第36話 大判カメラのアオリ(1) フロントライズ

 大判カメラの特徴は大きな面積のフィルムで撮影できることですが、加えて様々なアオリを使うことができるというのも大きな特徴です。
 35mm判の一眼レフなどの一般的なカメラの多くはフィルム面とレンズ面が固定されていますが、大判カメラはこれらを自由に動かすことができる構造になっています。それによって、あえて光軸をずらすことで様々な撮影をすることが可能になるわけですが、これを総じてアオリと呼んでいます。

アオリに関するカメラ各部の名称

 大判カメラには大きく分けてスタジオなどで使われることが多いビューカメラと、フィールド撮影に適したテクニカルカメラ(フィールドカメラ)がありますが、ここではテクニカルカメラに焦点を絞って説明します。
 アオリの説明の前に、テクニカルカメラの各部の名称について触れておきます。下の写真はリンホフマスターテヒニカ45の写真と各部の名称です。アオリの説明に必要な部分のみを示しています。異なる名称を使われている方もいらっしゃるかと思いますが、そのあたりは大目に見てください。

大判カメラ(テクニカルカメラ)の各部の名称

 それでは、今回は「フロントライズ」のアオリについてです。

フロントライズとはこんなアオリ

 フロントライズとはレンズを上に移動させるアオリのことで、フィルムとレンズが平行の状態を保ったまま、フィルムとレンズの中心をずらします。
 実際にレンズをライズすると下の写真のような状態になります。

フロントライズした状態

 このアオリの目的ですが、例えばビルなどの高い建物を下から見上げる状態で撮影すると上が窄まって(すぼまって)写ってしまいますが、これを修正するときなどに使われることが多いのではないかと思います。
 何故、下から見上げた状態で写すと上が窄まってしまうのか、その理由について簡単に触れておきます。
 下の図でわかると思いますが、垂直に立ったものを斜めになった面に投影すると、高い位置のものほど間隔が狭まってしまいます。これが、上が窄まって写ってしまう原因です。

 これを防ぐにはレンズの光軸を水平に、すなわち、投影面(フィルム)を垂直に立ったビルなどと平行に保つ必要があります(下の図)。

 ただし、この状態だと上の方(高い位置)が投影面(フィルム)からはみ出してしまいます。
 そこで、平行を保ったまま、レンズだけを上に移動させると上の方も投影面に納まることになります(あくまでもライズ量に制約がないという前提に基づいてですが)。これがフロントライズのふるまいです。

 実際にライズできる量(レンズの移動量)はカメラによって異なりますが、テクニカルカメラの場合、一般的には50mm前後が多いようです。ちなみに、リンホフマスターテヒニカ45の場合は55mmです。
 また、カメラの可動範囲内であっても、レンズのイメージサークルを越えてしまうとケラレが発生してしまいますので注意が必要です。

イメージサークルについて

 ここで、イメージサークルについて簡単に触れておきます。
 イメージサークルとは、レンズに入ってきた光によって結像する円形の範囲のことで、この範囲内であれば鮮明な像が得られますが、この外側は暗くなってしまい結像しません。また、この鮮明に結像する範囲を、レンズ中心から見た時の角度を「包括角度」といいますが、これらの関係を下の図にしてみました。

 包括角度が大きければ当然イメージサークルも大きくなりますが、イメージサークルはレンズと撮像面(フィルム)との距離やレンズの絞りによって変化しますので、レンズの絞りをF22、無限遠にピントを合わせた時の円の直径で表現されることが一般的です。

 下の図はカメラをフロントライズした際のイメージサークルの状態を表したものです。

 アオリのないニュートラルな状態ではイメージサークルの中心に撮像面(フィルム)がありますが、レンズを移動させるとともにイメージサークルと撮像面の相対位置も移動します。イメージサークル内であれば問題ありませんが、この範囲を超えるとケラレが発生してしまいます。
 カメラが大きな可動範囲を持っていたとしても、レンズのイメージサークルが小さいと可動範囲を活かしきれません。ライズできる量はカメラの可動範囲内であり、かつレンズのイメージサークル内という制限を受けます。
 また、上の図からもわかるように、無限遠の時のイメージサークルが最も小さく、近接撮影になるほどレンズが繰出されるのでレンズとフィルムの距離が長くなり、イメージサークルは大きくなります。

