良い日で、撮影時刻もちょうど昼時だったので結構陽射しが強い状態です。実際にはもっとくっきりとした影が出ていたように記憶しているのですが、写真ではさほど影が気にならず、強い陽射しもあまり感じません。全体にかなり柔らかく写っている印象です。2枚目の写真よりもさらにコントラストが低い感じがします。
 第201話でアドックスのCHS 100Ⅱというフィルムで同じ場所を撮影していますが、どちらが良いかは好みもあるとして、それと比べてもコントラストの出方が全く違いますし、やはり解像度も物足りないと感じてしまいます。撮影意図もありますが、この被写体の場合はこのような柔らかな描写の方が向いているように思います。

 4枚目は通りがかりで見つけた場所を撮影したものです。

 たぶん空き家だと思われるのですが、シャッターも閉められており、そこには蔦のような植物も絡んでいます。自転車も放置されたままのようですし、周囲にはたくさんの雑草が生い茂っています。天気は良いのですがこの場所には陽が差し込んでおらず、全体的にコントラストの低い状態です。
 エッジの効いたシャープさはありませんが、蔦の葉っぱや自転車の細部なども十分に解像していると思います。このような被写体だと粒状感が目立ちますが、ザラザラし過ぎた感じではありません。そして、やはり中間調はきれいに表現されているのではないかと思います。

 撮影時はすべてのコマについて単体露出計で測光しており、ISO-100として撮影しているので露出に関してはあまりブレていることはないと思います。全コマが思惑通りの露出で写っていたので、このフィルムの実効感度はかなり正確ではないかと思われます。もちろん、現像の仕方で結果は異なってきますが、データシートに基づいた現像時間で概ね良好な結果を得ているので、実効感度が公称値から大きく外れているということはなさそうです。

リバーサル現像に関するデータ

 今回の撮影では2本のフィルムを使いましたので、リバーサル現像に耐えられるかどうか、2本目はリバーサル現像をしてみました。

 現像プロセスはイルフォード推奨の手順に従っています。
 使用した現像液類は以下の通りです。

 ・第1現像液: シルバークロームデベロッパー 100ml + 水 400ml (希釈 1+4)
 ・漂泊液: 過マンガン酸カリウム水溶液 20ml + 水 230ml と、硫酸水溶液(10%) 25ml + 水 225ml の混合
 ・洗浄液: ピロ亜硫酸ナトリウム 12.5g を水 500mlに溶解
 ・第2現像液:第1現像液を使用
 ・定着液: スーパーフジックス定着液 170ml + 水 330ml (希釈 1+2)

 第1現像時間は標準的なネガ現像時間から換算して12分40秒(20℃)としました。
 その他の工程と時間は以下の通りです。

  ・第1現像: 12分40秒
  ・水洗: 5分
  ・漂泊: 5分
  ・水洗: 1分
  ・洗浄: 3分
  ・水洗: 1分
  ・再露光: 片面3分
  ・第2現像: 3分
  ・水洗: 1分
  ・定着: 7分
  ・予備水洗: 1分
  ・水洗促進: 1分
  ・水洗: 20分
  ・水滴防止: 30秒

リバーサル現像した作例

 結論から言うと、リバーサル現像にも十分耐えられるフィルムだということです。ヌケの良い綺麗なポジが得られました。
 ただし、フィルムベースが無色透明ではないようで、普通に現像したネガはわずかに青みがかった色をしています。たぶん、これが原因かと思われますが、リバーサル現像したポジは、ごくわずかですがセピアっぽい色に仕上がっています。

 まず1枚目ですが、哲学堂公園の霊明閣という建物で撮影したものです。

 ネガ現像のところで紹介した場所と同じですが、撮影ポジションが異なっています。
 見た限りではネガ現像との違いは感じられません。コントラストやトーンの出方などもほとんど同じですし、解像度についても差はなさそうです。全体に非常に滑らかな感じの描写で硬さのない柔らかな画に仕上がっています。
 使用している現像液は異なりますがほぼ同じ感じの像が得られているので、これがフィルムの特性なのでしょう。

 2枚目はコントラストの高い被写体ということで撮影してみました。

 場所は中野新井薬師の境内です。
 空は薄曇りなので全体的にかなり明るい状態で、そこに樹の枝と常香炉の屋根を配してみました。やはりコントラストは低めに表現されていて、全体的に柔らかな中間調が際立っている感じです。シャドー部も真っ黒にならず、濃いグレーといった色合いになっています。

 もう一枚、同じく中野新井薬師の山門を撮影したものです。

 門の下から提灯を見上げるようにして撮影したもので、山門の柱の間から見える外の景色などはかなり明るくコントラストが高い状態だったのですが、写真ではそれほどの明暗差は感じられません。滑らかな中間調に仕上がっているという印象は他の写真とも同様です。

 通常のネガ現像してもリバーサル現像してもフィルムが同じであればコントラストとか解像度は同じような傾向になるはずですが、フィルムによってはリバーサル現像がうまくいかないものもあります。その点、このフィルムはリバーサル現像でも良好な結果が得られていると思います。

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 一言でいうととても軟調な描写をするフィルムといった感じです。中間調がとてもなだらかに表現されるので、写真全体が柔らかな印象に仕上がります。
 解像度に関しては特別高くもなく低くもなく、標準的なレベルだと思うのですが、微粒子という謳い文句の通りの美しい粒状感だと思います。
 その反面、コントラストは決して高くなく、むしろ低めと言っても良いと思うのですが、黒の締まりが物足りないという感じがします。ちょっと酷ですが、真っ黒が出ないフィルムという言い方ができるかもしれません。
 また、エッジの効いた描写にはならないので、メリハリのある画にはなりにくいと思います。パキッとした描写を好む方からするとちょっとボヤっとした、若干ねむい写真に感じられる可能性が大です。
 もしかしたら、フィルムの価格を抑えるために銀の含有量を少なくしているのかも知れません。
 とはいえ、何度も繰り返しになりますが、中間調はとてもきれいに表現されるフィルムで、柔らかな描写が持ち前といったところでしょうか。
 硬調な写真を好まれる方にとっては物足りないかもしれませんが、コストパフォーマンスという点ではかなり優れていると言えると思います。このフィルム特性に合った被写体を選んだり撮影意図を持って臨めば十分に応えてくれるフィルムだと感じました。
 フィルム特性はARISTA EDUというフィルムに似通っている印象を持ちましたが、描写はPAN 100の方が美しいと思います。
 なお、現像液を変えたり現像時間の調整によって仕上がり方は変わってくると思いますが、基本的な表現特性はあまり変化がないのではと思っています。

(2026.6.13)

#D76 #KENTMERE #ケントメア #PAN100 #モノクロフィルム #リバーサル現像 #Mamiya

第201話 アドックスADOXのモノクロフィルム CHS 100Ⅱの使用感とリバーサル現像

 アドックスADOXという会社はフィルムや印画紙、現像液などを製造するドイツの企業で、世界で初めてX線用写真乾板を開発した企業として有名ですが、現在のアドックスは「アドックス・フォトヴェルケ」という事業会社が継承しており、創業時の会社とは異なるようです。
 アドックスのフィルムを使った経験はあまり多くないのですが、ずいぶん前にCHS100というモノクロフィルムを使ったことがありました。しかし、そのフィルムも2012年ごろに製造が終了になってしまい、その後、後継となるCHS100 Ⅱというフィルムが発売されたのですが、私は使ったことがありませんでした。
 今回、比較的良好な評価が多くみられるCHS100 Ⅱを使ってみました。

アドックスのオルソパンクロマチックフィルム

 外箱はなく、黒いフィルムのケースには「MADE IN GERMANY」と書かれています。ベルリンに工場があるようで、同社のホームページを見ると、「2006年、ADOX工場は1980年代の廃墟となった軍用ランドリーの敷地内に建設を開始しました。多くの研究、生産、製菓機械は、アグファ、フォルテ、コニカなどの倒産した写真工場から救出されました。」と書かれています。日本のコニカも支援をしていたようです。

 オルソパンクロマチックということなので、フィルムとしてパンクロマチックに分類されつつも、赤色光に対する感度低減の性質を持っているということなのでしょう。
 特性について少し調べてみたところ、データシートを見るとおよそ660nmから上の赤色光には反応しないようです。
 フィルムの素材は透明なPETベースが採用されているとのこと、また、2層のハレーション防止層が設けられているなど、CHS100からはいろいろと改良がくわえられている感じです。
 ISO感度は公称値の100に忠実とのことで、現像において80~125まで適応可能なようです。解像力は100本/mmで、CHS100に比べるとずいぶんよくなっているようですが、特別高いというわけではなく標準的な解像度ではないかと思います。

 今回使用したのはブローニーの120サイズフィルムです。1本1,600円ほどで購入しました。一般的なISO-100のフィルムに比べると少しお高めです。

現像に関するデータ

 このフィルムの現像はコダックのD-76やイルフォードのD-11など一般に出回っている多くの現像液が使用可能ですが、今回はAdox Adonal現像液を使用しました。
 実際の現像条件は以下の通りです。

