二眼レフカメラ プリモフレックス オートマット PRIMOFLEX Automat

 1950年代に爆発的なブームを迎えたと言われている二眼レフカメラですが、その独特のフォルムは半世紀以上たった今でも色あせるどころか、独特のオーラを放っているように私には感じられます。そして、写真を撮る気にさせてくれるカメラの一つです。
 今回は、 東京光学(現トプコン)製の二眼レフカメラ、「プリモフレックス オートマット」を紹介したいと思います。

このカメラの主な仕様

 このプリモフレックス オートマットは「L型」と思われ、1957年の発売で、プリモフレックスシリーズの最終機になります。初代のプリモフレックスは1950年の発売ですから、7年ほどでプリモフレックスシリーズは終焉を迎えてしまったことになります。

 主な仕様は以下の通りです。

  ・ビューレンズ  Toko 7.5cm 1:3.5
  ・テイクレンズ  Topcor 7.5cm 1:3.5 3群4枚
  ・最短撮影距離  約65cm
  ・絞り  3.5~22
  ・シャッター速度  B、1~1/500秒(大陸系列)
  ・シャッター  SEIKOSHA-MXL
  ・シャッターチャージ  セルフコッキング(巻上げ連動式)
  ・使用フィルム  120

 初代プリモフレックス オートマットは1956年に発売されたましたが、それまでのプリモフレックスシリーズに対して、レンズコーティングの変更、セルフコッキングの採用、オートマット機構の採用など、いくつかの改良が加えられたようです。
 また、テイクレンズはテッサー型のTopcor 7.5cmで、3郡4枚構成にグレードアップされています。「驚異的解像力 200L/mm」というキャッチフレーズは有名だったようです。

特徴的なライトバリュー方式の採用

 最終型であるL型になって最も特徴的なところは、シャッター速度レバーを動かすとそれに連動して絞り値が動き、一定のLV値を保つという「ライトバリュー方式」が採用されたことだと思います。巻き上げクランクのところに取付けられた露出表をもとにLV値を設定すれば、シャッター速度を変更しても常に同じ露出が得られるというすぐれものです。

▲ライトバリュー方式が採用されたLV値の指標(右側)

 これについては便利と思うか煩わしいと思うか、賛否があると思いますが、私はどちらかというと煩わしい方に一票という感じです。私にとってはシャッター速度と絞りはそれぞれ独立して動く方が便利というのが理由ですが、これは撮影のスタイルによって異なるので、このライトバリュー方式が便利と感じる方も多いのではないかと思います。

ピント合わせがし易い、明るいスクリーン

 フレネルタイプのフォーカシングスクリーンが採用されており、非常に明るいのでピント合わせがし易いです。フォーカシングスクリーンの上部には「TOKOBRITE」という銘が彫られており、非常にこだわりが感じられます。
 また、ピントルーペを出した状態でもスクリーン全体が視野に入るため、構図確認とピント合わせでルーペを畳んだり出したりということをしなくても済むので便利です。

▲フレネルタイプのフォーカシングスクリーン

 最短撮影距離が約65cmと短いため、パララックス補正のための線がスクリーン上部左右にあります。二眼レフの場合はその構造上、近い被写体を撮影する際はスクリーン上の投影像と実際に写る範囲に上下のずれが生じてしまいます。そのため、近接撮影での正確なフレーミングは結構難しいです。パララックス補正ラインがあっても、実際にはスクリーンの上端と補正ラインの間で位置決めをしなければならないので、この辺りは勘に頼るといった感じです。

フィルムの装填位置にもこだわりが

 多くの二眼レフカメラの場合、フィルムはカメラの下側(底の方)にいれ、上側(スクリーン側)に巻き上げるようになっています。これに対してこのカメラは逆で、フィルムを上側に入れ、下側(底の方)に巻き取っていくようになっています。

▲フィルムは上側に装填し、下側のスプールに巻き取る

 フィルムを下側に入れて上方向に巻いていくと、次に撮影するコマの位置でフィルムが直角に曲げられてしまいます。これによってフィルムの平面性が損なわれてしまうのを防ぐため、フィルムを上側に装填する方式を採用しているようです。
 実際にどの程度の影響があるのかわかりませんが、こういったところにもこのカメラのこだわりが感じられます。

プリモフレックス オートマットで撮影した作例

 まず、中野駅(東京都)周辺の路地で撮影した一枚です。居酒屋の軒に下がった赤ちょうちんを撮ってみました。

▲PRIMOFLEX F4 1/60 PROVIA100F

 絞りはF4ですので、開放に近い状態です。
 焦点距離は75mmなのでそれほど大きなボケは期待できませんが、画右半分の路地風景は比較的素直なボケになっていると思います。遠くに行くにしたがってなだらかにボケていく綺麗なボケです。これくらいの遠近差であれば、何が写っているか識別できるというのがこの焦点距離ならではだと思います。

