35mmフィルムケースを使って、ブローニー用フィルムケースの作成

 最近は35mm判フィルムを使うことが少なくなったのですが、10年くらい前までは中判や大判よりも、使用量が圧倒的に多かったのが35mm判フィルムです。35mmフィルムは一本ずつケースに入っているため、このケースがどんどんたまっていきます。捨てるには忍びないと思い、段ボール箱に放り込んであるのですが、ほとんど使われることはありません。小さなネジなどを入れるのに使うこともありますが、そんなことで使われる数はたかが知れています。
 そこで、この空ケースを使って、ブローニーフィルムを入れるケースを作ってみました。

35mmフィルムケース2個を使い、ブローニー用フィルムケースを1個作る

 昔はブローニーフィルムを現像に出すと、5本用のフィルムケースがおまけのようについてくることがありました。いま私が使っているフィルムケースも無料でいただいたものです。
 しかし、長年使っているため、あちこちにひびが入ったり欠けたりしているので、新しいものと交換したいと思うのですが、今は無償で手に入れることができません。ブローニーフィルムが5本入る専用のケースは市販されていますが、1,600円ほどと驚くほど高額です。
 作る手間を考えれば買った方が安上がりかもしれませんが、使い道のない35mmフィルムケースの再利用という点では一役買ってくれそうです。

 35mmフィルムのパトローネの径とブローニーフィルムの巻き径に大きな差はないので、35mm用フィルムケースにうまい具合に納まります。しかし、そのままでは長さ(高さ)が足りないので、35mm用フィルムケースを少し継ぎ足して、ブローニーフィルムが入るようにします。
 
 下の写真を見ていただくとわかり易いと思いますが、フィルムケース2本のうち1本を、下から25mmくらいの位置でカットします。カットする位置に目印となる線を入れておきます(写真①)。
 カットする寸法は1mmくらい前後しても問題ありませんが、複数個つくるときに同じ長さになるようにしなければならないので、正確に決めておく必要があります。

 実際にカットした状態が写真②です。

 カットする際は目印の線に合わせてガムテープなどを巻き付けて、それに沿ってカットしていくと曲がらずに綺麗に切ることができます。
 カットしたケースの下側(底の部分)はフィルムケースのキャップになります。
 また、カットした上側の部分はケース内側の立ち上がりに使用します。そのままだと直径が同じで中に入らないので、約5mmの幅でスリットを入れます(写真③)。

 この立ち上がりをもう1本のフィルムケースの中にはめ込み、接着します。
 今回使用したフィルムケースは富士フィルムのものですが、材質はHDPE(高密度ポリエチレン)製のため、通常の接着剤は使えません。ポリエチレンやポリプロピレンを貼り合わせることができる接着剤が必要です。セメダイン製のPPXやスーパーXハイパーワイド、コニシ製のボンドGPクリヤーなどが使えますが、今回は手元にあったボンドGPクリヤーを使いました。硬化するまでに若干時間はかかりますが、接着直後であれば張り合わせ位置の修正ができるので便利です。

 接着する部分の長さが11mm、立ち上がりとして上に飛び出す部分が14mmとなるようにしました。
 実際に立ち上がり部分を接着した状態が写真④です。

 なお、立ち上がり部分は5mmほどの幅で切り取ってあるので、ケースの中にはめ込んだ際に若干の隙間ができます。この隙間はグルーガンで埋めておきます。

 切り取った下側の部分をキャップとして被せると、ケースの高さは約75mmになります。
 ブローニーフィルムの高さは約65mmなので余裕があり過ぎるように思いますが、フィルムがラッピングされた状態で入れるにはちょうど良い高さになります。

 接着した立ち上がりですが、無理やり剥がそうと力を入れて引っ張れば取れてしまいますが、通常の使用では問題ないくらいの強度はありそうです。

フィルムケース5個をつないで、5本用のフィルムケースにする

 こうして出来上がったフィルムケースをそのまま使っても問題ないのですが、1本ずつのケースでは使い勝手があまりよくないので、このケース5個を横につないでフィルムが5本入るケースにします(もちろん、4本用でも6本用でも構いませんが)。
 5個のケースをどのように配置するかは自由ですが、使い勝手が良くて、カメラバッグの中に入れても納まりの良い良い配置というと、やはり横一列という配置だと思います。

 しかし、円筒形(正確には富士フィルム製のケースは完全な円筒形ではなく、わずかに上が広いテーパになっています)の接着面は非常に細い線状でしかないので、接着しても強度がなく、少し力を加えると簡単にとれてしまいます。
 そこで、5個のケースを横一列に接着した後、片面に薄いアクリル板を貼りつけることにします。

 5個のケースを接着した状態が下の写真です。

 貼りつけるのは板厚が1.6mmの透明なアクリル板です。フィルムケースと同じ色合いにするため、両面にサンドペーパーをかけてすりガラス状にします。
 アクリル板は切断や切削などの加工も比較的簡単にできますし、接着も通常のプラスチック用の接着剤が使用できますが、接着する片方がポリエチレンなので、やはりGPクリヤーを使います。

 アクリル板を貼りつけた状態はこんな感じです。

 ポリエチレンは塗装もできませんが、アクリル板であれば塗料も問題なく乗るので、お気に入りの色を塗ることも可能です。
 また、アクリル板の左右両端は、できるだけ段差が出ないように斜めに削っておきます。

 なお、補強の目的で、底面に厚さ0.3mmのプラバンを貼りました。アクリル板を貼れば強度的には問題ないと思いますが、念のためということで。

キャップは接着せずにバラの状態で

 キャップとして使用するケースの下側の部分ですが、カッターナイフでカットした場合、小口(断面)の角が鋭利になっているので、軽くヤスリをかけて角をとっておきます。
 キャップはスカスカでもなく、かといってきつい感じもなく、程よい抵抗感で嵌めたり外したりできます。グルーガンで埋めたところが滑り止めのような効果を発揮しています。

 さて、このキャップをどうするかですが、ケースの入れ物と同じように5個を横一列に並べて接着し、アクリル板を貼りつけて一体化することも考えましたが、とりあえずそのまま、バラの状態で使用してみることにしました。
 5個をつないでしまうと、キャップの開け閉めがし難くなるのではないかという懸念と、実際に使う際は5個のうちのどれか一つだけなので、バラ状態の方が使い易いだろうという思いからです。
 ただし、バラだとキャプをなくしてしまう可能性が高まりますが、その場合はキャップだけ新たに作ればよいので、大きな問題ではないでしょう。
 なお、キャップ側も連結したほうがケース全体の強度は増すと思います。

 しばらく使ってみて、使いにくいとか問題があるようであれば、キャップの連結も試みてみようと思います。

 また、フィルムケースは乳白色なので、中がぼんやりと見えます。撮影前のフィルムなのか撮影済みなのかが一目でわかるので、意外と便利かもしれません。市販のケースは遮光性を保つため、色付きの素材を使っていますが、通常はカメラバッグの中に入れておくので、それほど遮光性に神経質にならなくても大丈夫かと思います。

 これまで使っていたフィルムケースと比べると、横の長さが約5mmほど長くなっていますが、使う上で特に支障はないと思われます。

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 フィルムケースというのは、フィルムを2~3本しか持っていかないときはなくてもそれほど支障のあるものではありませんが、長期間の撮影行で20本、30本と使うときは必要なものです。フィルムの種類を分けたり、撮影前と撮影後のフィルムを分けたり、また、カメラバッグの中でフィルムが行方不明になるのを防ぐということにも役立ちます。
 今回のケースの自作で35mmフィルムのケース10個を使いましたが、もともとついていたケースの蓋が10個残ってしまい、これの使い道は思いつきませんので廃棄しました。

(2022.8.11)

PENTAX67用 オート接写リング(エクステンションチューブ)

 PENTAX67には2本のマクロレンズ(焦点距離が100mmと135mm)がありますが、それとは別に接写リングが用意されています。
 マクロレンズと比べて接写リングは撮影の自由度が落ちるのですが、オート接写リングの場合、PENTAX67用の内爪式レンズのすべてに装着可能で、近接撮影を行なうことができるので結構重宝します(焦点距離600mm以上の超望遠レンズはバヨネットが外爪式になっており、それ用には外爪接写リングが用意されています)。
 今回は内爪式のオート接写リングをご紹介します。

3つのリングで7通りの組み合わせが可能

 一般的に接写リングは3個がセットになっているものが多く、PENTAX67用もNo.1~No.3までの3個で構成されています。いちばん薄いNo.1が厚さ14mm、次がNo.2で厚さ28mm、最も厚いのがNo.3で厚さ56mmです。厚さの比が1:2:4になっており、組み合わせを変えた時の厚さの変化が14mmステップになります。
 これら3個のリングは自由に組み合わせることができ、その組み合わせは7通りあります。