  ・現像液 : Adox Adonal
  ・希釈 : 1 + 50 (原液1に対して水50)
  ・温度 : 20度
  ・現像時間 : 12.5分
  ・撹拌 : 最初に30秒、その後60秒ごとに2回倒立撹拌
  ・停止 : 60秒
  ・定着 : 7分
  ・水洗 : 10分

 使用した現像タンクはパターソンのPTP115というモデルで、必要な現像液の量は約500mlです。Adox Adonalの原液10mlと水500mlを合わせて510mlの現像液を調合しました。水は精製水を使うのが望ましいのですが、いつもながら水道水を5分ほど煮沸し、冷ましたものを使っています。
 液温が下がらないように深めのバットに水を張り、その中に電熱器を入れて20℃を保つようにして、そこに現像タンクを入れておきました。
 なお、停止液は酢酸、定着液はスーパーフジックスLと、いずれも富士フイルムの製品を使いました。

 データシートによるとフィルムのベース厚みは0.1mmとのことで、イルフォードのDELTA100と比べるとわずかに薄い印象がありますが、柔らかすぎず程よい硬さといった感じです。
 ただし、乾燥後のカールを防ぐ対策が施されているとのことですが、結構カールします。

アドックス CHS 100 Ⅱの作例

 今回の撮影に使用したカメラはMamiya 6 MF、使用したレンズは75mmです。撮影した中から4枚の写真をご紹介します。いずれも哲学堂公園(東京都中野区)とその周辺で撮影したものです。

 まず1枚目は、哲学堂公園にある四聖堂と呼ばれる建物を撮影したものです。

 周囲にある木々からの木漏れ日が蔀戸のごく一部だけに差し込んでいるところを撮りました。ハイライト部分が白飛びしすぎないよう、露出はおさえ気味にしています。
 コントラストが高い感じはなくて、全体的になだらかできれいな階調で表現されているように思います。シャドー部もつぶれすぎず柔らかな感じを受けます。
 解像度も問題のないレベルだと思いますが、粒状感が目立つように思います。

 写真の中央付近、木漏れ日の差している部分を拡大したのが下の写真です。

 やはり粒状性は粗くて、ざらざらした感じがしますが、木目がしっかりと表現されていたり、蝶番の金属の質感なども良く出ていると思います。コントラストが高すぎて平面的になってしまうようなこともなく、非常に立体感のある写りではないかと思います。

 2枚目は同じく哲学堂公園に設置されている像を撮影した写真です。

 背後は日差しが当たっている雑木林ですが、手前の像には直接光が当たっていない状況です。1枚目の写真とは反対に、像のディテールがわかるように露出は多めにかけています。
 像全体がなだらかな階調で表現されていると思います。特に像の下半分、徐々に黒く落ち込んでいくあたりも綺麗で、黒い中にもわずかな色の違いが感じられます。また、このような状況だと粒状感もあまり気になることはく、綺麗なトーンが出ていると思います。

 3枚目は哲学堂公園近くにあるお寺で撮影したものです。

 入口の山門近くにたくさんのお地蔵さまが並んでいました。お地蔵様の正面から陽が差している状態で、お地蔵様の背後には黒い影がくっきりと出ています。
 ハイライト部分が多めになるように露出はオーバー気味にして撮影していますが、石の質感などが損なわれることなく表現されていると思います。掲載した写真ではわかりにくいかもしれませんが、特に中央左側のお地蔵様の石のザラザラした感じがよくわかります。解像感も申し分ない感じです。
 お地蔵様の前掛けはかなり白飛びしていますが、ペタッとした感じにはならず、布のウェーブがわかるので立体感が感じられます。

 もう一枚、同じ場所で撮影したのがこちらの写真です。

 五重塔の軒下を撮影したもので、直射日光はあたっていないので全体的にコントラストは低めの状態です。斗栱の木の質感がとてもきれいに出ていると思います。うまく表現できないのですが、エッジが効きすぎておらず、シャープさがあるにもかかわらず全体的に柔らかな感じがします。
 若干、粒状性の粗さは感じますが、このようなシチュエーションでは効果的に働いているのではないかと思います。

リバーサル現像に関するデータ

 フィルムベースに透明なPET素材を採用しておりリバーサル現像にも向いているとのことでしたので、2本目はリバーサル現像してみました。
 現像時間を少し変更した程度で、基本的にはこれまで行なってきた現像とほぼ同じ条件で行ないました。
 使用した現像液類は以下の通りです。

 ・第1現像液: シルバークロームデベロッパー 100ml + 水 400ml (希釈 1+4)
 ・漂泊液: 過マンガン酸カリウム水溶液 20ml + 水 230ml と、硫酸水溶液(10%) 25ml + 水 225ml の混合
 ・洗浄液: ピロ亜硫酸ナトリウム 12.5g を水 500mlに溶解
 ・第2現像液:第1現像液を使用
 ・定着液: スーパーフジックス定着液 170ml + 水 330ml

 第1現像時間は標準的なネガ現像時間から換算して9分(20℃)としました。
 その他の工程と時間は以下の通りです。

  ・第1現像: 9分
  ・水洗: 5分
  ・漂泊: 5分
  ・水洗: 1分
  ・洗浄: 3分
  ・水洗: 1分
  ・再露光: 片面3分
  ・第2現像: 3分
  ・水洗: 1分
  ・定着: 7分
  ・予備水洗: 1分
  ・水洗促進: 1分
  ・水洗: 20分
  ・水滴防止: 30秒

リバーサル現像した作例

 フィルムベースが透明ということもあり、とてもすっきりとしたヌケの良い綺麗なポジが得られました。黒の締まりも良く、好感の持てるポジではないかと思っています。
 こちらは東京都庁の都民広場で撮影したもので、使用したカメラは同じくMamiya 6 MF で、レンズは75mmです。都民広場にはいくつものオブジェ(像)が設置されていて、試し撮りにはありがたい場所です。

 まず1枚目、「犬の唄」というタイトルの像です。

 午前中なので像のあたりには陽が差し込んでいません。全体的にコントラストは低めな状態です。
 ネガ現像と同様、ディテールもしっかりと出ており、なだらかな階調で表現されていると思います。使用した現像液が違うので単純比較はできませんが粒状感はあまり気になりません。もしかしたら被写体や背景のせいかも知れません。像が非常に立体的に感じるのはネガ現像と同じです。

 もう一枚、同じく都民広場にある「はばたき」という像を撮ったものです。

 こちらは直射日光が差している明るいビル群や空をバックに、シルエット気味に撮っています。像が真っ黒に塗りつぶされないギリギリのところまで露出をかけています。
 髪の毛や纏っているドレスの細部が綺麗に表現されており、ハイコントラストながらカリッとした硬さは感じられません。このような状況でも描写が乱れないのは及第点だと思います。

 なお、ポジ原版はほぼ透明ですが、わずかに薄い緑色がかかっている感じです。

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 多少の粒状感はあるものの、それがかえってフィルムらしさを感じさせるフィルではないかと思います。解像力も申し分なく、何と言ってもなだらかな階調表現と立体感が持ち前のフィルムという印象です。
 ローライのRPX25やアグファのCOPEX RAPID 50のようなエッジの効いたキリっとした描写ではありませんが、とても豊かな表現をしてくれるという感じです。シャドー部もべたっとつぶれることもなく、ハイライト部も極端に白飛びすることもなく、細部にわたって表現してくれるフィルムと言ったらよいでしょうか。
 ISO感度もほぼ正確に100という値が出ていると思われ、安心して使えると思います。
 また、リバーサル現像でも非常に良い結果が得られており、いろいろな使い方ができるフィルムでもあると思います。もちろん好みもあるでしょうが、スナップやポートレートに向いているかも知れません。

 なお、別の現像液を使用すると結果も変わってくると思いますので、近いうちに試してみたいと思います。

(2025.12.21)

#Mamiya #リバーサル現像 #ADOX #CHS100II #ロジナール #Rodinal

第196話 アグファ AGFA COPEX RAPID 50 モノクロフィルムのリバーサル現像

 第183話でアグファのCOPEX RAPID 50というモノクロフィルムについて書きました。もともとはマイクロフィルムとして使われてきたというだけあって非常にコントラストの高いフィルムであり、一般の撮影用にはあまり向いていないという感想を持ちました。そのため、その後は使うこともなかったのですが、メリハリの効いた描写がとても印象的で、このフィルムをリバーサル現像したらどんな感じに仕上がるのだろうという思いがむくむくと頭を持ち上げてきました。
 ということで、アグファのモノクロフィルム、COPEX RAPID 50をリバーサル現像してみました。

