四つ切が減った?

 写真の楽しみ方は人それぞれだと思いますが、私は撮った写真を大きく伸ばして額装しています。最低でも四つ切、多くは半切や全紙にプリントして額装しています。
 写真は大きく引き伸ばすと全く別物になります。私のようなへっぽこな写真でも四つ切に伸ばして額装するだけで、著名なフォトグラファーが撮った写真ではないかと思えてしまいます(誤解のないように付け加えますが、あくまでも自己満足の世界です)。

 写真の額は各社から様々なものが出ていますが、マット紙の縁の幅が大きい(ワイドマットタイプ)額のほうが写真が映えます。四つ切の額の場合、多くの製品はマット紙の縁の幅が35mmくらいです。このような額だと2,000円前後という比較的手ごろな値段で購入できますが、マット紙の幅が倍くらいあるワイドマットタイプの額になると価格は3倍以上になります。しかし、同じ写真を額装しても見栄えが全く異なります。つまり、私のようなへっぽこな写真でも立派に見えるということです。

 ところが近年、額縁を購入しようとしてネットで検索したり大手のカメラ店に行っても、四つ切の額縁の種類が極めて少なくなっている気がします。代わりに増えているのがA4とかワイド四つ切です。多分これは、35mmカメラのアスペクト比に近いことが理由ではないかと思われます。四つ切はアスペクト比が1:1.2くらいなので、35mmカメラの1:1.5で撮った写真だと左右が大きくカットされてしまいます。私が使っているカメラは67判や4×5なので、四つ切はフィルムのアスペクト比と近いので、伸ばしてもしっくりくるわけです。

 写真のアスペクト比については人それぞれの好みだと思いますし、写真として仕上げるのにやりやすい比率があると思います。
 それと、これは人間の目の錯覚なのかもしれませんが、同じアスペクト比でも縦位置と横位置では、縦位置のほうがアスペクト比が大きく感じます。ですので、35mmカメラで撮った縦位置の写真はとても縦長に感じてしまいます。

 講釈はともかく、私にとって四つ切の額縁のバリエーションが減ってしまっているのは悲しいことです。額縁はなんでもいいというわけではなく、やはり写真が映えることが重要です。特に私のようなへっぽこ写真の場合、額縁の果たす役割は極めて大きいのです。額装する写真によって似合う額縁、似合わない額縁がありますが、個人的には主張しすぎない額縁が好きです。具体的には額縁のフレームが太すぎない、色が目立ちすぎないというのが好みです。額縁のフレームが目立ちすぎると、額装した写真よりもフレームに目が行ってしまいます。額縁に負けない写真を撮ればいいじゃないかと言われればそれまでですが、額縁によって写真を引き立ててもらうのも、へっぽこフォトグラファーのへっぽこたる所以です。

(2020.7.6)

#額装

アサヒカメラが休刊

 先日、新宿の大型の本屋さんに立ち寄ったところ、カメラ雑誌のコーナーに「アサヒカメラ」の7月号(最終号)がビニール袋に入った状態で、再入荷と書かれて並んでいました。アサヒカメラは7月号をもって休刊になってしまいましたが、創刊は1926年(大正15年)らしく、94年もの長きにわたり発刊され続けてきたのかと思うと感慨深いものがあります。

 私が初めてアサヒカメラを手にしたのは、確か学生の時だったのではないかと思います。私はどちらかというと日本カメラの方を好んで購入しておりましたが、記事の内容によってはアサヒカメラを購入することもありました。昔は毎月のように購入してましたが、いつの頃からか購入頻度が減り、ここ数年は年に数回程度しか買わないかといった状況でした。
 何故買わなくなってしまったのかと振り返ってみると、デジタルカメラの普及に伴い、雑誌の記事もデジタルカメラ、デジタル写真に移行していったわけですが、それに伴って私の購入頻度も徐々に減っていった気がします。フィルムにこだわっていた私にとって、銀塩写真やフィルムカメラに関する記事が少なくなっていくことで、雑誌に対する興味が薄れていったのかもしれません。

 いま手元に残っている最も古いアサヒカメラは2004年の8月号です。定価は840円(税込)で、特集記事は「銀塩もデジタルもプリントを極める」となっています。今のアサヒカメラに比べると紙質も厚く、広告ページがかなりあります。巻末のほうの中古カメラ店の広告ページを楽しみにしていた記憶があります。デジタルに関する記事や広告もだいぶ増えていますが、まだ銀塩やフィルムに関する記事のほうが多い感じです。

 2010年頃までは発行部数も5万部以上あったらしいですが、それ以降は徐々に減って、2万部まで落ち込んでしまったようです。アサヒカメラに限らず、書籍や雑誌、新聞など紙媒体の刊行物は減少の一途をたどっていますが、アサヒカメラが何故そこまで発行部数が減ってしまうのか、納得のいく理由が今一つわかりません。デジタル化は大きな原因かもしれませんが、一方でこれだけ多くのカメラ・写真人口がいるのに、何故アサヒカメラのような雑誌を読む人が減ってしまうのでしょうか?カメラや写真に関する情報を得ようとする人が減少傾向にあるのではないかと思ってしまいます。

 カメラがあまりにも普及してしまい、誰でも簡単にきれいな写真が撮れるようになったため、カメラという機械が特別なものではなくなってしまったからなんでしょうか?かつてのカメラは庶民にとって特別なものであり、それゆえにカメラにも写真にもその人なりの拘りがあったと思うのですが、あまりにも身近になりすぎて、そういう拘りを持つ人が減ってきているのかもしれませんね。

 アサヒカメラが創刊された1926年(大正15年)はカール・ツァイス財団によってツァイス・イコン社が設立された年だそうです。ツァイス・イコンによって世界で初めてといわれるスプリングカメラの「イコンタ」が世に送り出されたのが1929年ですから、遡ること3年も前にこの雑誌が創刊されたということを思うと、創刊した方の見識の高さというのか先見の明というのかよくわかりませんが、驚きを隠せません。

 廃刊ではなく「休刊」とのことですので、またいつの日か復活してくれることを願ってやみません。

(2020.6.30)

#アサヒカメラ #カメラ業界