大判カメラでの撮影時に気をつけたいこと あれこれ

 大判カメラの構造は非常にシンプルですが、それゆえに撮影するためにはいろいろとやるべきことが多く、結構な手間がかかります。一眼レフカメラのように、ファインダーを覗いて構図を決めてシャッターを切るだけというようなわけにはいきません。
 大判カメラといってもいろいろな種類やタイプが存在しますが、今回は金属製のフィールド(テクニカル)タイプカメラであるリンホフマスターテヒニカやウイスタ45を対象に、撮影に関する操作において気をつけたいことをまとめてみました。
 金属製フィールドタイプでも他の機種であったり、ビューカメラや木製(ウッド)カメラには当てはまらない内容もありますので、予めご承知おきください。

レンズスタンダードを引出す際は可動トラックを奥まで押し込む

 ベッドが折りたためるようになっているフィールドタイプカメラの多くは、可動トラックと本体内レールの間に20~30mmほどの隙間があります。

▲本体内レールと可動トラックのレールとの隙間

 ベッドを畳むときにぶつからないようにこの隙間が必要なわけですが、この隙間がある状態でレンズスタンダード(Uアーム)を引き出すと、可動トラックのレールの端にレンズスタンダードのベースがぶつかり、繰り返すうちにレールが徐々に削れてしまうということになります。
 また、この状態でレンズスタンダードを引き出すとまっすぐ移動せず左右にぶれてしまい、レールとの嵌合精度が狂ってしまうことにもなりかねません。

 これを防ぐため、カメラ本体からレンズスタンダードを引き出す場合、可動トラックを奥まで押し込んで本体内のレールとぴったりと着く状態にしておくのが望ましいです。
 可動トラックを奥まで押し込んだ状態が下の写真です。

▲本体内レールと可動トラックのレールをぴったりとつける

 可動トラックを奥まで押し込まずにレンズスタンダードを引き出すのを見かけることもあります。面倒くさいかも知れませんが、カメラをいつまでも最良の状態で使うためにも、ひと手間かけるのが良いと思います。

レンズ取付け時はレンズボード押さえと本体を手で挟まない

 レンズをレンズスタンダードに取り付ける際、レンズボード押さえを上に持ち上げる必要があります。この時、レンズボード押さえとカメラ本体の後部を手で挟んでレンズボード押さえを持ち上げようとすると、可動トラックに対して垂直に設置されているレンズスタンダードの関係が狂ってしまいます。
 レンズボード押さえのバネの力は結構強くて、実際にこの操作をやってみるとレンズスタンダードがカメラ後方に傾くのがわかると思います。

▲レンズスタンダードと本体を手で挟むと歪みのもとになる

 一度くらいでは問題ないでしょうが、このような方法でレンズを取付ける癖がつくと長年の間には何百回、何千回と行なわれることになるので、カメラにとっては好ましい状態ではありません。

 そうならないために、下の写真のようにレンズボード押さえを指でつまんで上に持ち上げるようにします。

▲レンズボード取付け時はレンズボード押さえだけを持ち上げる

 木製のカメラによくみられるようなスライド式のレンズボード押さえを採用しているカメラではこういった心配はありませんが、バネの力で押さえる方式は操作は簡単ですが注意が必要です。
 中古カメラの購入を検討する際、可動トラック上に引き出したレンズスタンダードにガタがあるようだと、ひょっとしたら長年にわたってレンズスタンダードとカメラ本体を手で挟まれてきたのかも知れません。

ケーブルレリーズを取付けたままブラブラさせない

 一般的にレンズをレンズボードに取付ける場合、レリーズ取付け部が上を向くような位置にすることが多いと思います。
 この位置はケーブルレリーズを取付けるには操作し易いのですが、取り付けた状態でケーブルレリーズをブラブラさせたままにしておくと、重みでレリーズ取付け部に負担がかかります。
 また、ケーブルレリーズもつけ根のところから180度曲がってしまい、ケーブルレリーズにとってもあまりよい状態とは言えません。

▲ケーブルレリーズをブラブラさせておくと、取付け部に負荷がかかる

 レリーズの種類にもよりますが、レリーズ取付け部とかみ合うネジ山がごくわずかという場合があり、強い力がかかると外れてしまったり、最悪の場合、破損してしまう可能性もあります。特に長いケーブルレリーズをつけた場合はかなりの重さになり、強い風で揺れたりすると何倍もの力がかかります。

 ケーブルレリーズはカメラ本体や三脚などに固定しておくことで、こういった問題を防ぐことができます。

フィルムホルダーを差し込む前に各部をロックする

 大判カメラは構図決めの際に動かす箇所がいくつもあります。アオリを使うとその数はさらに増えます。
 あちこち動かしながら構図を決めピントを合わせ、さて撮影という段になり、フィルムホルダーをカメラに差し込もうとフォーカシングスクリーンを持ち上げたとたん、カメラが動いてしまったなんていう可能性もあり得ます。そうなると、せっかく合わせた構図やピントもやり直しです。
 そんなことにならないように各部をしっかりロックしておく必要があります。
 また、大判カメラは重量もありますので、三脚(雲台)の各部もしっかり締めておく必要があります。

