第209話 写真をプリントするということ プリントしてこそ「写真」という思い

(2026.7.1)

#写真観 #額装

第208話 ケントメア KENTMEREのモノクロフィルム PAN 100の使用感とリバーサル現像

 あらためて説明するまでもありませんが、ケントメアはイングランドにあった写真フィルムなどの感光材料を製造販売する会社でしたが、2007年にハーマンテクノロジー社に買収され、現在はその傘下のケントメア・フォトグラフィックとして白黒写真に関する事業を継続しています。
 ハーマンテクノロジーは、2004年に破産したイルフォードも取り込み、イルフォードブランドとしてのフィルムの製造販売も行なっています。イルフォードブランドは高級志向、ケントメアブランドはどちらかというと普及版というか、廉価版というような位置づけをしているようです。
 イルフォードのフィルムは私も使う頻度が高いのですが、ケントメアのフィルムはほとんど使ったことがなく、今回、PAN 100というフィルムを使ってみました。

ケントメアのパンクロマチックフィルム

 外箱は青を基調にターコイズブルーをあしらったデザインになっており、小さな文字で「Chesire UK」と「Made in England」と記載されています。イングランド西北部にあるチェシャーというところにある工場でつくられているようです。
 ケントメアのフィルムは英国国内では販売されておらず輸出専門とのことで、外箱には英語のほかに日本語、中国語、フランス語、ドイツ語、スペイン語の文字が見受けられます。
 ちなみに、PAN 200の外箱は青を基調に黄色をあしらったデザイン、PAN 400は赤紫をあしらったデザインになっています。

 PAN 100のデータシートによると、フィルムの素材は厚さ0.125mmのアセテートベースが採用されているとのこと、また、露出時間が1秒を超える場合は約1.26倍の露出補正が必要との記載があります。
 ISO感度は100ですが50~200の範囲で対応可能としているようです。非常に滑らかな微粒子のフィルムとされていますが、解像度に関する具体的なデータは開示されていないようです。ハイコントラスト時に約120本/mmという情報もありますが、定かではありません。富士フイルムのACROSⅡがハイコントラスト時に220本/mmという値がデータシートに記載されていますので、それに比べると半分ほどの解像力ということになりますが、まずまず良好な値ではないかと思います。

 今回使用したのはブローニーの120サイズフィルムです。1本1,200円(2026年5月現在)ほどでしたので、フィルム価格が高騰している昨今、この金額というのはかなりお安い部類に入るのではないかと思います。
 ちなみに、イルフォードのDELTA 100 PROの120サイズフィルムは1本2,000円近い(2026年5月現在)価格になっており、この1年でかなり高騰してしまいましたが、それと比較しても購入しやすいフィルムと言えます。

現像に関するデータ

 このフィルムの現像はコダックのD-76やイルフォードのD-11など一般に出回っている多くの現像液が使用可能とのことですので、今回は自家調合したD-76準拠の現像液を使用しました。
 D-76準拠の自家調合については下記のページで紹介をしていますので、興味のある方はご覧ください。

  「第187話 モノクロフィルム現像用「D-76準拠」現像液の自家調合」

 実際の現像条件は以下の通りです。

  ・現像液 : D-76 (自家調合)
  ・希釈 : stock
  ・温度 : 20度
  ・現像時間 : 9分
  ・撹拌 : 最初に1分、その後60秒ごとに2回倒立撹拌
  ・停止 : 60秒
  ・定着 : 7分
  ・水洗 : 20分

 使用した現像タンクはパターソンのPTP-115というモデルで、500mlの現像液でブローニーフィルム1本の現像が可能です。
 今の季節は現像するには最適で、室温も20℃前後、水道水の温度も20℃ほどなので、バットに張った水の温度変化もほとんどありません。保温したり冷却したりする必要がないので助かります。
 なお、停止液は富士酢酸、定着液はスーパーフジックスLと、いずれも富士フイルムの製品を使いました。

 現像液を投入する前に水洗いを行ないましたが、廃棄した水は着色されることなく、ほとんど無色の状態でした。
 また、フィルムは適度な厚さがありながら巻き癖はさほど強くなく、腰もしっかりしているのでリールへの巻き付けもし易いという印象があります。
 乾燥後はほとんどカールすることなく平面性を保ってくれています。スリーブに入れてもスリーブ自体が反ってしまうようなこともありません。

ケントメア PAN 100の作例

 今回の撮影に使用したカメラはMamiya 6 MF、使用したレンズはG 75mmです。撮影した中から4枚の写真をご紹介します。フィルムの特性が損なわれないよう、撮影時にフィルターは使用していません。

 まず1枚目は、哲学堂公園(東京都中野区)にある霊明閣という建物を撮影したものです。

 もともとはここを創設した井上円了が特別な客人を迎えるための迎賓室として名付けた建物らしいのですが、現在は廃屋のような荒れた感じになっています。木漏れ日が庭や建物に落ちていたので撮ってみました。
 パッと見た印象は柔らかで素直な写りのするフィルムといった感じです。コントラストはあまり高くない、というよりは若干低めといった方が良いかもしれません。一方、中間調は綺麗に表現されているという感じがします。メリハリ感は低いですが、なだらかな階調表現だと思います。
 解像度も決して高いわけではありませんが、十分に実用的なレベルだと思います。粒状感もあるのですが、階調がなだらかなのであまり目立たないといった感じです。

 板壁の部分を拡大したのが下の写真です。

 木目などはきれいに表現されていますが、やはり、コントラストや解像度はあまり高くないようです。実際にはここまで拡大して見ることはほとんどないと思われますので、普通に写真を鑑賞するのであれば十分ではないかと思います。

 少しコントラストが高めの写真ということで撮影したのが下の写真です。

 左右から樹が覆いかぶさっていて、その間から陽の当っているマンションを撮影したものです。
 マンションの外壁は白いので、手前の木々とのコントラストはかなり高い状態です。この写真を見てもやはりコントラストはそれほど高くないというのがわかると思いますが、このようなシチュエーションでも階調が損なわれることなく表現されているという感じです。マンションのベランダや画下側の石垣も綺麗に表現されていると思います。
 
 3枚目は哲学堂公園近くにあるお寺で撮影したお地蔵様です。

 天気の良い日で、撮影時刻もちょうど昼時だったので結構陽射しが強い状態です。実際にはもっとくっきりとした影が出ていたように記憶しているのですが、写真ではさほど影が気にならず、強い陽射しもあまり感じません。全体にかなり柔らかく写っている印象です。2枚目の写真よりもさらにコントラストが低い感じがします。
 第201話でアドックスのCHS 100Ⅱというフィルムで同じ場所を撮影していますが、どちらが良いかは好みもあるとして、それと比べてもコントラストの出方が全く違いますし、やはり解像度も物足りないと感じてしまいます。撮影意図もありますが、この被写体の場合はこのような柔らかな描写の方が向いているように思います。

 4枚目は通りがかりで見つけた場所を撮影したものです。

 たぶん空き家だと思われるのですが、シャッターも閉められており、そこには蔦のような植物も絡んでいます。自転車も放置されたままのようですし、周囲にはたくさんの雑草が生い茂っています。天気は良いのですがこの場所には陽が差し込んでおらず、全体的にコントラストの低い状態です。
 エッジの効いたシャープさはありませんが、蔦の葉っぱや自転車の細部なども十分に解像していると思います。このような被写体だと粒状感が目立ちますが、ザラザラし過ぎた感じではありません。そして、やはり中間調はきれいに表現されているのではないかと思います。

 撮影時はすべてのコマについて単体露出計で測光しており、ISO-100として撮影しているので露出に関してはあまりブレていることはないと思います。全コマが思惑通りの露出で写っていたので、このフィルムの実効感度はかなり正確ではないかと思われます。もちろん、現像の仕方で結果は異なってきますが、データシートに基づいた現像時間で概ね良好な結果を得ているので、実効感度が公称値から大きく外れているということはなさそうです。

リバーサル現像に関するデータ

 今回の撮影では2本のフィルムを使いましたので、リバーサル現像に耐えられるかどうか、2本目はリバーサル現像をしてみました。

 現像プロセスはイルフォード推奨の手順に従っています。
 使用した現像液類は以下の通りです。

 ・第1現像液: シルバークロームデベロッパー 100ml + 水 400ml (希釈 1+4)
 ・漂泊液: 過マンガン酸カリウム水溶液 20ml + 水 230ml と、硫酸水溶液(10%) 25ml + 水 225ml の混合
 ・洗浄液: ピロ亜硫酸ナトリウム 12.5g を水 500mlに溶解
 ・第2現像液:第1現像液を使用
 ・定着液: スーパーフジックス定着液 170ml + 水 330ml (希釈 1+2)

 第1現像時間は標準的なネガ現像時間から換算して12分40秒(20℃)としました。
 その他の工程と時間は以下の通りです。

  ・第1現像: 12分40秒
  ・水洗: 5分
  ・漂泊: 5分
  ・水洗: 1分
  ・洗浄: 3分
  ・水洗: 1分
  ・再露光: 片面3分
  ・第2現像: 3分
  ・水洗: 1分
  ・定着: 7分
  ・予備水洗: 1分
  ・水洗促進: 1分
  ・水洗: 20分
  ・水滴防止: 30秒

リバーサル現像した作例

 結論から言うと、リバーサル現像にも十分耐えられるフィルムだということです。ヌケの良い綺麗なポジが得られました。
 ただし、フィルムベースが無色透明ではないようで、普通に現像したネガはわずかに青みがかった色をしています。たぶん、これが原因かと思われますが、リバーサル現像したポジは、ごくわずかですがセピアっぽい色に仕上がっています。