▲PENTAX67用 オート接写リング

   <組合せ>  <厚さ>
    1     14mm
    2     28mm
    1+2    42mm
    3     56mm
    1+3    70mm
    2+3    84mm
    1+2+3   98mm

 カメラ用のレンズは無限遠の時のレンズ繰出し量が最も少なく、被写体との距離が近くなるにつれてレンズの繰出し量も多くなるわけですが、最短撮影距離まで繰出すとそれ以上はヘリコイドが動かないようになっています。
 カメラとレンズの間に接写リングを挿入することで、さらにレンズを繰出すことができるようになります。つまり、この接写リングの場合、最短撮影距離の状態からさらに14mmステップで最大で98mmまでレンズを繰出すことができるということです。

撮影距離の制約

 では、接写リングを挿入することでどれくらいまで近接撮影ができるのか、PENTAX67用の標準レンズと言われている焦点距離105mmのレンズに接写リング3個を挿入した場合を例に計算してみます。

 レンズから被写体までの距離a、レンズから撮像面(フィルム)までの距離b、およびレンズの焦点距離fの間には以下のような関係があります。

   1/a + 1/b = 1/f ...式(1)

 この式から、

   1/a = 1/f - 1/b ...式(2)

 となります。

詳細は下のページをご覧ください。

  「大判カメラによるマクロ撮影(1) 露出補正値を求める

 まずはレンズの距離指標を無限遠にした状態のときですが、接写リング3個重ねた時の厚さは98mmなので、
  bは 105mm+98mm で203mm
  fは焦点距離なので105mm

 これらの値を上の式(2)にあてはめてみます。

  1/a = 1 / 105 - 1 / 203
   よって、a = 217.5

 レンズから被写体までの距離aは217.5mmになります。
 これにレンズから撮像面までの距離 105mm+98mm を加えた420.5mmが撮影距離になります。

 次に、レンズのヘリコイドを目いっぱい繰出し、最短撮影距離である1mの指標に合わせた場合を計算してみます。

 無限遠の状態から最短撮影距離の指標までヘリコイドを回すと、このレンズの繰出し量は14mmです。
 すなわち、上の式のbの値は 105mm+14mm+98mm で、217mmとなります。
 同様に上の式(2)にあてはめると、

  1/a = 1 / 105 - 1 / 217
   よって、a = 203.4

 aは203.4mmとなり、これにレンズの繰出し量の217mmを加えた420.4mmが撮影距離になります。

 つまり、焦点距離105mmのレンズに接写リング3個を挿入すると、ピントが合わせられる範囲は420.4mm~420.5mmということで、わずか0.1mm足らずの範囲しかないということになります。これは許容範囲がないに等しく、これが接写リングの自由度の低さだと思います。

 参考までに、7通りの接写リングの組合せ時の撮影可能範囲を計算すると以下のようになります。

   <組合せ>  <撮影可能範囲>
     1     631.8~1011.5mm
     2     514.5~631.8mm
     1+2    462.9~514.5mm
     3     437.5~462.9mm
     1+3    425.3~437.5mm
     2+3    420.5~425.4mm
     1+2+3   420.4~420.5mm

 この値を見ていただくとわかるように、焦点距離105mmのレンズの場合、使用する接写リングの7通りの組合せによって、420.4~1011.5mmの範囲であれば無段階にピント合わせができるようになっています。

 これをグラフに表すとこのようになります。

 このようなグラフを使用するレンズごとに用意しておくと、撮影の際にどのような接写リングの組合せにすれば良いかがすぐにわかるので便利です。

接写リングによる撮影倍率

 次に、接写リングを使用した場合の撮影倍率についても計算してみます。
 撮影倍率Mは以下の式で求めることができます。

   M = z’/f ...式(3)

 ここで、z’はレンズの後側焦点から撮像面までの距離、fはレンズの焦点距離です。

 詳細は下のページをご覧ください。

  「大判カメラによるマクロ撮影(2) 撮影倍率

 焦点距離105mmのレンズに、接写リング3個をつけた場合の撮影倍率を上の式(3)にあてはめて計算してみます。
 まず、レンズを無限遠の指標に合わせた場合ですが、z’は接写リングの厚さに等しいので、No.1~No.3を装着した場合は98mm、fは焦点距離なので105mmです。

   M = 98 / 105 = 0.93倍

 となります。

 また、レンズを最短撮影距離の1mの指標に合わせた場合、レンズの繰出し量は14mmなので、z’は 14mm+98mm で112mmとなります。
 したがって、この時の撮影倍率は、

  M = 112 / 105 = 1.07倍

 となり、焦点距離105mmのレンズに3個の接写リングをつけると、およそ等倍の撮影ができるということです。

 同様に、7通りの組合せ時の撮影倍率の計算を行なうと以下のようになります。

   <組合せ>  <撮影倍率>
    1     0.12~0.27倍
    2     0.27~0.40倍
    1+2    0.40~0.53倍
    3     0.53~0.67倍
    1+3    0.67~0.80倍
    2+3    0.80~0.93倍
    1+2+3   0.93~1.07倍

接写リング使用時は露出補正が必要

 レンズが前に繰り出されると撮像面の単位面積あたりに届く光の量が減少し、レンズの実効F値が暗くなるため、露出補正が必要になります。レンズのヘリコイド可動範囲内であれば露出補正量もわずかで誤差の範囲と言えますが、接写リングを挿入するとそういうわけにもいかず、露出補正しなければなりません。

 露出補正倍数は下の式で求めることができます。

   露出補正倍数 = (レンズ繰出し量/焦点距離) ^ 2 ...式(4)

 焦点距離105mmのレンズにNo.1~No.3の接写リングをつけた場合の露出補正量を計算してみます。

 まず、レンズの距離指標を無限遠に合わせた場合、レンズ繰出し量は焦点距離に接写リングの厚さを加えた値なので、105mm+98mm で203mmとなり、

   露出補正倍数 = (203 / 105) ^ 2 = 3.74倍

 の露出補正が必要ということです。
 これは2段(EV)弱のプラス補正ということになります。

 また、レンズの距離指標を最短撮影距離の1mに合わせた場合、レンズ繰出し量はさらに14mm加算されるので217mmになります。
 同様に露出補正倍数を計算すると、

   露出補正倍数 = (217 / 105) ^ 2 = 4.27倍

 となり、これは2段(EV)強のプラス補正ということになります。

 7通りの接写リングの組合せ時の露出補正倍数は以下のようになります。

   <組合せ>  <露出補正倍数>
    1     1.28~1.60倍
    2     1.60~1.96倍
    1+2    1.96~2.35倍
    3     2.35~2.78倍
    1+3    2.78~3.24倍
    2+3    3.24~3.74倍
    1+2+3   3.74~4.27倍

自由度は低いがマクロ撮影のバリエーションは広い

 接写リングをつけると無限遠などの遠景撮影ができなくなったり、一つの組合せで撮影できる範囲が非常に限定されたりしますが、マクロレンズ単体で使用するのに比べると撮影倍率ははるかに高くできます。
 また、様々な焦点距離のレンズでの使用が可能なので、撮影のバリエーションも広がります。

 とにかく撮影倍率を高くしたいのであれば、できるだけ焦点距離の短いレンズを使うことで実現できます。PENTAX67用で、フィッシュアイレンズを除く最も焦点距離の短いレンズは45mmですが、このレンズにNo.1~No.3の接写リングをつけた場合の撮影倍率は約2.27倍になります。
 また、焦点距離の長いレンズにつけると前後のボケが非常に大きくなり、背景を簡略化したり、美しいグラデーションの中に被写体を浮かび上がらせたりすることができます。

 下の写真は、焦点距離165mmのレンズにNo.3の接写リングをつけて撮影したものです。

▲smc-PENTAX67 165mm 1:2.8 接写リングNo.3使用

 撮影倍率は約0.5倍です。ピントが合っている部分はごくわずかで、画のほとんどがアウトフォーカスになっています。長めの焦点距離のレンズを使っているので、ボケも綺麗です。

 一方で、ピントを合わせられる範囲も被写界深度も著しく浅くなるので、ピント合わせは慎重に行なわなければなりません。接写リングを3つも重ねるとピントの山がつかみにくくなるので、ピント合わせにも苦労します。

 私は持っていませんが、接写リングの厚さを可変できるヘリコイド接写リングというものがあります。可変量はそれほど大きくありませんが、接写リングと組み合わせて使うと撮影可能範囲が広くなるので便利だと思います。