 一方、ピントは左側の赤ちょうちんに合わせていますが、まずまずの解像度が出ていると思います。紙の質感や上に被せられたビニールの質感も良く出ており、レンズの解像度の高さが感じられます。
 日陰なので青被りしていますが、色乗りも自然な感じです。

 二枚目も同じく中野駅周辺で撮影したものです。壁に描かれた絵が印象的だったので撮ってみました。

▲PRIMOFLEX F5.6 1/60 PROVIA100F

 ここは建物の陰になっているので直接の日差しがなく、コントラストが低めな状況です。壁に描かれた絵はすっかり汚れてしまっていますが、このくすんだ感じも良く描写されていると思います。前の写真と同様に、しっかりした色乗りがありながらこってりしすぎておらず、自然な感じの色合いです。
 ベニヤ板のようなところに描かれたと思われますが、表面のざらつきなどもわかるので良く解像していると思います。

 さて、三枚目は雪景色です。

▲PRIMOFLEX F11 1/250 PROVIA100F

 青空、真っ白な雪、踏切の警報器、杉木立と、明暗差が大きな被写体で、画の左側からのサイド光で撮影しています。逆光というほどではないのですが、全体にごく薄いフレアがかかっているように感じられます。今の高性能のレンズで撮れば、全体にもっとパキッとした感じになると思われます。コーティング技術の違いによるものかもしれませんが、嫌味のない発色だと思います。
 掲載した写真は解像度を落としているのでわかりにくいですが、元画像を見ると中央の木々の先端まではっきりと見えます。

 半世紀以上も前のレンズということからしても十分な解像度を持っていると思いますし、色の出方にも不自然さがなく、個人的には好印象なレンズです。そして、どちらかというと繊細な描写をするレンズといった感じです。ボケも柔らかな感じなので、綺麗な作画ができると思います。

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 二眼レフカメラは何台か持っているのですが、風景を撮ることが多い私にとって、それらのカメラはそれほど出番が多いわけではありません。しかし、ときどき二眼レフを持ち出したくなる衝動に駆られることがあります。いわゆる風景写真とはちょっと違った、その辺りに普通に存在している身近な景色を撮るには二眼レフカメラ、と思うのは私だけでしょうか?

(2022年1月31日)

#PRIMOFLEX #プリモフレックス #二眼レフ

大判レンズのシャッター速度と絞りを実測

 大判カメラ用のレンズにはシャッターが組み込まれていて、絞り羽根もシャッターも電子制御とかではなく、すべて機械的に動くようになっています。バネや歯車、カムなどの組合せでこれらを正確に動かしているわけですから本当にすごいと思います。
 この機械式シャッターがどの程度の精度で機能しているのかを実測してみました。
 高精度の測定器を用いたわけではありません。あくまでも簡易的な測定ですので精度はそれほど高くないことをあらかじめお断りしておきます。

シャッター速度の測定方法

 シャッター速度の計測は下の図のような方法で行なうことにしました。

 シャッターが開いたり閉じたりする際に、光が透過、遮断される状態を感知するための装置(治具)が必要になりますが、これは自作します。この治具をレンズの下部に置き、レンズ上方から光をあてて、シャッターを切ったときの波形をオシロスコープでつかまえようというものです。
 治具の他に必要な機器類は安定化電源、オシロスコープ、LED照明、そして外光を遮断するための暗箱(これも自作)だけという簡単なものです。

 まず、シャッターの開閉を感知するための治具ですが、これはフォトトランジスタを使って実現することにしました。電子パーツの箱をかき回したところ、東芝製のフォトトランジスタ(すでに生産終了品)があったのでこれを使います。
 あとは抵抗器、端子台くらいがあれば何とかなりそうです。

 作成する治具は下の図のようなものです。

 細かな説明は省きますが、フォトトランジスタは光があたると電流が流れるというスイッチのような役目を果たしてくれます。このフォトトランジスタと抵抗器を上の回路図のように接続して、小さなケースに収めれば治具は完成です。フォトトランジスタの受光部に光があたるよう、ケースの上側に小さな穴を開け、ここにフォトトランジスタを差し込みます。
 上図右側の写真がケースに収めた状態ですが、ケースから出ている3本の電線のうち、赤と黒の線は電源に、黄色の線はオシロスコープに接続します。

 シャッターの開閉によりフォトトランジスタから流れる電流の波形は、角が取れた台形のような形をしています。

 台形波形の底辺の位置がシャッターが閉じている状態、上辺の位置が開いている状態になります。シャッターが開き始めてから開くまでの立ち上がり波形の1/2の位置、および、閉じ始めてから閉じきるまでの立下り波形の1/2の位置の間をシャッターが開いている時間(露光時間)とします。

シャッター速度の測定結果

 今回、計測対象としたレンズは、フジノンの大判レンズ「FUJINON W180mm 1:5.6」です。このレンズのシャッターにはコパルNo.1が使われており、シャッター速度は1~1/400秒まで、10段階あります。
 治具に外光があたらないようレンズを自作の暗箱に乗せ、上からLED照明をあてて計測します。