COPEX RAPID 50 を使っての撮影

 今回使用したフィルムはブローニー判の120サイズです。2025年7月1日現在、1本1,600円前後で購入することができます。以前購入した時は1,300円ほどでしたから、この半年ほどの間で2割以上、値上がりしているようです。

 使用したカメラはPENTAX 67Ⅱ、使用したレンズはPENTAX 67用の75mm、105mm、200mm、300mmで、撮影時のISO感度は表記通り、ISO50としました。
 67判のカメラで使用すると10枚の撮影が可能で、被写体をいろいろ選択するほどたくさんは撮れないのですが、できるだけ異なるシチュエーションを選んでみました。

リバーサル現像のプロセス

 現像プロセスはイルフォードが推奨する手順に準拠していますが、使用する薬剤や処理時間等は適宜変更を加えています。
 実際に使用した薬剤は以下の通りです。

 【第1現像液】
  コダックのD-76に準拠して自家調合した薬剤を使用しました。
  今回の現像で使用する現像タンクはパターソンのPTP115というタイプで、これに必要な現像液の量は500mlです。したがって、調合した薬剤とその量は以下の通りです。

  無水亜硫酸ソーダ : 50g
  硼砂 : 1g
  メトールサン : 1g
  ハイドロキノン : 2.5g

  これらを500mlの水に溶解して現像液を作りました。これを希釈せずに使用します。
  なお、このD-76に準拠した現像液の調合についてご興味のある方は、下記のページをご覧ください。

  第187話 モノクロフィルム現像用「D-76準拠」現像液の自家調合

 【漂泊液】

  漂泊液は以下の薬剤を使用しています。

  過マンガン酸カリウム水溶液 20ml + 水 230ml
  硫酸水溶液(10%) 25ml + 水 225ml

  これらを混合して500mlの漂泊液を作ります。

 【洗浄液】

  洗浄液の調合は以下の通りです。

  ピロ亜硫酸ナトリウム 12.5gを500mlの水に溶解します。

 【第2現像液】

  本来、第2現像液は第1現像液よりも希釈度を高めたもの、つまり濃度の薄いものを使用するように推奨されていますが、今回は第1現像液をそのまま使用し、現像時間で調整をすることとしました。

 【定着液】

  今回使用した定着液は以下の通りです。

  フジックス定着液 170ml + 水 330ml

 こうして調合したそれぞれの薬剤は1,000ml用のビーカーに入れ、それを水温20℃に保たれたバットの中にいれ、液温が20℃になるようにしています。なお、現像液は液温が変わると現像時間に影響が出るので、できるだけ正確に20℃を保つようにしたいのですが、それ以外の薬剤は多少の温度の上下があっても問題はないと思います。

 次に、実際の現像プロセスですが、以下のような手順で行ないました。

  ・第1現像: 5分20秒 最初の1分は連続倒立撹拌、以後、1分ごとに5秒の倒立撹拌
  ・水洗: 流水で5分
  ・漂泊: 5分 連続撹拌
  ・水洗: 流水で1分 漂泊液の紫色が消えればOK
  ・洗浄: 3分 連続攪拌
  ・水洗: 流水で1分
  ・再露光: 片面4分 (2分ずつ2回)
  ・第2現像: 3分 最初の1分は連続倒立撹拌、以後、1分ごとに5秒の倒立撹拌
  ・水洗: 流水で1分
  ・定着: 3分 最初の30秒は連続撹拌、以後、30秒ごとに5秒の撹拌
  ・予備水洗: 流水で1分
  ・水洗促進: 1分 連続撹拌
  ・水洗: 流水で20分
  ・水滴防止: 30秒

 第1現像、第2現像ともに倒立撹拌を行なっていますが、必ずしも倒立撹拌である必要はないと思います。ただし、倒立撹拌の方が現像液の濃度のムラはできにくいのではないかと思われます。
 漂泊と洗浄はあまり強い水流を起こし過ぎると銀粒子が剥離してしまう可能性があるので、倒立撹拌は避けた方が良いかもしれません。
 第2露光は一般的な家庭用の蛍光灯(40~60W)を使用した場合、ISO100フィルムで片面1~2分程度です。今回使用したフィルムはISO50なので片面4分としました。この時間が短すぎると残ったハロゲン化銀が完全に露光しきれず、モヤっとしたような仕上がりになってしまうことがありますので、多少長めに露光した方が無難です。
 また、最後の水洗時間が短すぎるとフィルムが黄変してしまうことがあるので、長めに確実に行なうことが望ましいと思います。

 水滴防止液にくぐらせた後は埃の少ない場所につるして自然乾燥させます。フィルムの水滴をスポンジなどでふき取る方もいらっしゃいますが、私はほったらかし乾燥です。

COPEX RAPID 50 リバーサル現像した作例

 このフィルムをリバーサル現像したのは初めてですが、仕上がったポジ原版を見ての第一印象は見事に引き締まった黒が出ているということです。ネガ原版を見ても黒が引き締まっているであろうことは容易に想像できるのですが、実際にポジを見てみるとそれを視覚で確認することができます。
 ポジ原版をライトボックスに乗せた状態はこんな感じです。

 フィルムのカールが強くてクルンとなってしまうのでスリーブに入れての撮影です。そのため、若干画質が悪いですが、締まりの良い感じがわかると思います。

 まず1枚目は、空き地に放置された農機具のようなものを撮ってみました。

 この日は薄曇りでそれほどコントラストが高い状態ではないのですが、やはり、このフィルムで撮ると高コントラストな仕上がりになります。画下側のシロツメクサの葉っぱや上側の杉のような樹の葉っぱなどは比較的中間調として表現されていますが、農機具のボディの白い部分などは真っ白になっています。一方、右上の建物の窓や農機具の下で陰になっているところなどは黒くつぶれていて、全体として目がちかちかするような高コントラストな画像です。
 掲載した写真は解像度を落としてあるのでわかりにくいと思いますが、細かなところまでくっきりと描写されていて解像度の高さを感じます。

 右下のあたりを切り出したのが下の写真です。

 シロツメクサの葉脈や農機具のパーツに刻印された文字などもくっきりと認識できるので、十分な解像度が出ていると思います。また、粒状感もあまり感じられません。

 2枚目は、神社の参道にあった石灯篭です。

 1枚目の写真よりもさらにコントラスが低い状態です。実際にはこの写真で見るよりもはるかに暗い感じの場所でしたが、それでもコントラストが高く表現されています。石灯篭の明るい部分は飛び気味ですが、石の質感はしっかりと表現されていて、やはりこのフィルムの解像度の高さがうかがえます。

 次は桜の葉っぱを曇り空に抜いて撮影したものです。

 中間調がほとんどない状態ですが、それでも枝の先の方で重なりのない葉っぱは中間調が残っています。葉脈もしっかりと確認することができます。
 虫に食べられて葉っぱに空いた穴が面白いパターンを作り出していました。
 このようなシチュエーションでも、一般的なモノクロフィルムを用いればもっと中間調が豊かに出て柔らかな感じに仕上がると思われます。

 最後はテーブルフォトとして、室内でシーサーの置物を撮った写真です。

 余計なものが入り込まないように黒い背景紙を使っており、写真の左方向から照明を当てていますが、ちょっと照明が強すぎたようです。シーサーの体の部分の質感が損なわれており、露出ミスといったところです。
 その分、彫りが深く見えるかもしれませんが、間接照明にすべきだったと思います。

 前回、ネガ現像した際に用いた現像液はSilverSaltでしたが、今回はD-76準拠の現像液で、しかもリバーサル現像なので単純に比較することはできませんが、やはりSilverSalt現像液の方が綺麗な描写をしていると感じます。
 また、撮影時の露光条件は前回と同じですが、ハイライト部の飛び具合が今回の方が明らかに強い感じです。これは撮影時の条件の差ではなく、現像の違いではないかと思われます。
 白が強く出過ぎているということは、第1現像の時間が長すぎたことが考えられます。つまり、第1現像ではネガ画像が生成されますがこれが強く出過ぎてしまい、漂泊で洗い流されてしまったため、白飛びが強く出たと思われます。第1現像の時間を5分20秒と設定しましたが、4分50秒ぐらいが妥当だったかもしれません。

 ただし、リバーサル現像してもこのフィルムらしい高コントラストの像は十分に保たれており、大きな品質の低下も感じられませんでした。
 黒と白だけで構成されたパターン的な描写を狙うのであれば効果的なフィルムではあると思いますが、やはり景色という視点からすると扱いの難しいフィルムです。

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 今回使用したCOPEX RAPID 50に限らず、モノクロフィルムをリバーサル現像するとポジ原版が得られるので、ライトボックスなどでそのまま鑑賞することができます。ネガを見るのとは全く違った感覚です。
 しかし、リバーサル現像してしまうと通常の紙焼き(プリント)はできなくなってしまいます。スキャナなどで読み取ってデータ化する分には問題ありませんが、紙焼きするのであれば通常のネガ現像にしておくべきで、私も時々、テスト的にリバーサル現像する程度です。
 また、スライドプロジェクターのような機器で大きく投影するにはポジ原版が必要ですが、残念ながら私はそのような機器を持ち合わせていません。スクリーンに大きく投影されれば、昔のモノクロ映画を見ているような感じで感動するかもしれません。

