第38話 富士フィルム カラーネガ「PRO400H」販売終了

 2021年1月15日付で富士フィルムから、カラーネガフィルム「PRO400H」の販売終了の発表がありました。いつかは来るだろうとは思っていましたが、正直、「またか!」と思いました。私はカラーネガを使うことは少ないのですが、それでも数少ないフィルムのラインナップからまた一つ、姿を消してしまうということはとても寂しいことです(135は2021年3月、120は2022年3月で終了予定とのこと)。
 同社のカラーネガフィルムが完全になくなってしまうわけではありませんが、フィルムの将来はどうなってしまうのだろうと思わずにいられません。

富士フィルム PRO400H  (富士フィルム株式会社 公式HPより引用)

 最近はフィルム回帰する人が増えているとか、若い人でもフィルムカメラに興味を持つ人が増えているとかいうことを良く耳にします。確かに増えていることは事実なのかもしれませんが、実際のところどれくらい増えているのか、定量的なことは全くわかりませんし、富士フィルムという大企業のフィルム事業を支えられるほど増えているとは到底思えません。
 フィルム事業もビジネスである以上、採算が見込めなければ事業縮小や撤退というのは致し方のないことです。フィルム小売価格の値上げや現像料金の値上げなどをおこなっても製造販売終了の製品が出るということは、多少のユーザーが増えても焼け石に水といった状況なのでしょう。

 フィルム写真全盛期の頃は、カラーネガの現像&同時プリントが60分とか45分とかいう看板があちこちで見られました。撮影済みのフィルムを写真屋さんにもっていけば、1時間後にはプリントが仕上がっているというサービスで、しかもおまけにフィルムがついてくるなんていう状況もありました。最初に1本のフィルムを買えば、あとは一生買わなくても写真が撮り続けられるという、いまから思えば夢のような時代でした。

 すこし調べてみたところ、2000年をピークに写真フィルムの生産量は下がり続け、2010年には6割ほどにまで減ってしまったようです。カラーフィルムに限っては10年間で1/10にまで落ち込んだというデータもありました。その後も減り続けていたようですが、2013年以降のデータを見つけることができませんでした。
 写真フィルム全体では2011年、2012年と前年比で20~30%ずつ減少していたようですから、もしこの状態が10年続いたとすると、昨年2020年にはさらに1/10にまで落ち込んだことになり、2000年と比べると1/16になってしまったということになります。ピーク時の6%ほどにまで落ち込んでしまったところに多少ユーザーが増えたところで、誤差の範囲といったところでしょう。
 また、フィルム代も現像料金も高いので、やたらに撮ることができないという声も良くききます。もっとたくさんフィルムで撮りたいけどコストがかかりすぎて...というのが本音かもしれません。

 PRO 400Hの製造販売終了で、富士フィルムのプロ用と言われるネガフィルムはPRO160NSだけになってしまいます。複数の製品を供給し続けるにはコストがかかりますから、企業としては製品を一本化していこうという方針なのかもしれませんが、それでもフィルムを作り続けてもらえることに感謝です。
 
 とはいえ、2018年に製造販売を終了したモノクロフィルムのACROSも、およそ一年後にACROSⅡとして復活した事例もあります。海外に製造委託をしているとはいえ、富士フィルムのブランドを冠しているわけですから、ACROS復活といっても間違いではないと思います。
 コダックのリバーサルフィルムE100も最初は135だけでしたが、その後、ブローニー(120)、シートフィルム(4×5)が発売されました。
 同じようにPRO400Hも、OEMでもODMでも構いませんので、いつの日か復活してくれることを願ってます。

(2021.1.19)