 実際に計測した結果は下記の通りです。
 それぞれのシャッター速度の位置で5回ずつ計測し、平均値、分散、偏差を求めてみました。

 オシロスコープの限界があるので、シャッター速度によって分解能(最小計測時間)を以下のように変えています。
  1~1/2秒   10ms
  1/4秒     5ms
  1/8秒     2ms
  1/15~1/30秒  200μs
  1/60~1/400秒 100μs

 この結果からもわかるように、低速側(1~1/8秒)では規格値よりも若干速め(開いている時間が短い)、高速側(1/15~1/400秒)では規格値よりも若干遅め(開いている時間が長い)という傾向があります。規格値に対して最もずれが大きいのが1/30秒の時ですが、それでも5.6%のずれですからかなり正確ではないかと思います。
 メーカーが規定している許容範囲がどのように設定されているのか詳しくは知りませんが、何年か前にこのレンズとは別のレンズを修理に出したことがありました。修理から戻ってきた際に検査結果表を見たら、シャッター速度は+30%~-20%くらいの許容値が書かれていたように記憶しています。
 規格値に対して30%のずれということは、大雑把に言うと絞りにして1/3段くらいに相当します。それくらいは許容範囲ということなのでしょう。

 それにしても、機械仕掛けだけでこれだけの精度を出すわけですから驚きです。

絞り開口部の測定方法

 次に、絞り羽根による開口部の測定です。
 これは開口部をデジカメで撮影し、その画像から開口部を多角形として近似的に面積を求めます。考え方を下の図に示します。

 任意の多角形(上の図では五角形)の頂点(P1~P5)と、任意の原点(P0)をプロットし、隣り合った2点ごとに原点からのベクトルの外積を求め、これを積算していくという方法です。
 この方法で任意の多角形の面積は以下の一般式で求めることができます。

 実際にレンズの開口部を撮影し、各頂点をプロットしたのが下の写真です。

 ここでは28点をプロットしています。絞り羽根の内縁は弧を描いているので、厳密にはもっと多くの頂点をプロットすべきですが、そこまでやっても有効値は得られないだろうということで28点にしました。
 各頂点の座標は、原点からの画像の画素数で求めています。
 上の写真は約1,600万画素のデジカメで撮影したものを若干トリミングしています。トリミング後の長辺が約4,480画素あり、この画素数で写している長さは約210mmですので、計算上の分解能は約0.047mmということになります。

 そして、この画像から各頂点間の長さを求めるため、基準として外側ジョウを40mmに開いたノギスを写し込んでいます。このノギスのジョウ間の画素数をもとに各頂点間の長さ(ベクトル)を求め、上の計算式にあてはめて開口部の面積を算出します。

絞り開口部の測定結果

 測定に用いたレンズはシャッター速度の計測に使ったのと同じ「FUJINON W180mm 1:5.6」です。このレンズの絞り羽根枚数は7枚です。測定対象はF5.6~F45までの7点です。なお、レンズの後玉を外して撮影しています。

 測定結果は以下の通りです。

 絞りは1段絞るごとに開口部の面積が半分になるので、F5.6のときの開口部面積を基準にして、各絞り値の時の比率を出してみました。いずれも基準値に対して±6%以内におさまっています。シャッター速度と同様に、この程度のずれに納まっているというのはやはり驚きです。
 最小絞りあたりになると開口部の形状が崩れてしまうレンズを見かけることがありますが、このレンズはF45まで絞っても、元の形と同様に比較的綺麗な7角形を保っていました。 

 露出はシャッター速度と絞りの組合せで決まるので、今回の測定結果からすると、それらの組み合わせで最もずれが大きくなるのが絞りF45、シャッター速度1/30秒の時で、露出がおよそ10%増えてしまうことになります。10%というのは通常の撮影ではほとんど気にならない誤差の範囲だと思います。
 シャッター速度や絞りが正常に機能せず、規格値から大きくずれてしまうと露出オーバーや露出アンダーの写真になってしまうわけですが、出来上がった写真を見てそれがわかるというのは、それぞれ50%以上のずれが生じている状態だと思われます。

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 今回、大判カメラ用のレンズのシャッター速度と絞りを実測してみましたが、素人が簡易的に計測しているので計測誤差はかなりあると思います。ですが、それを差し引いても傾向はつかめたのではないかと思います。
 手持ちのレンズすべてを計測するのは時間もかかり大変ですが、レンズを修理したり清掃した後に確認の意味で計測してみるのは価値があると思います。

(2022年1月25日)

#フジノン #FUJINON #シャッター速度 #絞り

1950年代のカメラBeauty MODEL1 ビューティーモデル1で撮影してみました

 友人から送り付けられた1950年代のフォールディングカメラ「Beauty MODEL1」、修理をして一通りの動作確認はしましたが、ちゃんと撮れるのかどうか確認するため、フィルムを入れて実際に撮影してみました。最初はモノクロフィルムでと思ったのですが、色のノリ、絞りやシャッター速度等の露出精度も確認するため、ちょっともったいないと思いましたがリバーサルフィルム使うことにしました。
 結果は予想外でした。