▲撮影前に各部をロックする

 ロックを忘れていちばん影響を受けるのはバック部をあおったときです。ロックせずにフォーカシングスクリーンをグイッと持ち上げようとすると、フォーカシングスクリーンが持ち上がらずにバック部が目いっぱい引き出されてしまいます。

 構図決め、ピント合わせが終わったら各部のロックネジを全て締めるように習慣づけておくのが望ましいです。

フィルムホルダーをトントンしてフィルムの移動を防ぐ

 大判カメラで使うシートフィルムホルダーのフィルムが入るスペースは、フィルムのサイズより若干大きめに作られています。このため、フィルムはフィルムホルダー内で前後左右にわずか(1~2mm)に動きます。
  フィルムがホルダー内で上側によっていると 、フィルムホルダーをカメラにセットした時、フィルムの重みで下側に移動してしまうことがあります。運悪く、シャッターが開いているときにこれが起こるとブレブレの写真になってしまいます。長時間露光の時は特に要注意です。

 フィルムホルダーをカメラにセットした時、下側になる位置にフィルムを寄せておくことでこれを防ぐことができます。
 下側になる方を手のひらにトントンとたたくことで、ホルダー内のフィルムが下側に移動します。

▲フィルムがホルダーの下側にくるようにトントンする

 フィルムが動いてしまうということはそう頻繁に起きるものではありませんが、動いたかどうかはわからないので、渾身の一枚が無駄にならないように念には念をといったところでしょうか。

シャッターチャージ後はシャッター速度を変更しない

 大判カメラ用のレンズにはシャッターが組み込まれていますが、シャッターをチャージするとシャッター速度を司るガバナーもセットされます。その状態でシャッター速度を切り替えるとガバナーも動くため、あまり好ましくないと言われています。
 実際に試してみるとわかりますが、シャッターをチャージする前はシャッター速度ダイヤルは軽く回りますが、シャッターをチャージた後にシャッター速度ダイヤルを回すと少し重くなり、「ジッ」というような音が聞こえます。
 実際にどの程度の悪影響があるのかはわかりませんが、チャージ後のシャッター速度の変更は避けたほうが良いようです。

▲シャッターチャージ後はシャッター速度を変更しないのが望ましい

 シャッターをチャージした後にシャッター速度を変えなければならない場合は、いったんシャッターを切り、シャッター速度を変更した後、再度チャージし直すのが良いということでしょう。

カメラをたたむときは各部をニュートラルに戻す

 撮影を終えてカメラをたたむときに気をつけたいのが、各部をニュートラル位置に戻すということです。
 ベッドをたたむためにはレンズスタンダードを本体内に収納しなければならないので、これを忘れることはまずありませんが、忘れがちなのがあおった状態を元に戻すことです。
 例えば、フロントライズやフロントシフトしたままレンズスタンダードを収納しようとすると、蛇腹がカメラの外枠に当たってしまったり、当たらないまでも蛇腹がずれた状態でたたまれてしまいます。
 また、可動トラックを奥に入れた状態でベッドをたたもうとしてもたためませんが、無理に力を加えると破損してまう可能性があります。

 各部がニュートラル位置にない状態でたたもうとすると動きが重くなったりするので、少しでも変な感触があるような場合は無理をしないで確認をしてみる必要があります。

 中古カメラ店で大判カメラを見せてもらうと、明らかに無理をして壊してしまったと思われるものが結構あります。金属製のカメラは剛性が高いので、普通に使っている分には簡単にガタが出ることもないのですが、長年にわたって無理を続けるとあちこちに支障が出てしまいます。

カメラを三脚につけたまま移動するときはベッドをたたむ

 撮影場所を移動する際、三脚に大判カメラをつけたまま担いでいる人を見かけることがあります。一眼レフカメラならいざ知らず、大判カメラを、しかもベッドを開いた状態で担いで歩くというのは無頓着すぎる気がします。
 金属製の大判カメラは剛性が高いとはいえ、ベッドを開くと左右2本のタスキで支えられている構造のものが多く、WISTA45はタスキもなく、大型のネジで締め付ける構造になっています。ここに想定外の大きな力がかかると簡単に破損してしまいます。

 ベッドをたためば動く箇所がなくなるので、三脚につけたまま担いでも大きな損傷を受けることもないと思いますが、何しろカメラ自体が大きいので、木の枝にぶつけたりという心配もあります。できれば三脚から外してバッグに入れて移動するのが望ましいですが、最低でもベッドはたたむようにすべきと思います。