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 マクロレンズがあれば接写リングを持ち出すこともないかも知れませんが、マクロレンズだけでは撮れないような写真を撮ることができるので、私は常にカメラバッグの中に入れています。
 はめたり外したりが少々面倒くさいですが、それもまた手間をかけて撮影している実感があるということで、良しとしておきましょう。

(2022年3月20日)

#接写リング #マクロ撮影 #ペンタックス67 #PENTAX67

マグネット式 角型フィルターホルダーの作成

 風景撮影には欠かせないフィルターの一つに「ハーフNDフィルター」があります。例えば、画面の上半分と下半分の明暗差が大きいとき、明るい方にNDがかかるようにして使うわけですが、そのため、通常のフィルターのように円形ではなく、上下(もしくは左右)に移動できるよう、主に長方形をしています。
 円形のフィルターのように直接レンズの前枠にねじ込むというわけにはいかず、まずはフィルターホルダーをレンズに取付け、フィルターホルダーに設けられている溝にこの角型フィルターを差し込みます。
 これが結構面倒くさく、少しでも手間が省けるようにということで、マグネットでフィルターを保持するホルダーを作ってみました。

角型フィルターの両側面を磁石の力で保持

 角型フィルターをより簡単に取付けができるよう、マグネット式やバネ式などのホルダーがいろいろ市販されていますので、そういったものを購入すれば済むのですが、現在保有している角型フィルターに専用のアダプターを取付けたり何かと費用が嵩んでしまいます。そこで、できるだけ低コストで保有しているフィルターを使えるようにということで、マグネット式を採用することにしました。

 今回作成する角型フィルターホルダーのイメージはこんな感じです。

 ホルダー自体はアクリル板とプラスチック板で自作しますが、レンズの前枠にはめ込むところはケンコー製のアダプターリング(82mm)を使います。これは、今まで使ってきたフィルターホルダー用のもので、それをそのまま流用します。
 私が使っている角型フィルターは100mmx150mmサイズのものがほとんどで、前枠径が大きなレンズや画角の大きなレンズでも対応できますが、非常に短焦点のレンズでフィルターを使うというような場合、フィルターホルダーにケラレてしまうことがあります。
 そのため、フィルターホルダーの厚みはできるだけ薄いのが理想的で、2枚重ねるときでもフィルターが密着する方が望ましいので、マグネット式にしました。さすがに角型フィルターを3枚重ねることはないと思われるので、2枚まで対応できるものとしました。

 角型フィルターの厚さは2mmしかないので、これを両側面からマグネットで支えるために、磁力が強いネオジム磁石を使用することにしました。

フィルターホルダー本体の構造

 フィルターホルダー本体はできるだけ薄く、かつ軽くしたいため、厚さ2mmのアクリル板を組み合わせて作ります。

 厚さ2mmのアダプターリングを差し込むための溝を持った構造になっています。アダプターリングを差し込んだ状態で、ホルダー本体は自由に回転させることができます。
 今回使用するアダプターリングの外形は108mmですので、これを受けるホルダー本体の溝幅も108mmということになりますが、0.5~1mmくらい広めにしておいた方がアダプターリングの差込みがスムーズにできます。

 各パーツはアクリル樹脂用接着剤(有機溶剤)で接着します。
 ホルダー本体をくみ上げ、艶消し黒の塗装をした状態が下の写真です。上側がフィルムホルダー、下側がアダプターリングです。

▲角型フィルターホルダー本体とアダプターリング

 ホルダーの手前側の左右に溝(スリット)が見えると思いますが、ここにアダプターリングが入ります。

 ホルダー本体にアダプターリングを差し込むとこんな感じです。

▲フィルターホルダー本体にアダプターリングを挿入した状態

 因みに、裏側はこのようになっています。

▲フィルターホルダー本体の裏側

 アダプターリングには82mm径のオネジが切ってあり、これをレンズの前枠にねじ込みます。

フィルターを支えるマグネットの取付け

 ホルダー本体の左右の内側にフィルターを支えるためのマグネットを取付けるのですが、今回使用するマグネットは直径5mm、厚さ2mmのネオジムマグネットです。左右それぞれ18個ずつをアクリル板に接着します。
 アクリル板の厚さは2mmありますが、このままだとフィルターをはめ込む幅が100mmになってしまいますので、アクリル板を0.1mmほど削ります。平ヤスリの上にアクリル板をのせて、20~30回ほど擦ると板厚が1.9mmほどになります。1.9mmを若干下回るくらいの厚さが望ましいです。

 マグネットをアクリル板に接着した状態が下の写真です。

▲ネオジムマグネットをアクリル板に接着

 このパーツをホルダー本体に仮止めして、マグネット間の幅をノギスで測ってみて、100.2~100.3mmに納まっていればOKです。これよりも狭い場合は、アクリル板をもう少し削ります。削りすぎるとマグネット間の幅が広くなって、磁力の影響が弱まってしまいますので要注意です。

 これをホルダー本体の内側に取付ける(仮止め)とこのようになります。

▲フィルターホルダー本体にマグネットを取付け(仮止め)た状態

 この段階では仮止めにしておきます。ホルダーに接着してしまうと、あとで微調整ができなくなってしまいます。

角型フィルター側面にステンレス板を接着

 次に、角型フィルターをホルダーのマグネットで保持するため、フィルター側面にステンレス板を張り付けます。使用するのは厚さ0.1mmのステンレス板、というよりステンレスシートです。裏面に粘着シールがついているタイプであれば、あらためて両面テープを張らなくても済むので便利です。
 また、磁石に着く材質でなければならないので、「SUS430」という素材のステンレスを使います。「SUS304」というステンレスも出回っていますが、こちらは磁石に着きません。

 ご存じのようにステンレスは硬いですが、厚さが0.1mmですのでハサミやカッターナイフで簡単に切れます。ただし、ハサミで切るとステンレスが反ってしまいますので、カッターナイフで切るのがお勧めです。
 角型フィルターの厚さと同じ2mm幅、長さはフィルターより10mmほど短かく切ります。そして、このステンレス板を角型フィルターの側面に張り付けます。

 実際に張り付けた状態が下の写真です。

▲角型フィルターの側面に、厚さ0.1mmのステンレス板を張り付けた状態

 この状態で角型フィルターの幅を測ってみます。計算上は100.2mmをわずかに上回ることになります。
 そして、この値と、前で測定したマグネット間の幅を比較して、マグネット間の幅の方がわずかに(0.05~0.1mm)広いことを確認します。もし、マグネット間の幅の方が狭い場合は、マグネットを接着したアクリル板を少し削ります。

 ステンレス板を着けた角型フィルターをホルダーに嵌め、ホルダーを立てた時に角型フィルターがずり落ちないことを確認します。また、ピッタリしすぎているとはめ込みや取り外しの際に力がかかり過ぎてしまいますので、適度な力で取り外しできる状態であることも確認します。

マグネットをホルダーに接着

 以上の確認が済んだら、マグネットを着けたアクリル板をホルダーに接着します。これで完成です。
 
 実際にレンズに取付けるとこんな感じです。

▲PENTAX67に角型フィルターホルダーを取付けた状態

 マグネットはかなり強力なので、少々の風や振動などでフィルターが外れてしまうというような心配はなさそうです。
 ハーフNDフィルターのようにファインダーを覗きながらフィルターの位置を動かす場合も、フィルターの片側を少し持ち上げることで簡単に上下することができるので便利です。

 私が保有している角型フィルターはすべてアクリル製なので非常に軽いですが、重いガラス製の角型フィルターでも問題なく保持できそうです。
 ただし、万が一、落ちてしまって割れたり傷がついたりということが心配であれば、マグネットを少し大型(強力)なものにすれば問題ないと思いますが、そうするとホルダー自体も少し大きく、重くなってしまいます。

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 今回、このホルダーを作成するのにかかったコストですが、アクリル板は以前使った端切れなのでコストはかかっていませんが、新たに購入しても300~400円くらいです。ネオジムマグネットは100個で550円でした。そして、いちばんお高かったのがステンレスシートですが、30cmx90cmサイズで1,400円ほどでした。実際に使うのは端の方のほんのわずかな部分です。
 年末年始で家にいる時間が長かったので作ってみましたが、近いうちに撮影で使ってみたいと思います。実際に使ってみるといろいろな問題も出てくるかもしれませんが、使用レポートは別の機会にしたいと思います。

(2022.1.3)

#フィルター

大判カメラ撮影に必要な小道具、あると便利な小道具たち(2)

 前回は大判カメラでの撮影の際に必要となる小道具について触れましたが、今回は、必ずしもなくても良いがあると便利、といった小道具たちを紹介したいと思います。
 こういった小道具は何を撮影するかによってその内容も変わってきますので、主な被写体が自然風景や野草という私の撮影スタイルにおいて、普段から持ち歩いている小道具のご紹介ということでご理解ください。

