アサヒカメラが休刊

 先日、新宿の大型の本屋さんに立ち寄ったところ、カメラ雑誌のコーナーに「アサヒカメラ」の7月号(最終号)がビニール袋に入った状態で、再入荷と書かれて並んでいました。アサヒカメラは7月号をもって休刊になってしまいましたが、創刊は1926年(大正15年)らしく、94年もの長きにわたり発刊され続けてきたのかと思うと感慨深いものがあります。

 私が初めてアサヒカメラを手にしたのは、確か学生の時だったのではないかと思います。私はどちらかというと日本カメラの方を好んで購入しておりましたが、記事の内容によってはアサヒカメラを購入することもありました。昔は毎月のように購入してましたが、いつの頃からか購入頻度が減り、ここ数年は年に数回程度しか買わないかといった状況でした。
 何故買わなくなってしまったのかと振り返ってみると、デジタルカメラの普及に伴い、雑誌の記事もデジタルカメラ、デジタル写真に移行していったわけですが、それに伴って私の購入頻度も徐々に減っていった気がします。フィルムにこだわっていた私にとって、銀塩写真やフィルムカメラに関する記事が少なくなっていくことで、雑誌に対する興味が薄れていったのかもしれません。

 いま手元に残っている最も古いアサヒカメラは2004年の8月号です。定価は840円(税込)で、特集記事は「銀塩もデジタルもプリントを極める」となっています。今のアサヒカメラに比べると紙質も厚く、広告ページがかなりあります。巻末のほうの中古カメラ店の広告ページを楽しみにしていた記憶があります。デジタルに関する記事や広告もだいぶ増えていますが、まだ銀塩やフィルムに関する記事のほうが多い感じです。

 2010年頃までは発行部数も5万部以上あったらしいですが、それ以降は徐々に減って、2万部まで落ち込んでしまったようです。アサヒカメラに限らず、書籍や雑誌、新聞など紙媒体の刊行物は減少の一途をたどっていますが、アサヒカメラが何故そこまで発行部数が減ってしまうのか、納得のいく理由が今一つわかりません。デジタル化は大きな原因かもしれませんが、一方でこれだけ多くのカメラ・写真人口がいるのに、何故アサヒカメラのような雑誌を読む人が減ってしまうのでしょうか?カメラや写真に関する情報を得ようとする人が減少傾向にあるのではないかと思ってしまいます。

 カメラがあまりにも普及してしまい、誰でも簡単にきれいな写真が撮れるようになったため、カメラという機械が特別なものではなくなってしまったからなんでしょうか?かつてのカメラは庶民にとって特別なものであり、それゆえにカメラにも写真にもその人なりの拘りがあったと思うのですが、あまりにも身近になりすぎて、そういう拘りを持つ人が減ってきているのかもしれませんね。

 アサヒカメラが創刊された1926年(大正15年)はカール・ツァイス財団によってツァイス・イコン社が設立された年だそうです。ツァイス・イコンによって世界で初めてといわれるスプリングカメラの「イコンタ」が世に送り出されたのが1929年ですから、遡ること3年も前にこの雑誌が創刊されたということを思うと、創刊した方の見識の高さというのか先見の明というのかよくわかりませんが、驚きを隠せません。

 廃刊ではなく「休刊」とのことですので、またいつの日か復活してくれることを願ってやみません。

(2020.6.30)

#アサヒカメラ #カメラ業界

大判カメラ リンホフマスターテヒニカで撮る払沢の滝(東京都檜原村)

 明日からしばらく雨の日が続きそうとの予報でしたので、急に思い立ち、檜原村にある払沢の滝に行ってきました。
 新型コロナ感染拡大抑止対策のための県境を越えての移動自粛が解除されたとはいえ、東京から出ることに気を使ってしまいます。檜原村の方からすれば、同じ東京とはいえ都心方面からは来てほしくないという気持ちもあろうかと思いますが、なるべく人と接しないように気をつけながら行くことにしました。