▲カメラを三脚につけたまま移動するときはベッドをたたむ

 また、足場が悪いところを歩く場合、短い距離とはいえ三脚に重いカメラをつけたままだと体のバランスもとりにくく、転倒する危険もありますので注意が必要です。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 大判カメラは撮影自体も何かと手間がかかりますが、その前後にも気をつけなければならないことが多く、面倒くさいと言えば確かにその通りです。しかし、そういう面倒くさいことも含めての大判カメラならではの撮影だと思います。
 また、カメラ自体も決して安くはありませんが、ちょっとしたことに気をつけて大事に使えば一生ものです。とはいえ、形あるもの、いつかは壊れますが、直してまた使えるというのも大判カメラの魅力かも知れません。

(2021.12.21)

#リンホフマスターテヒニカ #Linhof_MasterTechnika

大判カメラのフォーカシングスクリーン すりガラスタイプとフレネルレンズタイプ

 レンジファインダーカメラや最近のミラーレス一眼カメラを除けば、一眼レフカメラや二眼レフカメラ、大判カメラなどにはフォーカシングスクリーン(ピントグラス)が備わっています。レンズから入った光を結像させるとともに、ピント合わせをおこなうという非常に重要なパーツです。
 フォーカシングスクリーンは「すりガラスタイプ」と「フレネルレンズタイプ」の2種類に大別できます。それぞれ特徴がありますが、今回は大判カメラのフォーカシングスクリーンに焦点をあててみたいと思います。

すりガラスタイプ 最もベーシックなフォーカシングスクリーン

 大判カメラのフォーカシングスクリーンはこんな感じです。フィールドタイプのカメラの裏蓋を開けると、そこにフォーカシングスクリーンが見えます。

▲すりガラスタイプのフォーカシングスクリーン(Linhof MasterTechnika 2000)

 すりガラスタイプは昔から使われているもので、ガラスの片面がすりガラス状になっているだけというシンプルなものです。ここにレンズからの光が当たると結像します。
 すりガラスのきめが細かいので非常に鮮明に結像されるのが特徴です。
 一方、フォーカシングスクリーンの周辺部ではレンズからの光が斜めに入ってくるので、フォーカシングスクリーンの後ろ側から見るとかなり暗く落ち込んでしまいます。

 下の写真はすりガラスタイプのフォーカシングスクリーンを真後ろから撮影したものです。わかり易くするため、カメラには#1のレンズボードだけを装着し、レンズは着けていません。
 1枚目は蛇腹を80mm引出した状態、2枚目は250mm引出した状態です。

▲すりガラスタイプのフォーカシングスクリーン 蛇腹80mm引出したとき
▲すりガラスタイプのフォーカシングスクリーン 蛇腹250mm引出したとき

 80mm引き出した状態では周辺部は真っ黒、250mm引出しても十分な明るさにならないことがわかると思います。
 このように、短焦点レンズ(蛇腹の引出し量が少ない)の場合、フォーカシングスクリーンの周辺部はかなり暗くなってしまいます。焦点距離が長く(蛇腹の引出し量が多く)なるにつれて周辺部の暗さは少しずつ解消されますが、中心部に比べるとやはり暗いです。

 わかり易くするため、図にしてみました。

 上の図でもわかるよに、中心部、およびその周辺はフォーカシングスクリーンに対して垂直、またはそれに近い角度で光が入ってきますが、周辺部に行くほど入射角が斜めになっていきます。これはレンズの焦点距離が短くなるほど顕著になります。
 このため、ルーペでピント合わせをしようとしても、ルーペをフォーカシングスクリーンに垂直にあてると光が入ってこないので、視界が真っ暗という状況になってしまいます。

 これを解消するには光の入射方向に対してルーペのレンズ面が垂直になるように傾ければ良いのですが、そうするとルーペのピントが合わなくなってしまいます。伸縮型のルーペを使うとか、斜めから入射してくる光が見えるようなレンズ径の大きなルーペを用いるなどの工夫が必要になります。

 このように、すりガラスタイプのフォーカシングスクリーンは使いにくいと思われるかもしれませんが、鮮明な像が得られるのと、ピントの山がとてもつかみ易いという利点があります。
 ピント合わせ用のルーペは6~7倍の倍率のものを使うことが多いのですが、シビアなピント合わせをするときは20倍くらいのものを使うこともあります。それくらいの倍率で見てもすりガラスのざらつきがさほど気になりません。

 因みにすりガラスタイプのフォーカシングスクリーンは自分で作ることもできます。既定のサイズにカットした透明のガラスの片面を、#2500くらいの耐水ペーパーで根気よく磨くだけです。#2500の耐水ペーパーの粒度は6㎛程度らしいので、非常にきめ細かなすりガラスになります。

フレネルレンズタイプ 明るくて見やすいフォーカシングスクリーン

 すりガラスタイプのフォーカシングスクリーンに比べて、圧倒的に明るい像が得られるのがフレネルタイプのフォーカシングスクリーンです。
 肉眼では全くわかりませんが、レンズを薄くスライスし、周辺部だけを残して中をくり抜いたものを同心円状に並べたような構造をしています。

 上の図のように、薄くスライスしたレンズの周辺部だけを残すことで、三角プリズムのような形になります。ここに斜めから入射してきた光があたると屈折して、フォーカシングスクリーンに対して垂直に近い角度の光になります。これによって、フォーカシングスクリーンの周辺部で暗く落ち込んでしまうのを防ぐことができます。