タイマー

 主に長時間露光する際の時間の計測に使います。
 大判カメラ用のレンズに内蔵されているシャッターは、1秒以上の設定はできないものが圧倒的に多いです。それ以上の長い露光をする場合はB(バルブ)、またはT(タイム)ポジションにして、シャッターを開けている時間を計測しなければなりません。もちろん、秒針のある腕時計でも計測は可能ですが、数分以上の露光をする場合、秒針が何回転したかわからなくなってしまうことがあります。

 そこで、タイマーを携行し、これで計測するようにしています。私が愛用しているタイマーはタニタ製のキッチンタイマーです。

▲キッチンタイマー

 非常に小型で軽いので、シャツの胸ポケットなどに入れておいても邪魔になりません。
 このタイマーはカウントアップとカウントダウンの2つのモードがあり、カウントアップにしておくと0秒からカウントをはじめ、経過時間がわかります。一方、カウントダウンにしておくと、あらかじめ設定した時間からカウントが始まり、残り時間がわかります。
 いずれも途中での一時停止もできますし、タイムアップした際のアラームやバイブの設定もできます。
 操作部には開け閉めできるカバーがあり、計測中に不用意に触っても問題がないようになっています。

 100円ショップに売っているタイマーでも全く問題ありませんが、このタニタ製タイマーのわかり易い操作性と可愛らしいデザインが気にいっています。

メジャー

 マクロ撮影を行なう際、カメラの蛇腹の繰出し量を測ったり、被写体までの距離を測るのに使用します。
 カメラから被写体までの距離が、概ね、使用するレンズの焦点距離の10倍以下(150mmレンズならおよそ1.5m以下)の場合、露出補正が必要になりますので、蛇腹の繰出し量を実測して露出補正量を計算するのが目的です。

 マクロ撮影における露出補正の詳細については以下のページをご覧ください。

  「大判カメラによるマクロ撮影(1) 露出補正値を求める

 ほとんどの場合、メジャーは1mほどの長さが計測できれば用が足りるので、1cm間隔で目盛りを振った紐でも問題なく使えますが、100円ショップで購入できるお手軽さからメジャーを使用しています。

▲メジャー

 その都度、蛇腹の繰出し量を実測するのは面倒だと思い、使用するレンズに合わせて繰出し量が一目でわかるスケールを自作したこともありましたが、レンズに合わせて何本も用意しなければならず、しかも、何本もある中から使用するレンズ用のスケールを探し出すのも面倒で、結局、メジャーの方が便利だという結論に至りました。

 私が使用しているメジャーは100円ショップで購入したものです。100円なのであまり文句も言えませんが、使用されている材質が薄いので50cmほど引き出すとすぐに腰が折れてしまいます。蛇腹の繰出し量を測るだけであれば特に支障ありませんが、被写体までの距離を測るときはもっと長く引き出すのでちょっと使いにくいです。マクロ撮影を頻繁にされる方は、ホームセンターなどでもっとしっかりしたものを購入された方がよろしいかと思います。

ソーラー電卓

 メジャーのところで触れた、露出補正量の計算に使います。
 複雑な計算をするわけではないので暗算でもできますが、小数点が出てきたり面倒くさいので電卓を使ってお手軽に済ませています。
 シャツの胸ポケットや上着のポケットに入れてもかさばらないように、カード型の電卓を使っています。

▲ソーラー電卓

 カード型電卓のため厚さが約2mmと薄いので、カメラの裏蓋に両面テープで貼り付けておいたことがありますが、裏蓋を閉めた状態でないと非常に操作しにくいので、結局取り外してしまいました。

 スマホを持ち歩いていればそこに入っている電卓機能で事足りますが、出し入れの煩わしさが軽減されるので、あえて電卓を使っています。

 なお、当然ですがソーラー電卓なので光がないと全く機能しません。夜間の撮影などで使用する場合は懐中電灯などで照らす必要がありますが、私はそれほど多用するわけではないので特に不便には感じていません。

ダークバッグ

 フィルムホルダーにフィルムを入れたり、撮影済みのフィルムを取り出したりするときに使う、外光を遮断する黒い袋のようなものです。割烹着のような恰好をしています。

▲ダークバッグ

 フィルムホルダーへのフィルムの装填は自宅の暗室で行ないますが、長期間の撮影行の場合など、出先でフィルムの装填が必要になったときなどに使います。大量のフィルムホルダーを持っていくのは重いし嵩張るので、装填していないフィルムを持参し、必要に応じて撮影済みのフィルムと入れ替えて使うことがあります。

 ダークバッグの中にフィルムとフィルムホルダーを入れてファスナーを閉じ、袖口のようなところから両手を突っ込んで手探りで作業を行ないます。
 しかし、暗室のように大きな空間があるわけではないので、決して作業性が良いとは言えません。しかも夏場は暑くて手に汗をかいてくるので、フィルムに汗がつかないよう注意しなければならず、できればやりたくない作業です。
 あらかじめ装填したフィルムを使いきったら終了と割り切っておけば、ダークバッグを持っていく必要もありません。

 なお、PENTAX67などの中判カメラに35mmフィルムを入れてパノラマ撮影する場合、フィルム1本を撮り終えた後は真っ暗な中でフィルムを取り出さなければならないので、何本ものフィルムを使う場合は必須のアイテムになります。

ネックライト

 首にかけることができるLEDライトです。
 夜間の撮影の際には何らかの照明が必要ですが、私が使っているのはパナソニックのネックライトという製品です。とても軽くて、首にかけていても全く重さを感じません。

▲ネックライト

 暗い中でカメラにレンズを取付けたり絞りやシャッター速度を設定したり、撮影データを記録したりと、大判カメラでの撮影は手作業が多く、手元を照らす照明が必要です。そんなときに懐中電灯のようなものだと片手がふさがってしまいますが、これは両手がフリーになるのでとても便利です。
 首にかけるとちょうど胸のあたりに光源が来るので作業がしやすいです。
 また、明るさが2段階あり、「強」にすると足元も良く見えるほどの明るさがありますので、歩行の際の照明としても十分使えます。

 懐中電灯のように遠くまで届く指向性の強い光を放つわけではないので、他の人の迷惑になることもあまりないと思います。むしろ、暗い中で自分の存在を周りの人に知らせるという効果もあると思います。

シャワーキャップ

 ホテルのアメニティグッズなどとして置いてあるシャワーキャップです。
 突然、雨がパラついたときとか、滝の撮影で飛沫がかかるとき、あるいは濃い霧の中での撮影時など、カメラやレンズが濡れるのを防ぐために使います。

▲シャワーキャップ

 私は滝を撮影することが多いのですが、豪快な落差のある滝や風が強いときなど、飛沫が舞ってきてカメラが濡れてしまうことがあります。大判カメラは撮影までに手間がかかるので、その間、かなりの飛沫を浴びてしまいます。
 また、濃い霧の中にいると、気がついたら髪の毛にびっしりと細かな水滴がついていたなんていうこともあり、同様にカメラも濡れてしまいます。
 そんな時、シャワーキャップをすっぽりとカメラとレンズに被せれば濡れるのを防ぐことができます(本降りの雨の時はだめです)。

 ピント合わせをする際や実際にシャッターを切るときは、レンズのところにあたる部分に穴を開けます。そのため、何度も繰り返して使用というわけにはいかず使い捨てになってしまいますが、カメラバッグに2~3個入れておくと重宝します。

 雨天時の撮影用として、カメラにかけるレインコートのような製品も販売されていますが、それを使うほどではないときや咄嗟のとき用に、かさばらないので便利です。

 なお、帽子やタオルがないとき、急な雨に降られたら頭に被れば髪の毛が濡れるのを防げますが、変な奴に見られそうなので注意が必要です。

ブロア

 レンズに着いたホコリを吹き飛ばすときに使います。
 屋外で撮影をしていると気がつかないうちにレンズやカメラにホコリがついてしまいます。車のフロントガラスにホコリがつくと視界が悪くなるのと同じで、レンズに着くと画質にも影響があると思いますので、撮影の前にブロアでシュッシュとします。

▲ブロア

 大きなブロアの方が強力な風が出るのですが、意外とカメラバッグの中で場所をとるので、ポケットにも入るくらいの小型のものを持ち歩いています。
 埃っぽいところで撮影をしているとカメラにも結構ホコリが着きます。特に蛇腹の谷のところにうっすらと白くホコリが着くととても気になるので、ときどき吹き飛ばします。

