第12話 エプソン EPSON GT-X970 フラットベッドスキャナ

 もっぱらフィルムでの撮影をしている私にとって、スキャナはなくてはならない存在です。現像からあがってきたフィルムをパソコンに取りむためには、スキャナを使わざるを得ません。

GT-X970

 私が使っているスキャナはEPSON GT-X970というフラットベッド型のスキャナで、もう10年以上使っています。筐体は結構でかいです。フィルム専用のスキャナというわけではありませんが、私はフィルムスキャン以外にはほとんど使ったことがありません。フィルム専用のほうが性能的にも優れているとは思いますが、私が使っているフィルムはブローニーやシートフィルムが主体であるため、それ用のフィルム専用スキャナなどは高額すぎて手が出せません。

EPSON GT-X970

ブローニー用フィルムホルダー

 GT-X970はすでに製造が終了し、現在は後継機のGT-X980になっています。光源がLEDになったりアンチニュートンリングガラスを採用したり、随所でバージョンアップされているようですが、一度にスキャンできるフィルムの枚数が減ってしまっているのが残念な点です。GT-X970はフィルムサイズに応じて専用のフィルムホルダーが用意されており、1回のスキャンで66判で6コマ、67判~69判だと4コマ、4×5だと2コマまで可能です。私は35mmフィルムはあまり使いませんが、35mmのスリーブだと1回で24コマのスキャンができるので、大量に取り込む方にとってはありがたいと思います。

EPSON GT-X970 ブローニーフィルムホルダー

フィルムスキャンを依頼した場合の費用

 撮影したフィルムのすべてをスキャンしてデジタル化しているわけではありません。額装するために大きくプリントするものや、経年劣化させたくないものなどをデジタル化して保存しています。専門の業者さんにお願いした方が機器も技術も格段に優れているのでしょうが、いかんせんコストがかかりすぎます。例えば、富士フィルムが提供しているスキャンサービスだと、ブローニーを1,000万画素でお願いした場合、1コマ550円もかかってしまいます。ブローニー(67判)を1,000万画素ということは1,280dpiほどであり、大伸ばしする際には解像度が低すぎます。
 67判のポジから半切(356mmx432mm)サイズにプリントする場合、印刷時の解像度を600ppiにしようとすると約8,700万画素必要であり、これはフィルムを約4,000dpiでスキャンしなければならないということです。プリントには半分の300ppiでも印刷品質の違いは多分わからないのではないかと思いますが、仮に300ppiで印刷するにしても、約2,000dpiでのスキャンが必要になります。

GT-X970のスキャン時間

 というような事情で、とにかく手間がかかるのですが自分でスキャンしているわけです。保存用には6,400dpiでスキャンし、TIFF形式でファイリングしています。そんな解像度は必要ないと思われるかもしれませんが、いろいろ加工したり、また将来どのような使い方をするかわからないからということと、何といっても6,400dpiでスキャンしたポジは細部に至るまで見事に再現されているということが理由です。
 しかし、67判1コマを6,400dpiでスキャンすると、その画素数は約2億5,000万画素になり、これをTIFF形式にするとファイルサイズは1.4GBを越えてしまいます。3,200dpiと6,400dpiの比較をしてみると以下の通りです。
            <3,200dpi>   <6,400dpi>
  スキャン時間     3分10秒    5分40秒    ※DIGITAL ICE はオフ
  画素数        6,200万    2億4,700万
  ファイルサイズ(TIFF) 350MB     1.48GB

 他のフラットベッド型スキャナでフィルムスキャンを行なったことがないので比較して論ずることはできませんが、私ような使い方をしている限りにおいて、このGT-X970は十分な性能があると思います。ただし、スキャンの解像度を上げた場合、ピントのズレが目立ってきます。これに関してはたくさんの方が投稿されております。機器により個体差があるようですが、スキャナのガラス面からフィルム面までの距離によってピントの合い方が異なるということは共通しているようです。