 なお、機会があればSilverSaltを使ってリバーサル現像してみたいと思います。

(2025.7.5)

#AGFA #COPEX_RAPID #D76 #アグファ #モノクロフィルム #リバーサル現像

第195話 リバーサルフィルムの価格高騰で、撮影のスタイルに変化が…

(2025.6.25)

#リバーサルフィルム #富士フイルム

第192話 ローライ Rollei のモノクロフィルム SUPER PAN 200(120) の使用感

 ローライブランドではたくさんのフィルムが販売されていますが、このSUPER PAN 200フィルムはずいぶん前に数回使っただけで、それ以降は使うことがありませんでした。どこが気に入らないというような理由があったわけではありませんが、使い慣れていたフィルムを使い続けていたというだけのことです。
 しかし、数年前によく使っていた富士フイルムのACROSもACROSⅡになり、驚くほど価格が高騰してしまったので、その代替となるフィルムを物色し始めました。
 そんなわけで、久しぶりにローライのSUPER PAN 200を使ってみました。

ローライのスーパーパンクロマチックフィルム

 このフィルムはもともとアグファが出していたフィルムのようで、それを新たにローライのブランドとして発売しているようです。箱には、「 Made in Belgium」と書かれていますので、製造はアグファ・ゲバルト社で行なっているようです。
 大きな分類ではパンクロマチックのモノクロフィルムに属するのでしょうが、750nm付近の光まで反応するとのことで、赤外線フィルターを用いることで赤外線写真の撮影も可能なようです。パンクロマチックに「スーパー」が冠されているのはそのような理由によるものなのでしょう。そのためか、フィルムはかなり遮光性の高そうな、そして、なんの愛想もないパッケージに入っています。
 ISO感度は200なので使いやすいフィルムではないかと思います。

 今回使用したのはブローニーの120サイズフィルムです。1本1,500円ほどで購入しました。一般的なISO-100のフィルムに比べると少しお高めといった感じです。

 ローライから出されているデータシートを見てみると、ISO 125~250まで適応可能で、解像力は180本/mmとなっています。データ上は富士フイルムのACROSⅡとほぼ同じ解像力のようです。
 そして、「高感度の白黒ネガフィルム。多彩でコントラストの高い被写体の撮影に最適です。特に低照度条件で威力を発揮します。頼りになる万能フィルムです。」と書かれています。自信満々のようです。

現像に関するデータ

 このフィルムの現像は一般的に出回っている多くの現像液で問題なくできるようで、今回はSilverSalt現像液を使用しました。
 実際の現像条件は以下の通りです。

  ・現像液 : SilverSalt
  ・希釈 : 1 + 25 (原液1に対して水25)
  ・温度 : 20度
  ・現像時間 : 12分
  ・撹拌 : 最初に30秒、その後60秒ごとに2回倒立撹拌
  ・停止 : 60秒
  ・定着 : 7分
  ・水洗 : 10分

 使用した現像タンクはパターソンのPTP115というモデルで、必要な現像液の量は約500mlです。SilverSaltの原液20mlと水500mlを合わせて520mlの現像液を調合しました。

 液温が下がらないようにバットに20℃の水を張り、その中に電熱器を入れて20℃を保つようにして、そこに現像タンクを入れておきました。

 なお、停止液と定着液は富士フイルムの製品を使いました。

ローライ SUPER PAN 200 の作例

 今回の撮影に使用したカメラはMamiya 6 MF、使用したレンズは55mmと75mmの2本です。撮影した中から5枚の写真をご紹介します。

 まず1枚目は、都庁の都民広場で撮影したものです。

 右側から日差しが差し込んでいるので画の中央部分と右端の部分がかなり明るくなっています。地面に貼られているタイルの様子がかろうじてわかりますが、この画の中ではいちばんのハイライト箇所でしょう。
 一方、極端なアンダーという箇所はなく、全体的には比較的中間調で構成されていると言えると思います。確かに解像力は高いという印象を受け、特に柱の石の質感は良く出ているのではないかと思います。
 また、白から黒へのグラデーションも滑らかで、高い解像度を持ちながらも硬すぎることのない描写といった感じです。掲載した写真ではわかりにくいと思いますが、粒状感もほとんど気になりません。
 
 2枚目は近所の公園で撮影した写真です。

 だいぶ日が傾いてきている時間帯で、木々の影も落ちていて、薄暗いというほどではありませんが光量の少ないシチュエーションです。
 この写真は明らかに露出不足です。作画意図を持ってアンダー気味にしたのではなく、もう少し明るく撮影したつもりだったのですが、結果的にはだいぶ暗い仕上がりになってしまいました。たぶん、意図した露出よりも1/2~2/3段ほどアンダーだと思います。1枚目の写真に比べるとディテールの描写が明らかに甘い感じですが、黒くつぶれてしまうほどではなく、写真全体の雰囲気はこの方が良かったかも知れません。

 そして3枚目ですが、公園内の雑木林を撮ってみました。

 この季節は木々に葉っぱがないので林の中まで光が差し込んでおり、結構明るい感じがします。日の当たっていない木の幹とのコントラストがかなり高い状態です。
 木の根元にある枯草が鮮明に写っているので解像度の高さは感じますが、画の上半分、折り重なる枝で白と黒のメッシュのようなパターンが構成されているあたりを見ると、何となく描写が甘い感じです。解像度が低いというわけではなさそうで、白く輝いている細い枝の部分のディテールがうまく表現されていないように見えます。
 また、左側の2本の大きな木の幹は黒くつぶれてしまっており、幹の質感はほとんどわからない状態です。コントラストが高い状態はあまり得意ではないのかもしれません。

 それでは、さらにコントラストの高い状態をということで4枚目の写真がこちらです。

 これは、公園内の池の中に自生している葦の仲間だと思います。もちろん、この時期なのですっかり枯れています。そこに光があたっているのですが、背後の林や池は日陰になっているのでコントラストの高い状態です。
 光があたっている枯れた葦の茎は白く輝き、かなり硬い感じの描写になっています。白飛びしすぎないようにと露出を抑え気味にしているのですが、それでもこの状態で、金属の棒でも写したのではないかと思えるほどです。
 一方、背後はかなり暗く落ち込んでおり、かろうじて木があることはわかりますが、それ以上の細部は判別不能といった感じです。

 最後、5枚目はコントラストの低い状態をということで、海岸から突き出ているごつごつした岩場を撮影したものです。

 この日は曇り空で、まんべんなく光が回っているという状況です。海も何となくさえない色をしていて、岩場も黒い岩と白い岩が層をなしているような場所ですが、コントラストは低めです。
 解像力も申し分のない状態で、全体としてなだらかな階調の変化が見られます。
 また、白飛びしている箇所や極端に黒くつぶれているところもなく、豊かな再現性という印象です。

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 解像力も高く粒状感も気になることもなく、描写性能としては高いフィルムだと思うのですが、シャドー部の描写はあまり得意ではないように感じます。ハイライト基準で露出を決めるとシャドー部は本当に黒くつぶれてしまいます。確かに黒はきれいに出ていますが、ディテールがほとんどわからなという状態です。
 また、ISO-200となっていますが、実効感度は125~160くらいではないかと思われ、特に低照度状態で撮影する場合はさらに実効感度は下がる(たぶん、100とか80)感じです。
 逆に露出をかけすぎるとハイライト部がとても硬調な感じになってしまい、写真全体の印象が変わってしまいます。
 極端にコントラストの高い状態を避け、1/2~2/3段ほど露出を多めにかけると、なだらかできれいな描写が得られるように思います。

 なお、今回はsilverSalt現像液を使いましたが、別の現像液だと様子も変わってくるかも知れません。

(2025.3.30)

#モノクロフィルム #ローライ #Rollei

第183話 アグファ AGFA のモノクロフィルム COPEX RAPID の使用感

 アグファ AGFA といえば世界で最初に内式のリバーサルフィルムを製造・販売した会社で有名ですが、いまから30年ほど前、アグファからはSCALA200というモノクロのリバーサルフィルムが販売されていました。個性的なフィルムを出す会社という印象がありました。今はADOXから若干のモデルチェンジをした製品がSCALAブランドで販売されているようです。
 実は、前々からAGFA COPEX RAPID というフィルムが気になっていたのですがなかなか使う機会がなく、ようやくそのフィルムを使って撮影が実現できましたのでご紹介します。

