第212話 INNOREL インノレルの3WAY微動ギア雲台 GR7の使用感

 私は撮影用の三脚を何台か持っていますが、メインで使っている三脚にはマンフロットのギア雲台を取り付けています。あらためて説明するまでもありませんが、ギア雲台はチルト、ロール、パンのそれぞれの軸の回転を内部の歯車の嚙み合わせで行なう仕組みになっており、カメラの向きや傾きを高精度に行なうことが出来ます。軸の回転をやめた場所でピタッと止まり、その状態からレンズの重さで微動してしまうというようなこともありません。
 その反面、一般的な3WAY雲台のように3軸を同時に動かして位置決めをするというスピーディーな操作はできませんが、風景撮影などで微妙なフレーミングをするときにはストレスなく使える雲台だと思っています。

 私がギア雲台を使い始めてかれこれ20年以上になります。使い始めた当時はギア雲台というとマンフロット製くらいしかなかったのですが、その後、アルカスイスなどから高精度のギア雲台が販売されましたが、いずれも高額過ぎて私には高嶺の花でとても手が出せませんでした。
 2020年頃から、主に中国メーカーが一般ユーザー向けに手ごろな価格のギア雲台を販売し始め、選択肢も広がってきました。
 そんな中から、INNORELというメーカーの「GR7」というギア雲台を使ってみたので、今回はその使用感をお伝えしたいと思います。

INNOREL GR7 の主な仕様

 インノレルという会社は不思議というか、ちょっと謎に包まれたような感じのする会社で、2014年に設立された三脚や雲台を専門に製作している会社のようです。中国の深圳に本社を置いているようですが、自社のホームページもなく、商品の紹介はもっぱらアマゾンなどのサイトで行なわれています。
 記憶が定かではないのですが、7~8年ほど前にはヨドバシカメラの三脚売り場にもインノレルの製品が並んでいたように思います。理由はわかりませんが現在は扱っていないようです。しかし、同じ中国製のSIRUI シルイの三脚は今も扱っています。
 アマゾンのサイトにあるインノレルのページを見ると、三脚や一脚、雲台のほかにカメラバッグ、アクセサリーなどの小物も販売されています。私はインノレルの三脚や一脚を実際に使ったことがないので評価はできませんが、掲載されている写真を見る限り、とてもきれいに加工された製品であるように思います。

 今回の対象としているギア雲台 GR7 も外見はとてもきれいな仕上がりになっています。
 ちなみにこの雲台の価格ですが、ネット通販で概ね20,000円前後で販売されています(2026年8月時点)。

 この雲台の基本的な仕様は以下の通りです。いずれも、インノレルの製品紹介ページからの抜粋です。

  ・チルト : 160°- 0°- 40°
  ・ロール : 110° - 0°- 40°
  ・パン : 360°
  ・重量 : 1.04kg
  ・高さ : 120mm
  ・幅  : 130mm
  ・奥行 : 105mm
  ・耐荷重 : 6kg

 各回転軸には全周に渡り5°間隔で目盛りが刻まれていますが、パン軸以外は使用できない範囲があるのは上記の通りです。
 雲台底面(三脚取付け面)には3/8″のネジ穴があり、ほとんどの三脚への取り付けが可能です。
 カメラ取付部はアルカスイス規格に準拠しており、60mm x 38mm角のクイックプレートが付属しています。
 また、その他にパノラマパンベースとショートセンターコラム、そして結構しっかりとした作りのソフトケースが付属していますが、はっきり言ってケースは不要と思います。雲台を三脚から外して持ち歩くなどということはほとんどないので、このケースは何に使うのだろう、保管用かな、などと思ってます。

