大判カメラ撮影に必要な小道具、あると便利な小道具たち(1)

 大判カメラは極めてシンプルであるがゆえに、撮影の際にはいろいろな小道具(アクセサリ)が必要になります。カメラ本体とレンズとフィルムがあれば撮ることはできますが、その他、ないと非常に不便なものやあると便利なものなど、多岐に渡ります。
 今回はそんな小道具たちをご紹介したいと思います。中には大判カメラでの撮影に限らないものもありますが、私が撮影行の際に持ち歩いているものです。

ピント確認用ルーペ

 ピント合わせには必需品です。肉眼でフォーカシングスクリーンを見ながらある程度のピントは合わせられますが、合わせたいところにピッタリとあっていることを確認するためにはルーペが必要です。

 市販されているルーペは、携行に便利な小型のものから少し大きめなものまでいろいろありますが、小型のルーペは見える範囲が狭いのと、顔をフォーカシングスクリーンに着くくらい近づけないとならないのであまり使い易くありません。

 ある程度の広範囲が視野に入る方が使い易いので、私は自作のルーペを使っています。
 49mm径のクローズアップレンズを2枚使い、約6倍の倍率にしています。また、フォーカシングスクリーンに顔を近づけ過ぎなくても良いように、全長が90mmほどあります。ちょっと大きすぎる気もしますが、使い易さを優先しています。

▲ピント確認用ルーペ(自作)

 また、ルーペの径が小さいと、短焦点(広角系)レンズでの撮影の際、フォーカシングスクリーンの周辺部は斜めに光が入ってくるので、ルーペをスクリーンに垂直にあてても暗くて良く見えません。光の入射角と同じくらいにルーペを傾ければ明るくなりますが、そうするとルーペがスクリーンから浮いてしまい、ピントが合いません。
 これは、ある程度の口径の大きなルーペを使って、斜めから覗き込むことで回避することができます。

 こうした条件を満たすものは市販品にもありますが、かなり高額になってしまうので自作したというわけです。
 なお、クローズアップレンズを同じ向きに重ねるとディストーションが目立ちます。一枚を裏返して(向きを反対)重ねることでディストーションも随分改善されます。

冠布(カブリ)

 構図決めやピント合わせの際に外光が入るのを防ぐ目的で使用します。大きめの風呂敷のようなもので、120cmx120cmくらいの大きさのものが多いようです。片面が黒、もう片面が赤、もしくはグレーになっており、黒い面を内側にしてカメラと頭に被せて使います。私が使用しているのは片面グレーのタイプです。

▲冠布(カブリ)

 大判カメラのフォーカシングスクリーンに光が当たると像がとても見難くなります。特に太陽が後方にあるような場合、フォーカシングスクリーンにもろに光が入り込み、像がまったく見えなくなってしまいます。
 フィールドタイプの大判カメラにはスクリーンフードがついているものが多いですが、光のあたる方向によってはほとんど機能しません。
 外光をほとんど遮断できる袋状のフードを自作したりもしましたが、取り付けや取り外しに思いのほか手間がかかるので、あまり出番がありません。きわめて原始的ではありますが、自由度の高さで冠布の右に出るものはないと思います。

 冠布の使い方は人それぞれでしょうが、私はマントのように肩にかけておき、構図決めの時に頭の上に持ち上げ、カメラもろとも被ってしまうというやり方です。そして、構図決めやピント合わせが終わったら再び肩にかけておきます。

 一辺が120cmというのはずいぶん大きいと思われるかも知れませんが、下側(足元)からの光が邪魔に感じるときがあり、これを防ぐためにカメラの下側まで包んでしまうことがあるので、やはり最低でもこれくらいの大きさが必要になります。

 冠布の唯一の欠点は夏場の暑さです。長時間被っていると蒸し風呂にでも入っているようになってしまいます。

 因みに片面が赤やグレーになっているのは、森や林の中などでクマと間違えられないようにとの説がありますが、本当のところはよく知りません。ただし、片面がグレーになっていると太陽光が反射するので、夏場の暑さ対策には効果があるものと思われます。

単体露出計

 大判カメラには露出計が内蔵されていないので、単体露出計が必要になります。
 目測でも露出値はほぼわかりますが、露出に対する許容範囲が狭いリバーサルフィルムを使うことが多いので、正確な露出値が求められます。また、コントラストが高い被写体やピンポイントで表現したい部分がある被写体の場合などは、単体露出計で正確に測って露出を決めます。

 私が撮る被写体は風景が多いので、使う露出計も反射光式のスポット露出計がほとんどですが、花などを撮るときには入射光式の露出計を使うこともあるので両方持ち歩いています。

▲単体露出計 左:入射光式露出計  右:反射光式露出計

 入射光式の露出計は手のひらにすっぽりと納まるくらいの小型のものを使っていますが、反射光式の露出計は結構大きいです。昔は反射光式のスポット露出計もいろいろなメーカーが出していましたが、今はほとんど選択肢がなくなってしまいました。私が使っているペンタックスのデジタルスポットメーターも生産終了品となっており、新品を手に入れることはできません。