アグファのドキュメント用フィルム

 AGFA COPEX RAPID というフィルムはドキュメント撮影用というカテゴリーに分類されるようで、フィルムケースのラベルには「MICROFILM」と書かれています。すなわち、風景やポートレートなどを撮る一般的なモノクロフィルムではなく、本来は書類や図面などを記録するためのフィルムということのようです。
 ISO感度は50で、マイクロフィルムとしてみれば感度は高いと思いますが、一般的なフィルムからすると低感度です。

 今回使用したのはブローニーの120サイズフィルムで、通販で1本1,300円ほどで販売されていました。1本ずつプラスチックケースに入っており、そのキャップの上部には「Rollei」のロゴが入っています。
 また、ラベルには「MANUFACTURED BY AGFA GEVAERT N.V.」とあるので、フィルムの供給はドイツのマコという会社が行なっていますが、実際に製造しているのはベルギーにあるアグファ・ゲバルト社のようです。

 マイクロフィルムというとその用途から高い鮮明度と解像力が求められており、このフィルムも鮮明度や解像力は優れているようで、販売元のデータを見ると解像力は600本/mmとなっています。富士フイルムのモノクロフィルムACROSⅡの解像力はハイコントラスト時で200本/mmとのことですから、いかにCOPEX RAPIDの解像力が高いかがわかります。
 実際にウェブサイトなどに掲載されている作例を見ても、とてもハイコントラストで高解像度の写真に仕上がっていて、やはり、一般的なモノクロフィルムとは別物といった感じです。

 ドキュメント用フィルムだからといって風景が撮れないわけではないので、今回は神社仏閣と野草を対象に撮影をしてみました。

現像に関するデータ

 このフィルムの現像は専用の現像液として販売されている「シュプール Dokuspeed SL-N」が推奨となっていますが、私は持ち合わせていないので、今回はSilverSalt現像液を使うことにしました。
 SilverSaltは比較的使う頻度が高く、使いかけのボトルが手元にあるのですが、COPEX RAPIDを現像する際のデータがありません。あちこち調べてみたのですが的確な情報を得ることが出来ず、環境的にいちばん似通っているであろうと思われるデータをもとに現像条件を決めました。

 ということで、今回の現像条件は以下の通りです。

  ・現像液 : SilverSalt
  ・希釈 : 1 + 30 (原液1に対して水30)
  ・温度 : 20度
  ・現像時間 : 9分30秒
  ・撹拌 : 最初に30秒、その後60秒ごとに2回倒立撹拌

 使用した現像タンクはパターソンのPTP115というモデルなので、必要な現像液の量は約500mlです。SilverSaltの原液17mlと水510mlを合わせて527mlの現像液を調合しました。

 因みに、135フィルムの場合、撹拌は1回で大丈夫なようです。

 先日までの猛暑もひと段落して室内温度もそれほど高くないので、現像液の温度を20度に保つにはありがたい気温になっていました。いったん20度になれば、20分ほどであればそのまま放っておいても液温はほとんど変わることはありません。

 現像後の現像液はピンク色に染まっていました。
 また、フィルムベースはほぼ透明ですが、非常にカールが強い傾向にあります。乾かしてもクリップを外すとくるんと丸まってしまい、スリーブに入れてもスリーブ自体が丸まってしまうほど強力です。

 なお、停止液と定着液は富士フイルムの製品を使いました。

COPEX RAPID の作例

 現像が成功したのか、はたまたイマイチだったのか、正直なところ判断がつきませんが、まずまずの像が得られているようです。
 今回の撮影に使用したカメラはPENTAX67、使用したレンズは105mm、200mm、300mmの3本、そして一部に接写リングを使用しています。

 まず1枚目は、神社の参道の入口にある狛犬を撮ったものです。

▲PENTAX67 SMC PENTAX-M 67 300mm F5.6 1/250

 狛犬とその隣にある石灯籠などには陽が当たっていますが、背後の神社の森は日陰になっていて、コントラストの高い状態です。肉眼では背後の森もしっかりとわかる明るさなのですが、写真ではほとんど黒くつぶれています。
 こうしてみてみると、確かにハイコントラストに仕上がっているのがわかります。ローライのRPX25というフィルムもハイコントラストの傾向がありますが、それよりももっとシャープな印象があります。

 2枚目は、お寺の山門脇の草むらに置かれていた小さなお地蔵様です。

▲PENTAX67 SMC PENTAX67 200mm F5.6 1/500

 右側のお地蔵様にピントを合わせていますが、何と言ったらよいのか、お地蔵さまも着けている前掛けや帽子などの質感さえも変わってしまっているような感じを受けます。柔らかさのようなものはどこへやら失せてしまい、金属で作られたオブジェのようにも見えてきます。

 そして3枚目、神社の拝殿を撮影しました。

▲PENTAX67 smc TAKUMAR 67 105mm F16 1/8

 少しコントラストの低い被写体をということで、太陽に雲がかかっている状態で神社の拝殿を正面から写しました。画の下半分はだいぶ明るいのですが、上に行くに従って陰になっているので徐々に暗くなっています。
 前の2枚に比べると確かにコントラストは低いのですが、シャープさはしっかり残っているというか、とにかくエッジがしっかりと効いているといった感じの描写です。正面の格子戸や賽銭箱、壁板、回廊に張られた床板の木目など、まるで鋭い刃物の先で線を引いたような感じで写っています。

 次に、野草も何枚か写してみたのですが、はっきり言ってこちらの方が驚きました。

 まずは道端に咲いていた野菊、多分、柚香菊(ユウガギク)だと思います。

▲PENTAX67 smc PENTAX67 200mm F4+1/2 1/500

 順光状態での撮影なので背後の草むらももっと明るいのですが、花弁だけがひときわ白く、まるでたくさんの小さな花火が開いているようです。花の質感が失われており露出オーバー気味ですが、それを差し引いても驚くようなハイコントラストです。

 そしてこちらも野菊の仲間、野紺菊(ノコンギク)だと思われますが、数輪だけをアップにしてみました。

▲PENTAX67 smc PENTAX67 200mm F4+1/2 1/500 EX3

 前の写真に比べると光が弱いのと、こちらは露出オーバーにはなっていないのでコントラストは若干低めですが、作り物のような印象を受けます。やはり単に鮮明度が高いというだけでなく、エッジがピンと立っているという感じです。花特有の柔らかさなありませんが、これはこれで一つの表現方法かも知れません。

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 今回は120フィルム1本、10コマだけの撮影でしたが、COPEX RAPIDというフィルムの特性を垣間見るには十分すぎるくらいでした。特に花を撮った写真の描写にはびっくりといった感じです。
 確かに風景写真や花の写真には不向きなフィルムかも知れませんが、一般的なモノクロフィルムでは味わえない独特な描写はとても印象的です。
 ただし、初めて使ったフィルムなので現像の特性等もわかっておらず、希釈率や現像時間、温度などを変えて何度か試してみる必要はありそうです。

 推奨されている現像、シュプール Dokuspeed SL-Nを使えばもう少し違う描写になるかも知れませんし、普段よく使っているD-76とかID-11などを使って現像すれば全く違う感じに仕上がるかも知れません。何種類かの現像液で試してみたい気もしています。

(2024.10.5)

#AGFA #アグファ #PENTAX67 #ペンタックス67 #モノクロフィルム #COPEX_RAPID

第167話 富士フイルムのリバーサルフィルム フジクロームの系譜に思うこと ~回顧~

#PROVIA #Velvia #プロビア #ベルビア #リバーサルフィルム #富士フイルム

第160話 エプソン EPSON GT-X970 フィルムホルダー 純正品と自作品のスキャン比較

 前回、エプソンのフラットベッドスキャナ EPSON GT-X970 のフィルムホルダーの作成について書きましたが、自作のホルダーと純正品のホルダーを用いて実際にスキャンをしてみましたのでご紹介します。
 厳密な比較はできませんので、画像を目視して違いがあるかどうかというレベルです。

67判ブローニーフィルムのスキャン画像の比較

 今回の比較用に使用したのは、カラーリバーサルフィルム PROVIA 100Fで撮影した67判のポジ原版です。顕著な差は出ないであろうという予測から、出来るだけ全面にピントが来ているコマを選んでみました。ボケている(アウトフォーカス)部分が多いコマでは、そもそも比較することが難しいだろうというのが理由です。
 実際に使用したポジ原版がこちらです。ライトボックスに乗せて撮影しているので、画質も色も良くありませんが。

 2年ほど前に撮影したものですが、大判カメラに67判のロールフィルムホルダーを装着し、出来るだけ全面にピントが来るよう、アオリを使って撮影しています。
 まずはこのポジ原版を、エプソン純正のフィルムホルダーと自作のフィルムホルダーを使ってスキャンします。スキャン解像度は4,800dpiで、エプソンのスキャナソフトウェアに装備されているアンシャープマスクやホコリ除去、DIGITAL ICE 等の機能は一切使っていません。