INNOREL GR7 の使用感

 さて、GR7を実際に使ってみた感想ですが、基本的な操作方法に関してはマンフロットの410や他社のギア雲台と同じで、ギア雲台に慣れている人であれば違和感なく使えると思います。
 各軸の回転は微動ノブと粗動ノブによる2通りが可能で、微動ノブは半回転(180°)で軸が約5°回転します。ノブを回した時のガタはまったくと言ってよいほど感じられず、スムーズに動きますので、0.1°レベルでの位置合わせが可能です。ノブは少々重く感じられるかもしれませんが、軽すぎてスカスカ回ってしまうよりも微妙な調整がしやすく、また、安心感もあります。
 微動ノブの周囲にはローレット加工が施されており、触った感触もとてもよく、指が滑ることもなくノブを回すことが出来ます。

 粗動ノブを右方向(時計回り)に少し回転させると微動ノブがリリースされ、一般的な3WAY雲台のようにグルンと回すことが出来ます。粗動ノブは6角の手裏剣のような形をしており、指を引っかける位置が6か所あるのでとても使いやすいです。
 また、この粗動ノブにはロック機構がついていて、右方向に60°ほど回すとノブの裏側に設けられた溝にピンが嵌り込み、その位置でノブがロックされるようになっています。ロックされた状態だと、粗動ノブから手を放しても各軸の回転がフリーになるので、大きく回転させたい場合には便利な仕組みだと思います。
 このロックを解除するには粗動ノブの付け根のところにある小さなボタンのようなものを押し込む操作を行ないます。

 粗動ノブのロック機構は便利ではありますが、ロックされるまでの粗動ノブの回転角が小さすぎて、ロックさせたくないのにカチッとピンが嵌ってロックされてしまうことが多いので、ロックまでの回転角をもう少し大きくとってあるとより使い易いと思います。

 チルト(カメラの上下方向の回転)はチルトダウン(下方向)に約160°まで可能ですので、レンズが真下を向くどころか、三脚等に干渉さえしなければ撮影者の足元後方を向くくらいまで回転が可能です。実際にそんな使い方をすることはないと思いますが、可動範囲が大きいということは歓迎すべきことかも知れません。

 一方、チルトアップ(上方向)は約40°です。この位置まで回すとパン軸とロール軸が干渉してしまい、それ以上は動かせなくなります。

 多くのギア雲台のチルトアップが15°~30°であるということを考えると、40°というのは評価に値すると思います。
 ただし、このGR7に限らずチルトアップ角が少ないというのはギア雲台の泣き所と言っても良く、空とか木の上の方とか、高い位置を撮影しようとすると雲台の調整だけでは無理があり、三脚の脚の長さを調整するなどの工夫が必要になります。
 カメラの向きを前後反対にすれば真上を向くところまでチルトアップが可能になりますが、雲台のノブが向こう側に行ってしまうのでとても使いにくくなってしまいます。
 センターコラムを装着することで三脚との干渉を防ぎ、チルトアップ角を稼ぐことのできる雲台もありますが、このGR7は雲台のところで干渉してしまうので、付属のセンターコラムを取り付けても防ぎようがありません。

 カメラを左右に振るロール角は向かって左方向に約110°、右方向に約40°で、こちらもチルト角と同じで右方向は雲台レベルで干渉を起こしてしまいます。

 左方向はレンズが真下を向いてもまだ余裕があります。

 可動範囲や操作性については他のギア雲台と比べてもそん色なく、各部の動きも適度な重さがあってしっかりとした作りであることが伺えます。

 さて、私がギア雲台で最も重要視しているのが、カメラを取り付けたときの各部のガタやぐらつきがないかということです。雲台だけの状態でガタやぐらつきを確認しても全く感じられませんでしたので、かなり高精度に加工されているのではないかと思われます。
 そこで、私が良く使っている中判カメラ、PENTAX67Ⅱに200mmのレンズを装着してこの雲台に取り付けてみました。
 各軸をニュートラル(0°)の位置にして、カメラを上下左右に押してみるとガタはほとんど感じられませんでしたが、軸周りにわずかに動くのが確認されました。
 レンズが下を向く方向、あるいは上を向く方向にカメラを押すと、チルト軸周りにたわむのがわかります。何度というほど大きく動くわけではありませんが、雲台内部の各可動部のほんのわずかの遊びが積算されている感じです。
 同様に左右方向にカメラを回転させる力を加えると、ロール軸周りにたわむのがわかります。