 まず1枚目ですが、哲学堂公園の霊明閣という建物で撮影したものです。

 ネガ現像のところで紹介した場所と同じですが、撮影ポジションが異なっています。
 見た限りではネガ現像との違いは感じられません。コントラストやトーンの出方などもほとんど同じですし、解像度についても差はなさそうです。全体に非常に滑らかな感じの描写で硬さのない柔らかな画に仕上がっています。
 使用している現像液は異なりますがほぼ同じ感じの像が得られているので、これがフィルムの特性なのでしょう。

 2枚目はコントラストの高い被写体ということで撮影してみました。

 場所は中野新井薬師の境内です。
 空は薄曇りなので全体的にかなり明るい状態で、そこに樹の枝と常香炉の屋根を配してみました。やはりコントラストは低めに表現されていて、全体的に柔らかな中間調が際立っている感じです。シャドー部も真っ黒にならず、濃いグレーといった色合いになっています。

 もう一枚、同じく中野新井薬師の山門を撮影したものです。

 門の下から提灯を見上げるようにして撮影したもので、山門の柱の間から見える外の景色などはかなり明るくコントラストが高い状態だったのですが、写真ではそれほどの明暗差は感じられません。滑らかな中間調に仕上がっているという印象は他の写真とも同様です。

 通常のネガ現像してもリバーサル現像してもフィルムが同じであればコントラストとか解像度は同じような傾向になるはずですが、フィルムによってはリバーサル現像がうまくいかないものもあります。その点、このフィルムはリバーサル現像でも良好な結果が得られていると思います。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 一言でいうととても軟調な描写をするフィルムといった感じです。中間調がとてもなだらかに表現されるので、写真全体が柔らかな印象に仕上がります。
 解像度に関しては特別高くもなく低くもなく、標準的なレベルだと思うのですが、微粒子という謳い文句の通りの美しい粒状感だと思います。
 その反面、コントラストは決して高くなく、むしろ低めと言っても良いと思うのですが、黒の締まりが物足りないという感じがします。ちょっと酷ですが、真っ黒が出ないフィルムという言い方ができるかもしれません。
 また、エッジの効いた描写にはならないので、メリハリのある画にはなりにくいと思います。パキッとした描写を好む方からするとちょっとボヤっとした、若干ねむい写真に感じられる可能性が大です。
 もしかしたら、フィルムの価格を抑えるために銀の含有量を少なくしているのかも知れません。
 とはいえ、何度も繰り返しになりますが、中間調はとてもきれいに表現されるフィルムで、柔らかな描写が持ち前といったところでしょうか。
 硬調な写真を好まれる方にとっては物足りないかもしれませんが、コストパフォーマンスという点ではかなり優れていると言えると思います。このフィルム特性に合った被写体を選んだり撮影意図を持って臨めば十分に応えてくれるフィルムだと感じました。
 フィルム特性はARISTA EDUというフィルムに似通っている印象を持ちましたが、描写はPAN 100の方が美しいと思います。
 なお、現像液を変えたり現像時間の調整によって仕上がり方は変わってくると思いますが、基本的な表現特性はあまり変化がないのではと思っています。

(2026.6.13)

#D76 #KENTMERE #ケントメア #PAN100 #モノクロフィルム #リバーサル現像 #Mamiya

第207話 35mm判一眼レフカメラの魅力 中古フィルムカメラ PENTAX K2 の衝動買い

(2026.5.23)

#PENTAX #PROVIA #ペンタックス #リバーサルフィルム #中古カメラ

第206話 ローデンシュトック RODENSTOCKの大判レンズ ゲロナー Geronar 150mm 1:6.3 MC

 私はローデンシュトックのレンズは数本しか持っていませんが、その中の1本がこのゲロナーGeronar 150mm F6.3 というレンズです。「ジェロナー」と発音する方もいらっしゃいますが、私は「ゲロナー」と言います。どちらが正しいのかよくわかりませんが、「ゲロナー」の方がドイツ語っぽくて好きです。

 ローデンシュトックのパンフレットによると、このレンズは学生やカメラ初心者などにも機材を揃えやすいようにということから廉価版のレンズとして開発されたと記述されています。一方、価格を抑えるために絞り開放値やイメージサークルを犠牲にしたとも書かれています。
 それが理由なのかどうかはわかりませんが、日本では代理店が取り扱わなかったらしく、日本の市場に出回っている数はとても少ないように思います。私もこのレンズの存在自体は知っていましたが現物を見たことはなく、今から10年ほど前に友人から譲り受けたものです。
 私の持っているレンズはシリアル番号からすると、1990~1992年頃に製造されたものではないかと思われますので、比較的新しい部類に入るのではないかと思います。

ゲロナー Geronar 150mm 1:6.3 の主な仕様

 ゲロナーには通常のGeronarと、広角タイプのGeronar WAの2種類が存在しており、カタログを見ると通常タイプのGeronarは150mm、210mm、300mmの3本が販売されているようですが、広角タイプのGeronae WAは90mmの1本だけのようです。
 ゲロナー Geronarは凸凹凸の3群3枚のトリプレット構成というレンズで、最近ではあまりお目にかかることのないレンズ構成です。かつて、カールツァイスの「トリオター」というレンズを持っていたことがありますが、そのレンズと基本的には同様の構成かと思われます。

 このレンズの主な仕様を記載しておきます。

   イメージサークル : Φ180mm(f22)
   レンズ構成枚数 : 3群3枚
   最小絞り : 64
   絞り羽根 : 7枚
   シャッター  : COPAL No.0
   シャッター速度 : T.B.1~1/500
   包括角度 : 約62°
   フィルター取付ネジ : 40.5mm
   前枠外径寸法 : Φ42mm
   後枠外径寸法 : Φ31.6mm
   全長  : 34.2mm
   重量  : 145g (レンズ締め付けリングを含む)

 上記の数値を見てもお分かりのように、とてもコンパクトなレンズです。

 このレンズを4×5判で使ったときの画角は、35mm判カメラに換算すると焦点距離がおよそ42mm前後のレンズに相当します。画角としては35㎜判の準標準レンズあたりといったところです。
 4×5判の対角画角が約54.3度、横位置に構えたときの水平画角が約43.6度、垂直画角が約35.5度という値です。
 ただし、このレンズのフランジバックが150mmよりも少し短くて、簡易的に実測してみたところ147mm前後という数値でした。正確には焦点距離が約147mmのレンズということになりますので、実際の画角は上記の値よりも若干大きめになると思います。

 シャッターはCOPALの0番が使われています。絞りはF6.3からF64まであり、1/3段ごとに目盛りが設けられていますが一眼レフカメラ用のレンズみたいなクリックはありません。また、絞り羽根は7枚で、絞り込んでもその形が崩れることはなく、綺麗な7角形を保っています。
 レンズの前枠径が42mmととても小さいのでシャッターの目盛りの上に覆いかぶさるようなこともなく、操作性はとても良好です。

 イメージサークルは180mm(F22)しかないので4×5判での使用が限界で、大きなアオリには耐えられません。ごく普通の風景写真を撮るには問題ないと思いますが、ブツ撮りには向いていません。
 開放絞りがF6.3と、一般的なこの焦点距離のレンズに比べると1/3段ほど暗いことになりますが、特に不都合は感じられません。
 旧フジノンのW.Sシリーズの中に150mm F6.3 というレンズがありましたが、大きさも仕様も非常に似通った感じのするレンズです。ただし、W.Sシリーズはシングルコーティングでしたが、Geronarはマルチコーティングになっています。また、フジノンのW.S 150mmはテッサータイプでしたので、レンズ構成も異なっています。
 小さくて軽いので、携行するにはとてもありがたいレンズです。

ゲロナー Geronar 150mm 1:6.3 のボケ具合と解像度

 このレンズのボケ具合を、以前に作成したテストチャートを用いて確認してみました。レンズの光軸に対してテストチャートを45度の角度に設置し、レンズの焦点距離の約10倍、約1.5m離れた位置からの撮影です。
 まずは絞りはF6.3(開放)で撮影したものです。ピント位置を中心にして後方に8cmと16cmの位置に、そして前方にも8cmと16cmの位置に、合計5枚のテストチャートを設置した状態で撮影をしました。わかり易いようにテストチャートの部分を切り出したのが下の5枚の写真です。上から順に、ピント位置から後方16cm、後方8cm、ピント位置、ピント位置から前方8cm、前方16cmの位置に設置したテストチャート部分を切り出したものです。

 ボケ方としては全体的にクセのない素直なボケではないかと思います。
 また、前ボケと後ボケも非常に似通っているのが印象的ですが、比較してみると前ボケの方がわずかに柔らかな感じを受けます。レンズによっては前ボケと後ボケでずいぶんと様子の異なるものもありますが、このレンズはほとんど見分けがつかないといった感じです。

 次に、絞りをF11にして同様に撮影、テストチャート部分を切り出したのが下の5枚の写真です。上から順に、ピント位置から後方16cm、後方8cm、ピント位置、ピント位置から前方8cm、前方16cmの位置のものです。

 当然、ボケ方は小さくなっていますが、素直なボケ方ですし、前ボケと後ボケも非常に似通っているのは絞り開放の時と同様です。

 参考までに、同じローデンシュトックのSironar-N 150mm 1:5.6 というレンズのボケ方の写真を掲載しておきます。
 撮影条件はGeronarと同じで、絞りはGeronarの開放と同じF6.3にして撮影しました。
 同様にテストチャート部分を切り出したのが下の5枚の写真です。上から順に、ピント位置から後方16cm、後方8cm、ピント位置、ピント位置から前方8cm、前方16cmの位置のものです。

