フィルム写真をやっていると当然のことながら撮影済みのフィルム(ポジやネガ)が溜まっていきます。フィルム1枚は薄いし軽いのですが、数が増えるとその量や重さも半端なく、保管するにも物理的に場所をとります。このあたりがデジタル写真との大きな違いでもあります。
どんどん増えていく撮影済みフィルムの保管とその管理をどうするか、これはフィルム写真をやっていく上での永遠のテーマのようにも思えます。
フィルムの保管の仕方や管理方法はみなさん工夫をされていると思いますし、これまで私もいろいろ試行錯誤してきました。しかし、なかなか最適解が見つからずにいますが、現在、私が行っている管理方法について触れてみたいと思います。多少なりとも参考になれば幸いです。
フィルムは整理しすぎない方が良い?
日頃、私が使っているフィルムは大判(4×5判)と中判(ブローニー)がほとんどですが、かつては35mm判もかなり使っていました。リバーサルフィルムがいちばん多いのですが、モノクロフィルムやわずかですがカラーネガフィルムもあります。
35mm判と4×5判ではフィルムの大きさも随分違いますし、当然、保管の方法も異なります。
大判や中判の中でも大切なコマは中性紙に挟んで保管していますが、1コマずつのスリーブに入れて保管しているものもあります。35mm判は6コマずつのスリーブに入れたり、マウントしてあるものもあります。
以前は、、35mm判も大判もできるだけ同じ方法で保管する方が管理もし易いと思い、スリーブやホルダーを統一したり、保管場所(キャビネット)を厳密に決めたりいろいろトライしてみたこともありますが、ほどなく行き詰まりを感じてしまいました。保管するための物理的なスペースの問題やコストの問題もさることながら、手間がかかりすぎるのと使いにくいということがいちばんの理由でした。
そんな紆余曲折を経ながら、整理しすぎないことがいちばん良いのではないかという結論に達しました。
今は、大判や中判はコマ単位にスリーブに入れたり中性紙に挟んだりしていますが、大きさや種類もバラバラですし、35mm判は6コマごとのスリーブのままというのが圧倒的に多いです。
保管も以前のようなホルダーは使わず、お菓子の入っていた箱など、身近にある適当なものを再利用しています。その方が保管効率がはるかに高いと思っています。
急に思い立って押し入れの中を整理し、奥の方から隙間なく詰め込んでいったら綺麗に収まったけど、どこに何があるかわからなくなり、取り出したくても取り出せなくなったという状況によく似ています。
保管するなら管理が必要
しかしながら、整理をほどほどにしておく場合は管理をしっかり行わないと活用できなくなってしまうという問題があります。
撮影済みのフィルムの量が少ないうちは全貌が把握できているので管理するまでもありませんが、量が増えてくると頭の中だけで把握するのは無理があります。紙でもEXCELでも構いませんが、台帳のような方式で管理してもやはり限界があります。
今、私の手元に残っている撮影済みフィルムは、コマ数でいうと20万コマを軽く超えています。ここまでくるとEXCELでも手に負えません。
写真というのは他人からすればつまらないものであっても、自分が撮ったものは簡単には捨てられないものです。撮影から3年を経過したら廃棄する、というようなことができれば悩まずに済むのですが、なかなかそういうわけにもいきません。
ですが、捨てられずに保管をしておいても、使わない、あるいは使えないのであれば、そもそも保管をしておく意味がありません。撮影済みのフィルムを捨てられないのは、いつか使うかもしれない、何十年後かにまた見てみたい、というような思いがあるからではないかと思いますし、大切な思い出や記録をそう簡単に捨てられるわけがないということでしょう。
また、仮に電子データ化したとしても、フィルムは捨てられないと思います。
私もそのような思いをもっていますし、私の場合、過去に撮った写真を使うことが割と多くあります。オリジナルカレンダーやポストカードを作ったり額装して壁にかけたり用途は様々ですが、いずれも大量のストックの中からお目当てのコマを探し出さねばなりません。それも、できるだけ迅速に簡単に。
一生使わないのであればともかく、使う可能性があるのであれば保管してあるフィルムを管理することがどうしても必要になります。
自作の管理ツールで撮影済みフィルムを一括管理
そんなわけで、効率的な管理の必要性を痛感し、ずいぶん前になりますが撮影済みフィルムの管理ツールを作り、今はそれを使って管理しています。
私が使っている管理ツール(名前はありません)は、RDBMS(リレーショナルデータベース)にコマ単位で写真の情報を登録し、それをいろいろな条件で検索できるようにしているという非常にシンプルなものです。個人が使うレベルであればRDBMSやアプリケーション開発用の環境なども無償で入手できるものがたくさんあるので、多少の手間がかかるだけでコストはほとんどかかりません。
因みに私が使っているRDBMSはオープンソース・データベースで最もポピュラーな「My SQL」で、アプリケーションは「Visual Studio」で作っています。どちらも無償です。