 PENTAX67用の200mmレンズは重さ約800g、どちらかと言えば軽いレンズなので、少々重い300mmレンズを装着して同じように確認してみました。PENTAX67用の300mmレンズは重さが約1,650gあり、レンズ自体に三脚座がついているタイプです。カメラとレンズの重さを合わせると約3.3kgになります。
 この状態でカメラのお尻を持ち上げるように力を加えると、雲台のチルト軸方向にかなりのたわみが生じ、300mmレンズの先端が1cmほど下に動いてしまいます。チルト軸が動いてしまうということはありませんが、各部の剛性が不足していて全体がたわんでしまうという感じです。
 ロール軸周りについても同様でした。

 耐荷重が6kgとなっており、重さには十分耐えられるのでしょうが軸周りのモーメントには少々力不足という感じは否めません。
 短焦点レンズや重量の軽いレンズを使っている分にはほとんど問題はないと思われますが、長焦点レンズや重いレンズを使う場合には注意が必要です。

 蛇足ですが、このGR7によく似た、というよりそっくりなギア雲台が数社から販売されています。ネット通販ではNEEWERやARTCISEというブランドでよく見かけますが、いずれも中国のメーカーのようです。どこがルーツかわかりませんが、もしかしたらOEMのような商品なのかも知れません。

マンフロット Manfrotto 410 との比較

 私が長年使ってきたマンフロットの410というギア雲台との比較をしてみたいと思います。410の価格ですが、現在(2026年8月)は39,000円前後で販売されていることが多いようで、私が購入したころに比べると驚くほど高くなっています。
 この製品の発売年はわからないのですが、日本国内での販売は2005年頃からのようです。国内での販売開始から実に20年以上が経過していることになります。

 マンフロット410の主な仕様は以下の通りです。

  ・チルト : 90°- 0°- 30°
  ・ロール : 90° - 0°- 30°
  ・パン : 360°
  ・重量 : 1.22kg
  ・高さ : 130mm
  ・幅  : 150mm
  ・奥行 : 115mm
  ・耐荷重 : 5kg

 インノレルのGR7と比べると可動域が狭いのと、サイズや重量は若干大きくなっています。耐荷重も5kgなので、GR7よりも1kg下回っています。
 いちばんの違いはその外観、見た目です。
 GR7はNC加工機で処理されたようなシャープで美しい外観をしていますが、410は鋳型から取り出して黒く塗装しただけみたいな武骨な外観で、マンフロットらしさがにじみ出ているといった感じです。外観は機能や性能には直接影響がないとはいえ、両者を比べれば明らかにGR7の方が洗練されていると感じるのは私だけでないと思います。

 基本的な雲台の構造や操作性はほぼ同じですが、カメラを取り付けるカメラ台の部分がGR7はアルカスイス規格に準拠しているのに対して、マンフロット410は自社の独自規格のクイックシューになっています。
 このマンフロット独自のシューですが、非常にしっかりとした構造になっていてかなりの負荷にもびくともしないのではないかと思えるほどです。しかし、いかんせんプレートが大きすぎるのと、プレートをロックする機構が強力すぎて取り外しにとんでもなく力が必要です。プレートを強く固定しすぎると外すときにレバーをハンマーで叩かなければならないほどで、正直、とても使いにくいです。
 ですので、私はマンフロットのプレートの上にベルボンのクイックシューを取り付けて使っています。
 また、微動ノブや粗動ノブの動き自体はスムーズではありますが、GR7に比べると明らかに重いです。これは、内部のギアを押さえつけるバネの力が強いためだと思われます。
 また、長年使っているとギアが摩耗して抵抗が大きくなったり、グリスが劣化してスムーズな動きが損なわれるという症状が出ることがあります。この対策としては別のページで紹介をしていますので、興味のある方は下記のページをご覧ください。