 下の2枚が実際にスキャンした画像です。1枚目がエプソン純正ホルダーを使用、2枚目が自作ホルダーを使用したものです。

▲エプソン純正ホルダー使用
▲自作ホルダー使用

 この画像では良くわからないと思いますが、エプソン純正ホルダーでスキャンした画像はごくわずか、左下がりに傾いています。フィルムをホルダーに入れる際も、ホルダーをスキャナに乗せる際も傾きには十分注意したつもりですが、エプソン純正のホルダーでフィルムの傾きをなくすのは結構難しいです。エプソンのソフトウェアにはフィルムの傾きを補正する機能もありますが、これもフィルムホルダーにフィルムが傾いて装着されてしまえばあまり意味をなさなくなります。

 一方、自作のホルダーですが、フィルムの傾きはほとんど認識できませんでした。

 次に画質の違いですが、このように全体を表示した画像ではその違いはまったく分かりません。もちろん、掲載の画像は解像度を落としてありますが、落とす前の画像同士を比較してもその違いはわかりません。ちなみに、4,800dpiでスキャンした画像は、約13,500×10,900でおよそ1億4,700万画素になります。

画像中央部分の画質の比較

 画像全体を見ても違いはわからないので、中央部分を拡大して比較してみます。
 画像中央あたりの落ち葉が積もっている部分を拡大したのが下の画像です。同じく、1枚目がエプソン純正ホルダーを使用、2枚目が自作ホルダーを使用したものです。

▲エプソン純正ホルダー使用
▲自作ホルダー使用

 この2枚の画像も違いはほとんどわかりませんが、エプソン純正ホルダーを使用した方が、ハイライト部分の滲みがごくわずかに大きいように見えます。理由はよくわかりませんが、気になるほどの違いではありません。
 また、2枚の解像度の違いは感じられません。

画像周辺部分の画質の比較

 次に、画像周辺部の比較ということで、画像右下の落ち葉の辺りを拡大して比較してみます。
 同じく、1枚目がエプソン純正ホルダーを使用、2枚目が自作ホルダーを使用したものです。

▲エプソン純正ホルダー使用
▲自作ホルダー使用

 この2枚はわずかに違いが感じられると思います。自作ホルダーの方が全体的に画像がシャープな印象を受けます。落ち葉の縁などを見ても、輪郭というかエッジがはっきりとしています。
 これはフィルムの平面性が保たれていることが理由ではないかと思います。
 エプソン純正ホルダーの方は若干の遊びを持たせているため、ホルダーにフィルムを装着しても完全に固定されず、わずかに動くことができる余裕があります。
 また、67判の1コマだけをホルダーに装着した場合、フィルムの4辺のうちの1辺はホルダーで押さえられていないため、どうしてもフィルムがわずかに湾曲してしまいます。
 これが原因で周辺部の画質が若干低下してしまうのではないかと思われます。

 一方、自作のホルダーはマグネットシートでフィルムの4辺を押さえていますので、目視をする限り、フィルムの湾曲はほとんど見受けられません。

使い勝手の比較

 今回作成したのは67判のフィルム1コマ用ですので、使い勝手についてエプソン純正ホルダーと単純比較をすることはできませんが、実際に使ってみると使用感の違いがあります。

 まず、フィルムの装着ですが、自作ホルダーの方が簡単で、しかも短時間で装着することができます。前の方でも書きましたが、とにかくフィルムの傾きを気にすることなく、フィルムガイドの間にフィルムを置くだけで済むので圧倒的に楽です。
 また、フィルム装着後にブロアでシュッシュッとやるのですが、エプソン純正ホルダーの方は強くやり過ぎるとフィルムが動いたり湾曲したりしてしまいますが、自作ホルダーの方はそのようなこともありません。

 次に、ホルダーをスキャナに設置する際、エプソン純正ホルダーの方はホルダーについているガイドピンをスキャナ本体の所定の位置に差し込むのですが、その状態でもホルダーがわずかにカタカタと動きます。つまり、これによってフィルムが傾いてしまうということです。
 自作ホルダーの方はまずスペーサーを置き、そこにホルダーをピッタリと密着させれば良く、ホルダーがカタカタと動くこともありません。これでフィルムの傾きはなくなるのでやはり簡単です。

 このように書くと自作ホルダーの方が優れているように感じられると思いますが、唯一、エプソン純正ホルダーにかなわないのはその汎用性です。
 エプソン純正ホルダーは様々なコマサイズやコマ数に対応していて、66判であれば同時に6コマ、67判や69判であれば同時に4コマまで装着することができます。この利便性は、ホルダーをいくつも用意しなくても良いとか、大量のフィルムをスキャンするときなどは効率を上げることができるとか、やはり優れものであることは間違いありません。

 利便性や効率性を重視するか、ごくわずかであっても画質を重視するかによって見解は分かれると思いますが、私はそれほど大量のフィルムをスキャンするわけではないので、比べて初めて分かる程度の違いではあっても画質の良い方を使いたいと思います。

 この自作ホルダーを使用してスキャンしたフィルムはまだ5~6枚ほどですが、十分に使用に耐えられるものだと思います。あとは耐久性の問題で、長年使っているとヘタってくる可能性もあり、いつまで耐えられるかということです。
 また、66判1コマ用や67判2コマ用のホルダーもおいおい作っていきたいと思っています。ホルダーが増えてしまうのは好ましいことではありませんが、私の場合、ブローニーは66判と67判があればほぼ事足りるので、とりあえず4個は用意したいということになります。

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 EPSON GT-X970 の後継機はGT-X980 という機種ですが、私はまだ実際に使ったことがありません。今使っているGT-X970が壊れたら購入しようと思っているのですが、GT-X980はフィルムの平面性を高めるため、アンチニュートンリングのアクリル板の上にフィルムを乗せ、これを押さえる構造になっているようです。確かにフィルムの平面性は保たれるのでしょうが、スキャンの際に余計なものは入れたくないというのが個人的な正直な気持ちです。
 実は、今回の自作ホルダーでもガラス製のネガキャリアを使おうかとも考えたのですが、思いの他、平面性が保たれているようなので、まずは良しとしておきます。ネガキャリアを使用したホルダーについては、別途機会があれば検討してみたいと思います。

(2023年9月15日)

#EPSON #GT_X970 #エプソン #フィルムホルダー #スキャナ

第159話 エプソン EPSON GT-X970 スキャナ用フィルムホルダーの作成

 フィルムで撮影した写真をパソコンに表示したりWebで使用するためにはデータ化が必要ですが、私はエプソンのGT-X970というフラットベッドスキャナを用いてデータ化を行なっています。この機種自体はかなり古いのですが、民生用の機器としてはまずまずの性能ではないかと思っています。
 しかし、フィルムホルダーが安っぽくて、しかもあまり使い易くないというのが最大の難点です。特にブローニーフィルム用のホルダーはフィルムが傾かないようにセットするのが結構難しく、フィルムを押さえる機構がしっかりしていないのでフィルムも湾曲してしまい、なかなか平らになってくれません。
 また、長年使っているのでフィルムガイド用のピンが欠損してしていたり、あちこちに損傷も見られます。

 そこで、ブローニーフィルム用のホルダーを自作してみました。
 フィルムの傾きを出来るだけ起きないようにすること、フィルムの平面性を極力保つこと、この2点を満足するホルダーを安価で簡単に作れることを条件として作ってみました。

ブローニーフィルム用ホルダーの概要

 エプソン純正のブローニー用フィルムホルダーはサイズの異なるフィルムに対応できるように、幅約60mm、長さ約200mmの窓が二つ開いています。66判なら3コマ、67判や69判なら2コマ続いたスリーブをセットすることができるので便利ですが、窓枠よりも短いフィルムを装填した場合、フィルムの1辺が押さえられていない状態になってしまうので、どうしてもフィルムが湾曲しがちです。
 自由度が大きく適用範囲が広いのはありがたいですが、それよりも精度を高めることを重要視し、今回はフィルムサイズごとに作ることにしました。
 私はブローニーフィルムでは67判を最も多用していて、しかもフィルムを1コマごとにカットした状態で保管しているので、まずは67判一コマを2枚セットできるホルダーをつくります。

 構造はいたってシンプルで、イメージはこんな感じです。

 ベースとなるアクリル板の上にマグネットシートを2枚重ねて、このマグネットシートの間にフィルムを挟むというものです。アクリル板とマグネットシートには67判の画像サイズよりも若干大きめの窓を開けておきます。
 2枚のマグネットシートのうち、下側のマグネットシートはアクリル板に接着しておきますが、上側のマグネットシートは一端だけを両面テープで固定し、上側にめくりあげられるようにします。

エプソンGT-X970用フィルムホルダーの制約事項

 GT-X970はA4の原稿をスキャンすることができるガラス面を持っていますが、フィルムをスキャンする場合、これらすべての範囲を使うことができないようです。実測してみたところ、概ね、以下のような制約事項があることがわかりました。