 なお、このカメラの分解・修理についてご興味のある方はこちらの記事をご覧ください。

 「1950年代のカメラ Beauty MODEL1 ビューティーモデル1の分解・清掃・修理

撮影の前に結像することを確認

 いきなり撮影してもなにがしかの映像は写ると思いますが、フィルムを無駄にしたくないので、きちんと結像することを確認します。
 カメラの裏蓋を開け、フィルムがあたるところに乳白色のシートを貼って、レンズのシャッターを開いたときに像ができれば一応合格ということになります。
 実際に確認したのが下の写真です。

▲結像を確認するため、乳白色のシートに投影

 正確なピントまではわかりませんが、概ね、ピントは合っているようです。念のため近景でも確認しましたが、レンズの距離指標と合っているように見えますので、それほどピンボケになることはないと思われます。

 また、このカメラのピント合わせは目測で、しかもレンズの距離指標は「フィート」です。被写体までの距離を目測(もちろんメートル)で決め、およそ3倍するとフィートになりますが、目測で距離を測るということに慣れていないのでピント合わせに手間がかかりそうです。

▲ピント合わせは目測 距離目盛りは「フィート」

 フィルムの巻き上げとシャッターのチャージは独立しているので、今のカメラのようにフィルムを巻き上げないとシャッターが切れないというロック機構がありません。フィルムを巻かなくても何回でもシャッターが切れてしまうので、多重露光にならないように注意が必要です。

 フィルムの巻き上げは、裏蓋の小さな窓からフィルムの裏紙に記載されている番号(1~12)を確認して行ないます。
 因みに、このカメラは645判での撮影もできるので、その際は上側の窓を使い、1~16の番号を確認しながら巻き上げを行ないます。

▲カメラの裏蓋 66判の時は下側の窓からコマ数を確認する

予想に反してしっかりとした写りをするカメラ

 下の写真が実際に撮影したポジ原版(全12枚中の9枚)です。

▲ポジ原版 ライトボックス上で撮影

 ポジ原版をライトボックスの上に乗せて撮影しているので画質は良くありませんが、意外としっかり写っているのがわかると思います。何枚か抜粋した写真はこのあと紹介しますが、まずまずのコントラストや解像度が保たれているようです。ただし、レンズのイメージサークルが小さいのでしょうか、周辺光量の落ち込みが目立ちます。

 使用したフィルムは富士フイルムのベルビア100ですので、本来であればもっとくっきりとした鮮やかな発色になるのですが、60年以上前のカメラということを考慮すると健気に頑張っているという感じです。
 正直なところ、写りに関してはまったく期待をしておらず、酷い写真しか撮れないのではないかと思っていたのですが、予想に反した仕上がりに驚きです。

 ただし、ファインダーの精度は決して良くはありません。ファインダー自体は非常に単純な構造なので、覗き込む目の位置によって見える範囲がずれますし、ファインダーで見える範囲よりもだいぶ広く写るようです。写したと思ったのに周囲が欠けてしまったというよりは、多少広く写しておいた方が救済できるという判断からかも知れません。

最近のレンズと比較するのは酷だが、及第点の写り

 では、撮影したうちの何枚かをスキャンしてみましたのでご紹介します。いずれもスキャンしたままの状態で、画像の加工はしていません。

 まずは、晴天時に斜め後ろからの順光に近い状態で撮影したのが下の写真です。

▲F8 1/200

 このような条件下だと少々難ありのレンズでも比較的良好に写りますが、遊具に塗られた赤青黄の色や地面の土、生け垣の緑なども自然な感じの発色です。黄色が褪せて見えるかもしれませんが、実際にこんな感じでした。また、桜の小枝の先端も識別できるくらいですから、解像度も及第点でしょう。

 次に、近景から遠景までということで、手前に木を入れて新宿の高層ビルを撮ってみました。

▲F22 1/50

 このような構図だと周辺光量の低下が目立ちます。しかも画の中央部が最も明るいという状況なので、手前の木が黒くつぶれないようにすると新宿の高層ビルが露出オーバーになってしまいます。
 最小絞りであるF22まで絞っていますが、パンフォーカスにするには若干無理がある感じです。手前の木のディテールは損なわれますが、ピントの位置をもう少し先にもっていくと遠景がくっきりとした写真になると思います。

 もう一枚、周辺光量の落ち込みによる影響を受けている写真です。高圧線の鉄塔を見上げるアングルで撮ったものです。

▲F11 1/200

 中央の鉄塔が白く飛び気味です。もう一段絞ると鉄塔は落ち着いた色になると思いますが、手前の山茶花などはアンダーになってしまいます。やはり、このようなシチュエーションは難しいというのが正直なところですが、半世紀以上も前のカメラならではの写りと思えば、それはそれで味わい深いものです。

