いよいよ三月、啓蟄という言葉を聞くと本格的な春の訪れを感じます。やはり暖冬なのか、今年(2021年)は2月から暖かな日が多く、春の訪れが早いように感じます。梅の開花も随分と早かったようで、桜の開花も例年よりも早いとの予想のようです。
この時期はフィールドの変化が早く、近所の公園も一週間も経つと様子がずいぶん変わります。
マンサクが満開でした
花つきが豊かなため、古くから豊年満作に通ずるとして好まれてきたと言われています。山野では木々の芽吹きもまだ先という時期に、黄色の花をびっしりとつけた姿は遠目にもそれとわかります。まるで縮れ麺を短く切ったような花姿は、どこかユーモラスでさえあります。この花が咲くと寒い季節の幕引きともいわれているらしいです。
公園に植えられてたり、やはり縁起の良い花ということからなのか、庭木としても植えられているのをよく見掛けます。
最近は、花の色が赤に近いアカバナマンサクというのも良く見かけるようになりましたが、花の色がちょっと毒々しくて個人的にはあまり好きになれません。やはり黄色の方が品が感じられます。
下の写真は偶然見つけたマンサクの花です。
背景に裸木を入れて、黄色に輝くマンサクの花との対比を出してみました。花の形がユニークなのでアップで撮るのも面白いですが、やはり全体を入れた方が季節感が感じられると思います。
マンサクといえば、秋田に「まんさくの花」という地酒があります。有名なので名前は知っているのですが、ほとんど飲んだ記憶がありません。秋田はマンサクが多いのかと思って調べてみたところ、NHKの連続ドラマ「マンサクの花」からつけた名前らしいです。「マンサクの花」という響きが心地よくて好きです。
日向ではオオイヌノフグリも咲いています
オオイヌノフグリは、春先に最も早く咲き始める野草ではないかと思います。ヨーロッパ原産の帰化植物ですが、すっかり日本の春の風景になじんでしまっています。日本には明治の初めごろに入ってきたらしいですが、今では河原の土手や田んぼの畦道、道端など、いたるところで見ることができます。小さな花ですが、その繁殖力は驚くばかりです。
瑠璃色の花は何とも可愛げがありますが、不名誉な名前をつけられてちょっとかわいそうな気もします。
もともとは日本には在来種であるイヌノフグリがあるのですが、オオイヌノフグリに生育地を奪われてしまい、減少の一途をたどっているようです。オオイヌノフグリに比べると花の大きさが半分くらいしかありませんが、地味でつつましやかな感じがします。
空き地に咲いていたオオイヌノフグリを撮ってみました。
太陽に向かって背伸びしているようなイメージを出したいと思い、アングルを決めました。
小さな花なので撮影には苦労します。群生しているところはまさに春の風景といった感じですが、一輪とか数輪を撮ろうとすると、目線をかなり下げなければならないので大変です。地面に腹ばいになって撮るのが楽ですが、たくさんの花を押しつぶしてしまうのでそれもはばかられます。
同じく帰化植物であるヒメオドリコソウやホトケノザなどと大群落をつくることがありますが、そういう光景を見られるようになるにはもう少し先のようです。
テントウムシはまだ見かけません
日差しがぽかぽかと暖かなとき、オオイヌノフグリの群落にはテントウムシの姿をよく見かけます。ナナホシテントウが多いのですが、花と同じくらいの大きさで、もぞもぞと花の上を歩きまわっている姿をみると、ほのぼのとした気持ちになります。
まだ少し寒いのか、この写真を撮ったときには残念ながらテントウムシを見かけることはありませんでした。啓蟄とはいえ、虫が出てくるまではもう少しかかるようです。
(2021年3月7日)