 ボケ方としては似ているように思いますが、Sironar-N のボケの方がわずかにふわっとした印象を受けます。平面のチャートを撮影したのでこういう言い方は適切ではないかもしれませんが、Sironar-N の方がボケに立体感があるように思います。

 また、ピントの合っている位置のチャートの写真を見ると、Sironar-N の方がシャープな感じがします。撮影する際のピントの合わせ方の問題のような気もしますが、ちょっと気になったので簡易的に解像度の確認もしてみました。
 使用したのはISO-12233準拠のテストチャートです。

 このチャートをフレームいっぱいになるように撮影し、比較しやすいように一部分を切り出したのが下の3枚の写真です。上から、Geronar 150mm 開放(F6.3)、Geronar 150mm 絞りF11、Sironar-N 150mm 絞りF6.3 の順です。

▲Geronar 150mm F6.3
▲Geronar 150mm F11
▲Sironar-N 150mm F6.3

 こうして3枚を比較してみると、Geronar 150mm の絞り開放で撮影したものは解像度が若干低い感じがします。コントラストも低めで、数字や線の輪郭がぼやけているように見えます。
 しかし、絞りをF11まで絞り込むとだいぶ改善されており、数字や線の輪郭もずいぶんとはっきりした感じになります。コントラストが向上しているのがわかると思います。

 そして3枚目の写真はSironar-N 150mm ですが、絞りF6.3(開放から1/3段の絞り込み)にもかかわらず非常にシャープでコントラストの高い状態になっていると思います。数字や線のエッジがGeronar 150mm に比べるとくっきりとしています。
 やはり、廉価版ということである程度割り切った性能のレンズということで販売していたのは上にも書いた通りですが、こうして比較してみると差があるのがわかります。
 この差が実際の使用上でどの程度の影響があるかというと、私のように風景を対象としている分にはほとんど気にならないのではないかと思います。

ゲロナー Geronar 150mm 1:6.3 の作例

 ということで、Geronar 150mm 1:6.3 で撮影した写真をいくつかご紹介します。撮影した時期は異なりますが、いずれも青森県の奥入瀬渓流で撮影したものです。また、使用したカメラはリンホフマスターテヒニカ45、使用したフィルムは富士フイルムのベルビア100Fです。

 まず1枚目は、川岸に生えていた矢車草を撮影したものです。

 葉っぱの形が端午の節句の鯉のぼりにつけられる矢車に似ていることからこの名がつけられたようです。日本全国の谷沿いの林床などでごく普通に見ることが出来る野草で、奥入瀬渓流にもたくさん育成しています。新緑の5月~6月頃は葉っぱの色も鮮やかで、個人的には奥入瀬川の清流との相性がとても良いと思っています。

 この写真はアオリを使わず、ノーマルの状態で撮影しています。川の流れが表現できるようにスローシャッターを切っていますが、ほぼ無風状態だったので葉っぱもほとんどブレることなく写ってくれました。
 背景がはっきりしすぎないようにということで、絞りはF16での撮影です。そのため、葉っぱの手前の方がピントから外れていますが、鋸歯の感じも良く出ていて、シャープな写りをしているのではないかと思います。
 背景の岩や川中に引っかかっている木の枝などのボケ方も柔らかな感じで、そして綺麗なボケだと思います。

 2枚目は同じく奥入瀬渓流で撮影した紅葉の写真です。

 鮮やかなオレンジ色に紅葉している樹があったので、その色をより引き立てるために手前に黒っぽい樹の幹を配してみました。奥入瀬渓流は紅葉よりも黄色く色づく、すなわち黄葉の方が圧倒的に多いので、このような赤く色づく紅葉はとても目立ちます。

 この写真は右手前の幹をぼかしたくなかったので、軽く右にスイングアオリをかけています。このレンズはイメージサークルに余裕がなく、あまり大きくあおるとけられてしまうので注意が必要です。
 また、この写真はパンフォーカスに近い状態で撮影しているのでボケの具合はほとんどわかりませんが、細い枝先などもしっかりと解像しており、このような被写体では高価なレンズにも引けを取らない写りをしていると思います。

 この日は全体に曇り空で、柔らかな光が渓流全体にまんべんなく回り込んでいるといった状態でした。そのため、紅葉もとても柔らかなしっとりとした感じの描写になってくれました。使用したフィルムはベルビア100Fなので、どちらかというとあっさりした発色傾向にあるのですが、実際に肉眼で見たよりも鮮やかな色になっていると思います。ヌケの良い発色をするレンズという感じがします。

 そして3枚目は、奥入瀬渓流の本流にかかる唯一の滝、銚子大滝の写真です。

 この写真を撮影したのは9月の早朝、川霧が立ち込めている日でした。滝つぼのあたりが白く煙っているのがわかると思います。これを撮影したひと月ほど前、青森県に発生した線状降水帯の影響で奥入瀬渓流も大洪水になったらしく、その時の爪痕が生々しく残っていました。

 ようやく朝陽が渓流に差し込み始めた時間帯ですが、手前のあたりにはまだ日が入り込んおらず、滝と手間の流れとの明暗差が大きい状態だったので、滝が真っ白に飛んでしまわないように露出を決めています。全体としては明るくなり過ぎないように、露出をアンダー気味にしています。
 また、手前の流れや左下の岩にもピントを合わせたかったのでフロントティルトのアオリをかけているのですが、レンズのイメージサークルが小さいのでケラレが生じてしまうため、バックティルトも併用しています。

 これも2枚目の写真と同様、パンフォーカス気味にして撮影しているのでボケの具合はわかりにくいですが、解像度については十分に評価できるレベルではないかと思います。掲載した写真ではわかりにくいと思いますが、川中に引っかかった枝や川岸の小石などもとても鮮明に写し取られています。ベルビア100Fらしい発色も気に入っています。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 テストチャートの比較撮影の結果でわかるように、このレンズは絞り開放だとやはり解像度が少し低下するようです。F11あたりまで絞り込めばほとんど問題のないレベルになると思いますが、開放にして浅い被写界深度で撮影したいというような場合は、解像度の低下が気になるかもしれません。近接撮影や鮮鋭度を重要視するような撮影には向いていないように思います。
 もともとのコンセプトが学生や初心者にも幅広く使ってほしいということですから、あまりシビアなものを求めるのは無理があるという気がします。しかしながら、風景撮影などでは十分な描写をしてくれるし、癖のないボケやヌケの良い発色など、廉価版とは思えないレンズだと思います。
 そして、何よりも小型軽量というのが風景撮影にはありがたい存在です。150mmのレンズとしては私が個人的にいちばん気に入っているシュナイダーのAPO-SYMMAR 150mm 1:5.6 よりも二回り以上も小柄なレンズです。シビアな目で画質を比べると差はありますが、十分に期待に応えてくれるレンズであると思っています。

 日本国内ではほとんどお目にかかることがりませんが、海外の中古市場なども含めて、Geronarの他の焦点距離のレンズも使ってみたい衝動にかられます。

(2026.4.28)

#Geronar #Rosenstock #Sironar #シロナーN #テストチャート #ローデンシュトック #奥入瀬渓流 #レンズ描写

第205話 奥入瀬渓流 撮影のお役に立てる..かもしれない情報あれこれ その2

 前回は奥入瀬渓流全般や混雑具合等について書きましたが、今回は主な撮影スポットについて触れていきたいと思います。滝や流れ、瀬など、名前がついているだけでもかなりの数になり、名前がついていなくてもとても写真映えするスポットもたくさんありますが、すべてをご紹介するのは大変なので、その中から10ヵ所を抜粋してみました。
 奥入瀬渓流の下流の焼山から上流の十和田湖に向かって順にご紹介していきたいと思います。
 なお、前回ご紹介した場所は割愛させていただきますので、奥入瀬渓流の中でも特に人気の高い5ヵ所については前回のページをご覧ください。

 今回ご紹介する場所は下の図の通りです。青色で番号表記した10ヵ所を対象としました。

 番号がついていない場所については今回は触れませんでしたが、十分に写真映えのするスポットです。

①紫明渓(しめいけい)

 奥入瀬渓流の最下流、焼山に近い辺りにある紫明渓は川幅が広く、水深が比較的浅い流れです。かつては玉石を敷きつめたような河床に澄んだ水が流れる美しい場所だったようですが、今は土砂が堆積して昔の面影はなくなってしまったようです。
 この紫明渓、春から秋にかけては地味な場所ですが、雪のシーズンになると景色が一変します。
 川中に点在している石や岩の上に雪が積もり、まるで大福もちがたくさんあるような光景を見ることが出来ます。

 もともと水深が浅い上に冬は水量が少なくなるので、石や岩の上に雪が積もり易いのだと思います。特に夜中に大雪が降った次の日は特大の大福もちを見ることが出来ますが、地元の方ならともかく、遠方から訪れるものにとっては、なかなかそういうタイミングに出会うことが難しいです。
 雪のない時期はインパクトに欠けますが、天気の良い日は川面がキラキラと輝いて、私は好きな場所のひとつです。
 また、川の右岸にカエデの木があって、新緑や紅葉の時期にはとても美しい景色になります。たくさんの人が訪れて混雑することもないので、ゆっくりと撮影をすることが出来ます。
 道路脇に5~6台の駐車スペースがあります。

②屏風岩(びょうぶいわ)

 奥入瀬でいちばん混雑する石ヶ戸から少し上流に行ったところにある、まさに屏風のように垂直に切り立った崖です。
 この岩のすぐ下を川が流れていて、川が緩やかにカーブしていることもあり、静と動のコントラストが美しい場所です。