 下の写真は明暗差の大きな被写体ということで撮ってみました。

▲F11 1/200

 神社に奉納されたお酒の樽に陽が当たっており、そのお堂の軒下が暗く落ち込んでいる状態です。軒下はつぶれてしまうかと思いましたが、かろうじて梁のようなものが認識できます。
 やはり最も明るい酒樽のところの解像度は低下しているように見えます。

 さて、次は道路沿いにある公園にたむろしていた鳩たちです。寒いので縮こまっています。

▲F11 1/100

 中央にいる鳩までの距離は1.5mほどです。掲載した写真ではわかりにくいと思いますが、近距離ということもあり、まずまずの解像度が感じられます。
 また、上の1/3は暗く落ち込んでいるためにわかりませんが、下の両端を見ると光量が低下していることがわかります。

 下の写真は東京都庁の都民広場にある彫像「アダムとエヴァ」です。都民広場には全部で8体の彫像がありますが、そのうちの一つです。

▲F11 1/200

 順光ですので、彫像のディテールも結構よく出ていると思います。アダムの顔の辺りとその後方のリンゴの部分を拡大してみるとこんな感じです。

▲上の写真の部分拡大

 やはりエッジのシャープさはイマイチですが、ここまで写れば文句なしというところでしょう。

 同じく都民広場の彫像の「早蕨」を背後から撮影したのが次の写真です。

▲F5.6 1/50

 彫像に直接の日差しはあたっていませんが、都庁の窓ガラスに反射した光で彫像の輪郭が青く輝いています。彫像の表情がわかるくらいまで露出をかけているので背景が非常に明るくなり、このカメラのレンズにとっては苦手な状況です。都庁にピントは合っていませんが、全体的に霞がかかったようなモヤっとした感じの描写です。

 最近のレンズと比較すると解像度は低く、エッジがシャープになっていないので画全体がふわっとした感じに写りますが、十分に撮影に使えると思います。逆光気味の条件下では厳しい感じですが、その辺りを理解して光の入り方に注意すればひどい状態になるのは避けられます。
 また、レンズのコーティングも今のレンズと全く違うのは明らかで、前玉をのぞき込んだ時、深みのある吸い込まれそうな色合いがありませんので、その影響も大きいと思います。

 なお、距離合わせが目測のため、ピントが甘くなっている可能性もありますのでご承知おきください。

60年以上経っているが十分に使えるカメラ

 今回の試し撮りでは単体露出計を使って露出を設定しました。特に露出オーバーとか露出アンダーということもなく、ほぼ設定どおりの露出で撮影できているので、シャッター速度も絞りも問題なく、正常に機能していると思います。
 また、蛇腹を修復していますが、蛇腹からの光線漏れや裏蓋周辺からの光線漏れも生じていないようです。このカメラ、裏蓋の周辺にはモルトはまったく使われていません。モルトをべたべたと貼り付けて光線漏れを防いでいるよりも個人的には好ましく思います。

 発売から60年以上が経っていますが、手入れをしていけばまだまだ十分に使えそうです。

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 疑心暗鬼で行なった試し撮りですが予想もしていない結果となり、ささやかな満足感とともにほっとした気持ちです。スローな写真ライフを楽しむにはうってつけのカメラかも知れません。
 きちんと写ることも確認もできたので、カメラは本来の持ち主のところに戻っていきました。

(2022年1月19日)

#スプリングカメラ #中古カメラ #リバーサルフィルム

イルフォードもコダックも値上げ! フィルムはどこまで高くなるのか?

 昨年(2021年) 末、銀塩カメラの愛好者にとっては極めて衝撃的なニュースが飛び込んできました。2022年の早いうちに、イルフォードもコダックもフィルムをはじめとした写真用品の値上げをするという内容です。詳細はわかりませんが、今でも十分に高いのに更に高くなるということで、ずいぶん暗い気持ちになったものです。

 2022年1月現在の主なフィルムの価格を調べてみました。いずれも東京の大手カメラ店での実売価格(税込)です。

 【イルフォード 135フィルム(35mm判) 36枚撮り】

   モノクロ HP5(ISO400) 990円
   モノクロ FP4(ISO125) 990円 
   モノクロ DELTA400(ISO400) 1,320円
   モノクロ DELTA100(ISO100) 1,210円
   モノクロ DELTA3200(ISO3200) 1,580円

 【イルフォード 120フィルム(ブローニー判)】

   モノクロ HP5(ISO400) 990円
   モノクロ FP4(ISO125) 990円 
   モノクロ DELTA400(ISO400) 1,150円
   モノクロ DELTA100(ISO100) 1,100円
   モノクロ DELTA3200(ISO3200) 1,370円

 【コダック 135フィルム(35mm判) 36枚撮り】

   モノクロ トライX400(ISO400) 2,120円
   モノクロ T-MAX400(ISO400) 2,270円 
   モノクロ T-MAX100(ISO100) 2,080円
   カラーネガ ColorPlus(ISO200) 1,050円
   カラーネガ PORTRA800(ISO800) 3,060円
   カラーネガ PORTRA400(ISO400) 13,740円(5本パック)
   カラーネガ Ektar100(ISO100) 2,490円
   リバーサル E100(ISO100) 4,110円