#カラーネガフィルム #富士フイルム

第22話 リバーサルフィルの使用期限

 私はフィルムや現像液などの保管専用に小型の冷蔵庫を使っています。フィルムは適当な量に小分けしてビニール袋に入れ、袋に使用期限を書き込んで保管しており、古いものから使用していくためにときどき冷蔵庫の中のフィルム位置の入れ替えをおこなっています。
 先日、フィルム位置の入れ替えをおこなっていたところ、7年ほど前の日付が書き込まれたフィルムが出てきました。日付の書き間違いかと思って袋を開けて確認しましたが、やはり7年ほど前に使用期限が切れているブローニーのリバーサルフィルムでした。5本入りが4箱(20本)、すでに製造販売が終了して久しいVelbia50の220フィルムでした。何故こんなことが起きてしまったのかわかりませんが、多分、フィルム位置の入れ替えの際に埋もれてしまったのでしょう。まるでセミの幼虫のように7年もの間、暗く冷たいところでひっそりと過ごしていたのかと思うと、なんだかいじらしくなります。もしかして冬虫夏草のようなものが生えていないかと思い確認しましたが大丈夫でした。
 ちなみに、箱には5,480円の値札ラベルが張られたままになっており、いまは220フィルムがなくなってしまったので単純比較はできませんが、現在の120フィルムの5本パックと同じくらいの価格ですから、この7年でフィルムの価格が約2倍になったという感じでしょうか。

Velbia50 220

 フィルムは生ものですので使用期限内に使ってしまうのが望ましいのですが、賞味期限を1~2日過ぎた牛乳を飲んでも何の問題もないのと一緒で、フィルムも保管状況が良ければ使用期限を数か月くらい過ぎたところで大した影響はないと思っています。しかし7年ともなると話しは変わってきます。そんなフィルムを今まで使った経験はありませんし、ネット上には10年、20年と使用期限を過ぎたフィルムを使ってみたというような投稿を見かけることがありますが、やはりあまり古いと色が綺麗に出ないようです。
 7年でどの程度の影響があるのかわかりませんが、現像してみたら駄目でしたということがあると恐ろしいので、きちんとした撮影に使うのはリスクがありすぎます。しかし、20本ものフィルムを捨ててしまうのはもったいないので、1本を使って試し撮りしてみることにしました。

 近所の公園で晴れた日、曇りの日、そして日没間近の夕方と条件を変えて撮影をし、現像に出しました。

 数日後、現像から上がってきたポジを見てびっくり。目視する限り、色に影響が出ているようには見えません。ルーペでも確認しましたが、使用期限内に撮影したポジとの違いはわかりませんでした。Velbia50は超高彩度で鮮やかな色乗りが特徴のフィルムですが、見るからにVelbia50という感じで写っていました。冷蔵庫で保管していたことが良かったのかどうかはわかりませんが、残りの19本のフィルムも多分問題なく使えるものと思われます。この調子だと、10年くらい過ぎても問題なさそうにさえ思えます。
 フィルムが非常にお高い昨今、このような出来事はとてもありがたい(?)ことです。私の脳は自分に都合の良いように考えるらしく、7年前にお金を払って購入したことなどすっかり忘れてしまい、今回の「棚から牡丹餅」のことだけに脳みそが使われているようです。

 私は大量のフィルムを一度に購入してストックして、それを何年も使い続けるということはなく、だいたい1年ほどの間には使い切ってしまいますので、今回のようなことは初めてです。使用期限を7年も過ぎたフィルムでも問題がなさそうというのはあくまでも私の個人的な感覚であって、厳密には乳剤の劣化とかが進んでいるのではないかと思います。また、メーカーが使用期限を設定しているのにはそれなりの理由があるのでしょうから、使用期限内に使ってしまうほうが良いのは当然ですが、それほどシビアな描写を求めるのでなければ、期限切れだからと言って捨ててしまうほどではないと思います。
 今回はリバーサルフィルムでしたので、カラーネガやモノクロフィルムが同じようになるかどうかは不明です。