 上の写真は紅葉も終盤の頃のものですが、初夏から夏にかけての緑と清流との組み合わせもとてもいいものです。遊歩道脇にちょっとしたスペースがあるので、三脚を立てて撮影するにはありがたい場所です。
 また、冬もきれいな場所ですが、雪が降ると道路が除雪されて路肩に高い雪の壁が出来てしまうため、このようなアングルでの写真撮影をしようとなるとその雪の壁をよじ登らなければなりません。川に転落する危険もあるのでやめておいた方が良いでしょう。
 ここは近くに駐車スペースもないので、石ヶ戸などに車を置いて徒歩で訪れることになります。

③馬門岩(まかどいわ)

 屏風岩のすぐ先、屏風岩とは反対の右岸側にそびえているのが馬門岩です。
 国道102号線に沿って続いているので、場所によっては切り立った崖の真下まで行くことが出来ます。
 その昔、馬で往来していた時代に、ここより先は馬が通れないほどの植物が生い茂っており、ここで馬を降りてその先は徒歩で進んだと言われる、門のような岩だったことからこの名がつけられたようです。

 火山から噴出した火砕流堆積物で形成されているとのことで、何枚もの岩が積み重なって大きな岩になっているのがわかります。長年の間に岩に苔が付着したり草が生えたり、また、岩の間に根を下ろした樹木などの姿があったりして、原始の森を見ているような感じもします。
 冬になると緑はすっかりなくなってしまいますが、岩を流れ落ちる水が氷柱となり、それが徐々に成長して巨大な氷瀑のような姿になります。
 下の写真は今年(2026年)に撮影した馬門岩にできた氷柱です。

 雪のない時期はこれほど岩の近くまで行くことは困難ですが、道路の除雪によって路肩に雪の壁ができる冬は、その壁をよじ登って氷柱のすぐ下まで行くことが出来ます。

④九十九島(くじゅうくしま)

 阿修羅の流れのすぐ上流にある場所で、奥入瀬渓流のなかで川中の岩が最も多いことからこの名がつけられたそうです。

 ここは流れがほぼ直下に曲がっていて、上の写真の左側が下流に向かう流れで、このすぐ先が阿修羅の流れです。
 この写真は車道脇から見下ろすようなポジションで撮影していますが、遊歩道はこの真下にあり、遊歩道からは流れとほぼ同じ高さで見ることが出来ます。
 川中の大きな岩の上にはたくさんの樹木が育っていて、その間を縫うように水が流れています。変化に富んだ美しい場所だと思います。

 なお、すぐ上流のところには平成11年に発生した大規模な地滑りによって生じた「平成の流れ」という場所があって、大きな落差の豪快な流れを見ることが出来ます。全く変わらないようでも、日々その姿を変えているのだということを感じさせてくれます。

⑤白布の滝(しらぬののたき)

 雲井の滝から少し上流に行ったところ、遊歩道から川を挟んだ対岸にある落差およそ26mの滝です。滝の落口から白い布を垂らしたような、ほぼ直瀑に近い美しい滝です。

 水量も多く、真冬でも完全に凍ってしまうことはないようです。
 上の写真は3月の半ばごろに写したもので、まだ木々に葉っぱがない時期なので滝がよく見えますが、葉っぱが生い茂ってくる季節になると視界が遮られてしまい、滝がよく見えなくなってしまいます。
 この滝は見通しがきく撮影場所が非常に限られていて、しかも車道にも遊歩道にもスペースがないので撮影には苦労します。混雑する場所ではありませんが、遊歩道を散策している人の迷惑にならないよう、早朝の撮影がお勧めです。

⑥白銀の流れ(しろがねのながれ)

 白布の滝からさらに上流へ徒歩5分ほどのところにあります。流れの激しいところと比較的緩やかなところが混在した美しい景観を見せてくれる場所です。川中の岩にぶつかって生じる波しぶきがキラキラと輝いて、白銀という表現がぴったりだと思います。

 この写真は6月の初め頃、緑が鮮やかな時期に撮影したものです。
 石ヶ戸の瀬にも似たところがある美しい場所ですが、雲井の滝より上流に行くと人の数はぐっと少なくなり、この白銀の流れのあたりも散策する人が時どき通るくらいで混雑するようなことはありません。隠れた撮影スポットという感じです。

 この付近も駐車スペースがなく車道からも離れているので、ここを見るには徒歩で訪れることになります。

⑦雲井の流れ(くもいのながれ)

 白銀の流れのさらに上流に位置していますが、ここが雲井の流れというようなスポット的な感じではなく、比較的広い範囲を指しているようです。どちらかというと穏やかな流れのところが多い場所です。

 上の写真も6月上旬、天気が良い日の日中に撮影したものです。まばゆいくらいの日差しを感じますが、木々の葉っぱにさえぎられて川面には直接光があたっておらず、繊細な流れを撮ることが出来ます。このような場所は薄曇りの日の方がしっとりとした感じに写ると思います。
 流れが穏やかなのでこの辺りの遊歩道は平坦で足腰への負担は少ないですが、水はけがあまりよくないのか、いつもぬかるんでいるという印象があります。
 また、渓流沿いには休憩用のテーブルとベンチが用意されていて、気持ちの良い流れを眺めながらランチをしている人の姿もよく見かけます。

⑧白糸の滝(しらいとのたき)

 雲井の流れからさらに上流に向かうとトイレがあります。石ヶ戸休憩所のように売店が併設されているわけではなくトイレのみで、石ヶ戸休憩所から子ノ口までの約9kmの間にある唯一のトイレです。
 そこを過ぎて20分ほど歩くと白糸の滝があります。落差が約30mほどあるようで、糸を引いたように流れ落ちる美しい滝です。

 手前にたくさんの木々が生い茂っているので、滝の全貌を見ることが出来るのは冬のみということになりますが、木々の間に見え隠れする姿も風情があっていいものです。
 ここは奥入瀬川の流れが非常に穏やかなところで、広い河原も広がっているので撮影するにはありがたい場所です。目の前の道路には車2~3台分の駐車スペースもあります。
 冬になると流れ落ちる水が風で飛ばされ、周囲の岩はびっしりと氷で埋め尽くされてしまいますが、滝自体は完全に凍ることはなく糸のように流れる姿をみせてくれています。時おり、岩に張り付いた氷が割れて落ちる音が辺りに響き渡り、ちょっとぞくっとします。

 昨年(2025年)の8月、青森県に発生した線状降水帯による猛烈な豪雨に襲われ、ここ奥入瀬渓流も水浸しになってしまったようで、その際にこの滝の向かい側斜面で大規模な土砂崩れが発生しました。それによって、大量の土砂が奥入瀬川に流れ込み、ここから下流の水は長いこと茶色く濁ってしまいましたが、土砂崩れ現場の復旧作業のおかげで紅葉の時期には綺麗な奥入瀬川に戻っていました。

⑨九段の滝(くだんのたき)

 銚子大滝から少し下ったところにある滝です。層になったように積み重なった岩の上を何段にもなって流れ落ちています。見ようによっては10段にも11段にも見えるのですが、響きの良いところで九段となったのではないかと思います。

 この滝も滝つぼのすぐ近くまで行くことが出来る、数少ない滝のひとつです。
 水量は決して多くはありませんが、真っ黒な岩肌と白い水しぶきとのコントラストが美しい滝です。上の写真は10月の紅葉の時期に撮ったもので水量が少ない時期ですが、雪解けから深緑の頃にかけてはもっと水量が多くなり、向かって左側にも水の流れが生じます。
 落差は15mほどだそうですが、間近で見上げるようにして見るせいか、実際よりも高く感じます。
 なお、この滝は木々の葉っぱが生い茂っている季節は車道から見ろことはできませんが、冬になって木々が落葉すると車道からも見ることが出来ます。

⑩万両の流れ(まんりょうのながれ)

 奥入瀬渓流の最上流、子ノ口に近いところにある「万両の流れ」と呼ばれる場所です。光が流れに反射してキラキラと輝く様を大量の小判に例えた名前のようです。
 川幅はあまり広くありませんが、川中に岩があったり、そこに倒木が引っかかっていたりして、所どころで激しい水しぶきを上げています。

 上の写真は紅葉の時期、万両の流れの下側から上流に向かって撮影したものです。たくさんの倒木が川の中にあるのがわかると思いますが、この倒木にさらに木の枝などが引っかかって、訪れるたびに流れの様相が異なっているのを感じます。
 奥入瀬では倒木などがあっても道路などをふさがない限りは人の手が加えられることはなく、自然のなすがままにされています。
 また、この付近では野生の動物に出会う機会が多く、クマを見かけたのもこの近くですし、ここの遊歩道を歩いているときにはキツネ、ネズミ、ウサギなどにも出くわしました。特にネズミはたくさんいるようで、そこら辺りをチョロチョロと走り回っている姿をよく目にします。

 この近くに車2~3台が停められる駐車スペースがありますが、ここを訪れる人は少ないです。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 今回は奥入瀬渓流の撮影したくなるスポット10ヵ所をご紹介しました。いずれも名前がつけられている場所ですが、これ以外にも名前がついている場所がありますし、名前がついていなくても素敵な場所がたくさんあります。
 奥入瀬渓流は車道も遊歩道もよく整備されていて、車で移動しながらポイントを見て回るということもできますが、やはり奥入瀬渓流の魅力を感じるのは歩いて回ることだと思っています。季節ごとに違った景色を見ることが出来るのは言うまでもありませんが、同じ季節でも訪れるたびに新たな発見があるのも歩いて回るからこそだと思います。