 このように、フロントライズを制約する要因がいくつかありますので、それらを把握しておくことで様々な撮影のシチュエーションの際にも迷うことは避けられると思います。

フロントライズを使った作例

 実際にフロントライズを使用して撮影した例が下の写真です。1枚目がアオリなし、2枚目がフロントライズのアオリを使って撮ってます。

尻屋崎灯台 Linhof MasterTechnika 45 FUJINON W125mm 1:5.6 F32 1/30 PROVIA100F
尻屋崎灯台 Linhof MasterTechnika 45 FUJINON W125mm 1:5.6 F32 1/30 PROVIA100F フロントライズ

 2枚の撮影位置は若干違いますが、灯台までの距離はほぼ同じです。2枚目の写真は灯台が手前側に起き上がってきているような感じで、高さが強調できていると思います。
 ここで使用したレンズ(FUJINON W125mm)のイメージサークルは198mmで、ライズ可能量は約29mmですが、実際に使用したライズ量は23mmくらいです。 

蛇足ながら...

 前の方でも書いたように、このアオリは建築物などの撮影で使われることが多いと思いますが、風景撮影においても、例えば木をまっすぐに立たせたいとか、滝の上部を窄ませずに迫力を出したいとか、使用する場面は結構あります。
 ただし、広角や超広角レンズはイメージサークルが決して大きくないので、アオリの量も自ずと限界があります。
 また、フロントライズは使いすぎると不自然になることもあります。建築物の撮影での使用頻度が高いと触れましたが、高層ビルや五重塔などを比較的近い距離から撮影する場合とか、不動産の広告写真などで使用するというような目的があれば別ですが、一般の撮影でライズをかけすぎると頭でっかちに見えてしまい、かえって違和感を感じます。肉眼で見ても遠くにあるものは小さく見えるわけですから、あまり不自然にならない程度にかけるのが望ましいと思います。

 なお、私は超広角レンズを使う際に、カメラのベッドが写り込んでしまうのを防ぐ目的で若干のフロントライズをすることがありますが、これは本来のアオリの使い方ではありません。念のため、つけ加えておきます。

(2021.1.9)

#アオリ #リンホフマスターテヒニカ #Linhof_MasterTechnika

第10話 大判カメラ:リンホフマスターテヒニカ45 Linhof MasterTechnika45

 いわゆる大判カメラです。大判カメラの中では最も小さな4×5インチサイズのフィルム(通称シノゴ)を使います。

フィールドタイプの大判カメラ

 一口に大判カメラといっても色々なタイプがありますが、このカメラはフィールドタイプ(テクニカルカメラとも呼ばれています)に分類されていて、外に持ち出して撮影するときに便利な作りになっています。
 折りたたむとコンパクト(といっても結構でかい)になります。距離計がついているタイプもありますが、私のは距離計なしのタイプです。このカメラを使い始めたころ、なぜ大判カメラで距離計が必要なのだろうと不思議に思いましたが、距離計があることで手持ち撮影が可能になるという話しを聞いてぶったまげたものです。このカメラで手持ち撮影する人を尊敬します。

Linhof MasterTechnika 45

 私がこのカメラを使い始めて20年以上になりますが、これまでに蛇腹の交換が2回、オーバーホールが1回で、故障は一度もありません。もっとも大判カメラの場合、電子機器が入っているわけでもなく複雑な機構が組み込まれているわけでもないので、落としたりぶつけたりしない限り、壊れるようなところがないというのが実態です。
 蛇腹は消耗品なので、使用頻度にもよるのでしょうが、私の場合は8~10年ほどで新しい蛇腹に交換しています。何年か使っているうちに折り目のところに小さな穴(ピンホール)が開いてきます。穴の数が少なければ補修して使いますが、数が増えてくると補修しきれないので交換ということになります。

カメラの主な仕様

 このカメラの主な仕様は以下の通りです(リンホフマスターテヒニカ45 取扱説明書より引用)。
  画面サイズ    : 4×5インチ判
  レンズマウント  : リンホフ規格仕様
  フロントライズ  : 55mm
  フロントフォール : ベッドダウンとティルトアップによる
  フロントティルト : 前後各30度  
  フロントスイング : 左右各15度 
  フロントシフト  : 左右各40mm 
  バックティルト  : 前後各20度  
  バックスイング  : 左右各20度
  最大フランジバック: 430mm
  収納時外形寸法  : 180mm(W)×200mm(H)×110mm(D)
  重量       : 2,600g

フランジバック

 私のLinhof MasterTechnika 45 の最小フランジバックは約50mmです。理論上は50mmくらいまでのレンズが使えることになりますが、私の持っているレンズで最も短いのは65mmです(35mmカメラに換算すると18mmくらいのレンズの画角に相当します)。
 一方、最大フランジバックですが、カメラ自体は430mmまで可能ですが、私のカメラにつけている蛇腹はそこまで伸びないので、390mmくらいが限界です。ということで、65mmから400mmまでのレンズを持っていますが、400mmレンズはテレタイプと呼ばれるフランジバックが短いレンズです。