 【コダック 120フィルム(ブローニー判) 5本パック】

   モノクロ TRI-X400(ISO400) 11,000円
   モノクロ T-MAX100(ISO100) 7,710円
   モノクロ T-MAX400(ISO400) 11,000円
   カラーネガ PORTRA800(ISO800) 16,180円
   カラーネガ PORTRA400(ISO400) 13,290円
   カラーネガ Ektar100(ISO100) 11,930円
   リバーサル E100(ISO100) 14,700円

 参考までに富士フイルムの価格です。

 【富士フイルム 135フィルム(35mm判) 36枚撮り】

   モノクロ ACROS100Ⅱ(ISO100) 1,040円
   カラーネガ FUJICOLOR100(ISO100) 1,080円 
   カラーネガ SUPERIA PREMIUM 400(ISO400) 1,350円
   リバーサル PROVIA100F(ISO100) 1,760円
   リバーサル Velvia50(ISO50) 2,030円

 【富士フイルム 120フィルム(ブローニー判)】

   モノクロ ACROS100Ⅱ(ISO100) 1,040円
   リバーサル PROVIA100F(ISO100) 5,550円(5本パック)
   リバーサル Velvia50(ISO50) 5,710円(5本パック)

 こうしてあらためてフィルムの価格を見てみると、つくづく高いと感じます。特にコダックの製品が際立っているように思います。極めつけは35mm判リバーサルフィルムのE100で、1本4,000円を超えているという驚くべき価格です。アメリカの人件費高騰による影響が大きいともいわれていますが、実際のところはよくわかりません。
 フィルムの需要が激減している現実からすると致し方ない気もしますが、値上げ幅は20%以上という話しもあり、35mm判のフィルム1本が軒並み2,000円という時代になるのではないかと思わずにいられません。
 もちろん、ここに掲載したフィルム以外に格安の製品がありますので、それらも同様に値上げになるのかどうかはわかりません。

 一方で、若い世代を中心にフィルムカメラを使う人が増えているという話しも聞きます。これまでフィルムカメラなど使ったことがないけど、フィルム写真の雰囲気が良いとか、インスタ映えするとか、フィルムカメラ自体がかっこいいとか、いろいろな理由があるようです。富士フイルムの「写ルンです」の売上げが好調なのも、こういった理由かもしれません。

 理由はともかく、フィルム人口が増えてくれるのはありがたいことです。私もときどき、中古カメラ店に足を運ぶことがありますが、確かに20代くらいの若い人を見かけることが増えた気がします。「これからフィルムカメラを始めたいので」と言って、お店の方に相談しているのを耳にしたことが何度もあります。しかも、女性のお客さんを見かけるようになったのは驚きです。数年前までは、中古カメラ店と言えば中高年以上のおっさんの姿しかなかったのですから。

コンパクトカメラの売行きが好調らしい

 しかし、これからフィルムカメラを始めようとしている方にとって、現在のフィルムの価格はべらぼうな値段に感じるのではないかと思います。加えて、現像料金がかかります。初めてフィルムで撮ろうという人が、いきなり自家現像するというのはゼロではないにしても極めて少数派だと思われますので、現像料金もバカになりません。
 カメラ自体は中古カメラ店でリーズナブルな値段で購入できたとしても、フィルム代や現像代がランニングコストとして重くのしかかってきます。家庭用のインクジェットプリンターとインクカートリッジの値段の関係に似た構図になっています。

 今回掲載した35mm判の中でいちばん安いフィルムを使っても、一回シャッターを押せばフィルム代と現像代を合わせて60円ほどがかかるわけで、最も高いコダックのリバーサルフィルムE100を使いようものなら、1カットあたり160円ほどにもなってしまいます。
 デジタルカメラのように機材を揃えるのに費用はかかっても、その後のランニングコストはほとんどかからないというのであれば気にせずにバシバシ撮れますが、フィルムだとなかなかそういうわけにはいきません。まさに「一球入魂」といった感じでシャッターを押すことになります。
 逆にそれが新鮮でいいという意見をお持ちの方もいらっしゃるようですが、それにしてもランニングコストは安いに越したことはありません。

 フィルム価格の高騰は簡単に言えばフィルム需要が激減しているからなのでしょうが、さらに価格が上がれば需要は一層減り、今でも負のスパイラルに入っているのに、ますます深まってしまいます。
 とはいえ、今の状況で需要が拡大することは到底望めません。フィルムカメラに興味を持つ若い世代の人が増えたといっても、下がってきた需要を回復できるほど多くの人が興味を持ってくれているとも思えません。