  「第68話 ギア雲台 Manfrotto マンフロット410の分解・調整

 そして、ギア雲台において最も重要視する各軸のガタやぐらつきについてですが、結論から言うと、マンフロット410の方がはるかに優れていると言えます。
 まず、各軸周りのガタはまったくありません。かなり力を入れて動かそうとしても、歯車の遊びなどでカタカタするようなことは一切ありません。
 次に、重いカメラをのせたときのたわみですが、各軸を微動ノブや粗動ノブで動かした後、静止させた状態で取り付けたカメラやレンズに力を加えるとわずかに軸周りにたわむのが感じられます。ただし、GR7に比べるとそのたわみ量ははるかに小さい感じです。
 短焦点レンズや軽い機材であればその状態でも全く問題ありませんが、長焦点レンズなどの使用時でわずかなたわみも心配な場合は、粗動ノブを左方向(反時計回り)に回すとギュッと締め付け力が働き、たわみが全くと言ってよいほどなくなります。粗動ノブを回すと言ってもくるっと動くわけではなく、実際には1~2mmほど動くだけですが、これで内部の歯車を締め付ける機構になっているようです。
 この状態だと、PENTAX67Ⅱに300mmのレンズを装着してカメラやレンズに力を加えても微動だにしません。
 なお、粗動ノブを締め付けたままの状態で微動ノブを回そうとしても固くて思うように動きませんので、粗動ノブを右方向に回して締め付けを解除する必要があります。

 重い機材を載せての撮影でもしっかりとホールドしてくれ、少々の外力が加わっても影響を受けることがないというのは何よりの安心感です。さすが、ギア雲台の老舗的メーカーの製品だと思います。
 見てくれは武骨ですが、販売開始以来20年以上、細部の変更があったとはいえ大きくモデルチェンジすることなく今も現行品として存在しているのですから驚きです。

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 近年、中国メーカーの三脚や雲台などのカメラ用品が非常に増えたという印象があります。しかも、品質的にもそん色のないものが、それまでの有名メーカーの製品と比べるとかなりの低価格で販売されています。
 今回のインノレル GR7も例外ではなく、十分に実用に耐えうる製品が低価格で購入できますので、コスパという点では非常に優れているのではないかと思います。マンフロットの製品と比べると信頼性の面で一歩及ばないといったところはありますが、一般的な使用範囲であれば十分に実用的な製品と言えると思います。
 ただし、まだ使用して日が浅いので、5年、10年という長期間使用に耐えられるかという点については未知数です。しばらく使用してみて、何某かの気づきや発見があればあらためてご報告したいと思います。

(2026.8.28)

#INNOREL #Manfrotto #マンフロット #ギア雲台

第68話 ギア雲台 Manfrotto マンフロット410の分解・調整

 私は主にマンフロットの410というギア雲台を使用しています。構図決めの際、微妙な調整がし易いのが愛用している主な理由です。3軸(パン、ティルト、ロール)が、それぞれ独立したノブを回すことで動くのですが、長年使っているとこのノブが重く(固く)なってきます。重くなると動かす際にとても力がいるので、分解して調整することにしました。

分解の手順

 マンフロット410雲台の外見は複雑な形をしていますが、構造は比較的シンプルです。

▲マンフロット410 ギア雲台

 分解は1軸ごとにやっていきます。どの軸も構造は同じです。
 まずはロール軸からですが、マンフロットのロゴと角度目盛りが書かれたラベルを剝がします。これはかなり強力な両面テープで張り付けてあるので、ラベルの端を剥がし、強く持ち上げるとラベルにキズ(折り目)がついてしまいます。ラベルの周囲から細めのマイナスドライバを差し込み、少しずつ持ち上げていくと綺麗に剥がれます。