 ちなみに、私は渓流釣りはやりませんが、時どき釣りをしている人に出会うことがあります。イワナやヤマメが釣れるようで、確かに水の中に魚影を見ることが良くあります。
 秋に訪れると、奥入瀬川に流れ込む小さな支流で、イワナかヤマメだと思うのですが、産卵しているシーンに出くわすことがあります。

(2026.3.24)

#奥入瀬渓流 #渓流渓谷

第204話 奥入瀬渓流 撮影のお役に立てる..かもしれない情報あれこれ その1

 今から1万5千年ほど前、十和田火山の噴火で形成されたカルデラ湖(現在の十和田湖)の東側外輪山が決壊し、流れ出した大量の水が火砕流台地を侵食しながら太平洋まで達したのが奥入瀬川だそうです。
 この奥入瀬川の起点となる子ノ口から焼山までのおよそ14kmほどが奥入瀬渓流と呼ばれていて、四季を通じて風光明媚な景色を見せてくれます。日本国内はもとより、今では海外からの観光客も増え、新緑や紅葉の季節にはたくさんの人で賑わっています。
 奥入瀬渓流の最大の特徴は、渓流沿いに整備されている遊歩道が川面とほぼ同じ高さにあるため、人の目線の高さで渓流を見ることができるということだと思います。

 奥入瀬渓流に関してはガイドブックが出版されていたりSNSなどに投稿された動画や写真がたくさんあるので情報を得るには事欠かないと思いますが、今回は奥入瀬渓流を訪れる方のお役に立てるかもしれない情報をご紹介したいと思います。
 私が奥入瀬渓流を訪れるのはもっぱら写真撮影が目的ですので、そういった内容に偏ってしまうと思いますのでご承知おきください。

奥入瀬渓流のシーズンごとの混雑具合

 奥入瀬渓流は青森県の中でも一、二を争う人気の観光地で訪れる人も多いのは確かですが、年間を通じて常に観光客がいるかというとそういうわけでもありません。わかり易いように月ごとの混雑具合をグラフにしてみるとこんな感じになると思います。なお、正確に人数を計測したわけではなく私の感覚ですので、あくまでも参考程度にご覧ください。

 何と言ってもいちばん混雑するのは紅葉の時期です。10月に入ってから色づき始め、11月の上旬にはほとんどの樹が落葉してしまいます。紅葉のピークは10月20日頃から10月末頃までの10日間ほどといったところでしょうか。
 ただし、混雑すると言っても京都のように人で埋め尽くされるような状態になるわけではありません。
 例年、この紅葉ピークの間で1週間ほどはマイカー規制がかかり、一般車の立ち入りは禁止されてしまいます。この間に奥入瀬渓流を訪れる場合はバスを使うかレンタル自転車、または徒歩ということになります。ただし、規制がかかるのは平日の10:00~16:00、土日の9:00~16:00なので、この時間帯を外した朝早くと夕方であれば自家用車を乗り入れることが出来ます。ちなみに私はこの規制がかかっている期間に撮影する場合は、早朝6時ごろには現地に入り、9時前に奥入瀬を出るというスタイルをとっています。

 紅葉シーズンほどではありませんがやはり混雑するのが新緑の季節で、5月中旬頃から梅雨に入る前の6月中旬頃までです。紅葉シーズンのようなマイカー規制はかかりませんので、車の乗り入れが可能です。
 新緑の季節が終わり、紅葉を迎えるまでのいわゆる夏の期間は訪れる人も少し減る感じで、落ち着いた静かな奥入瀬渓流を味わうことが出来ます。

 そして、ほとんど人の姿を見かけることがないのが冬の奥入瀬で、12月から翌年の3月くらいまでは雪に埋もれた静かな奥入瀬になります。私も1月~2月に雪景色を撮りに行きますが、車道を走る車には時々出会いますが、歩き回っている人を見かけることはほとんどありません。

奥入瀬渓流での移動手段

 奥入瀬渓流は川と遊歩道と車道(国道102号)がほぼ並行しているので、車での移動がいちばん便利であることは間違いないのですが、駐車場が潤沢にあるわけではないので混雑するシーズンは車を止める場所に苦労する可能性があります。
 比較的広い駐車場があるのは最下流の焼山と最上流の子ノ口、そしてその中ほどにある石ヶ戸の3ヶ所で、そのほかは路肩に2~3台分の駐車スペースが所々にある程度です。しかも、先客で埋まっていることが多いです。

 また、奥入瀬渓流沿いを通っている国道102号にはJRの路線バスとシャトルバスが走っています。上り下りとも30分に1本くらいの間隔ですが、これを有効に使うと効率よく回ることが出来ます。
 バス停はおよそ1.5kmごとに設置されています。

 車やバスも便利ですが、やはり奥入瀬渓流は歩くのがいちばんだと思います。比較的大きな駐車場が3ヶ所あると書きましたが、そこに車を止めて、後は徒歩で回るというスタイルです。
 ただし、およそ14kmある奥入瀬渓流のすべてを歩くのは結構しんどいので、時間との兼ね合いで途中まで歩いて戻りはバスを使うなどして、無理のないようにするのがお勧めです。

 なお、レンタサイクルもあるので、暖かな季節は自転車で回っている人も良く見かけます。

奥入瀬渓流の混雑スポットベスト5

 混雑するシーズンと言えども、およそ14kmの奥入瀬渓流のすべてで混雑するわけではなく、スポット的であるというのが実情です。その理由は、車やバスで人気の場所を訪れて、限られた時間で周辺を散策して、またすぐに移動してしまうというパターンの人が大半を占めているからです。
 では、どのあたりが混雑するのか、混雑する上位5ヵ所をご紹介します。簡単な地図にその5ヵ所を書き入れてみましたので参考にしてください。

 まず1番目は、奥入瀬渓流のちょうど中ほどにある「石ヶ戸」です。
 ここには渓流内で唯一の休憩所があって、一般車数十台分の駐車場や大型観光バス用の駐車場が整備されています。休憩所にはトイレや売店もあり、売店ではうどんやそばなどの軽食も用意されています。
 ここに車やバスを停めて散策するという人が多いのと、この休憩所から徒歩で5~6分のところに「石ヶ戸の瀬」と呼ばれる人気の場所があるため、初夏から秋までは終日賑わっています。特に混雑する季節の週末は駐車場もすぐに埋まってしまうので、確実に車を停めたいという場合は午前8時前には到着するのが望ましいと思います。
 大型観光バスもひっきりなしに来るので、そうするとバスからたくさんの人が降りてきて、休憩所は大変な混雑になります。

 近くの「石ヶ戸の瀬」は私も好きな場所のひとつで、よくここで写真を撮ります。

 ここを通るほとんどの人が写真を撮っていきますし、遊歩道脇にキャンバスを立てて絵を描いている人も見かけます。川中の岩の間を縫うように白波を立てて流れるさまは本当に美しいと思います。

 2番に混雑する場所は「阿修羅の流れ」です。
 ガイドブックなどでは必ずと言ってよいほど紹介されている場所で、たぶん、奥入瀬渓流の中でも一番人気の場所だと思います。2つに分かれた流れが再び合流し、激しく岩の間を流れ落ちていく迫力のある場所です。

 この場所は石ヶ戸のように広い駐車場があるわけではなく、路肩に数台分の駐車スペースがあるだけですので、ここを訪れるのは石ヶ戸から歩いて来た人か、もしくは石ヶ戸に戻っていく人がほとんどです。石ヶ戸からは徒歩で30~40分といったところです。
 観光バスもここには停まらないので、たくさんの人が一気に押し寄せるわけではありませんが、常に人がいるという感じです。

 3番目に混雑する場所は「銚子大滝」です。
 奥入瀬渓流の本流にかかる唯一の滝で、奥入瀬川の上流、十和田湖に近いところにあります。落差はおよそ7m、幅は約20mの滝で、水量の多いときは豪快に流れ落ちる水で辺りに水煙が立ち込めます。

 この滝のすぐ近くに車10台ほどと観光バス数台分が停められる駐車場が整備されています。駐車場から徒歩1分というロケーションの良さもあり、観光バスはまず間違いなく立ち寄る人気スポットです。観光バスが到着すると滝の周辺は大変な賑わいになり、写真撮影するにはあまり有難くない状態になりますが、20分もすると移動してしまうので、そうすると比較的静かな銚子大滝に戻ります。

 混雑する場所の4番目は「雲井の滝」です。
 阿修羅の流れから上流に向かって車なら数分、徒歩でも20分ほどのところにある滝で、落差がおよそ20m、水量も豊富で渓流沿いのある滝の中では一番大きな滝ではないかと思います。車道から少し奥まったところにある滝ですが、滝つぼまで歩いていくことが出来るのでそれも人気の理由の一つかもしれません。

 滝の入り口のところの車道の幅が若干広くなっていて、本来は駐車スペースではないと思うのですが、車2~3台なら停めることが出来ます。ただし、ここに車を停めてしまうと大型観光バスや大型トラックが来たときにすれ違いできなくなってしまうことがあります。迷惑になるのでここでの駐車は避けた方が良いと思います。シャトルバスのバス停も設置されているので、バス、もしくは徒歩で訪れるのが望ましいです。

 そして混雑する場所の5番目は「三乱(さみだれ)の流れ」です。
 ここは石ヶ戸から下流に向かって徒歩で20分ほどのところにあります。流れが三つに分岐することからこの名がつけられたそうです。初夏にはツツジが咲いて、緑と赤の美しいコントラストを見せてくれます。また、流れ自体がとても優美な感じがして、奥入瀬に来たらぜひ撮影したくなる場所でもあります。