 ガラス面全体は226mmx305mmの大きさがあり、A4サイズよりも少し大きくなっています。
 しかし、フィルムをスキャンできる範囲は上の図の青い部分、約160mmx約220mmの範囲に限られます。「約」となっているのは正確に測ることができず、ほぼこれくらいということです。ガラス面の周辺の30~40mmくらいの範囲はスキャンできません。
 また、スキャナを正面から見た時、ガラス面のいちばん奥(図では上側)、約12mmの範囲、および手前(図では下側)、約7mmの範囲はホルダーがかからないようにする必要があります。ここに遮光物がかかるとスキャンが正しく行われません。たぶん、遮光物がない状態の光源の明るさを測定するためのエリアではないかと思われます。

 このため、フィルムホルダーの窓がスキャン可能な範囲(上図の青い部分)に入るようにする必要があります。

67判用フィルムホルダーのサイズ

 ということで、GT-X970で正常にスキャンすることができるホルダーの図面を引いてみました。

 ホルダーの縦を100mmにしたのは特に大きな理由があるわけではなく、100円ショップで購入したマグネットシートのサイズに合わせただけです。これが実におあつらえ向きで、ホルダーを2枚並べて使うことができる寸法でもあります。
 購入したマグネットシートの長辺は300mmあるのですが、上で書いたように、GT-X970にホルダー設置禁止エリアがあるため、これに合わせて15mmカットして285mmとしました。

 67判用の窓の大きさは58mmx71mmで、これは67判の実画面サイズより縦横それぞれ2mmずつ大きくしてあります。つまり、フィルムの実画面の周囲に1mmの余黒が見えるサイズとなります。
 2枚の窓枠の位置はGT-X970のスキャン可能範囲からはみ出さないようにすれば特に問題はありませんが、フィルムをしっかり押さえられるよう、フィルム間の長さは30mm以上は確保したほうが良いと思います。

 また、スキャナのガラス面からフィルム面までの高さはかなり重要で、この位置によって得られる画像の質がずいぶん異なります。
 私が使っているGT-X970は、ガラス面からフィルムの下面まで4.7mmというのが最も質の良い画像が得られることを実測済みなので、今回もこれに合わせます。この高さはスキャナによって個体差があるようで、実際に高さを変えてスキャンしてみて、最も良い状態の高さを確認しなければなりません。結構面倒くさいのですが、仕方ありません。

 今回使用するアクリル板の厚さは1.8mm、マグネットシートの厚さは0.8mmです。そのため、ホルダーの高さをかせぐために嵩上げが必要になりますが、これも1.8mm厚のアクリル板を使います。
 上の図でもわかるように、嵩上げ1.8mm、ホルダーベースが1.8mm、下側のマグネットシートが0.8mmなので、これで4.4mmになります。まだ0.3mm不足しているので、厚さ0.25mmのアルミ板を嵩上げの下側に貼ります。この状態で実測したところ、4.65mmから4.7mmの間にあることがわかりましたので、これで良しとします。アクリル板は有機溶剤で接着しますが、マグネットシートやアルミ板は両面テープを使っているので、その分の厚さが0.05mm弱あり、結果として4.7mmに近い値になったようです。

67判用フィルムホルダーの作成

 まず、フィルムホルダーのベースをアクリル板で作ります。100mmx285mmにカットしたアクリル板に、58mmx71mmの窓を2ヵ所に開けます。位置は前出の図面の通りです。

 窓枠を開けたアクリル板が下の写真です。

 このホルダーベースの裏側に嵩上げ用のアクリル板(板厚1.8mm)とアルミ板(板厚0.25mm)を貼りつけます。

 嵩上げの部分をわかり易くするために画像をいじっていますので変な色になっていますが、ベースの両端に幅10mmのアクリル板を張り付け、その上にアルミ板(白い箇所)を貼りつけています。アルミ板は薄いので、ハサミやカッターナイフで簡単に切ることができます。ハサミで切った場合は少し反ってしまうので、滑らかなヘラなどを使って平らにします。

 次に、マグネットシートに窓を開けます。ホルダーベースと同じサイズにカットし、やはり同じ位置に同じ大きさで窓を開けます。

 上側の黒色のマグネットシートがホルダーベースに貼り付ける側で、この上にフィルムを乗せるようにします。そして、下側の白いマグネットシートがフィルムを上から押さえるためのカバーです。

 黒い方のマグネットシートにフィルムを乗せるので、ここにフィルムガイドを取付けます。

 フィルムガイドを貼りつけた状態はこんな感じです。

 フィルムガイドの高さはフィルム上面と同じになるように、ブローニーフィルムを7mm幅に切って両面テープで貼りつけています。スキャンするためのフィルムが傾かないよう、このフィルムガイドがマグネットシートの長辺と平行になるように注意します。
 また、フィルムガイドとフィルムガイドの間はブローニーフィルムがピッタリ入るようにします。ガイド間がフィルムの幅よりも大きすぎるとフィルムが動いてしまい、平行が保てなくなりますのでやはり注意して行ないます。
 そして、このマグネットシートをホルダーベースの表面に貼り付けます。窓の位置がぴったり重なるように仮止めして、慎重に貼っていきます。今回購入した黒色のマグネットシートの片面には両面テープがついています。

 最後に、この上にフィルム押さえカバーとなるマグネットシートを貼るのですが、もちろん、全面を貼ってしまうわけではなく、一方の短辺側だけ、両面テープで固定します。この時も窓の位置がぴったり重なるようにします。
 なお、マグネットシートは極性の関係でピッタリと重ならない場合もありますので、その場合は極性が合った位置で重ねるようにします。

 下の写真が完成したホルダーです。いちばん上のフィルム押さえカバーをめくった状態を写しています。

 このホルダーに実際にフィルムを挟んでみるとこんな感じです。ライトボックスに乗せて撮影しています。

 フィルムの実画面の周囲に1mmほどの幅で余黒が見えると思いますが、これでフィルム全面をスキャンすることができます。
 フィルムをホルダーに挟んだ状態はかなり平面性が保たれていて、エプソン純正のホルダーのように湾曲することもありません。ホコリを飛ばすためにブロアで吹いても、フィルムの位置がずれるようなことはありません。

 さて、こうして完成したフィルムホルダーをGT-X970のガラス面に乗せるわけですが、この時、ホルダーの長辺とガラス面の右縁が平行になるようにしなければなりません。フィルムがGT-X970のスキャン可能範囲内に入るよう、ホルダーの位置を少し内側に寄せなければならないので、ホルダーが平行になるようにスペーサーを入れてホルダーの位置を決めています。

 上の写真で白いフィルムホルダーの右側にあるのがスペーサーです。幅20mmにカットした板で、これをスキャナのガラス面の右縁にピッタリと合わせ、ここにフィルムホルダーの右縁を密着させます。これでホルダーの平行が保たれるはずです。
 また、スキャナのガラス面の上端と下端にホルダーがかからないようにしなければなりません。これは、スキャナのガラス面の右縁のところに原稿サイズの目盛りが刻んであるので、その「A4」の目盛りのところにフィルムホルダーの端を合わせると、上端に約12mmのスペースができます。これで、ホルダー設置禁止領域にかかることはありません。

 ちなみに、今回のフィルムホルダー作成にかかった費用ですが、実際に購入したのはマグネットシート2枚(税込220円)だけです。アクリル板とアルミ板は家に転がっていたものを使ったので、これらの実費としては0円ですが、新たに購入してもアクリル板が500円ほど、アルミ板は200円ほどだと思います。

実際にフィルムをスキャンしてみて

 今回作成したフィルムホルダーで実際にスキャンしてみました。
 エプソンから提供されているソフトウェア「EPSON Scan」でも問題なく画像認識され、サムネール画像の作成も出来ました。
 もし、サムネール画像の認識ができない場合でも、通常表示にしてスキャンする範囲を指定する機能があるので、これを使えば問題なくスキャンすることが可能です。

 また、実際にスキャンした画像ですが、その画質には全く問題がないと思われます。詳細に比較したわけではありませんが、エプソン純正のフィルムホルダーよりも画質は良いように感じます。ガラス面からフィルム面までの高さが適切だったのと、フィルムの平面性が保たれているのも要因かも知れません。
 フィルムの傾きに関しても十分に満足のいくものだと思います。ホルダーに貼ったフィルムガイドの間にフィルムを入れて、そのホルダーをスペーサーに密着するように置くことで、スキャンした画像が傾くことはほとんどありませんでした。純正のホルダーを使えば傾き補正もできるのですが、そのような機能がなくても問題のない状態の画像を得ることができます。

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 今回作成したのは67判のフィルム1コマを2枚設置できるホルダーですが、同じやり方で67判が2コマ連続したスリーブ状態のフィルム用のホルダーも作成する予定です。窓の大きさが変わるだけで、その他の作り方は同じです。
 このサイズのホルダーであれば、スキャナのガラス面に2枚並べて置くことができ、一度に4枚のフィルムをスキャンすることができます。
 何種類ものフィルムサイズ(66判とか67判、69判など)を使う場合は、それに合わせてフィルムホルダーを何種類も用意しなければならないのは難点ですが、私の場合、主に67判なので、今回作成したものと2枚続きのスリーブ用があればほとんど対応可能です。

(2023年9月8日)

#EPSON #エプソン #フィルムホルダー #GT_X970 #スキャナ

第158話 ローライ Rollei のモノクロフィルム RPX25を現像したら謎の白い斑点が大量に出現!