 ブロアの先端にブラシが着いたタイプもありますが、ブラシによって余計にレンズが汚れてしまうことがあるので、私はブラシがついていないタイプを使っています。
 また、素材によっては経年劣化することでブロアの内側が剥離したりして、それがゴミとなってブロアから飛び出すことがあるので、あまり古いものは使わない方が無難かと思います。

プアマンズフレーム

 フレーミングや構図決めの際に、おおよそのアタリをつけるために使用します。
 4×5判用と67判用、612パノラマ用の3種類を自作して、カメラバッグに入れています。

▲プアマンズフレーム  左:4×5判用 右上:67判用 右下:612判用

 厚紙にフィルムと同じ大きさの窓をくり抜き、目盛り(1cm間隔)を振った紐をつけただけの簡単なものです。くり抜いた窓を通して写したい範囲を決め、目盛りをつけた紐がピンと張るように目の下あたりにあてます。その時の目盛りの値が使用するレンズの焦点距離にほぼ等しくなります。

 詳細は下記のページで紹介していますので、ご興味があればご覧ください。

  「構図決めに便利なプアマンズフレームの作成

 目の前に広がる風景を見た時に、どれくらいの焦点距離のレンズを使えば良いかは感覚的にわかります。しかし、使用するフィルムのアスペクト比は決まっているので、例えば、写したい上下の範囲を決めると左右に余計なものが入ってしまう、というようなことはよくありますが、そのようなときにこれがあると便利です。

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 あれば便利なものというのは限りがなくて、あれもこれもと言っていると荷物がどんどん増えてしまいます。私もアクセサリー用のバッグの中には様々なものが入っていますが、その中から撮影に持ち出すのは最低限のものにしています。中には一度も使われたことがないものもあります。私のアクセサリー用バッグの中も、そろそろ整理しなければならない時期に来ています。

(2021.11.11)

#小道具

大判カメラ撮影に必要な小道具、あると便利な小道具たち(1)

 大判カメラは極めてシンプルであるがゆえに、撮影の際にはいろいろな小道具(アクセサリ)が必要になります。カメラ本体とレンズとフィルムがあれば撮ることはできますが、その他、ないと非常に不便なものやあると便利なものなど、多岐に渡ります。
 今回はそんな小道具たちをご紹介したいと思います。中には大判カメラでの撮影に限らないものもありますが、私が撮影行の際に持ち歩いているものです。

ピント確認用ルーペ

 ピント合わせには必需品です。肉眼でフォーカシングスクリーンを見ながらある程度のピントは合わせられますが、合わせたいところにピッタリとあっていることを確認するためにはルーペが必要です。

 市販されているルーペは、携行に便利な小型のものから少し大きめなものまでいろいろありますが、小型のルーペは見える範囲が狭いのと、顔をフォーカシングスクリーンに着くくらい近づけないとならないのであまり使い易くありません。

 ある程度の広範囲が視野に入る方が使い易いので、私は自作のルーペを使っています。
 49mm径のクローズアップレンズを2枚使い、約6倍の倍率にしています。また、フォーカシングスクリーンに顔を近づけ過ぎなくても良いように、全長が90mmほどあります。ちょっと大きすぎる気もしますが、使い易さを優先しています。

▲ピント確認用ルーペ(自作)

 また、ルーペの径が小さいと、短焦点(広角系)レンズでの撮影の際、フォーカシングスクリーンの周辺部は斜めに光が入ってくるので、ルーペをスクリーンに垂直にあてても暗くて良く見えません。光の入射角と同じくらいにルーペを傾ければ明るくなりますが、そうするとルーペがスクリーンから浮いてしまい、ピントが合いません。
 これは、ある程度の口径の大きなルーペを使って、斜めから覗き込むことで回避することができます。

 こうした条件を満たすものは市販品にもありますが、かなり高額になってしまうので自作したというわけです。
 なお、クローズアップレンズを同じ向きに重ねるとディストーションが目立ちます。一枚を裏返して(向きを反対)重ねることでディストーションも随分改善されます。

冠布(カブリ)

 構図決めやピント合わせの際に外光が入るのを防ぐ目的で使用します。大きめの風呂敷のようなもので、120cmx120cmくらいの大きさのものが多いようです。片面が黒、もう片面が赤、もしくはグレーになっており、黒い面を内側にしてカメラと頭に被せて使います。私が使用しているのは片面グレーのタイプです。

▲冠布(カブリ)

 大判カメラのフォーカシングスクリーンに光が当たると像がとても見難くなります。特に太陽が後方にあるような場合、フォーカシングスクリーンにもろに光が入り込み、像がまったく見えなくなってしまいます。
 フィールドタイプの大判カメラにはスクリーンフードがついているものが多いですが、光のあたる方向によってはほとんど機能しません。
 外光をほとんど遮断できる袋状のフードを自作したりもしましたが、取り付けや取り外しに思いのほか手間がかかるので、あまり出番がありません。きわめて原始的ではありますが、自由度の高さで冠布の右に出るものはないと思います。

 冠布の使い方は人それぞれでしょうが、私はマントのように肩にかけておき、構図決めの時に頭の上に持ち上げ、カメラもろとも被ってしまうというやり方です。そして、構図決めやピント合わせが終わったら再び肩にかけておきます。

 一辺が120cmというのはずいぶん大きいと思われるかも知れませんが、下側(足元)からの光が邪魔に感じるときがあり、これを防ぐためにカメラの下側まで包んでしまうことがあるので、やはり最低でもこれくらいの大きさが必要になります。

 冠布の唯一の欠点は夏場の暑さです。長時間被っていると蒸し風呂にでも入っているようになってしまいます。

 因みに片面が赤やグレーになっているのは、森や林の中などでクマと間違えられないようにとの説がありますが、本当のところはよく知りません。ただし、片面がグレーになっていると太陽光が反射するので、夏場の暑さ対策には効果があるものと思われます。

単体露出計

 大判カメラには露出計が内蔵されていないので、単体露出計が必要になります。
 目測でも露出値はほぼわかりますが、露出に対する許容範囲が狭いリバーサルフィルムを使うことが多いので、正確な露出値が求められます。また、コントラストが高い被写体やピンポイントで表現したい部分がある被写体の場合などは、単体露出計で正確に測って露出を決めます。

 私が撮る被写体は風景が多いので、使う露出計も反射光式のスポット露出計がほとんどですが、花などを撮るときには入射光式の露出計を使うこともあるので両方持ち歩いています。

▲単体露出計 左:入射光式露出計  右:反射光式露出計

 入射光式の露出計は手のひらにすっぽりと納まるくらいの小型のものを使っていますが、反射光式の露出計は結構大きいです。昔は反射光式のスポット露出計もいろいろなメーカーが出していましたが、今はほとんど選択肢がなくなってしまいました。私が使っているペンタックスのデジタルスポットメーターも生産終了品となっており、新品を手に入れることはできません。

水準器

 カメラの水平を測るためのもので、いろいろなタイプの製品が販売されていますが、私が使っているのはオーソドックスな円筒形のタイプです。
 三脚や雲台に付いている製品もありますが、そういったものはかなり小型の水準器なので、正確に水平を測りたいときにはちょっと心もとない感じです。工事現場で使うような大きなものは必要ありませんが、長さが6~7cmくらいのものが使い易いと思います。
 価格は安価なものを探せばいくらでもありますが、安いのは精度が心配です。

▲水準器

 円筒形の水準器は、2本の線の間に気泡が収まれば水平が保たれているということですが、大量生産品なので一点ずつ検査しているとも思えません。
 私の使っている水準器も高価なものではありませんが、自分なりにキャリブレーションをして使っています。

 カメラを水平線に向けて構え、フォーカシングスクリーンの横罫線と水平線が重なるようにした状態(この時、カメラは水平を保っていることになります)にして水準器をカメラに取付けます。この状態で、水準器の気泡が2本の線の間に入っていれば問題ありませんが、左右どちらかにずれているようであれば、気泡の位置に合わせて新たに線を書き込みます。この線がこの水準器の基準線になります。
 なお、水準器を取付ける場所によって微妙に傾斜が異なる可能性がありますので、正確に測りたい場合は同じ場所に取付ける必要があります。

ケーブルレリーズ

 レンズのシャッターレバーのところにねじ込んで使います。長さは30cmから1mくらいまで何種類かありますが、最近はケーブルレリーズを使うカメラが非常に少なくなってきたので、レリーズの種類もずいぶん減ってしまいました。

 個人的には長さ60cmあたりがいちばん使い易いと思うのですが、残念ながらこの長さのものはとんと見かけなくなりました。1mのレリーズを使うことは多くありませんが、長焦点レンズで撮影する時はカメラの蛇腹がかなり繰出されるので、長いレリーズが必要になります。