 私は主にリバーサルフィルムを使用していますが、ここ数年、消費するフィルムの数が減ってきています。年間に撮影に出かける回数は特に減っておらず、むしろ増えていると思うのですが、使うフィルム数は減っています。
 これは、従来は同じ場所で何カットも撮影したのですが、最近は2カットとか3カット、少ないときは1カットしか撮らないので、結果として消費量が減っているわけです。その理由は、複数カットを撮っても廃棄に回ってしまうものがあってもったいないということと、やはりフィルムの価格が上がったということが大きく影響しています。致し方ないことだとは思いながらも、自分自身も負のスパイラルを加速している一人なんだという思いもあります。

 今回のイルフォードやコダックの値上げのニュースを聞いて思ったのは、このままフィルム価格が上がり続けて、いくらになるまで自分はフィルムを使い続けていられるんだろう、いくらになったらフィルムをあきらめるのだろうということです。例えば、今の価格の2倍になったらあきらめるかというと、そうとも思えません。「もう少し、もう少し...」とあがきながら細々と使い続けているんだろうなと思います、たぶん...

 話は変わりますが、最近、若い女性が二眼レフカメラや中判カメラを首から下げて、街中を歩いている姿を見かけることが多くなりました。たぶん、スナップを撮っているのではないかと思われるのですが、妙にカッコ良くて思わず見入ってしまうことがあります。どんなフィルムを使っているのか、もちろん尋ねたこともありませんが、とても応援したい気持ちになります。
 前出のフィルムに興味を持った若い世代もそうですが、こういう方々がフィルム価格の高騰が理由で、せっかく踏み入れたフィルムの世界から足を洗ってしまうことがないようにと願うばかりです。

二眼レフカメラや中判カメラを持ち歩いている人を見かけることも

 この先フィルムがどうなっていくのか、私などには全くわかりませんが、すぐになくなるとも思えません。市場では中古カメラの価格が下がるどころか、むしろ上がっているようにも感じます。私には不思議な現象に思えるのですが、中古価格の高騰がフィルムの足を引っ張ることにならなければ良いがと思っています。

 それにしても値上げは痛い! これ、本音です。

(20221年1月14日)

#イルフォード #ILFORD #コダック #KODAK

マグネット式 角型フィルターホルダーの作成

 風景撮影には欠かせないフィルターの一つに「ハーフNDフィルター」があります。例えば、画面の上半分と下半分の明暗差が大きいとき、明るい方にNDがかかるようにして使うわけですが、そのため、通常のフィルターのように円形ではなく、上下(もしくは左右)に移動できるよう、主に長方形をしています。
 円形のフィルターのように直接レンズの前枠にねじ込むというわけにはいかず、まずはフィルターホルダーをレンズに取付け、フィルターホルダーに設けられている溝にこの角型フィルターを差し込みます。
 これが結構面倒くさく、少しでも手間が省けるようにということで、マグネットでフィルターを保持するホルダーを作ってみました。

角型フィルターの両側面を磁石の力で保持

 角型フィルターをより簡単に取付けができるよう、マグネット式やバネ式などのホルダーがいろいろ市販されていますので、そういったものを購入すれば済むのですが、現在保有している角型フィルターに専用のアダプターを取付けたり何かと費用が嵩んでしまいます。そこで、できるだけ低コストで保有しているフィルターを使えるようにということで、マグネット式を採用することにしました。

 今回作成する角型フィルターホルダーのイメージはこんな感じです。

 ホルダー自体はアクリル板とプラスチック板で自作しますが、レンズの前枠にはめ込むところはケンコー製のアダプターリング(82mm)を使います。これは、今まで使ってきたフィルターホルダー用のもので、それをそのまま流用します。
 私が使っている角型フィルターは100mmx150mmサイズのものがほとんどで、前枠径が大きなレンズや画角の大きなレンズでも対応できますが、非常に短焦点のレンズでフィルターを使うというような場合、フィルターホルダーにケラレてしまうことがあります。
 そのため、フィルターホルダーの厚みはできるだけ薄いのが理想的で、2枚重ねるときでもフィルターが密着する方が望ましいので、マグネット式にしました。さすがに角型フィルターを3枚重ねることはないと思われるので、2枚まで対応できるものとしました。

 角型フィルターの厚さは2mmしかないので、これを両側面からマグネットで支えるために、磁力が強いネオジム磁石を使用することにしました。

フィルターホルダー本体の構造

 フィルターホルダー本体はできるだけ薄く、かつ軽くしたいため、厚さ2mmのアクリル板を組み合わせて作ります。

 厚さ2mmのアダプターリングを差し込むための溝を持った構造になっています。アダプターリングを差し込んだ状態で、ホルダー本体は自由に回転させることができます。
 今回使用するアダプターリングの外形は108mmですので、これを受けるホルダー本体の溝幅も108mmということになりますが、0.5~1mmくらい広めにしておいた方がアダプターリングの差込みがスムーズにできます。

 各パーツはアクリル樹脂用接着剤(有機溶剤)で接着します。
 ホルダー本体をくみ上げ、艶消し黒の塗装をした状態が下の写真です。上側がフィルムホルダー、下側がアダプターリングです。