 ちょっと話がそれますが、フィルムを長期保管する場合は冷凍保存が好ましいといわれています。「長期」というのがどれくらいの期間なのかわかりませんが、私の場合、保存期間は概ね1年程度ですので、冷凍保存は使ったことがありません。フィルムの劣化を防ぐためには冷凍保存のほうが良いのでしょうが、使う際に常温に戻すのに時間がかかってしまうので、お手軽な冷蔵保存にしています。

 7年の眠りから覚めた棚ボタのVelbia50で、2020年の紅葉を撮りに行きたいと思っています。

(2020.10.24)

#富士フイルム #リバーサルフィルム #ベルビア #Velvia

第21話 スライドフォトフレームを作ってみました

 フィルムで撮影していると、露出の過不足やカメラブレなどの失敗作がときどき生まれます。また、そういった失敗ではないにしても、写真や作品というにはあまりに駄作というものも量産されてしまいます。デジタルカメラの場合はすぐに確認して、失敗作や駄作は亡き者にしてしまうことができますが、フィルムの場合はしっかりと記録されてしまい、失敗作だろうが何だろうが分け隔てなく現像され、物理的に残ってしまいます。

失敗作でも廃棄できない撮影済みのポジ

 失敗作の多くは廃棄してしまいますが、露出も適正でブレもない、一応写真としては成り立っているものの、どう贔屓目に見ても駄作というコマについてはなかなか捨てることができません。出来の悪い子供ほどかわいいというのに似ているかもしれません。残しておいても一生、日の目を見ることもないだろうと思いながらも捨てられずにどんどん増えていってしまいます。

 日頃からポジはライトボックスで見るのが最も美しいと思っているのですが、ある日、現像から上がってきたポジをライトボックスでチェックしているときに、たまっている駄作ポジに光を当ててやろうと思いつきました。早い話、フォトフレーム(額縁)に駄作ポジを入れ、背面からライトで照らすだけのことですが、これによって駄作も少しは見栄えがするだろうと思ったわけです。
 私の場合、ブローニーの67判での撮影枚数が最も多いので、当然、67判の駄作の枚数もいちばんです。ということで、とりあえず67判のスライドフォトフレームを作ることにしました。

LEDライトを使ってバック照明

 2Lサイズのフォトフレーム(額縁)に合わせてマット紙をカットし、中央に67判ポジより一回り小さな窓を切り抜きます。マット紙の裏側にポジを固定し、乳白色のアクリル板を重ねて固定します。さらに、LED照明を取り付けるための枠を自作し、これをアクリル板に重ねてフォトフレームにはめ込みます。
 LED照明はアマゾンで2,000円ほどで購入。67判だけでなく4×5判にも使えるようにと、LED面がはがきサイズほどのものを選びました。これを先ほどの枠に取付ければ完成です。

スライドフォトフレーム用LED照明

 LED照明を点灯するとこんな感じです。

スライドフォトフレーム(67判)

 当然のことながら、バックライト方式ですので暗いところでも観賞することができます。プリントしたものを見るのと違って透明感や立体感があり、駄作でもずいぶん見栄えが良くなります。馬子にも衣裳という言葉がぴったりです。
 ときどきポジを交換すれば飽きることなく楽しめるかもしれません。
 また、4×5判用のマット紙を作れば4×5のポジも同様に見ることができるので、そのうち作ってみたいと思います。

 量産された駄作ポジ、何とか使い道はありましたが、日の目を見ることができるのはこれまでにたまった駄作のごく一部に過ぎないと思われます。

 余談ですが、駄作はブローニーだけでなく4×5判でも生まれます。しかし、撮影枚数に対する駄作の発生率がブローニーに比べてはるかに低いです。最近はほとんど使わなくなりましたが、以前、35mm判を使っていた時は、ブローニーよりも35mm判の駄作の発生率はずっと高かったです。やはり、フィルムが大きくなるにつれて、撮るときの気合の入れ方が違うのだろうと思います。

(2020.10.17)

#フォトフレーム #リバーサルフィルム