フィルムホルダーの嵩上げで画像がシャープに

 私も自分のスキャナで試してみましたが、ブローニー用のフィルムホルダーの場合、1.2mm嵩上げした時に最もシャープな画像が得られました。一方、4×5用のフィルムホルダーの場合は全く嵩上げしない状態で最もシャープになりました。3mmくらい嵩上げした時が最もシャープになるというような記事もありますので、かなり個体差があるのかもしれません。
 ちなみに、フィルムホルダーのスペーサーの向きを変えることで若干の嵩上げはできるのですが、スペーサーだけで1.2mmは上げられないため、私は1.2mmの板を張り付けて嵩上げしています。

EPSON GT-X970 ブローニーフィルムホルダー 1.2mm 嵩上げ

 このスキャナはお手軽にスキャンができる全自動モードやホームモードと、細かな設定ができるプロフェッショナルモードがありますが、フィルムのスキャンにはプロフェッショナルモードを使います。カラーバランスやカラーパレット、ヒストグラムの調整などができます。標準の設定から大きく変更することはあまりありませんが、フィルムをスキャンする時点では可能な限り、ポジ原版に忠実な状態にしたいと思っていますので、若干の調整を行なうことはあります。私のスキャナはマゼンタ系が強くでる傾向がありますので、カラーバランスを調整することが比較的多いです。できるだけポジをライトボックスで見たときに近い状態でスキャンしたいという理由です。

フィルムスキャナの将来は?

 フィルムスキャンに限らず、今の時代、スキャナの需要はかなり低いと思われます。私のようなフィルムに拘っている輩からすると、フィルムスキャナがなくなってしまうと、モノクロは自分でプリントできますが、ポジのプリントやデジタル化はお店にもっていかざるを得なくなります。ポジやネガをデジカメでデュープする方法もありますが、やはり画質が落ちてしまいますし、スキャナ並みの画質を得ようとするとかなりの手間がかかってしまうので積極的になれません。
 そんなマイノリティーにとって、今でもフィルムスキャナが製造販売されているということは言葉では言い表せないくらいありがたいことです。メーカーさんにとって、マイノリティーのためにスキャナを製造販売したところで、採算は取れていないのではないかと思いますが、継続していただけることを願うばかりです。

(2020.8.7)

#スキャナ #エプソン #EPSON

第7話 ホースマン Horseman パノラマフィルムホルダー

 ときどき、無性にパノラマ写真を撮りたくなることがあります。今はスマホやデジカメで複数枚の写真を合成して簡単にパノラマ写真を作ることができますが、私の場合、フィルム上にパノラマ写真を残したいという欲望です。世の中には昔からいろいろなパノラマカメラが存在していますが、それらはどれも高価で簡単に手を出せるものではありません。

パノラマ写真の火付け役

 1990年代、コンパクトカメラに「パノラマモード」なるものが装備され、パノラマ写真がブームになったことがありました。最初にどのメーカーが始めたのかはわかりませんが、35mmフィルムの上下をそれぞれ5mmほどマスクすることで、14mm×36mmほどのパノラマ写真(アスペクト比は1:2.5)にするというものでした。しかし、もともと決して大きくはない35mmフィルム1コマの約4割を使わないわけですから、プリントすると画像の粗さが目立ってしまいます。ですが当時としては横長の写真が目新しく感じたせいか、各メーカーからがパノラマ用の額縁やアルバムがたくさん発売されていました。
 残念ながら私は実際に使ったことがないので、ネガや写真がありません。

フルパノラマカメラ 富士フイルム TX-1

 1998年に富士フィルムから「TX-1」というカメラが発売されました。35mmフィルム用のレンジファインダーカメラですが、通常の写真のほかにフルパノラマの写真が撮れる、しかも1コマごとにノーマルとフルパノラマを自由に切り替えられるという画期的なカメラでした。私はこのカメラがどうしても欲しくなり、2000年だったと思いますが欲望に抗いきれずに買ってしまいました。レンズは30mm、45mm、90mmの3本がラインナップされていましたが、45mmと90mmのレンズも一緒に購入しました。
 下の写真は実際にTX-1の45mmレンズで撮ったポジです。1コマの大きさは24mm×65mmで、アスペクト比は1:2.7です。