 最大フランジバックが大きいというのは長い玉が使えるというメリットがありますが、その反面、レールを短くたためないというデメリットもあります。このカメラも65mmや75mmのレンズだとレールが写り込んでしまいますので、ベッドダウンするかフロント部をライズする必要があります。夜景などの暗い被写体を撮影する時など、気づかずにレールが写り込んでしまったという失敗も何度かあります。

フロント部のアオリ

 大判カメラの特徴は何といってもアオリができることですが、風景写真の場合、それほど頻繁にアオリを使うわけではありません。
 Linhof MasterTechnikaのアオリ操作の中で個人的にいちばんのお気に入りがフロントライズ(レンズ部を上げる)の仕組みです。ラチェットハンドルのようなものをスコスコ動かすと、フロント部分が上がったり下がったりします。上がったり下がったりと書きましたが、Linhof Master Technikaはノーマルの状態でフロント部が最下部にありますので、さらに下げるにはベッドダウンするしかなく、フロントフォール(レンズ部を下げる)はできなく、フロントライズのみというのが正しい表現かもしれません。ライズは55mmまでできますので、風景写真を撮る分には十分すぎるアオリ量です。

Linhof MasterTechnika 45  Front Rise

 一方、フロントティルト(レンズ部を前後に倒す)はダイヤルを緩めた後、手で動かすので微妙な操作がしにくいというのが難点です。これに対して国産の大判カメラのWISTAは、ダイヤルをスリスリと回すことでフロント部がゆっくりと前後に傾いてくれるのでとても使い易いと思います。
 フロントティルトは近景から遠景までパンフォーカスに写したい時など、比較的使う頻度の多いアオリです。フロントスイング(レンズ部を左右に首ふり)もパンフォーカスにしたい時などに使いますが、ティルトほどの使用頻度はありません。
 そして、フロントシフト(レンズ部を左右に動かす)に至ってはほとんど出番がありません。この20年間で数回しか使ってないと思われます。

Linhof MasterTechnika 45  Front Tilt

バック部のアオリ

 このカメラのバック部(フィルム部)のアオリも特徴的で、4か所のねじを緩めるとバック部を約40mm、後方に引き出すことができます。しかも4本の軸が独立して動くので、ティルトとスイングを自由に行うことができます。ねじを緩めて引き出した状態ではバック部がグニャグニャとだらしなく動いてしまいますが、アオリの自由度は抜群だと思っています。これと同じ方式はHorseman45 FAなどのカメラでも採用されています。
 フロント部のあおりはやりすぎるとイメージサークルの小さなレンズではケラレてしまうことがありますが、バック部のアオリではケラレることがないので、画像の変形が気にならない場合はあえてバック部のアオリを使うことがあります。

Linhof MasterTechnika 45  Back Tilt & Back Swing

バック部のアオリを使った作例

 バック部であおると近景を強調した写真を撮ることができます。下の写真は福島県にある小峰城と桜を65mmレンズで撮影したものです。バック部を大きくあおって、お城の天守閣にも頭のすぐ上にある桜にもピントをもってきています。

小峰城と桜  Linhof MasterTechnika 45 Fujinon SWD65mm 1:5.6 F32 1/15 PROVIA100F

 長年このカメラを使ってきましたが、とにかく作りが堅牢で使っていても安心感のあるカメラです。加工精度が素晴らしいのだと思いますが、各部が適度な重さをもって動き、ロックするとびくともしません。カメラによって写真の出来が異なるわけではありませんが、自分の撮影意図に応えてくれるカメラだと思っています。
 このカメラの後継機であるLinhof MasterTechnika 2000については、別の機会にご紹介したいと思います。

(2020.7.28)

#リンホフマスターテヒニカ #Linhof_MasterTechnika

第7話 ホースマン Horseman パノラマフィルムホルダー

 ときどき、無性にパノラマ写真を撮りたくなることがあります。今はスマホやデジカメで複数枚の写真を合成して簡単にパノラマ写真を作ることができますが、私の場合、フィルム上にパノラマ写真を残したいという欲望です。世の中には昔からいろいろなパノラマカメラが存在していますが、それらはどれも高価で簡単に手を出せるものではありません。