▲オレンジ色の矢印のラベルを剥がす

 クッション性のある厚めの両面テープが使われており、剥がすとラベルの裏側と雲台本体の両方にテープが残ってしまいます。これを再利用することは難しいので、綺麗に剝ぎ取ってしまいます。
 ラベルを剥がした状態が下の写真です。

▲ロール軸のラベルを剥がした状態

 ラベルを剥がすとギアをおさえている丸い金属板(押さえ板)があり、その中央にネジ(オレンジ色の矢印)がありますので、4mmの6角レンチを使ってこのネジを緩めます。
 中央のネジを抜くと丸い押さえ板も外れますので、ロール軸の可動部も外れます。
下の写真でもわかるように、中は空洞です。

▲押さえ板を外した状態

 この状態で、ロール軸のギアのかみ合わせをリリースするノブ(下の写真の黄色の矢印)をいっぱいに回し、押さえ板がはまっていた反対側(オレンジ色の矢印の箇所)を軽く押すと、中にはまっている円筒形のギアがポロっと外れます。これで分解完了です。

▲押さえ板がはまっていたのと反対側の状態

ノブが重くなる原因

 このギア雲台は、上で外した円筒形のパーツの外側に付けられたギアに、ウォームギアがかみ合い、ウォームギアを回すことでそれぞれの軸が回転する仕組みになっています。そして、遊び(ガタ)が出ないように、強力なバネでウォームギアを円筒形のギアに押し付けています。
 ところが、長年使っていると円筒形のギアが徐々に摩耗して、歯高が低くなってしまいます。ここにウォームギアが押し付けられるので、ウォームギアの歯先が円筒形のギアの歯の底に当たってしまい、摩擦抵抗が大きくなり、ノブが非常に重くなるということになってしまいます。

▲円筒形のギア

 上の写真で、黒く汚れている辺りの歯が摩耗しているのがわかるでしょうか?
 一方、ウォームギアの方は特に摩耗しているようには見えません(下の写真)。

▲ウォームギア

 円筒形のギアはアルミ製で、ウォームギアは真鍮製です。真鍮はブリネル硬さでアルミの3倍ほどありますから、アルミ製のギアの方が摩耗してしまうのだと思います。

ギアのかみ合う位置を変える

 摩耗してしまったパーツは新しいものに交換するのが望ましいのですが、パーツ代も結構高額のようですので、まだ摩耗していないところを使うようにします。

▲未使用で歯が摩耗していない箇所

 この雲台のティルト軸とロール軸の可動範囲はそれぞれ120°です。この範囲を行ったり来たりしているので、円筒形のパーツは全周のおよそ1/3しか使っていません。残りの2/3は未使用状態ですので、この未使用部分とウォームギアがかみ合うようにすれば、ノブが重いという問題は解消されます。

 なお、ウォームギアのところにはグリスが塗ってありますが劣化してきているので、ウエスなどで綺麗にふき取り、新しいグリスを塗り込んでおきます。

 また、円筒形のギアも汚れていますので、こちらも綺麗にふき取り、グリスを塗っておきます。

組み上げの手順

 組み上げは、まずロール軸のギアのかみ合わせをリリースするノブをいっぱいに回した状態で、円筒形のギアをはめ込みます。この時、ギアが摩耗していない未使用の箇所がウォームギアがとかみ合うように、はめ込む位置を確認します。120°可動しても、摩耗した部分がウォームギアとかみ合うことがないようにします。

 次に、ロール軸を雲台に嵌合させ、押さえ板をはめてネジを締め込めば組み上げは完了です。

 この状態でロール軸の可動範囲いっぱいまでノブを回してみて、重くなることがなければ大丈夫です。もし途中で重くなるようであれば、摩耗している歯の部分にかみ合っているので、再度分解してギアの位置を移動させる必要があります。