 ここには駐車スペースはありません。少し下流に行ったところに1~2台が停められる場所があるだけです。しかし、路肩に停めている車を結構見かけることがあり、交通量が多いときはとても迷惑な存在です。観光バスもここには停まりませんが、車内から美しい景色を見ることが出来るよう、ゆっくりと通過していきます。
 ですので、混雑すると言っても他の場所に比べると圧倒的に人の数は少ないです。
 なお、この付近は車道と遊歩道が完全に分離されておらず、車道の端が遊歩道になっている状態なので、三脚を立てての撮影はとても危険ですし、他の人の迷惑にもなります。道路から河原に降りて撮影する人もいますが、足場も良くないので注意が必要です。

 以上が奥入瀬渓流で混雑する場所のベスト5ですが、これ以外の場所が激しく混雑するということは見たことがありません。冬以外、遊歩道には常に人の姿はありますが、列をなすような状態になるわけではありません。

 補足ですが、奥入瀬渓流は十和田湖の子ノ口にある水門で水量の調節をしており、この水門が開くのが午前7時ごろです。それ前は水量が少なく、あちこちで川底が露出していますが、7時を過ぎると一気に水量が増えます。流れを撮影するのであれば、水量の増える午前7時以降をお勧めします。

季節ごとの服装について

 夏の日中はTシャツ一枚でも問題ありませんが、朝のうちはヒンヤリするので羽織るものか薄手の長袖があった方が良いです。
 また、渓流沿いはたくさんの木々が生い茂っているので、どちらかというと木陰の方が多い環境です。真夏でも汗がダラダラ流れるというようなことはないので、長袖は持参した方が良いと思います。
 奥入瀬渓流の遊歩道は上流、すなわち十和田湖方面に向かってゆっくりと登っていて、登山のような急登があるわけではありません。所々に石段がある程度ですので、靴はスニーカーでも大丈夫だと思いますが、長時間歩く場合はトレッキングシューズが望ましいです。
 遊歩道はぬかるんでいたり水たまりがあったりするので、底が滑りにくく、水がしみ込みにくく、多少汚れても構わないものが良いと思います。ちなみに、私はライトトレッキング用の長靴を履いていくことが多いです。

 春から初夏、そして秋は気温もだいぶ低くなるので長袖は必要で、さらにウィンドブレーカーもあった方が良いと思います。春先と晩秋はかなり冷えるので、薄手のダウンジャケットのようなものが必要になります。

 そして冬ですが、大量の雪、風も強い上に、毎日大型の除雪車が通るので路面はスケートリンクのようにカチカチつるつるです。完全な防寒対策が必要です。
 私の場合、上はヒートテックのインナーシャツ、ハイネックのアンダーシャツ、その上にセーターを着て、登山等の裏ボア付きジャケットを着こみます。
 下はアンダーパンツ、いわゆる股引のようなものを履いて、ズボンの上にはオーバーパンツを履き、足元は防寒用のトレッキング長靴です。
 これで寒さはほとんど防げますが、手の指先がどうしても冷たくなるので、手袋は二重にしています。
 冷え性の方はホッカイロのようなものをあちこちにペタペタ張っておくとよいと思います。

クマは...います クマ以外の動物もいます

 昨年(2025年)、私は奥入瀬渓流でクマを2回見かけました。いずれも十和田湖に近い上流域で、100m以上離れたところから走っている姿を見かけました。
 奥入瀬渓流入り口辺りに設置されている道路情報の電光掲示板には「ツキノワグマ出没警報」が常に表示されていますし、石ヶ戸休憩所にも「クマ出没注意」の張り紙があるので、やはりクマは普通にいるのだと思います。
 車道は常に車が走っているし、遊歩道にも人が歩いているので、そうそう人前に出てくることはないと思いますが、クマはいるということを忘れないようにしたいです。
 効果があるかどうかわかりませんが、私はクマ避けの鈴(ベアベル)を2個とクマ避けスプレーを腰につけています。

 クマ以外にもいろいろな動物に出会うことがあり、私がこれまで出会ったのはカモシカ、キツネ、シカ、ウサギ、テン、ネズミです。
 いずれも人の姿を見ると逃げてしまうのですが、一度だけ、全く逃げないネズミに出会ったことがあり、スマホで撮影することが出来ました。

 渓流に架けられた橋の上を歩いていると何やら動くものが目に入り、見てみると可愛らしいネズミが走り回っていました。何か小さな石ころのようなものを手に持ってカリカリとかじっているようにも見えましたが、近寄っても逃げるわけでもなくカリカリし続けていたので撮影することが出来ました。大きさは7~8cmほどの小さなネズミです。

 動物のほかに野鳥もたくさんいますが、私は野鳥を撮ることがないので写真は全くありません。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 訪れるたびに違う表情を見せてくれる奥入瀬渓流で、季節ごとに魅力がありますが、個人的には初夏の奥入瀬渓流がいちばん好きです。長い冬が終わり、すべての命が目覚めて躍動しているような、本当に気持ちの良い季節だと思います。
 今回は奥入瀬渓流の混雑具合を中心に紹介しましたが、次回は撮影ポイントをできる限り紹介したいと思います。

(2026.3.19)

#奥入瀬渓流 #渓流渓谷

第203話 100円ショップで見つけた、撮影に便利な小物グッズのあれこれ

 最近の100円ショップは本当に充実していて、家具家電などの大物を除けば、日常生活に必要なちょっとしたものはほとんど揃うのではないかと思うほどです。私はお目当てのものがあってそれを買いに行くことがほとんどですが、時たま、近くに行った際にふらっと入ることがあり、あてもなく店内を歩いていると、こんな便利なものがあるんだとか、それまで日常的に使っていたものがここでは何分の一もの安い値段で買えるんだとか、思わぬ発見があります。

 そんな100円ショップで見つけてゲットした、撮影時に便利なグッズのいくつかをご紹介します。撮影の際にはカメラバッグに入れたり、常に持ち歩いているものばかりです。
 なお、私はもっぱら中判や大判のフィルムカメラで撮影をしているので、デジタルカメラをお使いの方には無意味なものもありますのでお承知おきください。

マイクロファイバークロス

 あらためて説明するまでもなく、マイクロファイバークロスは極細のナイロンポリエステル繊維で作られたクロスで、かつては結構なお値段で販売されていました。吸水性が良いうえに速乾性もあり、除塵性にも優れているので掃除や洗車などに使われることも多いと思います。また、ふわふわとした手触りや柔らかさもあるので、緩衝材の代わりや機器の傷防止などにも使えます。

 私はこのマイクロファイバークロスを常に2~3枚、カメラバッグに入れて持ち歩いています。カメラやレンズを包むのに使ったり、カメラバッグの中で機材が踊ってしまわないように隙間に埋めたり、カメラやレンズに着いた雨や水滴などをふき取るのに使ったりと、何かと重宝しています。もちろん、タオルなどでも問題はありませんが、同じ大きさだとタオルに比べてはるかに軽量で、持ち歩くのに負担になりません。
 ただし、冬の乾燥している時期などで指先がカサカサと荒れていると、このクロスの極細の繊維が指のささくれに引っかかってイラっとすることがあります。
 また、熱にはとても弱いので、火の近くなどで使う場合は注意が必要です。

ポーチ

 リュック型のカメラバッグにはポケットがたくさんついていて、小物を入れるの便利なように作られていますが、こまごまとしたものをまとめて入れておくにはちょっと不便に感じることもあります。
 そんなときに便利なのが手ごろな大きさなポーチで、私はマチがついていて少々厚手のものでも入れることのできるタイプと、マチのない薄いタイプの2種類を使っています。

 マチのついているポーチは透明なビニール製で中に入っているものがよく見えるタイプ、マチのない方はメッシュ地でできているものです。
 いずれも中に入れている物はフィルター、ケーブルレリーズ、水準器、タイマー、メモ帳、ボールペン等々です。あちこちのポケットに入れておくよりもまとめて放り込んでおいた方が使い勝手がよく、いずれもファスナーがついてるので、中のものがカメラバッグ内で散乱することもなく便利です。

ベランダ用布団干しシート

 本来の使い方はベランダなどに布団を干す際、布団が汚れるのを防ぐためのものです。まず、このシートをベランダの手すりなどにかけて、その上に布団をかけるというように使います。素材は薄手の不織布のようなもので、サイズは160cm x 220cmと大きく、面積では畳2枚分を上回ります。風などで飛んで行ってしまうのを防ぐため、縛るための紐が4ヶ所についています。
 私はこれを四等分に切って、カメラバッグを地面に下ろす際の汚れ防止用シートとして使っています。それでも大きい(80cm x 110cm)ので、それを4つに折りたたむとちょうど私が使っているカメラバッグより一回りほど大きなサイズになります。

 私はリュック型のカメラバッグを使っており、撮影の際は下ろして地面に置くのですが、地面がぬかるんでいたりするとバッグが汚れてしまいます。そこで、これを下に敷いて、その上にバッグを下ろすようにしています。素材が不織布のようなものなので水をはじいてくれて、多少の水気があってもしみてくることはありません。
 もちろん、レジャーシートのようなものでも良いのですが、表面がつるつるしているシートの場合、地面に傾斜があるとバッグが滑ってしまいます。その点、不織布は摩擦抵抗が大きいので多少の傾斜があっても滑り落ちることはありません。
 また、使っているうちにこのシート自体が汚れてきますが、四つ折りにして使っているので、汚れた面を内側にして畳めばきれいな面を使うことが出来ます。
 私はこのシートをさらに4つに畳んで、リュック型カメラバッグの背あてのところに収納して持ち歩いています。