パノラマ写真の火付け役

 1990年代、コンパクトカメラに「パノラマモード」なるものが装備され、パノラマ写真がブームになったことがありました。最初にどのメーカーが始めたのかはわかりませんが、35mmフィルムの上下をそれぞれ5mmほどマスクすることで、14mm×36mmほどのパノラマ写真(アスペクト比は1:2.5)にするというものでした。しかし、もともと決して大きくはない35mmフィルム1コマの約4割を使わないわけですから、プリントすると画像の粗さが目立ってしまいます。ですが当時としては横長の写真が目新しく感じたせいか、各メーカーからがパノラマ用の額縁やアルバムがたくさん発売されていました。
 残念ながら私は実際に使ったことがないので、ネガや写真がありません。

フルパノラマカメラ 富士フイルム TX-1

 1998年に富士フィルムから「TX-1」というカメラが発売されました。35mmフィルム用のレンジファインダーカメラですが、通常の写真のほかにフルパノラマの写真が撮れる、しかも1コマごとにノーマルとフルパノラマを自由に切り替えられるという画期的なカメラでした。私はこのカメラがどうしても欲しくなり、2000年だったと思いますが欲望に抗いきれずに買ってしまいました。レンズは30mm、45mm、90mmの3本がラインナップされていましたが、45mmと90mmのレンズも一緒に購入しました。
 下の写真は実際にTX-1の45mmレンズで撮ったポジです。1コマの大きさは24mm×65mmで、アスペクト比は1:2.7です。

「富士見高原 花の里」 Fujifilm TX-1 45mm 1:4

 35mmフィルムとはいえ、通常の1コマの2倍近くの面積があるので見応えもありますし、解像度やコントラストもさすがFujinonという感じです。しかしながら、1コマの対角が70mm近くもあるので、レンズは中判をカバーするほどのイメージサークルを持っているとはいえ、やはり周辺光量の落ち込みが目立ちます。

 1年、2年とTX-1を使っているうちに、レンズのバリエーションに不足を感じるようになりました。かといって30mmレンズは高額すぎて手が出せません。ある日、PENTAX67に35mmフィルムを入れればフルパノラマ写真が撮れるではないかと思い、手元にあったPENTAX67を少しいじってみました(PENTAX67のパノラマ改造については、別途ご紹介したいと思います)。

PENTAX67をパノラマ仕様に改造

 下の写真がPENTAX67改で撮ったフルパノラマのポジです。1コマのサイズが24mm×70mmで、アスペクト比は1:2.9、TX-1よりも5mmほど横長です。そして何よりも手元にある35mmフィッシュアイから500mm望遠まで10本のレンズが使えることと、周辺光量の落ち込みが全くないので、不満は一気に解消しました。

「石舟橋」 PENTAX67 smcPENTAX 55mm 1:4

ホースマン ロールフィルムホルダー

 しかし欲望とは限りがないもので、35mmフィルムでのパノラマでは飽き足らなくなり、中判フィルムでのパノラマ写真が撮りたくなってきました。前にも書いたように市販されているカメラはとても高価で買えないので、大判カメラ用のロールフィルムホルダーを手に入れることにしました。連日オークションサイトで探し、程度が良くて価格も手頃なホースマン製の6×12ロールフィルムホルダーをやっとゲットすることができました。
 このフィルムホルダーはブローニーフィルム(120)1本で6枚の撮影ができます。220フィルム用があるとうれしいので調べてみましたが、そもそも生産されていないようです。
 構図を決め、ピントを合わせた後、大判カメラのバック部(フォーカシングスクリーン)を外し、このフィルムホルダーを装着しなければならないので結構手間です。

Horseman 612 Film Holder
Linhof MasterTechnika45 + Horseman Film Holder

ブローニーフィルムでパノラマ撮影

 下の写真が6×12ホルダーで撮ったパノラマのポジです。1コマのサイズは56mm×118mmです。アスペクト比は1:2.1で、TX-1やPENTAX67改に比べると縦横比は控えめですが、十分見ごたえがあります。

「津軽海峡」 Linhof MasterTechnika45 Fujinon W150mm 1:5.6 Horseman 612 Holder

 世の中には6×17というパノラマ専用のカメラもあります。いつかは6×17に挑戦したいと考えていますが、いつになることやら...