▲ケーブルレリーズ 左:100cm  右:50cm

 ケーブルレリーズがなくてもシャッターのレバーを指でチョンと押せばシャッターは切れますが、指で押したことによるカメラブレを防ぐためにもレリーズは必要ですし、何よりもシャッターのレバーを直接押すのはとても操作しにくいです。
 また、長時間露光する場合などもレリーズがないと、これまたやりにくいです。

 ケーブルレリーズにはストッパー付きのものとついていないものがあります。ストッパー付きのものはストッパーを有効にして押し込むと、ストッパーが解除されるまで押された状態を保っています。バルブ撮影の時などには便利かもしれませんが、私はストッパー自体をほとんど使ったことがありません。数秒程度であればレリーズを押しっぱなしにしていますし、数分というような長い時間の露光の時はレンズのT(タイム)ポジションを使うので、ストッパーがなくても問題ありません。

 ほとんど壊れることもありませんが、撮影に行った際に落としてなくしてしまうこともあるので、常に2~3本を持ち歩いています。

ハレ切り

 大判カメラはアオリを使うことがあるので、35mm判のレンズに着けるような円筒形のレンズフードは使わずに、余計な光をカットしたい時はハレ切りを使います。レンズの先端に着けてあおった場合、レンズフードによってケラレてしまうことがあり、それを防ぐのが理由です。

 15cm四方程度の黒いボードをフレキシブルアームに挟んで使うという、いたってシンプルなものです。フレキシブルアームの一方をカメラのアクセサリーシューなどに挟んで、レンズに光があたらないように黒いボードの向きを調整するだけです。
 レンズの先端に取付けるわけではないので、レンズの径に影響されることもなく、1セット用意しておけば大概のレンズに対応できます。

▲ハレ切り

 黒いボードの代わりに白やシルバーのボードを使えばレフ版としても使えます。大きなボードを取り付けることはできませんが、花を撮影するくらいであれば十分に機能してくれます。

撮影データ記録用のメモ帳

 デジタルカメラは撮影データ(EXIF)を自動で記録してくれますが、大判カメラにはそんな便利な機能はないので、一枚ごとに撮影データを手書きで記録していきます。
 私が記録しているデータは、使用したカメラ、レンズ、シャッター速度、絞り、使用したフィルター、フィルム、撮影日時、撮影場所、天気などです。

 使用するメモ帳は自分の使い易いものを選べば良いですが、私は100円ショップで購入した縦開きのメモ帳を使っています。縦開きのタイプを使う理由は、使用したところまでを見つけるのがやり易いからです。

▲撮影データ記録用のメモ帳

 あらかじめ、撮影当日に持ち出すフィルムホルダーの番号をメモ帳に書き込んでおき、撮影後、該当する番号のところに撮影データを書き込んでいます。
 一枚ごとに撮影データを記録することで、自分自身の露出値に対する感覚が正確になっていきます。もちろん、正確さを期すために露出計で測光しますが、測光前にある程度の精度で露出値がわかればシャッター速度や絞りをどれくらいにすればよいかがわかるので、どのような作風に仕上げるかをイメージしやすくなります。

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 今回は大判カメラを使った撮影の際、最低限必要と感じている小道具たちについて紹介しました。これらの他に、あれば便利という小道具をいろいろと持ち歩いていますので、それらについては次回にご紹介したいと思います。
 なお、フィルターも小道具と言えますが種類も多いので、フィルターについては別の機会に回したいと思います。

(2021.11.8)

#撮影小道具

構図決めに便利なプアマンズフレームの作成

 世の中にはフレーミングを決める際に便利なズームファインダーなるものがあります。大判カメラ用のズームファインダーは、大体65~400mmくらいのレンズの画角をカバーしますので、通常の撮影領域ではこのファインダーひとつで事足りてしまいますが、非常に高価な代物です。
 そこで、ほとんどコストをかけずに同等の機能をもつ「プアマンズフレーム」をつくってみました。

 まず、厚紙などで使用するフィルムと同じ大きさの枠をつくります。例えば、4×5判のフィルム用の場合は、150×130mmくらいの大きさの厚紙の中央に120×96mmの窓をくり抜きます(120×96mmが4×5判フィルムの有効サイズです)。
 次に、この厚紙の下の端に紐を取り付けます。そしてその紐に目盛りを振れば完成です。目盛りは取り付けたところを起点(0cm)として、使用するレンズの焦点距離を少し上回るくらいまで振ります(例えば、400mmまでのレンズを使うのであれば、45cmくらいまで)。

 こうしてできたのが下の写真です。

4×5判用プアマンズフレーム(目盛りは5cmの位置から1cm刻みで50cmまで)

 これの使い方はいたって簡単で、窓枠をくり抜いたボードを片手で持ち、もう片方の手で紐を持ちます。そして、片方の目でこの窓枠を覗き、写したい範囲が窓枠内に納まるようにボードを前後に動かします。フレーミングが決まったらボードを動かさないようにして、もう片方の手で持った紐をピンと張った状態で目の下にあてます。
 そのとき、目の下にあたった紐の目盛りを読み取れば、使用するレンズの焦点距離がわかるという優れものです。例えば、目盛りが15cmだったとすると、焦点距離150mmのレンズを使えばよいということがわかります。
 もちろん、ミリ単位の精度は望むべくもありませんが、レンズを決めるには全く問題ありません。

 また、使うレンズの焦点距離があらかじめ決めっている場合は、焦点距離に等しい目盛りの部分を目のところに当て、紐をピンと張った状態で窓枠を覗くと、その焦点距離のフレーミングになります。

 窓枠の縦横中央に糸などで十字線を張れば、フレーミングの際の目安になって便利かもしれませんが、余計なものがない方が使い易いだろうと思い、私は何もつけていません。
 また、ボードそのものを透明なアクリル板などにすれば窓をくり抜く必要はなく、逆に周囲をマスクすれば済むのでこの方が簡単に作れると思いますが、かなり透明度が高いものを使わないと像がくっきりとしないので、使いにくくなってしまうかもしれません。1円でも安くしたいというのであれば、やはり厚紙をくり抜く方法がお勧めです。

 このプアマンズフレームを覗いた時の目の位置は、使用するレンズの前側焦点の位置になります。したがって、そのフレーミングで撮影する際のレンズの中心は、目の位置から焦点距離分後方に置くことになります。このレンズの位置をあまり大きく変えてしまうと、無限遠の被写体の場合はさほど気にすることもありませんが、近接撮影の場合はフレーミングにずれが生じてきますので注意が必要です。
 とはいえ、もともとがかなり大雑把なものなので、レンズを選択する際の目安として使う程度であり、これにあまり高い精度を求めない方がよろしいかと思います。

 今回は4×5判を例にとりましたが、67判のフィルム用であればくり抜く窓枠の大きさは69×56mm、35mm判フィルム用であれば36×24mmの大きさになりますので、使用するフィルムに合わせて用意しておけば便利です。

(2021.2.23)

#フレーミング #構図 #撮影小道具

ケーブルレリーズの長さが中途半端

 最近の一眼レフカメラは電子レリーズ(リモートコントローラ)が標準対応ですが、私が使っている中判カメラや大判カメラは電子レリーズが使えないので、昔ながらのケーブルレリーズを使っています。簡単に壊れるものではありませんが、長年使っていると動きが渋くなってきたりしますし、撮影に行った際にどこかに落としてきてしまったなんてこともあるので、カメラバッグの中には常に3本くらいが入っています。

 このケーブルレリーズ、なかなかしっくりくる長さのものがなく、私にとって結構なストレスになっています。というのも、シャッターのところにレリーズの先端をねじ込み、手元まで持ってきたときに、押し込むノブが雲台の下あたりにくるのが最も使い易いのですが、これが短すぎたり長すぎたりすると、レリーズの位置を目で確認しなければならないからです。
 昔は種類も豊富で、いろいろな長さのものがあったのですが、いま市販されている製品のほとんどは30cm、50cm、1mの3種類くらいではないでしょうか?

ケーブルレリーズ

 私は主に中判カメラや大判カメラを使っているので、35mm判カメラで使うよりも長めのレリーズが必要になります。手元にあるレリーズは全部で9本ありますが、そのうち50cmが6本、1mが2本、そして60cmが1本です。
 50cmがいちばん多いのですが、これは購入の選択肢がないから仕方なく使っているというのが正直なところです。私にとって50cmのレリーズでは短すぎて、特に大判カメラで長い玉を使うときはレンズが前に繰り出されるので、その不便さを一層感じてしまいます。
 かといって、1mのレリーズは長すぎて、だらしなく垂れ下がってしまい、これまた不便なのです。
 私にとって最適な長さは60cm前後なのですが、今はこの長さのものが手に入りません。私の知る限り、70cmのレリーズが販売されていますが、ちょっと長すぎるかなという感じです。実際に使ったことがないので、一度、使ってみようと思っていますが...