無償と言っても個人が使うには十分すぎる機能や性能があり、数百万件の中から指定された条件で抽出するというようなことは瞬時にやってのけます。
また、データベースに登録できる件数はサーバ(ハードディスク)の容量に左右されますが、画像データを含めなければ数千万件くらいは物ともしません。
実際に使用している管理方法を簡単にご紹介しますが、まず、撮影済みフィルムを管理するために以下のような項目を用いています。
・コマの固有番号やタイトル
・保管箱の番号
・撮影に用いた機材
・撮影データ(絞りやシャッター速度、フィルムなど)
・撮影日時
・撮影場所
・写真のカテゴリー
これらの項目を入力したり参照したりするために、Visual Studioで作成した以下のような画面を使っています。
フィルム(コマ)を入れたスリーブには固有番号を書き込み、それを保管箱に入れて保管します。
固有番号は自由につけることができますが、それとは別に管理ツールが自動で採番する番号(Seq-No)もあるので、どちらを使っても構いません。
「タイトル」はいわゆる作品につけるタイトルではなく、どのような写真かがわかるような説明文です。
また、青い入力フィールドは直接入力しなくても、その左側にある黄色の入力フィールドに入れると自動的に入るようになっています。例えば、撮影地(上の例では「白川郷」)を入力すると、白川村、岐阜県、日本が自動的に入るようにしています(もちろん、個別に入力することもできます)。
写真のカテゴリーは全部で8項目まで入力できるようにしていますが、これは非常に自由度の高い項目です。当該のコマがどのようなカテゴリーなのかを登録するのですが、例えば、「風景」とか「スナップ」、「桜」、「渓谷」、「街並み」、「夏」、「人物」など等、その写真をある程度分類できるような項目を入れるようにしています。
これは検索のときにとても効果を発揮してくれ、目的の写真を見つけ出すのに非常に役立っています。
例えば暑中見舞いのポストカードに海の写真を使いたいというような場合、「海」、「風景」などといったカテゴリーを入力して検索すると、それに該当したコマを一覧で表示することができます。
また、カテゴリー以外もすべて検索条件として使用でき、北海道で冬に撮影した写真を検索したいような場合は、撮影都道府県を「北海道」、季節を「冬」と入力して検索すると該当するコマの一覧が表示されます。
そして、表示された一覧の中からコマを選択すると、登録されている写真の情報や、画像データがある場合はサムネイルが表示され、お目当てのコマがどの箱に保管されているかがわかりますので、その箱の中から固有番号(コード)のコマを探せばよいことになります。
箱によって保管するフィルムの種類を決めることはせず、一つの箱に大判も中判も35mm判も同居しています。その方が整理の手間がかからずに済みます。
前の方にも書きましたが、撮影済みフィルムを保管している箱は適当な空き箱を使っており、大きさもまちまちですが、あまり大きなものは使っていません。箱に通し番号を書き込んでおいて、その番号をコマ情報の一項目として入力します。
管理ツールの入力画面でもわかるように、撮影したコマごとに入力する情報は結構たくさんありますが、すべての項目を入力しなければならないわけではありません。
また、固有番号とタイトル以外の項目はあらかじめ登録されたマスタデータの中から選択する方式なので、手入力する手間も省けます。
なお、保管する箱の番号は必ず入れておかないと保管場所が特定できず、管理ツールに登録する意味が半減してしまいます。
フィルムの検索履歴や使用履歴も重要な情報
このようにフィルムを管理していると、検索に引っかかったコマの履歴がわかります。そのコマが何に使われたかまでは記録していませんが、そのデータもとれるようにしておけば使用履歴もわかるようになります。その使用履歴がわかると、あの時使ったコマをまた使いたいというような場合、とても効率的に探し出すことができます。
自作の管理ツールですので、時間のある時にでも機能改善したいと思っています。
しかし、こうした便利機能もデータがあってこそです。簡単な仕組みで結構便利だと自分では思っているのですが、登録してあるデータベースが消えたら目も当てられません。少々の障害なら修復できるのですが、例えばサーバのハードディスクがお亡くなりになられたりするともうお手上げです。
そうならないようにバックアップなどの対策は必要になります。
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撮影済みのフィルムはじわじわと増え続け、気がついたら手に負えなくなっていたなんてことは容易に起こりえます。デジタルにすればこういった悩みのいくつかは解消されますが、せっかくのフィルム写真ですから、死蔵品とならないように活用していきたいと思います。
もっとも、デジタルにしたところで、データをどうやって保存していくかという悩みは残っていくと思いますが。
(2022.4.29)