 ところで、パノラマ写真は圧倒的に横位置での撮影が多いのですが、個人的には縦位置のパノラマ写真が好きです(縦長をパノラマというのが適切かどうかわかりませんが)。もちろん横長の画も迫力ありますが、縦長の掛け軸のような画は格別のものがあると感じています。
 下の写真は6×12の縦位置での写真です。横位置のパノラマは比較的絵にしやすいのですが、縦位置のパノラマは結構難しいです。はたして、この風景を超縦長の6×17で撮ることができるだろうかと思います。

「安久津八幡神社」 Linhof MasterTechnika
            Fujinon W125mm 1:5.6
            Horseman 612 Holder

(2020.7.11)

#パノラマ写真 #ホースマン #Horseman #リンホフマスターテヒニカ #Linhof_MasterTechnika

第3話 大判カメラ リンホフマスターテヒニカで撮る払沢の滝(東京都檜原村)

 明日からしばらく雨の日が続きそうとの予報でしたので、急に思い立ち、檜原村にある払沢の滝に行ってきました。
 新型コロナ感染拡大抑止対策のための県境を越えての移動自粛が解除されたとはいえ、東京から出ることに気を使ってしまいます。檜原村の方からすれば、同じ東京とはいえ都心方面からは来てほしくないという気持ちもあろうかと思いますが、なるべく人と接しないように気をつけながら行くことにしました。

東京で唯一、日本の滝百選に選ばれている落差62mの滝

 東京の滝では唯一、日本の滝百選に選ばれている払沢の滝を訪れるのは2年ぶりです。都心から車で1時間半ほど。平日のせいもあり、駐車場には2台の車が止まっていただけでした。雨は降らない予報でしたが、霧雨のような雨が降っていたのでしばらく車の中で待機。30分ほどで雨も上がり、空が明るくなってきたので滝に向かいます。今日は大判カメラでの撮影です。駐車場から滝まではゆっくり歩いても15分ほど。きれいに整備された遊歩道があるので歩くのも楽です。滝に向かって遊歩道の左手側が深い渓谷になっています。
 途中、下ってくるカップルに出会いましたが、滝についたときには誰もいませんでした。雨が続いていたせいか、滝の水量も多いように感じます。落差62メートル、4段になって落ちる滝らしいのですが、ほとんど最下段しか見えません。下から2段目が木の間からわずかに見える程度です。

 下の写真は滝から少し離れ、手前に滝つぼからの流れを入れてみました。風はほとんどなかったのですが、やはり4秒の露光ですので木の葉がぶれています。手前の岩にもピントが来るようにカメラのバック部をあおっています。
 縦位置で90mmレンズを使うとカメラのレールが写り込んでしまうので、フロントを少しライズさせなければなりません。

▲Linhof MasterTechnika 45 Schneider SuperAngulon 90mm 1:8
                   F32 4s PROVIA100F

 滝を訪れる人も徐々に増えてきたので、滝を3カット撮って下流に移動です。

小さいながら、趣のある滝も

 下の写真は落差50cmほどの小滝です。落差の割には深い滝つぼです。雨に濡れて黒く引き締まった岩の表情が綺麗でした。岩が白っぽくならないように、アンダー気味の露出設定にしました。少しだけフロントティルトのあおりをかけています。
 この小さな滝、妙に人気があるようで、この滝をバックにスマホを使って自撮りしている人がたくさんいました。

▲Linhof MasterTechnika45 ApoSymmar 150mm 1:5.6 F22 8s PROVIA100F

 ここから下流は渓谷が深くなって降りていくこともできないので、渓流の写真はここまでです。もう少し下流に忠助淵というところがあるのですが、この時期は木の葉が茂っていて見通しがききません。
 少し前まで雨が降っていたのと、曇っているため柔らかな光が綺麗に回り込んでいて、遊歩道沿いの木々の緑がとても鮮やかです。遊歩道脇のドクダミの花も満開で、薄暗い森の中に小さな明かりが灯っているようです。

雨に濡れた緑が美しい

 下の写真は遊歩道沿いの杉林です。雨に濡れて褐色になった杉の幹と木々の葉っぱの緑のコントラストがとても美しいです。もう1/2段ほど露出をアンダーにしたほうが雰囲気が出たかもしれませんが、そうすると葉っぱの緑が濁ってしまい、難しいところです。

▲Linhof MasterTechnika45 Schneider ApoSymmar 180mm 1:5.6 F32 8s PROVIA100F

 この後、杉の幹に絡むボタンヅル等を撮り、駐車場に戻りました。駐車場に戻ったのが午後1時過ぎ。約3時間の撮影行で、本日の撮影は大判(4×5)フィルムで8カットでした。
 出発するときは全部で3台しか止まっていなかった車が、帰ってきたときには10台ほどになっていました。
 帰路、八王子にある道の駅に立ち寄り、野菜や果物を買い求めました。この道の駅は地元産の野菜や果物がたくさんあるため、平日でも結構混んでいます。
 その後は新宿に直行し、本日撮影したフィルムを現像に出してきました。

(2020.6.24)

#檜原村 #払沢の滝 #渓流渓谷 #リンホフマスターテヒニカ #Linhof_MasterTechnika