 数年前にネットオークションで60cmのレリーズ(もちろん中古)をやっと見つけました。今時、ケーブルレリーズを買う人などいないらしく、私以外の入札者はおらず、簡単にゲットできました。
 この60cmというのは私にとって非常にしっくりとくる長さで、大判カメラで撮影するときはこれを使っています。
 しかし、虎の子のような1本なので、壊れたり落してなくしたりしたら大変です。予備でもう2~3本欲しいところですが、以来、ネットオークションでもお目にかかったことがありません。

 1mのレリーズを40cmほどカットして短くしてみようと試みたこともありましたが、ケーブルレリーズというのは分解してまた組み立てができるような構造ではなく、分解=オシャカということがわかり、結局諦めました。分解して、また組立てる方法をご存じの方がいらっしゃれば、ぜひ教えていただきたいと思います。

 今でも販売されているかどうかわかりませんが、かつて、リモートレリーズというのがありました。これは、レンズなどを掃除するときに使うブロアのようなものの先に細いチューブが取り付けられており、ブロアをギュッと握ると空気の力でレリーズが押し出されるという仕組みでした。
 このチューブを60cmくらいにしてみようかとも思いましたが、それこそブロアがだらしなく垂れ下がってしまい、写欲も薄れてしまいそうなので実現していません。

 改造が無理なら自作できないかとも考えていますが、なかなか良いアイディアが浮かんできません。もしかしたら、ネットオークションや中古カメラ屋さんで遭遇することがあるかもしれないという淡い期待を抱き続ける日が続きそうです。

(2021.2.20)

#撮影小道具 #レリーズ

大判カメラ用の袋型ピントグラスフード

 大判カメラでのピント合わせは、カメラ後部についているピントグラス(フォーカシングスクリーン)で行ないます。この時、ピントグラスを暗くしないと像が見にくいので、多くの場合、冠布(カンプ)を頭からすっぽりとかぶり、周囲からの光を遮断して行ないます。光を通さないように2枚の布を張り合わせた大き目な風呂敷のようなもので、単純がゆえに自由度が高くて便利ではありますが、特に夏場は暑くて大変です。
 カメラにもちょっとしたフードがついていますが、小さいので遮光効果は十分とは言えず、特に順光での撮影時には後方からもろに光が入り込んできますので、ほとんど役に立ちません。

 そこで、ピントグラス全体を覆うことのできる袋型のフードを作ってみました。

袋型ピントグラスフード(リンホフマスターテヒニカに取付け)

 光を通さない黒い布(今回はナップサックに使われるようなナイロン素材を使用)を、カメラがちょうど入るくらいの筒状(直径28cmくらい)にします。一方の端はゴムひもが通るように加工し、ここにゴムひもを通して少し絞っておきます。これをぎゅっと広げて、カメラに被せることになります。

袋型フード(カメラ取付側)

 もう一方の端は、55mm径のレンズ用の金属製フード(長さが20mmほど)を用意し、この外周に巻き付けます。こうすると全体がボールのような袋状になります。

袋型フードのルーペ取付け側(レンズフード使用)

 次に、このレンズフードにはめ込むルーペを作ります。私は55mm径のNo.3クローズアップレンズを使用しましたが、No.5とかを使えばルーペの倍率を高くすることができます。そして、クローズアップレンズの前側にステップアップリングをはめ込みます(私は55-67のステップアップリングを使用しました)。
 これを先ほどのレンズフードにはめ込めばルーペになるのですが、このままだと若干緩くてするっと抜けてしまいます。そのため、クローズアップレンズの外周にパーマセルテープを巻き、ちょうど入るくらいの太さにします。

フードにはめるルーペ(クローズアップレンズ+ステップアップリング)

 こうしてできたフードはこんな感じになります。

袋型フード

 これを大判カメラに取付ければ、ピントグラスに当たる光をほぼ遮断することができます。
 ルーペ(クローズアップレンズ)を外した状態だとピントグラス全体を見ることができるので構図の確認がし易く、また、ルーペをはめるとピントの確認がし易くなります。

 ただし、正確なピント合わせはこのフードを外して、倍率の高いルーペで行なう必要があると思います。

 なお、今回作成した袋型フードの長さは約20cmですが、私の場合、若干老眼が来ているために、これ以上短くするとぼやけてしまいます。ですので、このフードの長さは目の状態に合わせて、いちばん使い易い長さにするのが良いと思います。

 実際に使用した感想ですが、遮光に関しては合格点だと思います。冠布を使っても下側からの光が入りやすいのですが、このフードは全方位遮光してくれます。それと、広角レンズや超広角レンズを使った撮影の際、ピントグラス周辺ではとても像が見にくいのですが、この袋状フードだと斜めからピントグラスを覗き込むことができるので、像が見やすくなります。また、非常に軽いですし、折りたためば小さくなるので持ち運びにも便利です。
 一方、正確なピント合わせはこのフードを外して行なわなければなりません。その点、冠布は構図確認から正確なピント合わせまですべてこれをかぶった状態で出来ますので、やはり冠布に勝るものはないといったところでしょう。

 しかし、撮影状況によっては冠布を使っても漏れてくる光で像が見にくく、それが結構なストレスになったりもしますので、それを回避してくれるという点ではこのフードを使う価値があるように思います。着けたり外したりが面倒かも知れませんが、あると便利かもしれません。

 余談ですが、冠布は片面が黒、もう片面が赤とか銀色をしています。銀色の理由は日差しを反射して少しでも暑さを防ぐためらしいですが、赤い理由は、森の中でクマなどと間違えられて猟銃で撃たれないようにということのようです。私が使っている冠布は片面が銀色のタイプですが、銃で撃たれるのは怖いので赤いタイプに変えようかなと思ってます。

(2021.1.2)

#撮影小道具 #フレーミング #フード

エプソン EPSON GT-X970 フラットベッドスキャナ

 もっぱらフィルムでの撮影をしている私にとって、スキャナはなくてはならない存在です。現像からあがってきたフィルムをパソコンに取りむためには、スキャナを使わざるを得ません。

GT-X970

 私が使っているスキャナはEPSON GT-X970というフラットベッド型のスキャナで、もう10年以上使っています。筐体は結構でかいです。フィルム専用のスキャナというわけではありませんが、私はフィルムスキャン以外にはほとんど使ったことがありません。フィルム専用のほうが性能的にも優れているとは思いますが、私が使っているフィルムはブローニーやシートフィルムが主体であるため、それ用のフィルム専用スキャナなどは高額すぎて手が出せません。

EPSON GT-X970

ブローニー用フィルムホルダー

 GT-X970はすでに製造が終了し、現在は後継機のGT-X980になっています。光源がLEDになったりアンチニュートンリングガラスを採用したり、随所でバージョンアップされているようですが、一度にスキャンできるフィルムの枚数が減ってしまっているのが残念な点です。GT-X970はフィルムサイズに応じて専用のフィルムホルダーが用意されており、1回のスキャンで66判で6コマ、67判~69判だと4コマ、4×5だと2コマまで可能です。私は35mmフィルムはあまり使いませんが、35mmのスリーブだと1回で24コマのスキャンができるので、大量に取り込む方にとってはありがたいと思います。

EPSON GT-X970 ブローニーフィルムホルダー

フィルムスキャンを依頼した場合の費用

 撮影したフィルムのすべてをスキャンしてデジタル化しているわけではありません。額装するために大きくプリントするものや、経年劣化させたくないものなどをデジタル化して保存しています。専門の業者さんにお願いした方が機器も技術も格段に優れているのでしょうが、いかんせんコストがかかりすぎます。例えば、富士フィルムが提供しているスキャンサービスだと、ブローニーを1,000万画素でお願いした場合、1コマ550円もかかってしまいます。ブローニー(67判)を1,000万画素ということは1,280dpiほどであり、大伸ばしする際には解像度が低すぎます。
 67判のポジから半切(356mmx432mm)サイズにプリントする場合、印刷時の解像度を600ppiにしようとすると約8,700万画素必要であり、これはフィルムを約4,000dpiでスキャンしなければならないということです。プリントには半分の300ppiでも印刷品質の違いは多分わからないのではないかと思いますが、仮に300ppiで印刷するにしても、約2,000dpiでのスキャンが必要になります。