 また、丸い押さえ板を止めるネジですが、これが緩んでくるとギア雲台にガタが生じますので、このネジはかなり強く締めておいた方がよろしいと思います。

 動作確認をして問題がなければ、最初に剥がしたラベルを張り付けます。何年後かにまた調整をすることを考慮すると、両面テープで張り付けるのが良いのではないかと思います。

ティルト軸の調整

 ティルト軸もロール軸と同様の手順で行ないます。
 ティルト軸の可動範囲もロール軸と同じ120°で、全周の2/3は未使用の状態ですので、そことウォームギアがかみ合うようにすればOKです。

パン軸の調整 

 パン軸も分解の手順は同じですが、状況が若干異なっています。パン軸の可動範囲は360°あり、このため、円筒形のギアの全周に渡って歯が摩耗している可能性があります。その場合は、ウォームギアとのかみ合い位置を変えても改善は見込めません。
 また、摩耗箇所が部分的であったとしても、使用している途中で摩耗箇所とウォームギアがかみ合う位置に来る可能性は十分にあるので、完全に問題解消というわけにはいきません。もし、パン軸のノブが重くて支障があるようでしたら、パーツを新しいものに交換するか、もしくは、雲台そのものを新しくするかしかありません。

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 この調整で、ノブが快調に動くのがどれくらいの期間かというのは使用頻度によって異なるので一概に言えませんが、いずれノブが重くなったとしても、ティルト軸とロール軸の円筒形ギアに関してはまだ1/3が未使用なので、さらにもう一度、調整できる余裕が残っています。それまでパン軸が耐えられればですが。

(2021.7.1)

#マンフロット #Manfrotto #ギア雲台

第17話 三脚:Velbon ベルボン ジオ・カルマーニュ N830 + マンフロット 410

 別のページでも触れましたが、私はベルボンの三脚のユーザーです。ベルボンの三脚は小さなものから大型まで5台持っていますが、その中でメインで使っているのがGeoCarmagne N830(ジオカルマーニュN830)で、この三脚にManfrotto410(マンフロット410)というギア雲台を取り付けています。

ジオ・カルマーニュ N830のスペック

 N830は大型に分類されるカーボン製の三脚で、脚をいっぱいに伸ばすと1,790mmの高さになります。これに雲台の高さ(約130mm)が加わり、さらにセンターポールを上げると2メートルをはるかに超える高さになります。エレベータも含めて目いっぱい伸ばして使うことはほとんどありませんが、ごくまれに脚立に乗って撮影するときなどに威力を発揮してくれます。
 一方、脚をすべて収納しても縮長は三脚のみで817mm、雲台を含めると約950mmほどもあり、結構大きいです。N830の姉妹品でN840という4段三脚がありますが、こちらは収納した状態で130mmほど短い上に、いっぱいに伸ばすとわずかながらN830を上回るスペックです。重さもほとんど同じですので持ち歩きにはN840の方が便利です。ですが、あえてN830を使っているのは、撮影時、ほとんどの場合は2段目を引き出すだけで必要な高さを確保できるからです。N840は2段目と3段目を引き出さなければならず、手間がかかってしまいます。撮影場所を移動する際には脚を収納し、移動後にまた引き出すわけですから、この手間が煩わしく、少しでも簡単にしたいという思いです。

Velbon GeoCarmagne N830

カーボン三脚の安定性

 この三脚、大きいし重いし、持ち運びは決して楽とは言えませんが、何といってもその安定性が抜群で、大きなカメラや重いレンズを載せても安心して使うことができます。カーボン三脚は見かけに比べて実際に持ってみるとかなり軽く感じるので、初めてカーボン三脚を使った時はちょっと不安な気持ちもありました。