▲角型フィルターホルダー本体とアダプターリング

 ホルダーの手前側の左右に溝(スリット)が見えると思いますが、ここにアダプターリングが入ります。

 ホルダー本体にアダプターリングを差し込むとこんな感じです。

▲フィルターホルダー本体にアダプターリングを挿入した状態

 因みに、裏側はこのようになっています。

▲フィルターホルダー本体の裏側

 アダプターリングには82mm径のオネジが切ってあり、これをレンズの前枠にねじ込みます。

フィルターを支えるマグネットの取付け

 ホルダー本体の左右の内側にフィルターを支えるためのマグネットを取付けるのですが、今回使用するマグネットは直径5mm、厚さ2mmのネオジムマグネットです。左右それぞれ18個ずつをアクリル板に接着します。
 アクリル板の厚さは2mmありますが、このままだとフィルターをはめ込む幅が100mmになってしまいますので、アクリル板を0.1mmほど削ります。平ヤスリの上にアクリル板をのせて、20~30回ほど擦ると板厚が1.9mmほどになります。1.9mmを若干下回るくらいの厚さが望ましいです。

 マグネットをアクリル板に接着した状態が下の写真です。

▲ネオジムマグネットをアクリル板に接着

 このパーツをホルダー本体に仮止めして、マグネット間の幅をノギスで測ってみて、100.2~100.3mmに納まっていればOKです。これよりも狭い場合は、アクリル板をもう少し削ります。削りすぎるとマグネット間の幅が広くなって、磁力の影響が弱まってしまいますので要注意です。

 これをホルダー本体の内側に取付ける(仮止め)とこのようになります。

▲フィルターホルダー本体にマグネットを取付け(仮止め)た状態

 この段階では仮止めにしておきます。ホルダーに接着してしまうと、あとで微調整ができなくなってしまいます。

角型フィルター側面にステンレス板を接着

 次に、角型フィルターをホルダーのマグネットで保持するため、フィルター側面にステンレス板を張り付けます。使用するのは厚さ0.1mmのステンレス板、というよりステンレスシートです。裏面に粘着シールがついているタイプであれば、あらためて両面テープを張らなくても済むので便利です。
 また、磁石に着く材質でなければならないので、「SUS430」という素材のステンレスを使います。「SUS304」というステンレスも出回っていますが、こちらは磁石に着きません。

 ご存じのようにステンレスは硬いですが、厚さが0.1mmですのでハサミやカッターナイフで簡単に切れます。ただし、ハサミで切るとステンレスが反ってしまいますので、カッターナイフで切るのがお勧めです。
 角型フィルターの厚さと同じ2mm幅、長さはフィルターより10mmほど短かく切ります。そして、このステンレス板を角型フィルターの側面に張り付けます。

 実際に張り付けた状態が下の写真です。

▲角型フィルターの側面に、厚さ0.1mmのステンレス板を張り付けた状態

 この状態で角型フィルターの幅を測ってみます。計算上は100.2mmをわずかに上回ることになります。
 そして、この値と、前で測定したマグネット間の幅を比較して、マグネット間の幅の方がわずかに(0.05~0.1mm)広いことを確認します。もし、マグネット間の幅の方が狭い場合は、マグネットを接着したアクリル板を少し削ります。

 ステンレス板を着けた角型フィルターをホルダーに嵌め、ホルダーを立てた時に角型フィルターがずり落ちないことを確認します。また、ピッタリしすぎているとはめ込みや取り外しの際に力がかかり過ぎてしまいますので、適度な力で取り外しできる状態であることも確認します。

マグネットをホルダーに接着

 以上の確認が済んだら、マグネットを着けたアクリル板をホルダーに接着します。これで完成です。
 
 実際にレンズに取付けるとこんな感じです。

▲PENTAX67に角型フィルターホルダーを取付けた状態

 マグネットはかなり強力なので、少々の風や振動などでフィルターが外れてしまうというような心配はなさそうです。
 ハーフNDフィルターのようにファインダーを覗きながらフィルターの位置を動かす場合も、フィルターの片側を少し持ち上げることで簡単に上下することができるので便利です。

 私が保有している角型フィルターはすべてアクリル製なので非常に軽いですが、重いガラス製の角型フィルターでも問題なく保持できそうです。
 ただし、万が一、落ちてしまって割れたり傷がついたりということが心配であれば、マグネットを少し大型(強力)なものにすれば問題ないと思いますが、そうするとホルダー自体も少し大きく、重くなってしまいます。

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 今回、このホルダーを作成するのにかかったコストですが、アクリル板は以前使った端切れなのでコストはかかっていませんが、新たに購入しても300~400円くらいです。ネオジムマグネットは100個で550円でした。そして、いちばんお高かったのがステンレスシートですが、30cmx90cmサイズで1,400円ほどでした。実際に使うのは端の方のほんのわずかな部分です。
 年末年始で家にいる時間が長かったので作ってみましたが、近いうちに撮影で使ってみたいと思います。実際に使ってみるといろいろな問題も出てくるかもしれませんが、使用レポートは別の機会にしたいと思います。

(2022.1.3)

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