 フレネルレンズタイプのフォーカシングスクリーンを真後ろから撮影したのが下の2枚の写真です。
 1枚目が蛇腹を80mm引出した状態、2枚目が250mm引出した状態で、すりガラスタイプと条件は同じです。

▲フレネルレンズタイプのフォーカシングスクリーン 蛇腹80mm引出したとき
▲フレネルレンズタイプのフォーカシングスクリーン 蛇腹250mm引出したとき

 蛇腹を80mm引出した状態では周辺部の落ち込みは見られますが、250mm引出した状態ではフォーカシングスクリーン全面がほぼ同じ明るさになっており、周辺部の落ち込みは感じられません。このため、短焦点レンズを使った場合でも周辺部の落ち込みが少ないので、ピント合わせはすりガラスタイプに比べると格段にし易くなります。

 しかし、ルーペを使うと同心円状のフレネルレンズが目立ってしまい、特に高倍率のルーペではフレネルレンズの縞模様に被写体が埋もれてしまうような感じになります。6~7倍くらいの倍率であればそれほど気になりませんが、20倍というような高倍率ルーペではピントが合わせ難くなります。
 フレネルレンズタイプのフォーカシングスクリーンの同心円は、およそ1mmに12~15本ありますので、ピッチは0.067mm~0.083mmといったところです。これはすりガラスのざらつきに比べると桁違いに大きい値です。

 フレネルレンズ自体はアクリルやポリカーボネイトなどのごく薄い素材でできているらしく、フォーカシングスクリーンとして用いる場合は、結像のためのすりガラスと保護用の透明のガラスでサンドイッチされた構造になっています。

鮮明な像を優先するか、明るさを優先するか

 すりガラスタイプとフレネルレンズタイプ、それぞれの特徴はおわかりいただけたと思いますが、どちらのタイプを選ぶかは人それぞれだと思います。
 私は主にすりガラスタイプを使っていますが、いちばんの理由は鮮明な結像とピントの合わせやすさです。レンズを前後させたとき、ピントが立ってくるところと、それを超えてピントが崩れていくところがとてもわかり易く、ピントの山でピタッと止めることができます。

 また、大判カメラはアオリを使うことも多く、レンズの前後とアオリの量を微妙に調整しながらピント合わせを行ないます。フォーカシングノブをほんの1ミリほど動かしただけでピントが移動するのがわかるのは、やはりすりガラスタイプならではと思っています。

 周辺部の暗さについては口径の大きなルーペを使うことで凌いでいます。私は直径49mmのレンズを用いた自作のルーペを使っていますが、斜め45度くらいから覗いても視界が確保されるので、暗くてピント合わせができないというようなことはありません。
 難点は少々大きくて重いということです。

 WISTA 45 SPには標準のフレネルレンズタイプのフォーカシングスクリーンがついているのですが、時たまWISTAを持ち出すと、明るいフォーカシングスクリーンはありがたいと感じます。短焦点レンズを使う頻度が高ければ、フレネルレンズタイプは便利だと思います。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 異なるタイプのフォーカシングスクリーンを取付けたバック部を二つ用意しておいて、被写体や使用するレンズによって使い分けるという方法もあるかも知れませんが、慣れの問題も大きいので、いろいろ試してみて自分に合ったものを選ぶということになると思います。
 なお、大判カメラのバック部に取付けられているフォーカシングスクリーンの交換は簡単にできますが、結像面がフィルム面とピッタリ同じ位置にないと、ピント合わせをしてもピントがずれた写真になってしまいますので、交換する場合は結像面位置の計測が必要になります。

(2021.11.23)

#WISTA45 #ウイスタ45 #Linhof_MasterTechnika #リンホフマスターテヒニカ

PENTAX67を使って35mmフィルムでフルパノラマ写真を撮る

 だいぶ以前になりますが、ホースマンのパノラマフィルムホルダの紹介ページにおいて、PENTAX67でパノラマ写真が撮れるような改造をしたことをチラッと書きましたが、今回はそれをご紹介したいと思います。
 パノラマ写真は何とも言えない魅力がありますが、写真として仕上げるのは難しいと思います。
 今回ご紹介するのは、かなり以前に作ったものなので作成途中の写真はありません。悪しからず。

24mm×70mm アスペクト比1:2.9のパノラマ写真

 PENTAX67に限らず、中判カメラに35mmフィルムを入れてパノラマ撮影をされている方は結構いらっしゃると思います。35mmフィルムのパトローネとブローニーフィルム(120、220)の太さがほぼ同じため、うまい具合に35mmフィルムが中判カメラの中に納まるので、面倒な加工をしなくてもパノラマ写真が楽しめるというお手軽さが受けているのかもしれません。

 かつて、富士フイルムからTX-1という35mmフルパノラマ写真が撮れるカメラが発売されていましたが、67判のカメラを使うことでTX-1を上回るアスペクト比1:2.9のパノラマ写真が撮れます。これはかなり迫力のある写真になります。