水準器

 カメラの水平を測るためのもので、いろいろなタイプの製品が販売されていますが、私が使っているのはオーソドックスな円筒形のタイプです。
 三脚や雲台に付いている製品もありますが、そういったものはかなり小型の水準器なので、正確に水平を測りたいときにはちょっと心もとない感じです。工事現場で使うような大きなものは必要ありませんが、長さが6~7cmくらいのものが使い易いと思います。
 価格は安価なものを探せばいくらでもありますが、安いのは精度が心配です。

▲水準器

 円筒形の水準器は、2本の線の間に気泡が収まれば水平が保たれているということですが、大量生産品なので一点ずつ検査しているとも思えません。
 私の使っている水準器も高価なものではありませんが、自分なりにキャリブレーションをして使っています。

 カメラを水平線に向けて構え、フォーカシングスクリーンの横罫線と水平線が重なるようにした状態(この時、カメラは水平を保っていることになります)にして水準器をカメラに取付けます。この状態で、水準器の気泡が2本の線の間に入っていれば問題ありませんが、左右どちらかにずれているようであれば、気泡の位置に合わせて新たに線を書き込みます。この線がこの水準器の基準線になります。
 なお、水準器を取付ける場所によって微妙に傾斜が異なる可能性がありますので、正確に測りたい場合は同じ場所に取付ける必要があります。

ケーブルレリーズ

 レンズのシャッターレバーのところにねじ込んで使います。長さは30cmから1mくらいまで何種類かありますが、最近はケーブルレリーズを使うカメラが非常に少なくなってきたので、レリーズの種類もずいぶん減ってしまいました。

 個人的には長さ60cmあたりがいちばん使い易いと思うのですが、残念ながらこの長さのものはとんと見かけなくなりました。1mのレリーズを使うことは多くありませんが、長焦点レンズで撮影する時はカメラの蛇腹がかなり繰出されるので、長いレリーズが必要になります。

▲ケーブルレリーズ 左:100cm  右:50cm

 ケーブルレリーズがなくてもシャッターのレバーを指でチョンと押せばシャッターは切れますが、指で押したことによるカメラブレを防ぐためにもレリーズは必要ですし、何よりもシャッターのレバーを直接押すのはとても操作しにくいです。
 また、長時間露光する場合などもレリーズがないと、これまたやりにくいです。

 ケーブルレリーズにはストッパー付きのものとついていないものがあります。ストッパー付きのものはストッパーを有効にして押し込むと、ストッパーが解除されるまで押された状態を保っています。バルブ撮影の時などには便利かもしれませんが、私はストッパー自体をほとんど使ったことがありません。数秒程度であればレリーズを押しっぱなしにしていますし、数分というような長い時間の露光の時はレンズのT(タイム)ポジションを使うので、ストッパーがなくても問題ありません。

 ほとんど壊れることもありませんが、撮影に行った際に落としてなくしてしまうこともあるので、常に2~3本を持ち歩いています。

ハレ切り

 大判カメラはアオリを使うことがあるので、35mm判のレンズに着けるような円筒形のレンズフードは使わずに、余計な光をカットしたい時はハレ切りを使います。レンズの先端に着けてあおった場合、レンズフードによってケラレてしまうことがあり、それを防ぐのが理由です。

 15cm四方程度の黒いボードをフレキシブルアームに挟んで使うという、いたってシンプルなものです。フレキシブルアームの一方をカメラのアクセサリーシューなどに挟んで、レンズに光があたらないように黒いボードの向きを調整するだけです。
 レンズの先端に取付けるわけではないので、レンズの径に影響されることもなく、1セット用意しておけば大概のレンズに対応できます。

▲ハレ切り

 黒いボードの代わりに白やシルバーのボードを使えばレフ版としても使えます。大きなボードを取り付けることはできませんが、花を撮影するくらいであれば十分に機能してくれます。

撮影データ記録用のメモ帳

 デジタルカメラは撮影データ(EXIF)を自動で記録してくれますが、大判カメラにはそんな便利な機能はないので、一枚ごとに撮影データを手書きで記録していきます。
 私が記録しているデータは、使用したカメラ、レンズ、シャッター速度、絞り、使用したフィルター、フィルム、撮影日時、撮影場所、天気などです。

 使用するメモ帳は自分の使い易いものを選べば良いですが、私は100円ショップで購入した縦開きのメモ帳を使っています。縦開きのタイプを使う理由は、使用したところまでを見つけるのがやり易いからです。

▲撮影データ記録用のメモ帳

 あらかじめ、撮影当日に持ち出すフィルムホルダーの番号をメモ帳に書き込んでおき、撮影後、該当する番号のところに撮影データを書き込んでいます。
 一枚ごとに撮影データを記録することで、自分自身の露出値に対する感覚が正確になっていきます。もちろん、正確さを期すために露出計で測光しますが、測光前にある程度の精度で露出値がわかればシャッター速度や絞りをどれくらいにすればよいかがわかるので、どのような作風に仕上げるかをイメージしやすくなります。

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 今回は大判カメラを使った撮影の際、最低限必要と感じている小道具たちについて紹介しました。これらの他に、あれば便利という小道具をいろいろと持ち歩いていますので、それらについては次回にご紹介したいと思います。
 なお、フィルターも小道具と言えますが種類も多いので、フィルターについては別の機会に回したいと思います。

(2021.11.8)

#撮影小道具

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