 私はローライのモノクロフィルムRPX25が好きで時々使っています。ISO25と低感度で使いにくいところもありますが、引き締まった黒や高コントラストが気に入っています。使用頻度の多いイルフォードのDELTA100と比べるとずっと少ないのですが、陰陽を表現したいときにはやっぱりRPX25といった感じです。
 先日、久しぶりにマミヤの中判カメラ Mamiya 6 MFを持ち出し、RPX25とイルフォードのDELTA100を1本ずつ持って都内に撮影に出かけました。日中なので低感度フィルムでもそこそこのシャッター速度を切ることができ、何か月ぶりかで街角スナップを撮ってきました。

 翌日、撮影済みの2本のフィルムの現像を行ないました。
 いつもの通り現像処理を行ない、乾燥を終えたネガをスリーブに入れるため、カットしようとライトボックスに乗せた時でした。何やら小さな白い斑点のようなものが一面に付着しているのに気がつきました。まさに、「なんじゃ、こりゃ!?」といった感じです。他のコマも見てみましたが、12コマすべてにポツポツとした白い斑点のようなものがびっしりとついています。ネガ上で白い斑点なので、プリントしたりネガスキャンすれば黒い斑点となって現れることになります。

 それが下の画像です。モノクロネガを反転させず、そのままスキャンしてありますので、ネガを見ているのと同じ状態です。

 わかり易いのは空の部分で、ネガ上では黒っぽいところなので白い斑点状のものがはっきりと見えます。白っぽいところには出ていないように見えますが、わかりにくいだけで、ルーペで見るとはっきりと出現しています。

 白枠で囲った辺りを拡大したのが下の画像です。

 びっしりと斑点状になっているのがわかると思います。

 最初にこれを見た時は現像の失敗かと思いました。現像液内に気泡のようなものができて、それによるものなのかとも思いましたが、どう見ても気泡によるものではなさそうです。
 また、私は現像液を調合する際は水道水を5分ほど煮沸し、それを冷ましたものを使いますので、水道水の中に含まれている不純物等による影響も考えにくいです。
 フィルムの結露かも知れないとも考えましたが、結露には十分注意しているのでたぶんあり得ません。

 掲載画像だとわかりにくいかも知れませんが、フィルムの上に何かが付着しているという感じではなく、画像として写り込んでいるといった方が適切かもしれません。
 しかし解せないのは、白っぽくなっているということはほとんど露光されていないということになります。つまり、光が当たっていない、もしくはごく弱い光しか当たっていないということになります。

 自家現像は何十年もやってきましたが、こんな現象は初めてのことです。ちなみに、もう一本のフィルム、DELTA100の方は何ともありません。今回使用した現像液はイルフォードのID-11で、1+1の希釈にしています。2本とも現像液は同じものを使っています。
 液温管理も20℃±1℃くらいの範囲でやりましたので、特に問題になるとは思えません。

 しかし、見れば見るほど不気味でおぞましい画像です。失敗作として廃棄してしまおうかとも思いましたが、何だかとても気になるのも事実であり、どういった現象で何が原因なのかを知りたくなり、いろいろ検索してみました。
 その結果、似たような経験をされた方の記事をいくつか見つけることができました。私の経験した現象と同じかどうかわかりませんが、斑点が出るという現象は似ているようです。

 その方々の記事によると、「カビ説」と「静電気説」の二つがあるようです。
 まず「カビ説」ですが、使用前のフィルムにカビが繁殖してしまうというものです。現像済みのフィルムが長年経つ間にカビが付着するというのはよく聞く話しですが、使用前のフィルムにカビがつくことなどあるのかと思ってしまいます。そもそも、使用前のフィルムは遮光性のポリ袋のような中に入れられて密閉されているので、外からカビが入り込むなどということは考えにくいです。もし、カビが入り込んだとしたら、工場での製造工程中がいちばん怪しいということになってしまいますが、フィルムをつくるような工場がそんなずさんな管理をしているとも思えません。
 また、このフィルムは購入してから半年くらいしか経っておらず、もちろん使用期限内であり、しかも冷蔵庫で保管していたので、仮にカビであったとしてもこんなにすさまじく繁殖するのも考えにくいです。

 二つ目の「静電気説」ですが、摩擦などによってまれにフィルム全体が静電気をあびてしまうことがあるとのことです。冬場の乾燥した時期とか、自分の着ている衣類の材質等によって静電気が発生する可能性は十分あるわけですが、このフィルムをそのような環境にさらした記憶はありません。
 フィルムが静電気を浴びるとどのようなダメージを受けるのか、私は良く知りませんが、もし静電気によって露光したのと同じような症状になるとしたら、現像したネガ上では、そこは白ではなく黒っぽく出るのではないかと思います。白い斑点状ということは未露光に近い状態なので、つじつまが合わない気がします。
 それに、静電気によるものだとしたら、このようにゴマをまき散らしたような感じになるのかという疑問も湧いてきます。スタティックマーク、いわゆる静電気によるフィルム上の傷跡というのを見たことがありますが、もっとシャープな感じでした。

 「カビ説」も「静電気説」も、私にはどうも納得がいきません。

 それと、もう一つ気になる点があります。空の辺りがわかり易いのですが、横方向に縞模様が見えると思いますが、これは斑点が鎖のように横方向に連なっている状態です。縦方向に連なっているのは見られず、横方向だけというのがとても気になります。カメラの中でのフィルムの送り方向と何らかの関係があるのかとも考えてみましたが、もしそうだとしたら他のフィルムでも発生するだろうと思います。
 また、縞模様というとレチキュレーションという疑いも捨てきれないわけですが、何年も経過したフィルムではないし、特に高温状態で保管されていたわけでもなく、フィルムに過度の力を加えてもいないわけで、やはり原因は違うのではないかと思います。

 ネットでいろいろ検索していたところ、何年か前にイルフォードのフィルムでもこのような現象が出たことがあったらしいのですが、画像や詳細な情報を見つけられず、今回のこの現象と同様のものだったのかどうかはわかりませんでした。

 ということで原因はまったくわからないままですが、試しにネガを顕微鏡で覗いてみました。白い斑点のところはフィルムに何かが付着しているという感じではなく、明らかにフィルムの中に記録された像の一部になっていて、あまり露光されていない白い部分と同じような状態でした。何かが付着しているのであれば盛り上がって見えるのですが、フィルムのどちらの面を見てもそのようなことはありません。
 また、輪郭はボヤっとしていて、倍率を上げ過ぎると境界がわからなくなってしまうくらいです。斑点の大きさはまちまちですが、比較的大きめのものでもフィルム上での直径が0.05~0.1mmといったところです。

 今回使用したRPX25は10本まとめて購入したもので、念のため確認してみましたがエマルジョン番号はすべて同じでした。

 いろいろ調べたり、購入から現像までの経緯を疑ってみたりしてみましたが、今のところ原因はまったくわかりません。上でも書いたように、ネガ上で白くなるということは光が十分に当たっていないということなので、何か光を遮る原因があったのではないかというのがいちばん理にかなっているように思えます。カビのように物理的に何かが付着して光を遮ったのかとか、あるいはフィルムの平面性が保てずに光が拡散してしまったのかとか、あれこれ思いめぐらしてはみてもどれも決定打にはなりえない感じです。

 購入した10本のRPX25のうち、今回のフィルムが6本目なので未使用フィルムがあと4本あります。残りの4本の中にも白い斑点が出現するのか、あるいはRPX25以外のフィルムでも発生することがあるのか、原因がわからないというのは精神衛生上、とてもよろしくない状態です。
 フィルム価格が高騰している昨今、120フィルム1本を駄目にしてしまったというのは少なからずダメージがありますが、大判フィルムで気合を入れて撮ったものでなかったというのがせめてもの救いです。今回は気軽に出かけられる都内だったのも幸いしましたが、これが遠方で何日もかけて撮影してきたものだったりすると目も当てられません。

 しかし、原因不明のこんなことがあると、モノクロフィルムを使うのをためらってしまいます。原因がわかれば対処のし様もありますが、今のところは起きないように神頼みしかないといった情けない状況です。原因がはっきりするまでモノクロの大判フィルムの使用は控えようかと思いますが、いろいろ試してみないと原因はつかめないままですし...
 同様の事例がないか、もう少し時間をかけて調べてみようと思いますので、何かわかればあらためてご報告したいと思います。

(2023年8月16日)

#Rollei_RPX25