「富士見高原 花の里」 Fujifilm TX-1 45mm 1:4

 35mmフィルムとはいえ、通常の1コマの2倍近くの面積があるので見応えもありますし、解像度やコントラストもさすがFujinonという感じです。しかしながら、1コマの対角が70mm近くもあるので、レンズは中判をカバーするほどのイメージサークルを持っているとはいえ、やはり周辺光量の落ち込みが目立ちます。

 1年、2年とTX-1を使っているうちに、レンズのバリエーションに不足を感じるようになりました。かといって30mmレンズは高額すぎて手が出せません。ある日、PENTAX67に35mmフィルムを入れればフルパノラマ写真が撮れるではないかと思い、手元にあったPENTAX67を少しいじってみました(PENTAX67のパノラマ改造については、別途ご紹介したいと思います)。

PENTAX67をパノラマ仕様に改造

 下の写真がPENTAX67改で撮ったフルパノラマのポジです。1コマのサイズが24mm×70mmで、アスペクト比は1:2.9、TX-1よりも5mmほど横長です。そして何よりも手元にある35mmフィッシュアイから500mm望遠まで10本のレンズが使えることと、周辺光量の落ち込みが全くないので、不満は一気に解消しました。

「石舟橋」 PENTAX67 smcPENTAX 55mm 1:4

ホースマン ロールフィルムホルダー

 しかし欲望とは限りがないもので、35mmフィルムでのパノラマでは飽き足らなくなり、中判フィルムでのパノラマ写真が撮りたくなってきました。前にも書いたように市販されているカメラはとても高価で買えないので、大判カメラ用のロールフィルムホルダーを手に入れることにしました。連日オークションサイトで探し、程度が良くて価格も手頃なホースマン製の6×12ロールフィルムホルダーをやっとゲットすることができました。
 このフィルムホルダーはブローニーフィルム(120)1本で6枚の撮影ができます。220フィルム用があるとうれしいので調べてみましたが、そもそも生産されていないようです。
 構図を決め、ピントを合わせた後、大判カメラのバック部(フォーカシングスクリーン)を外し、このフィルムホルダーを装着しなければならないので結構手間です。

Horseman 612 Film Holder
Linhof MasterTechnika45 + Horseman Film Holder

ブローニーフィルムでパノラマ撮影

 下の写真が6×12ホルダーで撮ったパノラマのポジです。1コマのサイズは56mm×118mmです。アスペクト比は1:2.1で、TX-1やPENTAX67改に比べると縦横比は控えめですが、十分見ごたえがあります。

「津軽海峡」 Linhof MasterTechnika45 Fujinon W150mm 1:5.6 Horseman 612 Holder

 世の中には6×17というパノラマ専用のカメラもあります。いつかは6×17に挑戦したいと考えていますが、いつになることやら...

 ところで、パノラマ写真は圧倒的に横位置での撮影が多いのですが、個人的には縦位置のパノラマ写真が好きです(縦長をパノラマというのが適切かどうかわかりませんが)。もちろん横長の画も迫力ありますが、縦長の掛け軸のような画は格別のものがあると感じています。
 下の写真は6×12の縦位置での写真です。横位置のパノラマは比較的絵にしやすいのですが、縦位置のパノラマは結構難しいです。はたして、この風景を超縦長の6×17で撮ることができるだろうかと思います。

「安久津八幡神社」 Linhof MasterTechnika
            Fujinon W125mm 1:5.6
            Horseman 612 Holder

(2020.7.11)

#パノラマ写真 #ホースマン #Horseman #リンホフマスターテヒニカ #Linhof_MasterTechnika