フィルムマスクの作成

 特にフィルムマスクもせずに、35mmフィルムのパーフォレーションのところも露光させるというダイナミックな写真を撮られる方も多いですが、今回は70mm×24mm(正確には69.4mm×24mm)になるようなフィルムマスクを作成しました。
 このフィルムマスクを作成したもう一つの理由は、フィルムの平面性を保つためです。マスクなしで横幅70mmのフィルムを左右両端だけで支えると、フィルム圧板があってもフィルムの上下がレンズ側に湾曲してしまいます。フィルムマスクをつけることでフィルムの上下端を支えるので、フィルムの湾曲を極力抑えることができます。

 PENTAX67のアパーチャー(フィルム露光枠)の大きさは、69.4mm×55mmです。このため、この枠の上下に15.5mm幅のマスクを取り付けます。
 マスクの簡単な図面は下の通りです。

▲PENTAX67用 フィルムマスク寸法

 厚さ2mmのアクリル板で、PENTAX67のアパーチャーにピッタリはまるマスクのベースを作ります。この上に、厚さ0.8mmのプラスチック板でマスクを作り、貼り付けます。
 厚さ0.8mmのプラスチック板を貼り付けると、ブローニーフィルムの上下端が乗るレールとちょうど同じ高さになります。ちなみに、0.8mmのプラスチック板は、不要になったクレジットカードを流用しています。

 こうして作成したフィルムマスクが下の写真です。2枚必要です。

▲PENTAX67用 フィルムマスク

 このマスクをPENTAX67に装着するとこんな感じになります。

▲PENTAX67にフィルムマスクをつけた状態

 シャッター膜の上に見える上下2枚の黒い板がフィルムマスクで、このマスク間の幅が24mmになります。

35mmパトローネ用のスプールの作成

 35mmフィルムのパトローネの太さはブローニーフィルムとほぼ同ため問題ありませんが、長さが短いので、ブルーニーのスプールと同じ長さになるように付け足す必要があります。
 ブローニーのスプールの両端を切断し、ここに、35mmフィルムのパトローネにはめ込むための加工を施します。
 パトローネの軸は上端と下端で形状が違うので、下の写真ような2種類の加工を行ないます。

▲35mmフィルムパトローネ用スプール軸

 フィルムが上下中央に来るように、それぞれ寸法は正確にする必要があります。主な寸法は下図の通りです。

▲35mmフィルムパトローネにはめるスプール軸

 ブローニー用のスプールを、両端からそれぞれ7mm、12mmのところで切断し、ここに上の図面の青い網掛けのパーツを作成し、スプールにはめ込みます。私は、加工のし易い厚さ3mmのプラスチック板で作成しました。

 これを35mmフィルムのパトローネに嵌めると、こんな感じです。

▲35mmフィルムパトローネにスプール軸を装着した状態

フィルム巻き取り側のスプールの作成

 PENTAX67の裏蓋を開けた右側にはフィルムを巻き取っていくための空のスプールが入ります。ブローニーフィルム用のスプールをそのまま使うこともできますが、巻き取った後がタケノコ状態になってしまうと写真が斜めになってしまうので、それを防ぐために35mmフィルムがちょうど収まるようにスプールの両端にガイドをつけます。

▲フィルム巻き取り側のスプール

 スプール端からのガイドの幅をそれぞれ19mmにすると、中央のフィルムを巻き取る部分の幅は35mmになります。
 このガイドをどうやって取り付けるか、いろいろ悩んだのですが、幅を19mmに切った画用紙をくるくると巻き付けていくというお手軽な方法で済ませました。

ファインダーのマスク

 ファインダーが67判のままだと構図決めがやりにくいので、ファインダースクリーンのところにマスキングテープでマスクをします。幅15mmのマスキングテープをファインダースクリーンの上下端に合わせて貼ると、中央の幅がちょうど24mmになります。

▲PENTAX67 ファインダーマスク

 マスクは何を使っても良いのですが、マスキングテープを使うと真っ暗にならず、少し映像が見えるので便利です。また、マスキングテープは剥がしても痕が残らないので、元に戻すときも便利です。

35mmフィルムの先端にリーダーペーパーをつける

 以上で必要なパーツは揃いましたが、最後に、35mmフィルムにちょっとした手を加えます。
 35mmフィルムと違い、ブローニーフィルムには先端にリーダーペーパーがついています。このリーダーペーパーを空のスプールに巻き付け、フィルムを巻き上げていくわけですが、リーダーペーパーの端からフィルムの1コマ目まで、45cmほどの長さがあります。
 35mmフィルムをそのまま使用すると、約45cmも無駄に巻き上げられてしまい、とてももったいないです。
 そこで、35mmフィルムの先端にリーダーペーパーを取り付けます(下の写真)。