 なお、4つに切るとそれぞれのところに黒い紐が1本ずつあるのですが、私はこの先端にS字フックをつけています。これは風でシートが舞っていってしまわないように、バッグのところにひっかけておくためのものです。

手袋

 夏場の撮影では手袋をすることはほとんどありませんが、寒い時期は手が冷たくなるので手袋が欲しくなります。ですが、いざ撮影となると手袋をしたままでは細かな作業はとてもしにくく、結構邪魔な存在になります。
 偶然に見つけたのが、親指と人差し指の先端だけむき出しになる手袋です。本来は釣り用ということで販売されていましたが、便利ではないかと思い買ってみました。

 カメラやレンズの出し入れは手袋をしていてもそれほど不都合には感じませんが、レリーズを取り付けたり絞りレバーやシャッター速度レバーを操作するときは、手袋をしたままではうまくいきません。特に冬場の撮影の場合、手袋を外したままでは手がかじかんでしまうし、かといってその都度、手袋を外したりはめたりというのはとても面倒です。
 本格的な防寒という点では力不足ですが、それでも素手のままに比べればはるかに暖かです。

 表面には滑り止め加工が施されているのと、生地が薄い割には保温効果がある感じです。欲を言えば、親指と人差し指の露出部分がもっと少なくなるようにカットされているとありがたいといったところでしょうか。

レインコート

 雨の日の撮影に出かけるときは最初から雨具を着込んでいきますが、降水確率がさほど高くなく、雨が降るかどうかもわからないときにしっかりした雨具を持っていくのはとてもかさばってしまい、持ち歩きたくない荷物のNo.1です。
 とはいえ、撮影の途中で雲行きが怪しくなってくるといつ降り出すか気がかりですし、たいした雨でなくとも降られると濡れてしまいます。
 そこで、荷物にならないレインコートをカメラバッグに入れています。

 これはレインコートとはいえ、薄いナイロン生地でできていて軽いのはありがたいのですが、風が吹けば裾がバタバタするし、フードや袖口なども開放感たっぷりなので、強い雨だと中に入ってきてしまいます。ですが、背負ったリュックまですっぽりとかけることが出来るのだけの余裕があるので、少々の雨であればとても役に立ちます。
 ただし、木の枝などに引っ掛けると簡単に破れてしまうので、あくまでも緊急用として割り切っています。もちろん、使い捨てというわけではなく、破損がなければ何度でも繰り返し使えます。
 レインパンツも販売されていましたが、はいたり脱いだりするのが面倒なので持ち歩いていません。

シャワーキャップ

 これもどちらかというと緊急用としてのアイテムという色合いが強いのですが、シャワーや入浴の際に髪の毛が濡れるのを防ぐためのシャワーキャップをカメラバッグに忍ばせています。
 ホテルのアメニティなどでも手に入りますが、もう少し大きめでしっかりとしたものということで100円ショップで購入しました。

 雨が降っているときや滝の近くで撮影するとき、あるいは濃い霧が出ているときなど、カメラやレンズが濡れるのを防ぐために使います。カメラの上からすっぽりかぶせると、多少の雨であれば問題ありません。
 雨降りの時は三脚に傘を取り付けて撮影することが多いのですが、風があったりするとどうしてもカメラが濡れてしまいます。そんな時はとても便利です。
 このシャワーキャップをレンズの前面までかぶせてしまうと撮影ができなくなってしまうので、レンズ先端にかからないようにするのは言うまでもありません。

防水スプレー

 防水スプレーなどわざわざ持ち歩かなくとも、出かける前に必要なところにシュッとしておけば済むのですが、晴天なので心配ないと思って出向いたら足元がぬかるんでいた、なんていうときのためのものです。

 防水スプレーというとたいがいはそこそこ大きな缶に入っていて、持ち歩くという気にはなりませんが、100円ショップで見つけたこの防水スプレーはとても小さくて、カメラバッグに入れておいても苦になりません。
 靴やズボン、カメラバッグなどに吹きかけてもすぐに空っぽになってしまうなどということはなく、結構使い出がありますし、防水効果も十分にあると思います。

コードクリップとカーテンクリップ

 大判カメラや中判カメラで撮影をする際にはケーブルレリーズが必要になります。レリーズ(シャッター)ボタンのところにねじ込んでシャッターを切るわけですが、これが時どき、思わぬ事故を招くことがあります。特に短焦点レンズを使っているときに起きやすいのですが、ケーブルレリーズがレンズの前に張り出してしまい、写り込んでしまうという大失態をやらかすことがあります。現像したポジを見たときに、画の中にびよーんと黒い影が写っているのを見ると泣きたくなります。
 これを防ぐため、ケーブルレリーズを固定する手段を講じています。

 一つはコードクリップ。これは電源コードなどを配線する際にコードを固定するためのものです。これをカメラや三脚に貼り付けておいて、ここにケーブルレリーズをはめ込んでおきます。
 もう一つはカーテンクリップ。浴室カーテンなどで使うことが多いのではないかと思いますが、棒状のレールにこれを通して、先端についているクリップでカーテンを吊るすというものです。
 これをケーブルレリーズに取り付けて、先端のクリップで適当な場所を掴んでケーブルレリーズを固定します。

 いずれもケーブルレリーズがブラブラしないようにするのと、ケーブルレリーズ自体の重みでレンズのレリーズボタンに負荷がかかるのを防ぐのが目的です。小さなパーツですが、その効果は大きいと思っています。

テープフック

 夜間撮影のときやNDフィルターを使っての撮影など、長時間露光をする際はタイマーで露光時間を計測しています。私は小さなキッチンタイマーを代用しているのですが、タイマーを手に持ちながらの撮影というのは片手がふさがってしまうのであまり有難くありません。
 そこで、テープフックなるものを用いてタイマーを三脚に取り付けられるようにしています。

 本来はテレビのリモコンなどを壁に取り付けるためのものですが、これを三脚とタイマーの裏側に貼り付けて、引っ掛けられるようにしています。これで両手がフリーになるし、時計表示も見やすくなります。
 もちろん、タイマー以外にも使えますが、あまり重いものを保持するほどの粘着力はないので、あくまでも軽いもの専用ということになります。

メモ帳

 最近のカメラは撮影データを自動で記録してくれますが、私が使っているカメラにはそのような便利な機能がないので、コマごとに撮影データをメモ帳に記録しています。記録する主な項目は撮影日時や撮影場所、使用したカメラやレンズ、フィルム、絞り、シャッター速度、フィルターの有無などのほかに、撮影意図や撮影に際して感じたことなどです。
 記録さえできれば何でも良いかというとそういうわけでもなく、メモ帳のサイズは胸ポケットに入る大きさで、縦に開くタイプ、そしてできれば罫線が入っていないものと、少しばかりの拘りもあります。

 100円ショップには大小さまざまなメモ帳がありますが、私の条件に合うものはそれほど品ぞろえが良いというわけではなく、見つけたときにまとめて購入しておきます。一コマでページ半分、もしくは1ページを使ってしまうので消費量もそこそこあります。

オニヤンマ君

 これは撮影に使うというよりは、撮影行に際してお守りのようなものです。

 近年、スズメバチが増えているとの報告もあり、屋外で撮影をしているとスズメバチに出会うことが多くあります。刺激をして刺されでもしたら大変なことになるので、飛び去るまでじっとしていなければなりません。
 オニヤンマはスズメバチの天敵らしいということで、オニヤンマを模したものが売られていたり、自作をする人もいるようです。これでスズメバチが近寄って来るのを防ぐことが出来るのであればと、半信半疑の思いでカメラバッグの背に取り付けています。クマよけの鈴のようなものかもしれません。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 100円ショップで販売されているものは、商品本来の機能のまま使うというのが圧倒的に多いと思いますが、使い方次第で全く別の機能を果たすものもたくさんあります。写真撮影のための商品というのはほとんど見かけることはありませんが、店内を見て回っていると、いろいろと使い方に関するアイディアが浮かんできます。
 また、素材としての商品も数多く販売されているので、それらを組み合わせて何かを作るというのも100円ショップの楽しみのひとつでもあります。
 ロングセラー商品以外は売り切れになると再入荷しないものも多いので、気になるものが見つかったらゲットしておく方が良いかもしれません。

(2026.2.19)

#小道具 #撮影小道具

第202話 手放してしまったことを後悔しているカメラやレンズのあれこれ

富士フイルム TX-1 取扱説明書より転載
Contax Ⅱa 取扱説明書より転載

(2026.1.25)

#CONTAX #FUJINON #コンタックス #フジノン #富士フイルム

第201話 アドックスADOXのモノクロフィルム CHS 100Ⅱの使用感とリバーサル現像

 アドックスADOXという会社はフィルムや印画紙、現像液などを製造するドイツの企業で、世界で初めてX線用写真乾板を開発した企業として有名ですが、現在のアドックスは「アドックス・フォトヴェルケ」という事業会社が継承しており、創業時の会社とは異なるようです。
 アドックスのフィルムを使った経験はあまり多くないのですが、ずいぶん前にCHS100というモノクロフィルムを使ったことがありました。しかし、そのフィルムも2012年ごろに製造が終了になってしまい、その後、後継となるCHS100 Ⅱというフィルムが発売されたのですが、私は使ったことがありませんでした。
 今回、比較的良好な評価が多くみられるCHS100 Ⅱを使ってみました。