東京で唯一、日本の滝百選に選ばれている落差62mの滝

 東京の滝では唯一、日本の滝百選に選ばれている払沢の滝を訪れるのは2年ぶりです。都心から車で1時間半ほど。平日のせいもあり、駐車場には2台の車が止まっていただけでした。雨は降らない予報でしたが、霧雨のような雨が降っていたのでしばらく車の中で待機。30分ほどで雨も上がり、空が明るくなってきたので滝に向かいます。今日は大判カメラでの撮影です。駐車場から滝まではゆっくり歩いても15分ほど。きれいに整備された遊歩道があるので歩くのも楽です。滝に向かって遊歩道の左手側が深い渓谷になっています。
 途中、下ってくるカップルに出会いましたが、滝についたときには誰もいませんでした。雨が続いていたせいか、滝の水量も多いように感じます。落差62メートル、4段になって落ちる滝らしいのですが、ほとんど最下段しか見えません。下から2段目が木の間からわずかに見える程度です。

 下の写真は滝から少し離れ、手前に滝つぼからの流れを入れてみました。風はほとんどなかったのですが、やはり4秒の露光ですので木の葉がぶれています。手前の岩にもピントが来るようにカメラのバック部をあおっています。
 縦位置で90mmレンズを使うとカメラのレールが写り込んでしまうので、フロントを少しライズさせなければなりません。

▲Linhof MasterTechnika 45 Schneider SuperAngulon 90mm 1:8
                   F32 4s PROVIA100F

 滝を訪れる人も徐々に増えてきたので、滝を3カット撮って下流に移動です。

小さいながら、趣のある滝も

 下の写真は落差50cmほどの小滝です。落差の割には深い滝つぼです。雨に濡れて黒く引き締まった岩の表情が綺麗でした。岩が白っぽくならないように、アンダー気味の露出設定にしました。少しだけフロントティルトのあおりをかけています。
 この小さな滝、妙に人気があるようで、この滝をバックにスマホを使って自撮りしている人がたくさんいました。

▲Linhof MasterTechnika45 ApoSymmar 150mm 1:5.6 F22 8s PROVIA100F

 ここから下流は渓谷が深くなって降りていくこともできないので、渓流の写真はここまでです。もう少し下流に忠助淵というところがあるのですが、この時期は木の葉が茂っていて見通しがききません。
 少し前まで雨が降っていたのと、曇っているため柔らかな光が綺麗に回り込んでいて、遊歩道沿いの木々の緑がとても鮮やかです。遊歩道脇のドクダミの花も満開で、薄暗い森の中に小さな明かりが灯っているようです。

雨に濡れた緑が美しい

 下の写真は遊歩道沿いの杉林です。雨に濡れて褐色になった杉の幹と木々の葉っぱの緑のコントラストがとても美しいです。もう1/2段ほど露出をアンダーにしたほうが雰囲気が出たかもしれませんが、そうすると葉っぱの緑が濁ってしまい、難しいところです。

▲Linhof MasterTechnika45 Schneider ApoSymmar 180mm 1:5.6 F32 8s PROVIA100F

 この後、杉の幹に絡むボタンヅル等を撮り、駐車場に戻りました。駐車場に戻ったのが午後1時過ぎ。約3時間の撮影行で、本日の撮影は大判(4×5)フィルムで8カットでした。
 出発するときは全部で3台しか止まっていなかった車が、帰ってきたときには10台ほどになっていました。
 帰路、八王子にある道の駅に立ち寄り、野菜や果物を買い求めました。この道の駅は地元産の野菜や果物がたくさんあるため、平日でも結構混んでいます。
 その後は新宿に直行し、本日撮影したフィルムを現像に出してきました。

(2020.6.24)

#檜原村 #払沢の滝 #渓流渓谷 #リンホフマスターテヒニカ #Linhof_MasterTechnika

ギャラリー【裏磐梯彩景】

 福島県磐梯山の北側に広がる裏磐梯一帯は、とても好きな撮影地の一つです。磐梯山の噴火によって作られたたくさんの湖沼群、そしてそれを取り囲む山々。訪れるたびに様々な表情を見せてくれるとても魅力的な場所です。

#裏磐梯 #プロビア #PROVIA

ギャラリー【桜さくら】

 桜には不思議な魅力があります。毎年、3月の声をきくと桜の開花が待ち遠しくなり、そわそわした気持ちになります。全国には有名な桜の名所や一本桜があり、そういった桜を見るのも楽しみですが、人知れずひっそりと咲く桜に出会った時の喜びも格別です。

#桜 #プロビア #PROVIA