▲35mmフィルムにリーダーペーパーをつけた状態

 私は、セロハンを35mm幅に切って、これをフィルムの先端にテープで貼り付けています(透明でわかりにくいので、黒のマジックで縁取りしてます)。
 一旦、このセロハンのリーダーペーパーをパトローネの中に巻き込み、その状態でカメラにセットします。なお、全部巻き込んでしまわずに、先端を少し残しておきます。全部巻き込んでしまうと、取り出すのに苦労します。
 こうすることで、フィルムの無駄をなくすことができます。

カメラへのフィルムの装填

 さて、いよいよカメラへの装填です。
 カメラの右側に巻き取り用のスプール、左側に35mmフィルムのパトローネをはめ込みます。そして、35mmフィルムの先端に取り付けたリーダーペーパーを引き出し、右側のスプールに巻き付けます。

▲PENTAX67に35mmフィルムを装填した状態

 その後、カメラの巻き上げレバーを動かしてフィルムを巻き上げていきますが、フィルムの先端がパトローネからチラッと見えたところで巻き上げを止めます。この位置がスタートマークに相当します。上の写真ではフィルムがかなり顔を出していますが、もっと手前で止めておくのが望ましいです。

 この状態でカメラの裏蓋を閉じ、巻き上げレバーを動かして巻き上げていくと、フィルムカウンターが「1」のところで巻き上げができなくなります。これで撮影ができる状態になっているわけですが、この時、フィルムもちょうど1コマ目あたりがアパーチャーのところにきているという感じです。

 なお、PENTAX67の枚数切り替えダイヤルを「220」にしておかないと、10枚撮影した時点で巻き上げはできますがシャッターがチャージがされなくなり、以後、撮影ができなくなってしまうので要注意です。

撮影可能な枚数

 36枚撮りフィルムを使い、うまく1コマ目の頭出しができていると18枚の撮影が可能です。
 フィルムの頭出しがうまくいかず、少し無駄が出てしまうと17枚までは可能で、18枚目を巻き上げようとすると、フィルムの終端が来てしまい、途中で動かなくなってしまいます。そうなった場合は無理をせず、装填したフィルムの撮影はそこで終了ということです。
 なお、カラーネガフィルムには27枚撮りというものがありますが、これについては使ったことがないので何枚の撮影ができるか不明です。撮影コマ数の比率で計算すると13枚くらいかと思われますが...

撮影後のフィルムの取り出し

 ブローニーフィルムは撮影後、そのまま巻き取ってしまいますので、35mm判カメラのような巻き戻し機能はありません。そのため、撮影後はカメラの裏蓋を開けてフィルムを取り出さなければなりません。
 当然、真っ暗闇で行なわなければフィルムが感光してしまうので、ダークバッグや暗室の中で行なう必要があります。35mmフィルムのパトローネを取り出し、くるくると手で回しながらフィルムをパトローネに巻き込んでいくという煩わしさがあります。
 フィルムを何本も持って行っても、ダークバッグがなければ2本目以降の撮影はできませんので注意が必要です。

アスペクト比1:2.9のパノラマ写真の作例

 実際にPENTAX67パノラマ改造機を使って撮影した写真です。

▲PENTAX67 SMC-TAKUMAR6x7 75mm 1:4.5 F16 36s PROVIA100F

 やはり、アスペクト比が大きいのと、35mmフィルムといえども、フルに使っているので中判並みの解像度があります(解像度を落としているので画面ではわかりにくいと思いますが)。
 唯一の悩みは、このパノラマ写真をプリントしても、きちんと額装できる額縁が市販品にはないということです。額装する場合はマット紙を特注するか、自作しなければなりません。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 今回はPENTAX67を使いましたが、他の中判カメラでも同じような方法でパノラマ写真の撮影ができます。機会があれば、ミノルタオートコード(66判の二眼レフカメラ)や富士フイルムのGW690などでもやってみようかと思います。

(2021.7.7)

#ペンタックス67 #PENTAX67 #パノラマ写真 #ホースマン #Horseman

スリッククランプヘッドと超ローアングル撮影

 野草の撮影をすることが多いのですが、野草というのは背丈の低いものが圧倒的に多く、カメラもできるだけ低い位置で構えるということになります。もちろん、上から俯瞰するアングルもありますが、野草の目線で撮ろうとすると低くしなければなりません。

超ローアングル撮影は苦労が多い

 手持ち撮影であれば地面に寝転がって撮ることでローアングルも可能ですが、中判カメラで接写リングをつけたレンズで撮ることが多いので、手持ちでは無理があります。どうしても三脚が必要になります。

 各メーカーからローアングル撮影用の三脚も販売されていますが、めいっぱい低くしても雲台を含めると25cmくらいが限界かと思います。また、通常の撮影では地面に接するのは三脚の石突の部分だけですが、ローアングルにすると脚がいっぱいに開くため、地面に接するのが石突ではなく脚の先の方になります。地面が平らなところならまだしも、野山や田圃の畦のようなところは三脚を安定させるのに一苦労します。というような理由で、私は三脚をローアングルにして使うことはほとんどありません。
 ビーンズバッグという手もありますが、微妙なアングル調整をすることが難しいので選択肢には入りにくいです。