GT-X970のスキャン時間

 というような事情で、とにかく手間がかかるのですが自分でスキャンしているわけです。保存用には6,400dpiでスキャンし、TIFF形式でファイリングしています。そんな解像度は必要ないと思われるかもしれませんが、いろいろ加工したり、また将来どのような使い方をするかわからないからということと、何といっても6,400dpiでスキャンしたポジは細部に至るまで見事に再現されているということが理由です。
 しかし、67判1コマを6,400dpiでスキャンすると、その画素数は約2億5,000万画素になり、これをTIFF形式にするとファイルサイズは1.4GBを越えてしまいます。3,200dpiと6,400dpiの比較をしてみると以下の通りです。
            <3,200dpi>   <6,400dpi>
  スキャン時間     3分10秒    5分40秒    ※DIGITAL ICE はオフ
  画素数        6,200万    2億4,700万
  ファイルサイズ(TIFF) 350MB     1.48GB

 他のフラットベッド型スキャナでフィルムスキャンを行なったことがないので比較して論ずることはできませんが、私ような使い方をしている限りにおいて、このGT-X970は十分な性能があると思います。ただし、スキャンの解像度を上げた場合、ピントのズレが目立ってきます。これに関してはたくさんの方が投稿されております。機器により個体差があるようですが、スキャナのガラス面からフィルム面までの距離によってピントの合い方が異なるということは共通しているようです。

フィルムホルダーの嵩上げで画像がシャープに

 私も自分のスキャナで試してみましたが、ブローニー用のフィルムホルダーの場合、1.2mm嵩上げした時に最もシャープな画像が得られました。一方、4×5用のフィルムホルダーの場合は全く嵩上げしない状態で最もシャープになりました。3mmくらい嵩上げした時が最もシャープになるというような記事もありますので、かなり個体差があるのかもしれません。
 ちなみに、フィルムホルダーのスペーサーの向きを変えることで若干の嵩上げはできるのですが、スペーサーだけで1.2mmは上げられないため、私は1.2mmの板を張り付けて嵩上げしています。

EPSON GT-X970 ブローニーフィルムホルダー 1.2mm 嵩上げ

 このスキャナはお手軽にスキャンができる全自動モードやホームモードと、細かな設定ができるプロフェッショナルモードがありますが、フィルムのスキャンにはプロフェッショナルモードを使います。カラーバランスやカラーパレット、ヒストグラムの調整などができます。標準の設定から大きく変更することはあまりありませんが、フィルムをスキャンする時点では可能な限り、ポジ原版に忠実な状態にしたいと思っていますので、若干の調整を行なうことはあります。私のスキャナはマゼンタ系が強くでる傾向がありますので、カラーバランスを調整することが比較的多いです。できるだけポジをライトボックスで見たときに近い状態でスキャンしたいという理由です。

フィルムスキャナの将来は?

 フィルムスキャンに限らず、今の時代、スキャナの需要はかなり低いと思われます。私のようなフィルムに拘っている輩からすると、フィルムスキャナがなくなってしまうと、モノクロは自分でプリントできますが、ポジのプリントやデジタル化はお店にもっていかざるを得なくなります。ポジやネガをデジカメでデュープする方法もありますが、やはり画質が落ちてしまいますし、スキャナ並みの画質を得ようとするとかなりの手間がかかってしまうので積極的になれません。
 そんなマイノリティーにとって、今でもフィルムスキャナが製造販売されているということは言葉では言い表せないくらいありがたいことです。メーカーさんにとって、マイノリティーのためにスキャナを製造販売したところで、採算は取れていないのではないかと思いますが、継続していただけることを願うばかりです。

(2020.8.7)

#スキャナ #エプソン #EPSON

ホースマン Horseman パノラマフィルムホルダー

 ときどき、無性にパノラマ写真を撮りたくなることがあります。今はスマホやデジカメで複数枚の写真を合成して簡単にパノラマ写真を作ることができますが、私の場合、フィルム上にパノラマ写真を残したいという欲望です。世の中には昔からいろいろなパノラマカメラが存在していますが、それらはどれも高価で簡単に手を出せるものではありません。

パノラマ写真の火付け役

 1990年代、コンパクトカメラに「パノラマモード」なるものが装備され、パノラマ写真がブームになったことがありました。最初にどのメーカーが始めたのかはわかりませんが、35mmフィルムの上下をそれぞれ5mmほどマスクすることで、14mm×36mmほどのパノラマ写真(アスペクト比は1:2.5)にするというものでした。しかし、もともと決して大きくはない35mmフィルム1コマの約4割を使わないわけですから、プリントすると画像の粗さが目立ってしまいます。ですが当時としては横長の写真が目新しく感じたせいか、各メーカーからがパノラマ用の額縁やアルバムがたくさん発売されていました。
 残念ながら私は実際に使ったことがないので、ネガや写真がありません。

フルパノラマカメラ 富士フイルム TX-1

 1998年に富士フィルムから「TX-1」というカメラが発売されました。35mmフィルム用のレンジファインダーカメラですが、通常の写真のほかにフルパノラマの写真が撮れる、しかも1コマごとにノーマルとフルパノラマを自由に切り替えられるという画期的なカメラでした。私はこのカメラがどうしても欲しくなり、2000年だったと思いますが欲望に抗いきれずに買ってしまいました。レンズは30mm、45mm、90mmの3本がラインナップされていましたが、45mmと90mmのレンズも一緒に購入しました。
 下の写真は実際にTX-1の45mmレンズで撮ったポジです。1コマの大きさは24mm×65mmで、アスペクト比は1:2.7です。

「富士見高原 花の里」 Fujifilm TX-1 45mm 1:4

 35mmフィルムとはいえ、通常の1コマの2倍近くの面積があるので見応えもありますし、解像度やコントラストもさすがFujinonという感じです。しかしながら、1コマの対角が70mm近くもあるので、レンズは中判をカバーするほどのイメージサークルを持っているとはいえ、やはり周辺光量の落ち込みが目立ちます。

 1年、2年とTX-1を使っているうちに、レンズのバリエーションに不足を感じるようになりました。かといって30mmレンズは高額すぎて手が出せません。ある日、PENTAX67に35mmフィルムを入れればフルパノラマ写真が撮れるではないかと思い、手元にあったPENTAX67を少しいじってみました(PENTAX67のパノラマ改造については、別途ご紹介したいと思います)。

PENTAX67をパノラマ仕様に改造

 下の写真がPENTAX67改で撮ったフルパノラマのポジです。1コマのサイズが24mm×70mmで、アスペクト比は1:2.9、TX-1よりも5mmほど横長です。そして何よりも手元にある35mmフィッシュアイから500mm望遠まで10本のレンズが使えることと、周辺光量の落ち込みが全くないので、不満は一気に解消しました。

「石舟橋」 PENTAX67 smcPENTAX 55mm 1:4

ホースマン ロールフィルムホルダー

 しかし欲望とは限りがないもので、35mmフィルムでのパノラマでは飽き足らなくなり、中判フィルムでのパノラマ写真が撮りたくなってきました。前にも書いたように市販されているカメラはとても高価で買えないので、大判カメラ用のロールフィルムホルダーを手に入れることにしました。連日オークションサイトで探し、程度が良くて価格も手頃なホースマン製の6×12ロールフィルムホルダーをやっとゲットすることができました。
 このフィルムホルダーはブローニーフィルム(120)1本で6枚の撮影ができます。220フィルム用があるとうれしいので調べてみましたが、そもそも生産されていないようです。
 構図を決め、ピントを合わせた後、大判カメラのバック部(フォーカシングスクリーン)を外し、このフィルムホルダーを装着しなければならないので結構手間です。

Horseman 612 Film Holder
Linhof MasterTechnika45 + Horseman Film Holder

ブローニーフィルムでパノラマ撮影

 下の写真が6×12ホルダーで撮ったパノラマのポジです。1コマのサイズは56mm×118mmです。アスペクト比は1:2.1で、TX-1やPENTAX67改に比べると縦横比は控えめですが、十分見ごたえがあります。

「津軽海峡」 Linhof MasterTechnika45 Fujinon W150mm 1:5.6 Horseman 612 Holder

 世の中には6×17というパノラマ専用のカメラもあります。いつかは6×17に挑戦したいと考えていますが、いつになることやら...

 ところで、パノラマ写真は圧倒的に横位置での撮影が多いのですが、個人的には縦位置のパノラマ写真が好きです(縦長をパノラマというのが適切かどうかわかりませんが)。もちろん横長の画も迫力ありますが、縦長の掛け軸のような画は格別のものがあると感じています。
 下の写真は6×12の縦位置での写真です。横位置のパノラマは比較的絵にしやすいのですが、縦位置のパノラマは結構難しいです。はたして、この風景を超縦長の6×17で撮ることができるだろうかと思います。

「安久津八幡神社」 Linhof MasterTechnika
            Fujinon W125mm 1:5.6
            Horseman 612 Holder

(2020.7.11)

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