アドックスのオルソパンクロマチックフィルム

 外箱はなく、黒いフィルムのケースには「MADE IN GERMANY」と書かれています。ベルリンに工場があるようで、同社のホームページを見ると、「2006年、ADOX工場は1980年代の廃墟となった軍用ランドリーの敷地内に建設を開始しました。多くの研究、生産、製菓機械は、アグファ、フォルテ、コニカなどの倒産した写真工場から救出されました。」と書かれています。日本のコニカも支援をしていたようです。

 オルソパンクロマチックということなので、フィルムとしてパンクロマチックに分類されつつも、赤色光に対する感度低減の性質を持っているということなのでしょう。
 特性について少し調べてみたところ、データシートを見るとおよそ660nmから上の赤色光には反応しないようです。
 フィルムの素材は透明なPETベースが採用されているとのこと、また、2層のハレーション防止層が設けられているなど、CHS100からはいろいろと改良がくわえられている感じです。
 ISO感度は公称値の100に忠実とのことで、現像において80~125まで適応可能なようです。解像力は100本/mmで、CHS100に比べるとずいぶんよくなっているようですが、特別高いというわけではなく標準的な解像度ではないかと思います。

 今回使用したのはブローニーの120サイズフィルムです。1本1,600円ほどで購入しました。一般的なISO-100のフィルムに比べると少しお高めです。

現像に関するデータ

 このフィルムの現像はコダックのD-76やイルフォードのD-11など一般に出回っている多くの現像液が使用可能ですが、今回はAdox Adonal現像液を使用しました。
 実際の現像条件は以下の通りです。

  ・現像液 : Adox Adonal
  ・希釈 : 1 + 50 (原液1に対して水50)
  ・温度 : 20度
  ・現像時間 : 12.5分
  ・撹拌 : 最初に30秒、その後60秒ごとに2回倒立撹拌
  ・停止 : 60秒
  ・定着 : 7分
  ・水洗 : 10分

 使用した現像タンクはパターソンのPTP115というモデルで、必要な現像液の量は約500mlです。Adox Adonalの原液10mlと水500mlを合わせて510mlの現像液を調合しました。水は精製水を使うのが望ましいのですが、いつもながら水道水を5分ほど煮沸し、冷ましたものを使っています。
 液温が下がらないように深めのバットに水を張り、その中に電熱器を入れて20℃を保つようにして、そこに現像タンクを入れておきました。
 なお、停止液は酢酸、定着液はスーパーフジックスLと、いずれも富士フイルムの製品を使いました。

 データシートによるとフィルムのベース厚みは0.1mmとのことで、イルフォードのDELTA100と比べるとわずかに薄い印象がありますが、柔らかすぎず程よい硬さといった感じです。
 ただし、乾燥後のカールを防ぐ対策が施されているとのことですが、結構カールします。

アドックス CHS 100 Ⅱの作例

 今回の撮影に使用したカメラはMamiya 6 MF、使用したレンズは75mmです。撮影した中から4枚の写真をご紹介します。いずれも哲学堂公園(東京都中野区)とその周辺で撮影したものです。

 まず1枚目は、哲学堂公園にある四聖堂と呼ばれる建物を撮影したものです。

 周囲にある木々からの木漏れ日が蔀戸のごく一部だけに差し込んでいるところを撮りました。ハイライト部分が白飛びしすぎないよう、露出はおさえ気味にしています。
 コントラストが高い感じはなくて、全体的になだらかできれいな階調で表現されているように思います。シャドー部もつぶれすぎず柔らかな感じを受けます。
 解像度も問題のないレベルだと思いますが、粒状感が目立つように思います。

 写真の中央付近、木漏れ日の差している部分を拡大したのが下の写真です。

 やはり粒状性は粗くて、ざらざらした感じがしますが、木目がしっかりと表現されていたり、蝶番の金属の質感なども良く出ていると思います。コントラストが高すぎて平面的になってしまうようなこともなく、非常に立体感のある写りではないかと思います。

 2枚目は同じく哲学堂公園に設置されている像を撮影した写真です。

 背後は日差しが当たっている雑木林ですが、手前の像には直接光が当たっていない状況です。1枚目の写真とは反対に、像のディテールがわかるように露出は多めにかけています。
 像全体がなだらかな階調で表現されていると思います。特に像の下半分、徐々に黒く落ち込んでいくあたりも綺麗で、黒い中にもわずかな色の違いが感じられます。また、このような状況だと粒状感もあまり気になることはく、綺麗なトーンが出ていると思います。

 3枚目は哲学堂公園近くにあるお寺で撮影したものです。

 入口の山門近くにたくさんのお地蔵さまが並んでいました。お地蔵様の正面から陽が差している状態で、お地蔵様の背後には黒い影がくっきりと出ています。
 ハイライト部分が多めになるように露出はオーバー気味にして撮影していますが、石の質感などが損なわれることなく表現されていると思います。掲載した写真ではわかりにくいかもしれませんが、特に中央左側のお地蔵様の石のザラザラした感じがよくわかります。解像感も申し分ない感じです。
 お地蔵様の前掛けはかなり白飛びしていますが、ペタッとした感じにはならず、布のウェーブがわかるので立体感が感じられます。

 もう一枚、同じ場所で撮影したのがこちらの写真です。

 五重塔の軒下を撮影したもので、直射日光はあたっていないので全体的にコントラストは低めの状態です。斗栱の木の質感がとてもきれいに出ていると思います。うまく表現できないのですが、エッジが効きすぎておらず、シャープさがあるにもかかわらず全体的に柔らかな感じがします。
 若干、粒状性の粗さは感じますが、このようなシチュエーションでは効果的に働いているのではないかと思います。

リバーサル現像に関するデータ

 フィルムベースに透明なPET素材を採用しておりリバーサル現像にも向いているとのことでしたので、2本目はリバーサル現像してみました。
 現像時間を少し変更した程度で、基本的にはこれまで行なってきた現像とほぼ同じ条件で行ないました。
 使用した現像液類は以下の通りです。

 ・第1現像液: シルバークロームデベロッパー 100ml + 水 400ml (希釈 1+4)
 ・漂泊液: 過マンガン酸カリウム水溶液 20ml + 水 230ml と、硫酸水溶液(10%) 25ml + 水 225ml の混合
 ・洗浄液: ピロ亜硫酸ナトリウム 12.5g を水 500mlに溶解
 ・第2現像液:第1現像液を使用
 ・定着液: スーパーフジックス定着液 170ml + 水 330ml

 第1現像時間は標準的なネガ現像時間から換算して9分(20℃)としました。
 その他の工程と時間は以下の通りです。

  ・第1現像: 9分
  ・水洗: 5分
  ・漂泊: 5分
  ・水洗: 1分
  ・洗浄: 3分
  ・水洗: 1分
  ・再露光: 片面3分
  ・第2現像: 3分
  ・水洗: 1分
  ・定着: 7分
  ・予備水洗: 1分
  ・水洗促進: 1分
  ・水洗: 20分
  ・水滴防止: 30秒

リバーサル現像した作例

 フィルムベースが透明ということもあり、とてもすっきりとしたヌケの良い綺麗なポジが得られました。黒の締まりも良く、好感の持てるポジではないかと思っています。
 こちらは東京都庁の都民広場で撮影したもので、使用したカメラは同じくMamiya 6 MF で、レンズは75mmです。都民広場にはいくつものオブジェ(像)が設置されていて、試し撮りにはありがたい場所です。

 まず1枚目、「犬の唄」というタイトルの像です。

 午前中なので像のあたりには陽が差し込んでいません。全体的にコントラストは低めな状態です。
 ネガ現像と同様、ディテールもしっかりと出ており、なだらかな階調で表現されていると思います。使用した現像液が違うので単純比較はできませんが粒状感はあまり気になりません。もしかしたら被写体や背景のせいかも知れません。像が非常に立体的に感じるのはネガ現像と同じです。

 もう一枚、同じく都民広場にある「はばたき」という像を撮ったものです。

 こちらは直射日光が差している明るいビル群や空をバックに、シルエット気味に撮っています。像が真っ黒に塗りつぶされないギリギリのところまで露出をかけています。
 髪の毛や纏っているドレスの細部が綺麗に表現されており、ハイコントラストながらカリッとした硬さは感じられません。このような状況でも描写が乱れないのは及第点だと思います。

 なお、ポジ原版はほぼ透明ですが、わずかに薄い緑色がかかっている感じです。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 多少の粒状感はあるものの、それがかえってフィルムらしさを感じさせるフィルではないかと思います。解像力も申し分なく、何と言ってもなだらかな階調表現と立体感が持ち前のフィルムという印象です。
 ローライのRPX25やアグファのCOPEX RAPID 50のようなエッジの効いたキリっとした描写ではありませんが、とても豊かな表現をしてくれるという感じです。シャドー部もべたっとつぶれることもなく、ハイライト部も極端に白飛びすることもなく、細部にわたって表現してくれるフィルムと言ったらよいでしょうか。
 ISO感度もほぼ正確に100という値が出ていると思われ、安心して使えると思います。
 また、リバーサル現像でも非常に良い結果が得られており、いろいろな使い方ができるフィルムでもあると思います。もちろん好みもあるでしょうが、スナップやポートレートに向いているかも知れません。

 なお、別の現像液を使用すると結果も変わってくると思いますので、近いうちに試してみたいと思います。

(2025.12.21)

#Mamiya #リバーサル現像 #ADOX #CHS100II #ロジナール #Rodinal

第200話 それでも大判カメラを使って撮影をする理由(わけ)

(2025.11.28)

#写真観 #大判フィルム