スリックのクランプヘッドという便利グッズ

 スリックから「クランプヘッド」という製品が出ており、需要が多いのかどうかわかりませんがロングセラー商品です。若干のマイナーチェンジはされているようですが、発売からかれこれ30年近くになるようです。
 ご存じの方も多いと思いますが、三脚の脚に取付けてローアングル撮影を可能にするグッズです。取り付ける脚の太さに応じて3種類(32mmまで、38mmまで、45mmまで)ありますので、自分の三脚に合わせて選択することになります。

スリック クランプヘッド

 アイディア製品だとは思うのですが、いま主流になっているカーボン三脚で使用する場合、クランプを閉めすぎると脚がメリメリと割れてしまうそうなので要注意です。私もこの製品を使っていますが、三脚がカーボン製なので脚に取付けたくはありません。そこで、ロックナット部分に取付けようと思いましたが、ロックナットの径が太すぎて取付けができません。

クランプヘッドの改造

 ということで、クランプ部分を取り外し、マンフロット製のスーパークランプに交換しています。交換といってもそのまま取付けられるわけではないので、クランプヘッドとスーパークランプをつなぐための特殊ネジを作り、これを用いて接合しています(下の写真)。

マンフロット スーパークランプ & 取付け用特殊ネジ(自作)
スリック クランプヘッド + マンフロット スーパークランプ

 このスーパークランプは無骨ながら非常に強力です。直径60mmくらいまでクランプすることができますので、三脚のロックナットも楽々つかんでくれます。
 しかし、ロックナット部分とはいえ、あまり強く締めすぎるのはよろしくないと思うので、ロックナットにスチールパイプを被せてクランプしています。こうすることで、締め付ける力が均等にかかるので、多少強く締めても問題はありません。
 これにPENTAX67を取り付けると、下の写真のような状態になります。

三脚ロックナットへの取付け

 一番下のロックナットに取付けることで地面からヘッド(雲台)まで8cmほどの高さになりますので、かなりのローアングル撮影が可能になります。
 この場合、カメラの位置が低いので、アングルファインダーがないと撮影にかなり難儀をします。

超ローアングル撮影の作例

 ここまでカメラ位置を下げると、背丈が数cmというような小さな野草もそこそこの目線で撮ることができます。
 下の写真は春に撮ったものですが、ここまでローアングル撮影ができます。

タンポポ

もっとローアングルにしたい

 これよりもさらにローアングルで撮りたい場合は、三脚のセンターポールの下端に雲台(ボール雲台が便利です)を取り付け、ここにカメラをつけることで地面すれすれのローアングルが実現できます。

三脚センターポール下端への取付け

 ただし、カメラが逆さまになっていますので操作性は著しくよろしくありません。レンズの絞り目盛りやシャッター速度ダイアルなどは下側になってしまいますので、鏡にでも映さない限り目視での確認はできません。また、3本の脚の間にカメラがぶら下がっている状態ですのでファインダーを覗きにくく、やはりアングルファインダーは必須だと思いますが、このローアングルならではの、ちょっと違った世界が見えることも事実です。

(2020.12.5)

#スリック #SLIK #クランプ

ピンホールカメラ(針穴写真機)をつくる

 初めて針穴写真機を作ったのは、確か小学校の夏休みの自由研究だったと思います。フィルムの代わりにポラロイド印画紙を使用することで、その場で写真を見ることができました。ぼんやりといえども、レンズもないのに像が焼き付けられることをとても不思議に思ったものでした。

PENTAX67を使ったピンホールカメラ

 以来、何台ものピンホールカメラを作っては壊ししてきましたが、いま手元に残っているピンホールカメラは一台もありません。唯一、針穴写真を撮ることができるのは、PENTAX67のボディキャップにピンホールを加工(ビールの空き缶に針で穴をあける)したものだけです。
 これは10年ほど前に作ったものですが、針穴写真といえどもそれなりに画質を追求したく、ピンホールの大きさ(直径)を何種類も作りました。その中で最もシャープに写るピンホール(レンズ)だけが手元に残っています。
 直径0.2mm~0.6mmまで、0.1mm間隔で5枚のピンホールを作りましたが、直径0.3mmのピンホールがいちばんきれいに写りました。直径が小さければ小さいほど画像はシャープになると思っていたのですが、小さくなると光の回析によって像がぼけてくるようです。
 調べたところ、最適なピンホール径はd=√2fλで求められるとのこと(fは焦点距離、λは光の波長)。PENTAX67のフランジバックは約85mmですので、これをこの式に当てはめると約0.3mmとなります。

PENTAX67 ピンホールカメラ

 PENTAX67による針穴写真は思いのほか綺麗に写り、我ながら感激したものです。しかし、焦点距離が固定になってしまいますので、接写リングをかませることで85mmから197mmまで、14mm刻みで焦点距離を変えることが出来ました。

