大判カメラで撮影する場合は、まずシートフィルムを専用のフィルムホルダーに装填しなければなりません。この装填の仕方についてはたくさんの方が投稿されていらっしゃいますので、そちらを見ていただいた方が良いと思います。ここでは装填時のミスを防ぐちょっとしたコツのようなものをご紹介します。
【Table of Contents】
シートフィルム挿入時に発生しやすいミス
シートフィルムを装填するのは真っ暗闇で行なわなければなりません。暗室がいちばん作業しやすいのですが、暗室がない場合はダークバッグやダークボックスの中で行なうことになります。私も家でフィルムの装填をおこなうときは暗室にこもりますが、撮影先でフィルムが不足した時は暗室がありませんので、ダークバッグを使います。ダークバッグは中が狭くて、決して作業性が良いとは言えませんが仕方ありません。
シートフィルムの装填は慣れてしまえばどうってことないですが、慣れないうちはミスってしまうこともあります。多分、いちばん多いミスはフィルムホルダーの引き蓋用のスリットに入ってしまうことではないかと思います。フィルムの表裏を間違えるというミスも可能性としてはゼロではありませんが、右側から挿入する場合はフィルムについているノッチコードを右手前に来るように確認さえすれば、表裏が逆になることはまずありません。
ということで、フィルムが正しくない位置に入ってしまうミスの防止について触れたいと思います。
フィルムホルダーの構造
下の写真は4×5判フィルムホルダーの全景(写真左)と、ホルダーの引き蓋を引いた状態(写真右)です。
ここにシートフィルムを1枚ずつ入れていくわけですが、挿入する箇所を拡大したのが下の写真です。
引き蓋を引くとレールのようなものが2本あることがわかります。上側のレール(黄色の矢印)と下側のレール(赤色の矢印)です。上側のレールと下側のレールの間のスリット(溝)は引き蓋が通るところで、フィルムは下側のレールの下のスリットに入れなければなりません。
ところが、引き蓋が通るスリットにフィルムが入ってしまうことがあります。そうなるとフィルムが浮いた状態になりますので、どんなにピントを合わせても実際に撮影するとピントがずれた写真になってしまいます。また、最悪の場合、撮影後に引き蓋を挿入するときに引き蓋でフィルムが押されて、フィルムが折れ曲がってしまうという事態になりかねません。
フィルムを正しい位置に入れるために
フィルムが正しい位置に入った状態(写真左)と、引き蓋が通る溝に入ってしまった状態(写真右)が下の写真です。
正しい位置に入ったかどうか確認するために、挿入後に指でこの2本のレールを触ってみるという方法があります。上側と下側のレール端が5mm程ずれていますので、2つのレールの端が確認できれば、フィルムが正しい位置に入っていることになります。
また、もし引き蓋が通るスリットに入ってしまっている状態で引き蓋を閉めると、引き蓋の動きが重くなるので、注意しているとわかります。
ですが、そもそも引き蓋が通るスリットに入らないようにするのが理想です。そのために、引き蓋を全部引き抜てしまうのではなく、下側のレールと同じくらいの位置まで開いた状態でフィルムを挿入することで、このミスを防ぐことができます(下の写真)。
赤色の矢印が下側のレールの端で、これと同じくらいの位置で引き蓋を止めておきます。この状態だと、引き蓋が通るスリットに入れる方が至難の業です。
真っ暗闇の中、手探りでこの状態にするのが難しい場合は、暗室やダークバックに入れる前にこの状態にしておきます。
フィルムが正しい位置に入ると、フィルムの後端を指で軽く押すだけでスーッと入っていきます。もし、引っかかるような感触があったり動きが重いようであれば、正しくない場所に入っている可能性が高いので、再度入れ直しを行なった方が無難です。
なお、フィルムホルダーを振り回したり強く振ったりすることなく、普通に扱っていれば引き蓋が勝手に抜けてしまうようなことは起こりませんが、もし心配な場合はマスキングテープとかパーマセルテープで止めておけば振り回しても安心です。
(2020.11.26)