 同じくベルボンのMark-7(マーク7)というアルミ製の三脚も持っていますが、こちらはN830よりも小柄ながら持った時にズシッときます。それだけに三脚を据えた時の安定感、安心感というものが気に入っていたのですが、カーボン三脚はそのズシッとした感じが希薄で大丈夫かなと思ったものでした。しかし、そういったことは自分の感覚でしかなく、使っているうちに不安な気持ちは払拭されました。

 個人的なこだわりですが、脚のロックはナットロック式が好きです。レバーロック式の方がワンタッチで楽かもしれませんが、脚の伸縮を微妙な硬さに調整できることと、脚にでっぱりがないということでナットロック式の三脚を選んで使っています。

スクリューギア方式のエレベータ

 また、小型三脚を除いて、センターポールはスクリューギアで上下できるものにしています。センターポールを上げて使うことはさほど多くはありませんが、ねじを緩めるとセンターポールがフリーになってしまうタイプは、緩めるときに気をつけないと重みでストンと落ちてしまうし、緩めた状態ではガクガク動いてしまい、なんだか心もとありません。
 N830を立てた状態で雲台の上部を持って、前後左右に強く力を入れてみてもほとんど動くことはありません。脚の剛性が高いのはもちろんですが、エレベータ部分の作りもしっかりしていることがわかります。

Velbon GeoCarmagne N830

ギア雲台 マンフロット410

 さて、マンフロット410ですが、私がギア雲台を使っている理由は、構図決めの際に微妙な位置(角度)調整ができることと、ピタッと位置決めができることに尽きるといっても過言ではありません。一般的な3-Way雲台の場合、構図を決めてパン棒を締めても微妙に動いてしまうことがあります。特に重い望遠レンズをつけているときなどは、その重みでわずかですが首を下に振ってしまいます。これを考慮して若干上に振った位置で締めてもなかなか思うような位置に止めることができず、これはかなりのストレスです。
 その点、ギア雲台は位置決めしたところでピタッと止まり、その後は全く動くことはありません。特にマクロ撮影や風景でも望遠レンズを使うときなど、ストレスなく位置決めができ、そのありがたみを痛感します。その代わり、一般的な3-Way雲台のように2軸、もしくは3軸をフリーにしたスピーディな動きは苦手です。

マンフロット410の改造

 とても使い易い雲台ではありますが、クイックシュープレートはとても使いにくいです。これは多くの方がそのように感じられているようです。私はベルボンの三脚を多用しているので、クイックシューもベルボンのQRA-667という製品を使っています。そのため、410のプレートと不要なパーツを外し、ねじ穴を切るなど若干の加工をしてベルボンのクイックシューを直接取り付けています。マンフロットのプレートの上にベルボンのクイックシューを載せてもよいのですが、できるだけ軽くしたいということと、剛性を損ねる要素は少しでも取り除きたいという理由からです。
 また、ノブが小さくて回しにくいので、椅子の足にかぶせるカバーを取り付け、ノブ径を大きくして回し易いようにしています。

Manfrotto 410 + Velbon QRA-667

 この雲台の耐荷重は5kgとなっています。私が使っているカメラとレンズで最も重い組み合わせは、PENTAX67Ⅱに500mmの望遠レンズをつけたときで、その重さは約4.9kg(カタログ値)になります。これにフィルターとかクイックシュープレートとかフィルムとかが加わるので、実際には5kgを越えていると思われます。5kgを越えたからすぐに壊れるわけではないと思いますが、この雲台の使用範囲ぎりぎりといったところでしょうか。
 大判カメラはこれほど重くなることはないので、全く問題なく使うことができます。

 ベルボンのN830にマンフロット410を取り付けるとその重さは約4.6kgあり、いくら見栄を張っても決して軽いとは言えませんが、安定性と使い易さでメインの三脚として愛用しています。

(2020.9.9)

#ベルボン #Velbon #マンフロット #Manfrotto #ギア雲台