ピンホールレンズを自作

 今回、大判フィルムやブローニーのパノラマで針穴写真を撮ってみようと思い、ピンホールレンズを作成してみました。手元にあるリンホフマスターテヒニカにピンホールレンズを着けることで、約50mm~370mmの焦点距離を実現することができます。
 PENTAX67を使ったときは、カメラ自体にシャッターがついていたので問題はなかったのですが、大判カメラにはシャッターがついていないので、シャッターを何とかしなければなりません。最初はレンズキャップを外したり着けたりでいいだろうと思っていたのですが、それだと日中の明るいときの撮影時など、シビアなことがわかりました。
 ピンホール径を0.3mmにした場合、最も焦点距離の短いときでf168くらいになり、太陽の光の強いところでは1/2秒とか1/3秒のシャッターを切らなければなりません。これをレンズキャップで行なうのは結構無理があると思い、ちゃんとしたシャッターをつけることにしました。 

 まず、インターネットオークションでジャンクの大判レンズ探しからです。できるだけピンホールの包括角度を大きく取れるようにするため、#1か#3のシャッターのついたレンズで、希望は1,000円くらい。レンズはカビがあろうが腐っていようが構いません。シャッターさえ動けば問題はないので根気よく探します。

 そんなある日、運よく#1シャッターのついたレンズが1,200円で出ていましたのでゲット。数日後、品物が届きました。「ジャンク品によりNCNRで」とありましたが、程度が良いので驚きました。レンズもきれいですが今回は不要ですので、前玉と後玉を外してシャッター部だけを使います(外した前玉と後玉は防湿庫で保管してあります)。

 厚さ0.1mmの銅板に直径0.3mmの穴をあけ、これを中央をくりぬいたレンズキャップに取り付けます。そして、大判レンズのシャッター部にピタッとはめ込めばピンホールレンズは完成です。

SEIKO #1 シャッターを利用したピンホールレンズ

 今回使用したシャッターですが、ピンホールレンズ取り付け位置がレンズボードから18mm前方にあります、また、シャッター部後端の内径が42mmですので、これらから計算すると包括角度は約100度ということになります。したがって、4×5フィルムを使用してもケラれない最短の焦点距離は約65mmになります。カメラの最短フランジバックが約50mmですから、この状態でピンホールレンズを取り付けると、ピンホールからフィルムまでの距離が68mmとなり、ぎりぎりケラれずに済みそうです(あくまで計算上ですが)。
 ということで、リンホフマスターテヒニカに取り付けた場合、実際には68mm~388mmの焦点距離を持ったピンホールカメラということになります。

構図確認用ピンホールレンズの作成

 しかしこのピンホールレンズのままでは暗くて、大判カメラのピントグラスでは何が投影されているかわからず、構図の確認ができません。ファインダーがあれば問題ないのですが、無段階に変化する焦点距離に対応できるファインダーを自作するのは困難なので、ピンホール径を2.5mmまで大きくした構図確認用のピンホールを作成しました。構図を決めるときにはこれを使い、撮影の際には撮影用のピンホールレンズに交換します。

構図確認用ピンホールレンズ (中央の穴径が約2.5mm)

 こうして出来上がったピンホールレンズは最短の焦点距離68mmでf226、最長の焦点距離388mmでf1293というとてつもなく暗いレンズです。焦点距離388mmで撮影することはまずないと思われますが、f1293がどれくらい暗いかというと、真夏の日中でf16-1/250秒というときに、約30秒の露光が必要ということになります。

露出換算用のツールが必要

 当然のことながら、こんな値は単体露出計の目盛りの範囲を超えていますので、露出計で測った後に換算しなければなりません。これが結構面倒で、計算を間違えると露出オーバーやアンダーになってしまいますので、簡単に換算できるためのツールを作りました。

 古くなって変色してきたPLフィルターのガラスを外し、透明なガラスと交換します。そして、枠のベース部分の円周上にシャッター速度を書き込みます。一方、くるくる回転する枠のガラスには絞り値を書き込みます。露出計で測定した絞りとシャッタースピードの目盛りを合わせると、ピンホールレンズのf値の時のシャッタースピードがすぐにわかるという仕組みです。

露出換算用のツール(PLフィルター利用)

大判カメラによるピンホールカメラ

 今回作成したピンホールレンズをリンホフマスターテヒニカに装着するとこんな感じです。

Linhof MasterTechnika 45 ピンホールカメラ

 さて、このピンホールレンズ、4×5フィルムを使って焦点距離100mmで撮影すると、計算上、周辺部では約1EV(1段)の光量の落ち込みがあると思われます。フランジバックを最も短くした焦点距離68mmでは、2EV強の光量の落ち込みになりそうです。周辺光量の落ち込みが気にならなくなるのは150mm以上かと思います。
 周辺光量の落ち込み、それもまた針穴写真の面白さかもしれませんが、実はまだ撮影に行くことができておらず、作例をご紹介することができません。近々、撮影日記のページでご紹介できればと思っています。

(2020.8.10)

#ピンホール写真 #中古カメラ