エプソン EPSON GT-X970 フラットベッドスキャナ

 もっぱらフィルムでの撮影をしている私にとって、スキャナはなくてはならない存在です。現像からあがってきたフィルムをパソコンに取りむためには、スキャナを使わざるを得ません。

GT-X970

 私が使っているスキャナはEPSON GT-X970というフラットベッド型のスキャナで、もう10年以上使っています。筐体は結構でかいです。フィルム専用のスキャナというわけではありませんが、私はフィルムスキャン以外にはほとんど使ったことがありません。フィルム専用のほうが性能的にも優れているとは思いますが、私が使っているフィルムはブローニーやシートフィルムが主体であるため、それ用のフィルム専用スキャナなどは高額すぎて手が出せません。

EPSON GT-X970

ブローニー用フィルムホルダー

 GT-X970はすでに製造が終了し、現在は後継機のGT-X980になっています。光源がLEDになったりアンチニュートンリングガラスを採用したり、随所でバージョンアップされているようですが、一度にスキャンできるフィルムの枚数が減ってしまっているのが残念な点です。GT-X970はフィルムサイズに応じて専用のフィルムホルダーが用意されており、1回のスキャンで66判で6コマ、67判~69判だと4コマ、4×5だと2コマまで可能です。私は35mmフィルムはあまり使いませんが、35mmのスリーブだと1回で24コマのスキャンができるので、大量に取り込む方にとってはありがたいと思います。

EPSON GT-X970 ブローニーフィルムホルダー

フィルムスキャンを依頼した場合の費用

 撮影したフィルムのすべてをスキャンしてデジタル化しているわけではありません。額装するために大きくプリントするものや、経年劣化させたくないものなどをデジタル化して保存しています。専門の業者さんにお願いした方が機器も技術も格段に優れているのでしょうが、いかんせんコストがかかりすぎます。例えば、富士フィルムが提供しているスキャンサービスだと、ブローニーを1,000万画素でお願いした場合、1コマ550円もかかってしまいます。ブローニー(67判)を1,000万画素ということは1,280dpiほどであり、大伸ばしする際には解像度が低すぎます。
 67判のポジから半切(356mmx432mm)サイズにプリントする場合、印刷時の解像度を600ppiにしようとすると約8,700万画素必要であり、これはフィルムを約4,000dpiでスキャンしなければならないということです。プリントには半分の300ppiでも印刷品質の違いは多分わからないのではないかと思いますが、仮に300ppiで印刷するにしても、約2,000dpiでのスキャンが必要になります。

GT-X970のスキャン時間

 というような事情で、とにかく手間がかかるのですが自分でスキャンしているわけです。保存用には6,400dpiでスキャンし、TIFF形式でファイリングしています。そんな解像度は必要ないと思われるかもしれませんが、いろいろ加工したり、また将来どのような使い方をするかわからないからということと、何といっても6,400dpiでスキャンしたポジは細部に至るまで見事に再現されているということが理由です。
 しかし、67判1コマを6,400dpiでスキャンすると、その画素数は約2億5,000万画素になり、これをTIFF形式にするとファイルサイズは1.4GBを越えてしまいます。3,200dpiと6,400dpiの比較をしてみると以下の通りです。
            <3,200dpi>   <6,400dpi>
  スキャン時間     3分10秒    5分40秒    ※DIGITAL ICE はオフ
  画素数        6,200万    2億4,700万
  ファイルサイズ(TIFF) 350MB     1.48GB

 他のフラットベッド型スキャナでフィルムスキャンを行なったことがないので比較して論ずることはできませんが、私ような使い方をしている限りにおいて、このGT-X970は十分な性能があると思います。ただし、スキャンの解像度を上げた場合、ピントのズレが目立ってきます。これに関してはたくさんの方が投稿されております。機器により個体差があるようですが、スキャナのガラス面からフィルム面までの距離によってピントの合い方が異なるということは共通しているようです。

フィルムホルダーの嵩上げで画像がシャープに

 私も自分のスキャナで試してみましたが、ブローニー用のフィルムホルダーの場合、1.2mm嵩上げした時に最もシャープな画像が得られました。一方、4×5用のフィルムホルダーの場合は全く嵩上げしない状態で最もシャープになりました。3mmくらい嵩上げした時が最もシャープになるというような記事もありますので、かなり個体差があるのかもしれません。
 ちなみに、フィルムホルダーのスペーサーの向きを変えることで若干の嵩上げはできるのですが、スペーサーだけで1.2mmは上げられないため、私は1.2mmの板を張り付けて嵩上げしています。

EPSON GT-X970 ブローニーフィルムホルダー 1.2mm 嵩上げ

 このスキャナはお手軽にスキャンができる全自動モードやホームモードと、細かな設定ができるプロフェッショナルモードがありますが、フィルムのスキャンにはプロフェッショナルモードを使います。カラーバランスやカラーパレット、ヒストグラムの調整などができます。標準の設定から大きく変更することはあまりありませんが、フィルムをスキャンする時点では可能な限り、ポジ原版に忠実な状態にしたいと思っていますので、若干の調整を行なうことはあります。私のスキャナはマゼンタ系が強くでる傾向がありますので、カラーバランスを調整することが比較的多いです。できるだけポジをライトボックスで見たときに近い状態でスキャンしたいという理由です。

フィルムスキャナの将来は?

 フィルムスキャンに限らず、今の時代、スキャナの需要はかなり低いと思われます。私のようなフィルムに拘っている輩からすると、フィルムスキャナがなくなってしまうと、モノクロは自分でプリントできますが、ポジのプリントやデジタル化はお店にもっていかざるを得なくなります。ポジやネガをデジカメでデュープする方法もありますが、やはり画質が落ちてしまいますし、スキャナ並みの画質を得ようとするとかなりの手間がかかってしまうので積極的になれません。
 そんなマイノリティーにとって、今でもフィルムスキャナが製造販売されているということは言葉では言い表せないくらいありがたいことです。メーカーさんにとって、マイノリティーのためにスキャナを製造販売したところで、採算は取れていないのではないかと思いますが、継続していただけることを願うばかりです。

(2020.8.7)

#スキャナ #エプソン #EPSON

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